« 梁朝偉先生、お誕生日おめでとうございます。 | トップページ | 15年前、どんな未来を予想していたのだろう。 »

運命の子(2010/中国)

 いやー、自分の関心が以前より行かなくなったっていう言い訳から始めるんだけど、どうも最近、ベテラン大陸明星の経歴や年齢がよくわからん…(笑)。

『孫文の義士団』『レイン・オブ・アサシン』で大活躍の、オネェな日本語字幕がよく似合う(こらこら)ワン・シュエチーさんって、『梅蘭芳』以前は何に出ていたっけ?と記憶の底を掘り出したら『天地英雄』、そして『黄色い大地』に出ていたのに全然覚えてないとか(だって観たの大学1年の時だもの)、『東宮西宮』『藍宇』 『無間序曲』 赤壁二部作と作品を観てきた胡軍さんが意外にベテランで、彼より年上?と勝手に思っていた『初恋のきた道』 『セブンソード』 『トライアングル』の孫紅雷が実は年下でそれどころか自分と同(強制終了)。
 …ああ、いかに大陸電影に対して自分のやる気が失われているのかがよくわかるなー、ってここまでは独り言ね。

さて、そんなことで実は陳凱歌作品の常連俳優だったシュエチーさんと、『覇王別姫』で注目されたけど、『活きる』でアジア人初のカンヌ映画祭最優秀男優賞を獲ったので張藝謀作品の常連というイメージが強い(実際はフォン・シャオカン作品の常連だが)葛優さんががっぷり四つに組んで火花を散らす、カイコー最新作『運命の子』を3月に観た。…で、今頃感想を書いてみる。原案は『史記』にも記録が残っている『趙氏孤児』とのこと。はい、知りませんでした(中国語学科卒なのに中国古典文学にはとんと疎くてすみません)

 予告じゃ能がないので(笑)、黄暁明がなかなかええオトコに映ってたので、インタビュー動画を。

 春秋戦国時代の晋。宰相を務める趙盾(鮑國安)の息子・趙朔(趙文卓)とその妻荘姫(ファンビン)の間に子供ができる。しかし、武官の屠岸賈(シュエチー)は謀反を企み、王殺しの濡れ衣を趙朔に着せ、彼と趙家の一族300人を皆殺しにする。
 荘姫の出産に立ち会ったのは、最近息子を授かった40代の医師・程嬰(葛優)。荘姫は無事に男児を出産したが、夫が殺されたことを知り、程嬰に自分の息子を家臣の公孫(張豊毅)に託してほしいと告げる。
 屠岸賈は家臣の韓厥(黄暁明)を使って趙家の孤児を探すが、韓厥は暗殺をしくじる。程嬰は公孫の家に行く前に、自宅によって妻(海清)に孤児を託す。しかし、屠岸賈の追及は街の赤子にも及ぶ。しかも妻は屠岸賈の手下に、たまたま抱いていたその孤児を差し出さざるを得なくなった。そこに公孫がやってきて、程嬰の妻と赤子を救出し、自宅にかくまう。趙家の孤児を連れだしたのが程嬰だと気付いた屠岸賈は彼に孤児の行方を尋ねるが答えず、さらった赤子を全員殺すと脅されて、公孫の名を告げる。屠岸賈は公孫邸に乗り込んで彼を殺し、程嬰の妻と子を見つけ出す。屠岸賈はこの赤子が程嬰の実子だということを知らす、赤子を殺し、兵士に妻も殺させてしまう。
 すべてを失った程嬰のもとに残ったのは、解放されて生き残った趙氏の孤児だけ。そこで彼は屠岸賈に見切りをつけた韓厥と共に復讐を企てる。孤児に亡き実子につけるはずだった程勃の名を与え、程嬰は自ら屠岸賈の家臣になる。屠岸賈は程勃の契爺(義理の父)となって、仇である子供を溺愛する。いずれ程勃が成長したら、彼の出自を明らかにし、お互いの復讐を果たすことになり、屠岸賈に大きなダメージを与える…程嬰はそう目論んでいたのだった。

 昨年の漢字とされた「絆」だが、これは中国では理解されないという面白い記事を最近読んだ(週刊ダイヤモンドより)。昨今の「絆」の流行には、これは正直聞こえのいいフレーズに過ぎないよな、よく言われる「家族の絆」っていったいなんなんだ?日ごろから意思を疎通させておけば絆とか大仰な言葉を使わなくてすむじゃん、と思っちゃうわけで。
 中国の家族制の広がりは、日本の家族とはスケールが違うということを、学生時代からよく聞いていた。民俗学や歴史学を学ぶと、かならずその事柄にぶち当たる。…だから、戦の時には敗軍の一族を女子供残さず殺すんだよな、そんでもってこれは黒社会に引き継がれていて…って映画で確認するなよ。な、なんて残酷な!と観るたびに思うのだが、それも家族制の博勝ちと無関係ではないんだろうな、とも思う。でもよく考えれば、日本の時代劇(特に武家政治の時代を舞台にしたもの)を観ていても、そういう場面は珍しくはないか。この点についていろいろ言うと、無知ぶりを露呈させることになるからやめておこう(こらこら)。

 親を殺された子供が、仇に復讐を誓うというくだりは決して珍しいものではない。しかし、この物語の持つ復讐には、趙家の孤児程勃が屠岸賈に復讐するだけでなく、妻子を殺された程嬰の復讐も絡み合っているし、むしろ後者のほうが思いが強い。それに加えて、契爺の屠岸賈と程勃の間には絆が生まれてしまうのだから、話はもっとややこしくなる。考えてみれば、程勃は程嬰の復讐の道具として使われるのだから、現代的な感覚で考えればこれほど非情なこともないよな。まあ、それが物語性を高めているのは事実だし、面白くもあるんだけどね。暇があったら、元ネタにも触れてみたいと思う。

 この解説が興味深い。というか、かなり参考になりましたよ。

ただ、面白くてもハマれたかというと、うーん…。始皇帝暗殺+北京ヴァイオリンだよな、と感じた程度で終わってしまったわ。

 先にも書いたように、葛優さんとシュエチーさんの演技合戦は暑かったけど、二人がうまいのは十分わかっているだけあって、惚れるまでに至らなかった(笑)。葉問2で改めてそのかっこよさに気付いたシャオミンも、ここでも確かにかっこよかったけど、ファンビンに成り代わって後半のヒロインと化すっまでにもならなかったしね。
 そして、ファンビン夫の趙朔がマンチェク君だったとは、全然気づかなかったのであった。ああ、なんてうかつなことを。出番が少なかったからってのもあるんだけどね。

 しかし、陳凱歌はこういうふうな安定感を、今後いつまで続けるのだろうか…。ちょっと面白味がなくなってきてるのよね。これは早いところ、日中合作の『沙門空海(長いので省略)』の製作を実現してもらわないと、個人的に困るな。>何この自己中な締め方は(笑)。

原題(英題):趙氏孤児(Sacrifice)
監督:チェン・カイコー 製作:チェン・ホン 原案:『史記』司馬遷 
出演:クォ・ヨウ ワン・シュエチー ファン・ビンビン ホアン・シャオミン ヴィンセント・チャオ ハイ・チン パオ・クオアン チャン・フォンイー

|

« 梁朝偉先生、お誕生日おめでとうございます。 | トップページ | 15年前、どんな未来を予想していたのだろう。 »

中国映画」カテゴリの記事

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/14197/54937928

この記事へのトラックバック一覧です: 運命の子(2010/中国):

« 梁朝偉先生、お誕生日おめでとうございます。 | トップページ | 15年前、どんな未来を予想していたのだろう。 »