« 2011年5月 | トップページ | 2011年7月 »

2011年6月

『レッドゾーン』真山 仁

 昨年夏に読み、ここでも感想を書いた『ベイジン』に続いて、真山仁さんが中国をとりあげた長編小説…というより、彼の代表作にして、4年前にNHKで放映されたドラマが国内外で高く評価され、さらには2年前の初夏には映画化もされて話題になった(そしてワタシが現在進行形で猛烈にハマっている)『ハゲタカ』シリーズの第3弾。

 …おいちょっと待てもとはし、自分がそんだけハマっているのはわかるんだけど、すでに別blogでさんざんこのことについて語りまくっているくせに、なんでここにまで進出させて書くんだよ、とワタシの中の良心(白もとはし)が語りかけておりますが、ここで書くにはちゃんとした理由があります。マカオと香港が登場するからなんです!わーはははははは。




 せっかく凝ったデザインなのだから(これは単行本版も同じ)、横に並べて表示できればいいのにな。

 2007年晩秋、山口の世界的自動車メーカー、アカマ自動車にかかってきた1本の電話。上海の百華集団総経理の賀一華という男がかけてきたこの電話から、中国の投資ファンドによる国際的日本企業の買収という、前代未聞の大騒動の火ぶたが切られた。
 一方、日本最強の買収者と呼ばれる、投資ファンド「サムライ・キャピタル」社長鷲津政彦は、マカオで中国の国家ファンド(CIC)の幹部と名乗る王烈という男に誘われる。次々と企業買収を成功させ、ハゲタカまたはゴールデンイーグルと呼ばれてきた鷲津だが、依頼された出版社の買収に失敗し、裁判でも敗訴してしまう。未だに閉鎖的な日本経済と社会に絶望した彼の隙を突いた王は、三年前に起こった部下アラン・ウォードの事故死の真相と引き換えに、鷲津に共闘を迫るのだった。
 迫りくる賀の脅威に、アカマの社長古屋貴史と取締役社長室長大内成行は鷲津に相談を持ちかける。古屋と大内は会社を防衛するために奔走するが、賀の買収策が進むにつれ、アカマ自体が抱える問題が露呈するようになる。そして、鷲津自身にも王の揺さぶりがかけられる。そんな騒ぎの中、アカマの最高顧問である赤間周平が事故死し、周平の甥で副社長の位置にいた太一郎が賀と手を組んでしまう。激しさを増す買収と防衛の末、古屋と大内は鷲津にホワイトナイトを要請する。
 血で血を洗うようなこの買収合戦は、鷲津の好敵手である企業再生家の芝野健夫や、米国で学んだ企業弁護士で、上海のアカマの子会社が中国の自動車企業に訴えられた案件を担当していた謝慶齢をも巻き込んでいく。そして、鷲津がマカオで出会った香港の大富豪将英龍が思いがけない形でこの事件に関わってくるのだった…。

 2年前の映画で取り上げられたのは、中国ファンドによる大企業買収というアウトラインのみで、中身はかなりアレンジが入っている。賀一華が劉一華という名前に変更され(最初聞いた時は「アンディかよ!」とつっこんだ)、キャラクターもかなり変えられている。それと合わせて非正規労働者問題やリーマンショックも織り込まれていたのだが…、んー、これを読んじゃったら、やっぱ映画はスケールがしょぼかったな、と改めて思ってしまう(笑)。
 この大筋と合わせて、都銀マンから企業再生家に転身した芝野さんが、総合電機メーカーCROの職をなげうって大阪の中小企業マジテックの専務に就任するサイドストーリーと、米国から上海に戻った慶齢の奮闘も描かれる。ホントは全部書きたいけど、長くなるのは確実なので前者の脇筋はあえてスルー。ううう、芝野さん好きなのに…(泣)。

