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低俗喜劇(2012/香港)

 祝!『恋の紫煙2』大阪アジアン映画祭観客賞受賞!大阪でも好評だったのが嬉しいよ。
 これを機になんとか一般公開にこぎつけてもらいたいもんであるよ。なんといってもホーチョン作品は映画祭の悪しき(?)影響で一般公開はホラーの『ドリームホーム』のみという、ある意味残念な結果になっている。先にも書いたように、今年になってTIFF上映の2作品のソフト化が決定したことだし、香港映画ファン以外にもホーチョンの面白さがもっと広がればいいな。

 さて、今世紀に入ってから厨二力(と思うのだが)を武器に香港映画界で唯一無二の地位を確立し、わずか10年でメインストリームにまで駆け上がったホーチョンの、ある意味集大成ともいえる新作が『低俗喜劇』。今年の金像奨では最優秀作品賞ほか6部門にノミネートされているこの作品も、アジアン映画祭で上映されている。当然行けなかったので、香港で買ってきたBDで鑑賞した次第。


 売れない映画プロデューサー杜惠彰(チャッピー)は、長年ヒット作もなく、離婚した弁護士の妻(クリスタル)に引き取られた愛娘を思って、なんとか映画製作にこぎつけたいと願っていた。ある日彼は親友の雷永成(サイモン・ロイ)から広西の黒社会を仕切る暴龍(ロナチェン)を紹介され、彼が映画を作りたがっていることを知る。壮絶な接待攻撃の果てに暴龍が出した要求は、往年の女優スーザン・シウ(本人)を主演に、後宮を舞台にした名作《官人我要》を三級片にリメイクしろという無茶苦茶なもの。とりあえずスーザンには出演を取り付けたものの、脱いでもらうわけにはいかない。
 悩める杜の前に、セクシーナース姿のグラビアアイドル、“パチパチキャンディ”こと徐家欣(陳静)が現れた。パチパチキャンディを使った◯◯◯を武器に芸能界を渡り歩いてきた家欣に身も心も魅了された杜は、彼女をスーザンのボディダブルに起用することに決定。主演男優には「3D SEX&禅」で“三級片のチョウ・ユンファ”と称賛された葉山豪(本人)を迎え、映画の製作が何とか始まった…。

    映画作りの映画は珍しくないし、ホーチョン自身も『ユー・シュート、アイ・シュート』『AV』『些細なこと』でそれを扱っている。この手の映画では監督が主人公になることは多いのに、プロデューサーが主人公というのは珍しいらしい。
実際にプロデューサーでもあるのだから、経験上思うところはあるんだろうし、実話もちょっと入ってるんだろうな。特にここ数年は大陸に行ってたわけだし、その経験の一部がきっとこれと『恋の紫煙2』に入ってるんだよな。
  まあ、この作品は先に書いたように、今までの彼の作品群の集大成的なものである。映画作りの他にもね。それは当然シモネタ(笑)。「低俗」を名乗るのだから、本編はとことんシモネタの応酬である。なんてったって、アヴァンタイトルから「注意:この映画は低俗です」とくどくどと念を押しているし、大学の映画学科のセミナーにて、司会の教授(ローレンス・チェン)を相手に初っ端から「陰毛」を連発しているし。
 それはまだほんの序の口で、暴龍の接待で登場する想像を絶するゲテモノディナーに、よき◯◯◯◯◯として捧げられるラ◯の登場で、思わずポカーン。しかも暴龍のメンツを立てるために、杜と雷は事に及ぼうとするわけだし(中盤では一応ブラックアウトするけどね)もー、なんてやりたい放題なんだろうか。しかし、動物の○○って△△のそれに似ているものがあるとは聞くが、雌の○バのそれって似てるの?そんでもって気持(強制終了)?って観た人にしからわからんネタでスマン。

 そんなシモネタ以上に光り輝くのが、セクスィーなのにさわやかな陳静ことダダちゃん。いやホント、媚びた感じがないし、お色気も健康。パチパチキャンディを使った口○という、誰も思いつかなかったとんでもない秘技(これは驚くことに実在の技らしい。でも殿方には痛いんじゃない?という説もあり)もサラッとこなし、セクスィーナースのコスプレもいやらしさがない。かえって胸の谷間(香港ではこの個所を「事業線」と呼ぶ)に見とれたよー(笑)。 イザベラ以来、久々に登場した香港出身のモデル&女優だし、今後活躍には大いに期待しちゃうのですよ。

 まあ、もちろん真面目に言えば、「低俗」だからなんでも許されるってわけじゃない。ワタシも本来はシモネタは好きじゃないし、日本の映画事情でだって「エロとホラーがミニシアターを救う」なんて言われた時には腹が立った記憶がある。この映画のヒットに、北京の女性映画評論家が真面目に苦言を呈したらしいけど、考えてみりゃ現在の香港映画は中国大陸の潤沢な資金を後ろ盾にしていることもあり、かえって大陸大衆向けの無難な大作にばかり走る傾向があり、それゆえにここ数年の金像では大陸から「香港電影結束(香港映画オワタ)」なんて言われている状態。もちろん、現在の香港映画が単独で作品を作れないのはよくわかっているが、かつての香港映画の勢いが戻ることがなくても、大衆に媚びない問題作を作ってほしいし、ローカルで支持される作品はやっぱり面白いもの。もちろんローカルに支持されるものは全ていいわけじゃなくて、グダグダなものもあるだろう。それはしょうがないとして、ローカライズで面白く、かつ大陸に媚びてない映画はやっぱり面白いし、そういう映画を作り続けてくれるのが、今のところはたまたまホーチョンが第一人者であるので、彼を支持してしまうってだけなのだ。

 異論ある人もいるだろうけど、とりあえずこんなところでね。
 しかしこれ、日本語字幕で観たいなあ。TIFFでも上映してくれると嬉しいんだけど。

英題:Vulgalia
原作&製作&脚本&監督:パン・ホーチョン  脚本:ロッ・イーサム  編集:ウェンダース・リー
出演:チャップマン・トー  ロナルド・チェン  ダダ・チャン  スーザン・シウ  サイモン・ロイ  マット・チョウ  クリスタル・ティン  葉山豪  ラム・シュー  ローレンス・チェン  フィオナ・シッ  ミリアム・ヨン  チム・ソイマン  ヴィンセント・コック  ローレンス・チョウ

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