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2012年9月

《浪客剣心》是日本的武俠電影嗎?

 さて、そんなわけで書いてみちゃったりする『るろうに剣心』中華的感想。
この映画についての感想は、まず先に書いているので、こちらでは中華電影的エッセンスを感じさせる部分を中心にまとめてみる。
 何度も向こうで書いているから繰り返さないけど、ワタシは大友組作品に香港映画テイストを感じていることを始め、いろんな理由からどーしても盲目的に入れ込んでしまう。そんなわけでちょっと尋常じゃない力の入れようになってしまうけど、どうか許してくださいませ。
なお、基本的にネタバレで書かせていただきます。未見の方は下の中文字幕入り予告編をお楽しみ下さい(こらこら)。

 

 やっぱり、この映画はなんといってもアクションに尽きる。
 舞台は近代だとはいえ、カテゴリ的には時代劇なので剣戟が中心になるのだが、これが殺陣というよりも、もろに武侠テイスト。このあたり、邦画の時代劇を見慣れてきた人には違和感を覚えるのかもしれない。でも当然ワタシはかなり大喜びして観ちゃったんだよね。
 なにせ、監督の大友啓史さん自ら「この映画は日本のワンチャイを目指したい」なんて言われちゃったのだもの。なら長年の香港電影迷としては「それマジでいっとんのか?じゃあ見してみぃ(うわー口悪過ぎ。なお、この台詞はフィクションです)」と受けて立つしかない(笑)。その実現のために用意した切り札が谷垣さんというのなら、なおさらね。しかも香港と同じではなく、日本映画であることを前提として発展させたアクションを目指しているし、それが見事に成功していたから。

 剣心はその名の通りの剣使いなので(つい残剣@英雄…とか言いたくなっちゃうが、思い出したのは名前だけだ。彼とは全然違う)、ソードアクションが中心になるのだけど、基本的に刀を抜きたくないという性質なので、序盤では大人数を相手にした素手のアクションを披露してくれる。これがかなり楽しい。剣心を演じる佐藤健はこれまでの出演作でもアクションを何度かやってきたし、ブレイクダンスのダンサーでもあるので、まさに「ダンスのようなアクション」を体現してくれる。身長もそれほど大きくなく、華奢で敏捷なので、タイプとしてはド兄さんやリンチェイに近いのかもね。斜め走りとか走りながら宙返りなど、すげーなタケル、ド兄さんみたいなことやってくれるじゃんか!と惚れ惚れしてたら、どうも本気でド兄さんの向こうを張ったらしい。うーむ、これはいつかタケルとド兄さんを対決させたいもんだ。
もちろん剣心以外のキャラも香港映画的なアクションを見せてくれる。例えば、左之助(青木崇高)はでっかい刀を振り回す喧嘩屋なので、フィジカルな動きが多い。そんなわけで山場の戌亥(須藤元気)との闘いではやはり肉弾戦であった。しかも厨房での闘い。これは成龍作品か?と我が目を疑ったが、ムネムネも元気も大柄なので、すばしっこさよりパワフルさが先行する。鍋で応戦したり、ソーセージをヌンチャクにしてもいいんだぞ二人とも、遠慮すんなって(笑)。 それから剣心と死闘を繰り広げる外印(綾野剛)のトリッキーさも、ウーさんや徐克作品に登場して主人公と対決する殺し屋のような雰囲気をまとっていた。仮面姿なんて、『中華英雄』の鬼僕を思い出したもんな。

あ、そうか、中華英雄で気がついた。ポイントはマンガか。香港の超絶アクションはマンガと実に相性がいい。今でこそ『中華英雄』や『風雲』、そして『龍虎門』などローカルなマンガの映画化が多い香港映画だが、返還前は日本のマンガを原作、あるいはインスパイアされた作品を多く作っていたんだもんな。そもそも徐克さんや程小東さんは日本マンガ好きであるわけだしね。さらに谷垣さん情報によれば、かつて程小東はアニメ版るろ剣DVDを英雄の撮影現場に持ち込んでいたとか! …すると、こうなるのも運命だったってわけね。

 そして、何よりも一番嬉しいのが、「日本のワンチャイ」発言でわかるように、大友さんがかなりの香港電影迷であるということ。fbでご本人とやりとりした時に、黄金期の作品が好きとおっしゃられていたのですが、最近の作品もよくご覧になられているようで(笑)。このへんは谷垣さんのtweetやSWITCHFLIXやキネ旬の評論や対談からも伺えるので、詳しくは言わないようにしておきます。有名な話で、大友さんがNHKからハリウッドに留学していたのが、ちょうどウーさんが成功を収めていた時期と重なり、実際にウーさんにもお会いしていたということなので、その頃古典から日本未公開作品まで猛烈に観まくっていたとか。ワタシも観てない作品が多いもんなー。これは完全に負けているのは言うまでもない(だって《導火線》観てないんだぜーオレ)。
 そして、ワタシたち香港電影迷にとっても、大友さんは大きな味方になってくれたんじゃないかな、と思った次第。るろ剣がきっかけで、若い人が香港映画を観てくれるかといえばそうでないだろうけど(いや、ホントは観てほしいよー!若い人に面白がってもらわないと繋がらないもの)、日本映画のエンターテイメントのど真ん中を行く作品に香港映画テイストを投入してくれ、非常に満足の行くアクションを盛り込んでくれたことに、ワタシは大いに感謝しているのだ。

 だからねー、せっかく今、シネマート六本木新宿武蔵野館でガンガン香港映画かけてもらっているのだから、今後香港映画が上映される時には、トークイベントでぜひ大友さんを呼んで下さいな。そして心ゆくまで語り合いたいですよ、ホントに。ご両館にはぜひ企画を立てていただきたいです。ワタシも地元で企画立ててみたいけど、今絶望的に香港映画の地元上映がないのと、自分が観てない作品がまだまだ多いからなんともいかないんだもんねー(笑)。

 そんなわけで、日本には珍しい武侠映画となっている『るろうに剣心』。タケルが優男すぎて苦手だとか、ヒロインのゴリ押しっぷりがひどいからとついつい引いてしまいがちになっても、アクションの確実さはワタシからも保証します!ま、あまりゴリ押しもなんなので、これを読んで興味を持たれた方にはオススメいたしますってことで。

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