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2012年6月

運命の子(2010/中国)

 いやー、自分の関心が以前より行かなくなったっていう言い訳から始めるんだけど、どうも最近、ベテラン大陸明星の経歴や年齢がよくわからん…(笑)。

『孫文の義士団』『レイン・オブ・アサシン』で大活躍の、オネェな日本語字幕がよく似合う(こらこら)ワン・シュエチーさんって、『梅蘭芳』以前は何に出ていたっけ?と記憶の底を掘り出したら『天地英雄』、そして『黄色い大地』に出ていたのに全然覚えてないとか(だって観たの大学1年の時だもの)、『東宮西宮』『藍宇』 『無間序曲』 赤壁二部作と作品を観てきた胡軍さんが意外にベテランで、彼より年上?と勝手に思っていた『初恋のきた道』 『セブンソード』 『トライアングル』の孫紅雷が実は年下でそれどころか自分と同(強制終了)。
 …ああ、いかに大陸電影に対して自分のやる気が失われているのかがよくわかるなー、ってここまでは独り言ね。

さて、そんなことで実は陳凱歌作品の常連俳優だったシュエチーさんと、『覇王別姫』で注目されたけど、『活きる』でアジア人初のカンヌ映画祭最優秀男優賞を獲ったので張藝謀作品の常連というイメージが強い(実際はフォン・シャオカン作品の常連だが)葛優さんががっぷり四つに組んで火花を散らす、カイコー最新作『運命の子』を3月に観た。…で、今頃感想を書いてみる。原案は『史記』にも記録が残っている『趙氏孤児』とのこと。はい、知りませんでした(中国語学科卒なのに中国古典文学にはとんと疎くてすみません)

 予告じゃ能がないので(笑)、黄暁明がなかなかええオトコに映ってたので、インタビュー動画を。

 春秋戦国時代の晋。宰相を務める趙盾(鮑國安)の息子・趙朔(趙文卓)とその妻荘姫(ファンビン)の間に子供ができる。しかし、武官の屠岸賈(シュエチー)は謀反を企み、王殺しの濡れ衣を趙朔に着せ、彼と趙家の一族300人を皆殺しにする。
 荘姫の出産に立ち会ったのは、最近息子を授かった40代の医師・程嬰(葛優)。荘姫は無事に男児を出産したが、夫が殺されたことを知り、程嬰に自分の息子を家臣の公孫(張豊毅)に託してほしいと告げる。
 屠岸賈は家臣の韓厥(黄暁明)を使って趙家の孤児を探すが、韓厥は暗殺をしくじる。程嬰は公孫の家に行く前に、自宅によって妻(海清)に孤児を託す。しかし、屠岸賈の追及は街の赤子にも及ぶ。しかも妻は屠岸賈の手下に、たまたま抱いていたその孤児を差し出さざるを得なくなった。そこに公孫がやってきて、程嬰の妻と赤子を救出し、自宅にかくまう。趙家の孤児を連れだしたのが程嬰だと気付いた屠岸賈は彼に孤児の行方を尋ねるが答えず、さらった赤子を全員殺すと脅されて、公孫の名を告げる。屠岸賈は公孫邸に乗り込んで彼を殺し、程嬰の妻と子を見つけ出す。屠岸賈はこの赤子が程嬰の実子だということを知らす、赤子を殺し、兵士に妻も殺させてしまう。
 すべてを失った程嬰のもとに残ったのは、解放されて生き残った趙氏の孤児だけ。そこで彼は屠岸賈に見切りをつけた韓厥と共に復讐を企てる。孤児に亡き実子につけるはずだった程勃の名を与え、程嬰は自ら屠岸賈の家臣になる。屠岸賈は程勃の契爺(義理の父)となって、仇である子供を溺愛する。いずれ程勃が成長したら、彼の出自を明らかにし、お互いの復讐を果たすことになり、屠岸賈に大きなダメージを与える…程嬰はそう目論んでいたのだった。

 昨年の漢字とされた「絆」だが、これは中国では理解されないという面白い記事を最近読んだ(週刊ダイヤモンドより)。昨今の「絆」の流行には、これは正直聞こえのいいフレーズに過ぎないよな、よく言われる「家族の絆」っていったいなんなんだ?日ごろから意思を疎通させておけば絆とか大仰な言葉を使わなくてすむじゃん、と思っちゃうわけで。
 中国の家族制の広がりは、日本の家族とはスケールが違うということを、学生時代からよく聞いていた。民俗学や歴史学を学ぶと、かならずその事柄にぶち当たる。…だから、戦の時には敗軍の一族を女子供残さず殺すんだよな、そんでもってこれは黒社会に引き継がれていて…って映画で確認するなよ。な、なんて残酷な!と観るたびに思うのだが、それも家族制の博勝ちと無関係ではないんだろうな、とも思う。でもよく考えれば、日本の時代劇(特に武家政治の時代を舞台にしたもの)を観ていても、そういう場面は珍しくはないか。この点についていろいろ言うと、無知ぶりを露呈させることになるからやめておこう(こらこら)。

