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ビッグ・ブルー・レイク(2011/香港)

 今や日本じゃアクションものばっかり公開されているが、香港映画にはさまざまなジャンルの作品があることを忘れちゃいけない。でも、セミドキュメンタリー作品というのはなかなかお目にかかれない気がする。代表的な監督なら河瀬直美さんとかキアロスタミとか、そのあたりかなー。
 日本語のナレーション付き予告が妙に印象的だった『ビッグ・ブルー・レイク』。これがまさに、香港では珍しいセミドキュメンタリータッチの作品で、かなり興味深く、そして一番印象に残った映画だった。

 ロンドンで舞台に立っていたライイー(レイラ・トン)は挫折を経験し、故郷である西貢の村に帰ってくる。10年前に家族の反対を押し切って村を出た彼女だが、帰還すると一番反対していた父親は兄と共に国外に出ており、残された母親は認知症を患っていて、娘を姪だと思い込んでいる。迷子になった母親を探す彼女の前に、母親を保護した中学時代の同級生チャン(ローレンス・チョウ)が現れる。カメラマンをしている彼は、中学の途中で転校して村から去っていたのだった。そしてここに戻ってきたのは、かつてのガールフレンドと待ち合わせした大きな湖を探すためだという。
 ライイーは母親が参加するサークル活動を見学し、そこで多くの老人たちと出会う。彼らとの語らいの中で、ライイーは自らが捨てた故郷と、母や家族との関係を見直すことを決意する。そこで彼女は、老人たちに聞き取り調査を行い、寸劇にまとめることにする…。

 震災後、やたらと「家族の絆」を強調し、押し付けてくる印象もあるような昨今の日本。絆という言葉自体は嫌いじゃないけど、ここまで連呼されるのは正直勘弁してほしい。比較的親と仲のいいワタシでさえそう思うのだから、親との関係が悪い人はなおさら苦痛であろう。もちろん、故郷を捨ててしまった人も。
 だけど、行き場をなくして捨てたはずの故郷に戻らざるを得ないこともある。そこでどう振る舞うかでまた変わる。腐って引き籠るか、あるいは自分を見つめ直すか。よく見かけるのは前者かしら(こらこら)。

 故郷で見た、変わり果てた母の姿。戸惑いながら母の世話をするライイーが、母と近所の人々の言葉と、そして心を通わせるようになるチャンが語る思い出から自分をもう一度見つめ直し、豊かな自然に抱かれて再生していく。故郷は決して恥ずべき場所じゃない。そこからやり直せることだってあるのだ。これが彼女と、一番負い目に感じていた父親との再会へと結びつく。その持っていき方がよかった。

 一見スカした作品にも思えるが、決してそうではない。どこかゆったりしたユーモアもあり、思わず頬が緩んでしまう場面も幾つかある。なによりも舞台となる西貢が美しい。撮影はなんと日語大放送でお馴染みJAMくん!だから日本語予告だったのか…(参考としてこれを)。音楽は河瀬直美作品を手掛ける茂野雅道さん。最初の上映日には奥様が来場しておられましたよ。
そして、ライイーとチャン以外は全員アマチュアの皆さんだそうで、舞台あいさつに立たれたツァン監督の話によると、彼女のご両親も俳優として参加していたとか。
 ライイー役のレイラはほとんどお初なんじゃないかと思うんだけど、他には何に出ていたのだろうか。で、イメージ的には黒縁めがねイメージのローレンス(今回は眼鏡なし)が時おり南朋くんに見えてしょうがなかったのはきっとワタシだけに違いない。いや、全く似ているってわけがないのは十分承知の助なんだよ。そもそもローレンスも好みじゃないしさ。きっとこの記事に引っ張られたんだわ。あはははははははは…(乾いた笑ひ)

 とかバカな締めをしてる場合じゃないよな。
この作品で、ツァイ監督は見事に今年の金像奨の最優秀新人監督賞を受賞しました(参考としてこちらを。金像についての記事もそのうち書きます)。
監督、ホントにおめでとう!次回作も期待してますよ~♪

原題:大藍湖
監督&脚本:ツァン・ツイシャン 撮影:ヤウ・チョンイップ 音楽:茂野雅道
出演:レイラ・トン ローレンス・チョウ エイミー・チャム ジョーマン・チャン 

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