《狼災記》(2009/中国・日本)
『青い凧』を観ていないワタシは、簡単に田壮壮を語っちゃいけないと思う。
ええ、まあ、肝心な作品を見逃している割に、『呉清源』とか『春の惑い』を観ているわけなんすけど(笑)。
その田壮壮(漢語発音が読みにくいのでついつい「でんそーそー」と呼びたくなるのだが)が、『呉清源』に続けて手掛けたのもまたまた日本がらみのこの作品。
『敦煌』や『天平の甍』等、西域を舞台にした歴史小説を多く書いてきた井上靖の短編集『楼蘭』におさめられた『狼災記』を原作に、中華電影は2作目になるジョーを主演に迎えて撮りあげた作品。
…えー、ここで先にお詫びいたします。ワタクシ、中国文化専攻でありながら、井上靖氏の中華小説は一切読んだことがありませんでした。しかも読んでいるのも『氷壁』だけ(苦笑。参考までにリンクを)。ホントに不勉強な輩で申し訳ない。これから勉強する>おいおい。
この映画、トロント映画祭に出品されていたらしいのだが、映画化を勧めたのはホウちゃんだったのね。古い付き合いのはずだから特に驚かないんだけどね。
戦国時代の中原。ある国の兵士団に加わった陸沈康(ジョー)は、なれない戦場で戸惑っていた。陸は戦場で幼い狼を拾い、殺さずに生かしてかわいがっていた。将軍(トゥオ・ツォンホア)はそんな彼を気にかけ、生きるために戦うことを説く。彼らの軍隊は敵軍の激しい攻撃だけでなく、厳しい寒さにも追い込まれる。その寒さに陸の大事な狼も死んでしまい、彼は絶望する。
部隊はハラン村という寒村に駐留することになる。陸が訪れた家には一人の女(マギーQ)が住んでおり、彼は衝動的に彼女を犯す。それがきっかけで陸は毎晩彼女を訪ねるようになり、やがては互いに離れられない存在になっていくのだが…。
異種族の女と7日の契りを交わした後に、男は狼に変わるという呪いをかけられる。
中華的な変身譚といえば、真っ先に思い出すのはなんといっても中島敦の『山月記』。高校の現代文の授業で読んだ時にはあまりにも難解に感じたけど、後で読んだときには、獣へと「酔う」男のこれまでの人生の愚かさへの後悔や悲しみを感じ取ったものだった。それに相通じるものがあった。まあ、原作を読めばまた違うのかもしれないけどね。
自然光のみで撮られたかのような画面。合戦場面もあるけど、むしろそれは背景にすぎない。映画は終始、若き兵士の孤独と絶望、そして愛を描きだす。それも田壮壮的なやり方(としかいえない)で描くので、ずーっと静寂。ま、こういう手法には慣れているから、決して誤ったものではないだろう。
…しかし、そういうスタイルだからといって、終始真っ暗で、ホントにわかりにくいってのはまずいんじゃないのか?田壮壮よ。いや、暗くしたからこそ、CGの不自然さやわざとらしさは隠せるからまあ悪くはないんだけど。
後は、字幕説明がやたらと多いのだよねえ。こちらは14型のちっちゃなテレビモニターで観ていたんだけど、字が小さくてわかりずらい(そりゃ歳だからだろう>自分)。文学的な効果は出てはいたけどね。大きなモニターでもう一度見直した方がいいのかな?
ワダエミさんの衣装がよく似合う(&地毛のマゲとヒゲ面は部隊に馴染んでいた)ジョー。台詞は吹替だったようだけど、ところどころ地声だったような気がする。役者デビュー前に米国留学経験があるせいなのか、発音は悪くなかった気もするんだけど、どーなのかな?ファンタジーテイストなので、彼の起用は間違いではない気がする。
でもなー、相手役は当初予定されてた湯唯ちゃんで観たかったなあ。マギーQは美人だけど、こういう恋愛ものには似合わない気がするんだよな。それならばアクションやらせてほしい気もするんだけど。ベッドシーンじゃ絶対に胸見せないし、だいたいにおいてエロくない。いや、それが湯唯ちゃんでも二度同じことはやらんといって脱がなさそうな気もするんだけどね。
あと、多分将軍役はトゥオ・ツォンホア。彼、《色、戒》以来で観るんだけど、なんか、いいオッサンになっちゃったなあってのが素直な感想。
と、なんか全体的にやる気のない感想になって申し訳ない。ちゃんと原作を読んで、もっと大きな画面で見直したら、きっと印象が変わるだろうから、いつかリベンジしたいと思っている。
そして、この作品ついでに、近日《蕩寇》こと『プラスティック・シティ』を観る予定。さながらジョー@中華電影祭りである。理由は特にない。許してくれ。ま、これには秋生さんも出ているわけだしね。かつてジョーと一緒にこーゆーことをやっていたこともあるし(笑)。
英題:The warrior and the wolf
監督:ティエン・チュアンチュアン 製作:ハン・サンピン 小椋 悟他 原作:井上 靖 衣裳:ワダエミ
出演:オダギリジョー マギーQ トゥオ・ツォンホア
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