 親を殺された子供が、仇に復讐を誓うというくだりは決して珍しいものではない。しかし、この物語の持つ復讐には、趙家の孤児程勃が屠岸賈に復讐するだけでなく、妻子を殺された程嬰の復讐も絡み合っているし、むしろ後者のほうが思いが強い。それに加えて、契爺の屠岸賈と程勃の間には絆が生まれてしまうのだから、話はもっとややこしくなる。考えてみれば、程勃は程嬰の復讐の道具として使われるのだから、現代的な感覚で考えればこれほど非情なこともないよな。まあ、それが物語性を高めているのは事実だし、面白くもあるんだけどね。暇があったら、元ネタにも触れてみたいと思う。

 この解説が興味深い。というか、かなり参考になりましたよ。

ただ、面白くてもハマれたかというと、うーん…。始皇帝暗殺+北京ヴァイオリンだよな、と感じた程度で終わってしまったわ。

 先にも書いたように、葛優さんとシュエチーさんの演技合戦は暑かったけど、二人がうまいのは十分わかっているだけあって、惚れるまでに至らなかった(笑)。葉問2で改めてそのかっこよさに気付いたシャオミンも、ここでも確かにかっこよかったけど、ファンビンに成り代わって後半のヒロインと化すっまでにもならなかったしね。
 そして、ファンビン夫の趙朔がマンチェク君だったとは、全然気づかなかったのであった。ああ、なんてうかつなことを。出番が少なかったからってのもあるんだけどね。

 しかし、陳凱歌はこういうふうな安定感を、今後いつまで続けるのだろうか…。ちょっと面白味がなくなってきてるのよね。これは早いところ、日中合作の『沙門空海(長いので省略)』の製作を実現してもらわないと、個人的に困るな。>何この自己中な締め方は(笑)。

原題(英題):趙氏孤児(Sacrifice)
監督:チェン・カイコー 製作:チェン・ホン 原案:『史記』司馬遷 
出演:クォ・ヨウ ワン・シュエチー ファン・ビンビン ホアン・シャオミン ヴィンセント・チャオ ハイ・チン パオ・クオアン チャン・フォンイー

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梁朝偉先生、お誕生日おめでとうございます。

新たな年代への突入、より健やかに、より一層のご活躍をお祈りしております。

…はい、今日は我が愛しの香港明星、梁朝偉さんことトニー・レオン先生の、なんと50歳のお誕生日です。まさかこの日が来るとは思わなかったよ。思えば遠くまで来たよねえ。自分も歳をとるわけだよ。今まで様々な言語で「お誕生日おめでとう」記事を書いてきましたが、今年は一息ついて、正統的に日本語でご挨拶いたしました。

 毎年言っていることだけど、今年こそは観られるんだろうね、『一代宗師』。
そして日本の配給会社が買ったというので、早いところ観たいと願っている《大魔術師》。
さらに、すでに撮影が終了しており、大陸では8月の上映が決定しているという、アラン・マック&フェリックス・チョン監督コンビの新作《聴風者》。風の歌を聴け、じゃなくて風を聴く者って意味だろーか。この記事(多分サーチナ経由?)によると、役どころはなんと目の見えない上海マフィア(!)だそうで、これはかなり難度の高そうな印象。共演は《大魔術師》に続いての周迅とのことで、大陸が舞台ならいいコンビだな、なんて思った次第。
この夏香港に行けば、きっと観られるのかもしれないけど、今年は年末まで香港へは行けなさそうなんだよね…。ああ、残念。

 「子曰五十而知天命(子曰く五十にして天命を知る)」。
だいぶ省略しているけど、ユンファ先…もとい孔子もこうおっしゃっておりますが、トニー先生も俳優としてのおのれの天命を知るのでしょうか。それならば、今後ももっといろんな作品に出演していただき、ワタシたちを楽しませていただきたく思います。

 そうそう、上記の3作品が一息ついた後、次に控えているのは、どうやらあの黒沢清作品が監督する歴史大作『1905』らしいという噂が年初めに流れたけど、これはなんとかして実現してほしい!