 実は意外にも中華圏(とあえて言おう)ネタが思ったより充実していた。単行本刊行時のインタビュー(fromあらたにす)で真山さんが香港にも取材に行ったと述べていたので、確実に香港はでてくるのねーと期待してたら、クライマックスがまさに香港!で大興奮。上巻中盤で登場した将英龍が思わぬ形で暗躍し、このクライマックスにがっつりとかんでくるんだが、彼と賀一華、そしてアランの死の鍵を握る通称「美麗」という女性との関係が明らかにされ、彼らをめぐる一族の中華人民共和国設立からここに至るまでの歴史があまりにもドラマティックで、ここだけでも映画にしていいやーん、なーんて思っちゃいましたよ。はい、実は一華よりも英龍の方がキャラとして好みです(笑)。一華はおぼっちゃま根性丸出しで打たれ弱いんだよなー。映画版の劉一華も苦労してきた割に打たれ弱くてかわいそうだったけど、当然そっちの方にも思い入れは少なかった(こらこら)。
 そして、上海でよりよい明日のために奮闘する慶齢も好きなキャラ。米国で学んだ法律学を中国ビジネスにも生かしていこうとするけど、「法の精神がない」と言い切られるほど遵法精神に乏しい大陸企業に苦しめられながら良心を大切にして働いていく。ともすれば「だから中国人は…」と紋切り型で語られるものだけど、ビジネスを守るために頑張る彼女のような中国人だって当然いるはずだ。エリートのお嬢さんであるけれど、庶民感覚も持ち合わせているところもポイント高し。来年早い時期に書かれるというシリーズ第4弾にも再登場してほしいな。

 そして、この小説の前日譚である『ハーディ』が現在講談社の文庫情報&文芸誌「IN★POCKET」に連載中。これはシリーズのメインキャラクターの一人でありながら、この物語には登場していない若きホテル支配人松平貴子を主人公に、彼女に託されたホテルの買収をめぐって、ホライズン・キャピタル(かつて鷲津さんが所属していた)日本代表のナオミ・トミナガと買収合戦を繰り広げるという「もうひとつのハゲタカ」的物語。ちょこちょこと立ち読みで読んでいるのだけど、これもまとまったらちゃんと読みたい。

 なんか他にもいろいろ書きたいんだが、そしたら絶対鷲津さんステキー的なことしか言えなくなるので(いや、これはマジで)、感想はこのへんで。ではラストに、『ベイジン』に続いて、中国人キャラクターの個人的イメージキャストを勝手にご紹介。
 「香港映画に出てきそうな美形」と紹介されている賀一華はニコ。ええ、ニコです。映画版の劉一華は玉山鉄二が演じていたわけだが、彼にそんなに思い入れがないので(タマテツ迷の人すいません)「あー、タマテツやるんだったらニコで見たかったなー。普通話もペラペラだし」なーんて考えて観ていたのだった。
 謝慶齢は周迅。スレンダーな身体に情熱をこめて演じてくれそう。スーツ姿も案外似合うんじゃないかな。王烈は王學圻さん。孫文で見せたような良心的な顔をしながら、腹黒そうに鷲津さんに迫ってほしい…(笑)。将英龍はりよんがいいなあ。もちろん谷原じゃない方のりよん。僧衣服(クリスチャン設定)からスーツ、長衫とワードローブも豪華だし。

 で、実は鷲津さんも脳内キャスティングしているんですよ、小説を読むときには。
映像版の大森南朋くんのハマりっぷりはあれはあれでものすごいし、大好きなんだけど、小説版と映像版では外見もキャラもことごとく真逆。だから、完全に別物として読んでいる次第。それでもどちらも面白いのだ。
 南朋くん演じる映像版の鷲津さんは、大柄でめったに笑わないキャラ。それに対して小説版は、小柄でなで肩、一見貧相でいつも笑っているという描写をされる。さらに女好き。ほら、全然違う(笑)。そんなところから、小説を読んで私の脳裏に現れた鷲津さんは、当然あの人だったのだけど…、ま、誰だかは言わないでおきますか。あははは。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

Grattis på din födelsedag.Tony!

Vi ser fram emot hans framtid för dig.

