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プラスティック・シティ(2008/中国・日本・ブラジル)

 アジアンコラボ。それは見果てぬ夢である。
 ってなにをいきなり言いだしているんだ、ワタシは(笑)。

 香港だけじゃなく、日本や台湾や大陸、そして韓国が資本や製作に入って作品を作り上げるアジアンコラボは、一時期盛んに作られていた。香港返還後、2000年前後が一番盛んに作られていたような気がする。これ、近年のアジアンコラボでは比較的成功した作品である『墨攻』の感想でも詳しく書いているんだけど。あ、赤壁もアジアンコラボだったか(笑)。
 今やアジアといえば真っ先に韓国!と言われてしまうのが、中華趣味にはなんとも歯がゆいところなんだけど、やはり映画は香港をメインとした中華圏+日本のコラボが観たい。いや、日本は黙って原作と金だけ出してくれれば(そして韓国も金だけ。あくまでも金だけ)いいんだけどって気もするんだけど、この不況&震災の大変な状況下だもんねえ…。


 この『プラスティック・シティ』は、長年ジャ・ジャンクー作品で撮影を務め、梁家輝出演で『天上の恋人』という作品も撮った余力為が、ジョーと秋生さんという、ある意味驚くべき二人を主演に迎え、全編をブラジルで撮影したブラジリアン・ノワール。ジャンクー、秋生さん、そしてジョーと名前を並べると、なんとなくフィルメックスなかほりがする。いや、フィルメックスでは上映されなかったんだけど、さすがにね。

 1984年、突然のゴールドラッシュに沸くブラジル国境付近のアマゾン川。中国人のユダ(秋生さん)は、川岸の森の中で銃声を聞く。そこでは日本人旅行客が殺されており、一人の子どもがうずくまっていた。ユダは少年を引き取って育てることにした。
 2008年、サンパウロ。成長した少年―キリン(ジョー)は、ユダと共に偽物の販売で財をなし、地下マーケットを仕切るまでにのし上がっていた。ユダは若い嫁をもらい、ショッピングモールの地主となって、アジア人コミュニティの顔役になっていた。そんな彼らに「ミスター台湾」と名乗る男(陳昭榮)が近づき、手を組もうと画策するが、その裏に胡散臭いものを感じた彼らは用心を深める。
 ある日、サンパウロ市政府がユダを逮捕する。これまで友好関係を築いてきた市が掌を返したのだ。裏にはミスター台湾がいた。キリンはユダを救うため、あれこれと奔走するが…。

 日本よりも台湾よりも湿り気を帯びたようなブラジルの空気の色彩。
暖色の色味が強く、影の部分とのコントラストがくっきりしている。もちろん、大陸でもこんな色はだせない。その色彩の中をキリンとユダの親子がさまよう。
 物語はこの親子の絆と葛藤を軸にして、ブラジルの黑社會とマジックリアリズムをミックスして感覚に訴えるように作ってみました的なものを感じたけど、んー、こういう作りは90年代末には通じても、今の観客に見せるのは厳しくないか?雰囲気に身をまかせるのも悪くないけど、ちょっとねえ…。

 製作された年は日本とブラジルが修好100年を迎えた年だったと聞いたけど、それはあんまり関係ないかな。ジョーはたしかに日本人役だけど、全編を北京語とポルトガル語で話す。彼のポルトガル語の発音がいいかどうかはわからないけど、北京語は…。まあ、発音は難しいからね。
 でも、せっかく秋生さんを起用したのだから、無理に北京語にせず、広東語でもよかったんじゃないの?北京語を話す秋生さんはもう珍しくないのかもしれないけど、やっぱり広東語でしゃべりまくってこそ秋生さんって気もするもんだし。

 そんなふうに文句を言ってみても、やっぱり秋生さんとジョーが並んで見られるのは嬉しい。余力為はカメラマンだからか、ジョーの広い肩幅も、秋生さんの白シャツ&スーツ姿もとっても魅力的に写してくれている。そして、やっぱり秋生さんってセクスィーだわ、と改めて思ったよ。

 以上のように、《狼災記》に続いていろいろ厳しいことは言いたいけど、ジョーにはまだまだ中華電影とのアジアンコラボを続けてもらいたい気がする。まあ、初の海外電影がキム・ギドクの『悲夢』で、最新作がチャン・ドンゴンと共演で、いくら韓国で人気だからといっても、そっちばっかじゃなくて、中華圏にもせっせと顔売って欲しいんですよ、彼には。
 だからジョーよ、これからも頑張れよ。となんか迷だとは思えないくらい投げやりな状態で、この記事を締めたりする(苦笑)。

原題:蕩寇
製作:ジャ・ジャンクー 監督&脚本:ユー・リクウァイ 撮影:ライ・イウファイ 音楽:半野喜弘 編集:ウェンダース・リー
出演:オダギリジョー アンソニー・ウォン ホアン・イー チェン・シャオロン テイナ・ミューラー 

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