《一代宗師》もだけど、これを観るまではくたばれないなあ。
ああ、自分も頑張ってblog書いていこう。今月は全然書けなかったしね。

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いまさらながら、今年の金像奨の結果に思ふ。

 いやー、あっという間に6月ですねー。先月の連休は天気が悪かったけど、実家近くのシネコンで『捜査官X』、唯一の晴天だった先週の土曜に六本木に繰り出して『台北カフェ・ストーリー』を観てきました。余裕があれば『王朝の陰謀』も観たかったんだけど、都合により断念。あと『女ドラゴン(後略)』も…。
 2作品とも感想は書けたんだけど、3月に観た《川島芳子》と『運命の子』の感想も早いところ書かなきゃ。とかなんとか言いつつ、今日はこれまた遅いタイミングで金像奨をネタにするのでした(笑)。いや、毎年書いているからね。

 4月15日、今年も香港電影金像奨の授賞式が挙行されました。
この時期に合わせて渡港して、レッドカーペットやTVの生中継を現地で観られた方も多いようです。ああ、いと羨まし。
 受賞結果については、今年ももにかるさんのblogに掲載されていますので、こちらでは感想をはじめどーでもいいこと(笑)をあれこれ書きます。

 昨年のヴェネチア映画祭で最優秀女優賞に輝いたアン・ホイさんの最新作《桃姐》が本命視され、主要賞を独占したのは予想通り。普通はその予想が固いとつまらないのだけど、やはり主演女優賞に輝いたヴェテラン、ディニー・イップさんの熱演や作品の現地での反響を考えれば、今回は当然の結果だと思いましたよ。
 そして、今年の秋にはなんと日本公開も決定しているとかで、非常に喜ばしいものです。

 で、この作品に主演した我らがザ☆スター、アンディ先生が三度目の主演男優賞を得たわけだが、彼のこれまでの受賞作が『暗戦』そして『マッスルモンク』と、考えてみればトーさん作品での受賞ばかりだってことに気がついた。ここ数年は『王朝の陰謀』のようなアクション作品ばかりが目立ったので(もちろんそれ以外の作品もあるけどね)、今回の映画プロデューサー役はその点では異色に見えるのかもしれない。でも、こういう役どころで受賞できたのは本当に喜ばしいよなあ。
 実は本音を言えば、主演男優賞はラウちんに獲ってほしかった。すでに《我要成名》で受賞しているので、無冠の帝王は返上しているのだけど、『奪命金』の愚直なチンピラはよかったからね。でも前作とは全く違う役回りの『盗聴犯』(なんとこれも日本公開決定)こと《竊聽風雲2》でもノミネートされていたので、票が割れちゃったのだろうな。
『奪命金』といえば、この作品からは助演俳優がアベック受賞。「清楚明白!」のおばさんと、悲惨な運命をたどるあのおじさんです。…ってよくかんがえれば、今年の金像の俳優賞ってみんな高年齢なのな。香港も少子高齢化なのか…うーむ。

 技術系&アクション系は《龍門飛甲》対『捜査官X』かな?と思ったら、意外にも前者の圧勝だった。これは前作の『王朝の陰謀』から、本格的に徐克さんが復活しだしたってことだろうか?
 そして、新人監督賞は大阪アジアン映画祭で上映された『ビッグ・ブルー・レイク』のツァイ・ツイシャン監督。おめでとう!もちろん、今年から両岸製作作品を対象とした華語作品賞(後で訂正)の第1回受賞作に選ばれた『あの夏、君を追いかけた』の受賞だって喜ばしい。これも一般公開されないかなー、日本語字幕で観たいんだよなー。

《桃姐》や『盗聴犯』だけじゃなく、どうも《龍門飛甲》も日本公開が決まったらしく、金像で話題になった作品が例年より早く日本で観られることになるのはとっても嬉しい。
 さらに今年の前半は香港映画の一般公開が多いらしい。「らしい」というのは、どれもまだ地方まで来ないから、伝聞調で書くしかないのである。
 いや、好評だってのは分かっている。4月下旬から上映が始まった捜査官も観に行った限りではそんな感じだし、王朝も初日だった先週末は好発進だっていうからね。頼むよー、なんとかわが街で上映できるくらいに動員数を伸ばしてくれよ~。特に王朝!

 だけど…、最近とみに思うことがある。
捜査官にしろ王朝にしろ、最近日本にやってくる香港映画のプロモーションについてだ。
そのことを考えると、思わずこう言いたくなるのだ。

「そんなプロモで大丈夫か?」

 これで「大丈夫だ、問題ない。」なんて相手に言われたら、めちゃくちゃ毒を吐きそうになるけど、いくらアクション映画ばかりが輸入されているとはいえ、その日本向けのプロモーションが「ある層」だけに向けられているように感じるのだ。
 それについては、言いたいこともいっぱいあるので、日を改めてじっくり書きたいと思います。あまりいい気分になれないから、ホントは気が乗らないんだけど、スタンダードにされたくないから、アマチュアの立場でエラそうで生意気なことを言わせてくださいね。
 でもさあ、もっと堂々と売ればいいのに…。だって、この春東京で上映された上記の作品たち、未だに我が街での上映が決まっていないんだよー。このままDVD化されちゃうのかなあ。勘弁してほしいなあ…。

 とやっぱり愚痴っぽく終わってしまって、申し訳ない。
 今後の予告。なんとか『運命の子』の感想が書き上がりそうなので、これは近日中に。
 あと、この前上京した時に香港電影天堂2012で『プリズン・オン・ファイアー2』を観たので、これの感想もね。

 

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