 本日は我らがとにおさんこと、梁朝偉さんの40代最後のお誕生日です。
ちなみに今年のお誕生日コメントはスウェーデン語です。特に意味はありませーん(笑)

 いつ完成の報を聞くのかよくわからない《一代宗師》も、日本での配給が無事決まったので、もういい加減に仕上げないと世界中から総スカン食らうぜよ王家衛(なぜ文末が土佐弁?)なんて思いつつ、その合間を縫って、イー・トンシン監督とかなり久々にコンビを組み(『野獣たちの掟』以来と考えると、20年以上ぶりか!)、《大魔術師》という新作も待機しているトニー。むしろこっちの方が早く観たいなーなんて思っている次第。


これは製作の保納電影がカンヌに出品したプロモーションフィルム。数作品合同。
《大魔術師》は1:25くらいから。


台湾の芸能ニュースから。…マギー審司、とつぶやいてしまったのは内緒だ(笑)。

 ご覧のとおり、共演は周迅とらうちん。ラウちんとの共演は数あれども、周迅とはなぜか共演がなかったのねえ。ちっちゃくてかわいいしー、中越典子似だし(こらこら)。最近湯唯ちゃんとかチーリンとかでかい女優ばかりと共演していたから、たまにはねー。

 そんなわけで、来年は大台に達するトニー先生のお仕事がますます順調であることを祈る、いちトニー迷もとはしなのであった。
やっぱり大好き、とにおさーん(はぁと)。

Great_magician

公式発表されたオリジナルポスター。
そういえば英皇も製作にかんでいるのであった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

春の香港を、クロネコとボクサーが走ってた。

 この週末で『レッドゾーン』(真山仁)を読みおわった。あー、面白かったー。
 物語は2007年晩夏のマカオから始まり、翌年6月の香港でクライマックスを迎える。中国による日本企業買収は、はたして日本経済を崩壊させるのか?それに対してどう防衛していくのか?という大筋はもちろんのこと、故国の複雑怪奇な遵法精神に悪戦苦闘する、米国のロースクールで教育を受けた中国人企業弁護士の活躍や、これは現代経済版『色、戒』ですかー!と叫びそうになった、前作での重要人物の死の背景など、中華趣味的に興味深いサブエピソードも満載なので、改めてこちらで感想書きますです。
 えーと、確かにこの小説はこのシリーズの最新作なのですが、いくら自分がハゲタカマニアであっても、なんでこっちで感想書くんだ?とかつっこまれそうかなー>いやいないか。まあ、脳内キャスティングしちゃってるし、以前こっちで『ベイジン』も感想書いたし(笑)。

 そんなわけで今日は別ネタ。ちょっと上記のネタと関連があるかもしれないけどね。

 6月16日にNHKで放映された仕事ハッケン伝を、遅ればせながらやっと観た(当日放映分のブログもあり)。この番組はタレントが有名企業に1週間「入社」して、実際の業務を体験するというものだが、今まで観たことはなかった。だけど観る気になったのは、香港のヤマト運輸が登場するということをTwitterで教えてもらったからである。もっとも当日は夜に用事があったため、リアルタイム鑑賞はできなかったのだけどね。

 プロボクサーの内藤大助ヤマト運輸に1週間入社し、1日目は銀座で、2日目は三重の津で、それぞれ配達業務を体験。悪戦苦闘しながらも、配達サービスとは何かということをつかんだところで後半は香港へ。
 すでに大陸には昨年初めに進出していたらしいけど、香港進出が後だったというのが意外。そう言っても、今年2月の香港進出の話は聞いていたし、実際香港に行った時も、あのトラックだか看板だかを街で見かけていた記憶もあるしなあ…。ほほお、サークルKと白洋舎から出せるのね。

 閑話休題。香港人パートナー・スティーブンとコンビを組むことになった内藤も、日本との業務とはまた違う意味で悪戦苦闘。その中で気になったのが、スティーブンの受け答えに笑顔がないことという点。彼、「もしかして、日本の会社だから嫌なのか?」なーんて思ってたみたいだけど、そんなことはないよねーとモニターの向こうで思った次第。確かに香港人も「中国人」ではあるけど、レストラン等のサービスレベルは大陸よりはずっといいわけだし。それはワタシが「ガイジン」として香港を訪れるからそう感じるだけなんだろうけどね。その後、内藤がスティーブンたちと火鍋を囲んで飲み会した時に、香港人社員たちがこの企業で働く理由を聞いたときには、非常に香港人らしいなーなんて思ってほほえましく思ったなあ。

