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孔子の教え(2009/中国)

 つい最近、香港で起こった複数のある事件により、香港人が大陸人を批判し、一時期一触即発状態になったのだが、その火に油を注いだのが、この人の発言。この孔慶東教授、要するに毒舌タレントみたいな人らしいので、さすがに大陸人からもブーイングされているみたい。しかし、孔子の子孫を「自称」っていうのは…?いや、確かに孔子の子孫というのは今でもたくさん世界中にいて、9月28日の孔子節には、そのたくさんの子孫が一堂に集まる(と言っても一部なんだろうけど)とは聞くんだけど。「自称」じゃなくて、堂々と名乗ればいいのにねえ。

 という前ふりは時事ネタとしてどーでもいいとして、日本人にとっては古典の授業でおなじみ、そしてワタシも定期的に仕事でお世話になる(笑)『論語』の中心人物である孔子の生涯が映画になった。かつて香港でも《孔夫子》という題で映画化されたというので、これが初の映画化ではないらしいのだが、大陸では初めてで、しかも主演がユンファという点で力が入りまくっている。監督さんは「第5世代」の人で、日本でも特集上映で公開された『愛にかける橋』を撮った人か。ちなみにこれは未見。

 時は春秋戦国時代。小国の魯にて仕官した40代の孔子(ユンファ)は、定公(ヤオ・ルー)に認められて国の政治を司る実力者となった。しかし、これまで国を治めてきた三桓の一派は、彼の政策に賛同しつつも、自分たちの立場が危うくなることを恐れて、孔子を追放する。
孔子は魯に妻子をおいて、放浪の旅に出るが、一番弟子の顔回(任泉)や質実剛健な子路など、多くの弟子たちが彼を慕って追いかけてきた。一行はかねてから招聘の要請があった衛に向けて旅立つ。
衛は君主・霊公によって治められていたが、実権を握っていたのは彼の若い妻・南子(周迅)で、謁見した孔子は彼女に誘惑されるが、それを頑なに拒み、近く衛に内乱が起こることを予見して国を離れる。ほどなくして、南子は暗殺された。
各国間での争いが激しくなる中、孔子たちはあちこちの国を渡り歩いて教義を説くが、どの国にも安住することはできなかった。そして、彼のいない魯は、かつて孔子の活躍によって同盟を結んだはずの斉に攻め入られ、彼を追い出した張本人である三桓の季孫斯(陳建斌)は、孔子の力を再び借りようと試みるのだが…。

うむ、まじめだ…。まじめすぎる。教科書のようにまじめだ。まー、確かに『論語』は教科書に載っているとはいえ、ね。
 哲学者でありながら長身で屈強な体格をしていたという孔子なので、体格のいいユンファが演じるのは適役なんだけどね。老年まで演じられるし、いい役どころではあるんだけども。それでもなんだかなあ、と思うのは、孔子の生涯がたとえドラマティックであっても、あまりにも淡々としすぎて映像にするにはきついんじゃないかということ。論語本文でよく登場する顔回や子路、子貢はわりとキャラが立っているみたいだし、映画本編でも個性を尊重して配役されているようだけど、どうもそれを生かし切れていない。もったいないなあ。
 もちろん、この弟子たちに重みを置いて、思いっきりエンターテインメントに徹することもできたんだろうけど、それをしようとは思わなかったのだろうな。フィクションの世界に孔子と弟子たちを遊ばせるには、孔子ご本人があまりにも偉大すぎるからかもしれない。子孫もたくさんいるから、批判も出そうだし。
 もったいないといえば、周迅演じる南子の扱いも、最初から大きく出たわりにはメインの絡みを見せた後にはあっさり退場となってしまう。登場人物が野郎ばっかりだし、孔子の妻子だけじゃ華が足りないというのもわかるけど、必要だったか?という気もするよ。

 あ、でもね、なんか文句ばっかり言ってるようだけど、この映画自体は否定してないよ。教科書的に作られているのだから、かえって古典の授業で論語を取り上げるのには役に立つんじゃないかなあ。だってさ、漢文の授業って辛いじゃない。白文を読まされて、それを書き下して、堅っ苦しい口語訳をして。中国語を学んだ今でこそ読むのは楽になったけど、アレは中高生には地獄だよ。だいたい春秋戦国時代なんて想像つかないだろうし。だから、古典の先生にはこれを観てもらって、この映画で描かれたエピソードがもし教材にあったら、その部分だけを生徒たちに見せて補助教材的に使うってのは、ありなんじゃないかな?

ま、ワタシも長く中国語を学んだとはいえ、漢文のエキスパートでは決してないし、だいたいにして論語もまともに読んだこともない。とりあえず、どっかの新書で現代語訳の論語でも読んで、もっかい勉強しなおすとするかねー。

原題:孔子
監督:フー・メイ 製作:ハン・サンピン&ジョン・シャム 脚本:チェン・ハン 撮影:ピーター・パウ 衣装デザイン:ハイ・チョンマン 音楽:チャオ・ジーピン
出演:チョウ・ユンファ ジョウ・シュン レン・チュアン カン・ジンミン ルー・イー

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