 香港業務後半、内藤は香港での宅急便の有効活用をアピールしていく。
日本では当たり前のクール便も、市場が街中にある香港ではイマイチ意義が見い出しにくい。「みんな市場で魚を買ったらすぐ持って帰っちゃうから、そのサービスはありえないよ」とスティーブンが言うのも納得だなー、なんて思ってた。
 しかし、やっぱりクール便の需要はあるんだねー。それにはビックリした。考えてみれば、先に市場で魚や魚介類を買って配達を頼めば、別の買い物もできるわけだからね。なるほど。

 コメンテーターの宋文洲さんは、このことを受けて「これからの中国には日本のようなサービスが必要とされるだろう」と言っていた。まー、香港と中国の事情は多少違うわけだからいっしょくたにできないなーなんて思うところもあるけど、一国二制度の香港で展開される日本式サービスがうまく咀嚼されて、大陸に広がっていくってのはありかもしれないなー、なんてね。
 もっとも、TVで紹介された業務が全部じゃなくて、多少香港式なところもあるんだろうけど、紹介されただけでも非常に興味深いドキュメントだった。次の自作小説のネタにも使えそうだし、ヤマト運輸の展開がどうなっていくのかも楽しみだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

葉問2(2010/香港)

 李小龍(ブルース・リー)の唯一の師匠、という触れ込みで日本では紹介されている葉問。不思議なのは、小龍さん自身はあんなに人気がある方なのに、なぜそのお師匠や香港での子役時代などが今までに一般的に紹介されてこなかったのだろうか、ということ。香港電影迷暦15年近くになるワタシも、小龍さん作品に触れたのが驚かれるほど遅かった(だって去年の夏だもの)わけだが、それでも彼が子役から出発していたことや、香港で学んでいた功夫が葉問の詠春拳だったということは知っていた。そのものずばり《詠春(レディ・ファイター)》という映画もあるもんね。
 …まあ、普通はそんなことはあまり関心なんか持たれないか、ははははは(と乾いた笑い)。

 以前『葉問(イップ・マン 序章)』の感想を書いたときにも少し書いたのだが、もともと葉問の伝記映画の企画は、王家衛&トニーの《一代宗師》の方が早かった。しかし、例によって例のごとく製作が順調に遅れる王家衛組なので、いまだ完成の報を聞くことはない。ただ、今年のカンヌで上映権が売り出され、日本公開(配給はなんとギャガ!)が決定したというので、来年中にはきっと観られるのだろうと思いたい。
 そんなふうに王家衛たちがもたもたしている間に、ド兄さんことドニー・イェンとウィルソン・イップ監督はさっささっさと葉問の映画を撮りあげてしまい、1作目は2年前に金像奨作品賞を、その好評を受けて昨年2作目を作ってしまった。これぞ香港映画独特の軽いフットワーク。ああ、いとうらやまし。

 1940年代後半、葉問(ド兄さん)一家は住み慣れた佛山から脱出し、香港へ新天地を求めた。しかし彼の脱出を手配した親友の泉(ヤムヤム)は追っ手に頭を撃たれてはぐれ、生死不明となってしまう。
 香港にたどり着いた葉問は、小さなアパートを借りて身重の妻(熊黛林)と息子の準と暮らし、同郷の知人からビルの屋上を借り、ガラス瓶倉庫を事務所にして詠春拳の道場を開くが、最初のうちは閑古鳥がないていた。収入がほとんどなく、家族の暮らしは苦しくなるばかりだが、葉問は至ってマイペース。
 ある日、彼の元を血気盛んな若者・黄〔木梁〕(黄曉明)が訪ねてくる。腕に覚えのある梁は葉問に勝負を望む。最初は詠春拳を馬鹿にしていた彼だが、葉問にあっという間に倒される。これにほれ込んだ梁は仲間達を連れてきて葉問に正式に弟子入り。こうして、香港で詠春拳を学ぶ初めての門下生が誕生した。
 別の日、葉問は市場で鶏の丸焼きを盗んで逃走している人を捕まえる。それはなんと泉であった。頭に入った銃弾が脳を傷つけたために、泉には以前の穏やかさがすっかり消え、粗野な人間に変わり果てていた。彼は一緒に暮らす息子に新聞社の職を紹介し、父親の面倒を見るように言う。
 梁たちは、街で洪師匠(サモハン)の元で学ぶ洪拳の弟子たちに絡まれてトラブルを起こす。彼らを止めるために向かった魚市場で、葉問は香港の功夫道場の師匠たちに出会う。洪は彼らと魚市場の元締めであり、いわば街の顔役であった。そして彼らは葉問に勝負を挑み、彼が勝ったら道場を開くことを正式に認めるという。そして対決の日、葉問は師匠たちを次々と倒し、洪とは互角の勝負をする。ついに洪は葉問を認めるが、葉問は彼らから距離をおいていた。
 洪は皇家警察にもパイプを持っており、イギリス人ボクサーのツイスターを招いたボクシング大会の興行を依頼されていた。功夫の普及のためにせっせと準備をする洪だったが、香港人を見下している英国人の警部はそんなことは考えず、ツイスターも試合で彼らを侮辱する。面子を潰された洪はツイスターとリングで勝負するが、死闘の末に洪は倒れ、息を引き取ってしまう。非は明らかにツイスター側にあるのに、当然彼はそれを認めない。そして、洪の無念を感じた葉問は、ツイスターと戦うことになる…。

 物語の構成的には1とほとんど同じ。
 本来争いを好まない葉問は、義理堅く情に厚く、真意を表には出さないけど、理不尽なことが起これば容赦なく怒りを爆発させる。香港に移り住み、ますます師匠として穏やかになった彼だが、そこは佛山時代と全く変わりない。
 彼に向かう者たちは当然グレードアップする。血気盛んな黄樑、どこか黒社会の元祖的な空気をしょっている洪(サモハンつながりでSPLを思い出したのは言うまでもない)、そして感情移入もできないほどに憎々しいツイスター。特にツイスターはもうやりすぎ。当時の英国人がここまで香港人をバカにしてたのかよと本気で思って怒りたくなるくらい凶悪。いや、ああいう凶悪さがないとバトルものは面白くないのはわかっているんだけどさ、ひっどいキャラだよなーと思ったのは確か。まあ、おかげで1の三浦さんの印象がかえって軽くなったから助かったといえば助かったけど(笑)。

 ド兄さんが素晴らしいのはなにもワタシが改めて言わなくてもいいことなので(こらこら)、サモハンの相変わらずの貫禄と、これまでの作品と比べたら断然ベストな演技を見せてくれた黄暁明にも拍手を送りたい。特に暁明は今までどこかイケイケでナルっぽさが感じられたのであまり好きになれなかったのだけど、今回の直情な熱血漢はぴったりだった。彼にはこういう小僧キャラを香港でたくさん演じてほしいな。あと、高良健吾くんにちょっと似ていると一緒に観た朋友が言ったのだけど、ワタシも思わず同意してしまった。すいません。顔立ちよりも雰囲気に似たものを感じたのよね。まあ、今回限定なんだろうけど。そして朋友はヤムヤムが出ていたのに気づかなかったと言っていた…。確かにね、あのキャラはビックリするもんな、うん。あと、最近ちょっと話題の杜宇航くんは、洪拳のお弟子のリーダー格だったっけ?あやふやでホントにすみません。

 ま、全体的には1とそんなに印象が変わらないので、だらだら書くよりも気づいたところでさくっとまとめた次第。1は明日から上映なので、改めて日本語字幕で観て気がついたところをまとめますかね。そんなわけで以上。


とっくに出ているDVD&BD。
当然、サモハンの声は水島裕さんなんだろうねえ…。SPLでもそうだったというし。

邦題:イップ・マン 葉問(Ip Man 2)
監督:ウィルソン・イップ 製作:レイモンド・ウォン 撮影:プーン・ハンサン アクション指導&出演:サモ・ハン・キンポー 詠春拳顧問:葉 準 音楽:川井憲次
出演:ドニー・イェン ホアン・シャオミン サイモン・ヤム リン・ホン トー・ユーハン ケント・チェン ルイス・ファン 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

江湖再見、杜琪峰。

 今夜、語学教室のムービーナイトで、4年ぶりに『エグザイル/絆』を観た。…かかかかかカッコええ。もうこれしか言えん(笑)。
 で、今回のイベントはちょっと特別なものだった。この作品はワタシがマネージャーさんにリクエストしたんだけど、上映するのならゲストスピーカーとして作品を解説してほしいという依頼を受けたのであった。ええー、なに話そう?そしたらやっぱりトーさんについて紹介しなきゃいけないだろうなあと思い、某所にレジュメを作ってみて、これと『やりび』、そして『冷たい雨(後略)』の3作品を中心にまとめてみた。

 

 スピーチを要約すれば、ラブストーリーやコメディのような商業作品を撮りながら、自分の撮りたいものを追求していった末に生まれたのがこの3作であること、台本が俳優に渡されず、即興やアドリブで作り上げていったこと、銃撃戦は多いけど、食事シーンや思いもよらないストーリー展開に注目ということでまとめてみた。

 久々に観たら、やっぱ銃撃戦激しいなあ、あー覚えてなかったけどセックスシーンがあった、不謹慎ですいませんとか何とかちっとばかり焦ったけど、観ていただいた皆さんには楽しんでもらえたようでなにより。さすがに俳優さんまではわかりません、と言われましたけど、さすがにそれはしょうがないです(笑)。
 あとは小道具使い。例えば、ニックさんとジョシーの新居や、闇医者のフラットにやたらと垂れ下がった布がかなりいい感じで使われていた。『英雄』の緑の場面に通じるようななびき方。(と言ったらトーさんは怒るだろうか?)さらに椅子の使い方もね。最初の銃撃の後で秋生さんが「座って話そう」と言って、ニックさんの乗ってきたトラックから家具を殺し屋たち全員で運び込むシーンや、クライマックスでヤムヤムに「お前はここに残れ」と言われて自分で椅子を引っ張って座り込む場面などが印象的。こういうものを使いながらキチキチッとポーズや場面を決めていくのにしびれていた。

 台詞で注目したのが、クライマックス直前に金塊強奪戦の生き残り(リッチー)と別れるときに秋生さんが言う「江湖再見」。これ、字幕では「あばよ」になっていたのだが、これはちょっと違うんじゃない?というのが話題になっていた。一緒に観た中国語のM老師にご意見を伺ったところ、これはやっぱり「渡世で会おうぜ」とか「生きてまた会おうぜ」というニュアンスを含んでいるのではないかということらしい。うん、そうだろうな。

 でもなんのかのいいつつ、やっぱり好きだわ『放・逐』。
そんなわけで、久々のトーさん映画を大いに楽しんだ次第。早く新作も観たいものだねえ…。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

我が愛しの彭浩翔導演(笑)

 現在、東京ではパン・ホーチョン監督初の一般劇場公開作品『ドリーム・ホーム』が好評上映中。
 こっちに来るかどうかはわからないけど、周知の通りこの映画はバリバリのスプラッタ映画なので、ノワール映画みたいに人が銃で撃たれるのにはなんともないけど、腕や首をバッサバッサ切られてゴロゴロ転がったり、内臓を引き出されてブン投げたり、身体がグチャーとぶっ潰される描写が延々続くのはダメなワタシにとっては、観るのには非常に悩ましさを感じる作品である。(ちなみに後者の描写が多少なりとも含まれる映画としてはここ1年で4本ほど観ており、あの描写があればもっと面白かった映画があったんだけどなー、とものすごく伏せて書いてみる)
 そしてこの映画、どーもそーゆーのがお好きな方に大好評らしいので、ホーチョン好きを自認するワタシはまたブルーになっている。
 いや、もしかしたら案外観られるのかもしれないよ?同好の士の方にもホラーが大丈夫な人は少なくないし、何とか観られたよと言う人もいたし。だけど、これが評判になると、ホーチョン自体に注目が集まらなくなっちゃうのではないかと心配なのだ。

 さすがに配給側もそれを感じたのかどうかは知らないけど(注:推測です。そして意見には個人差があります)、レイトショーで特集上映「パン・ホーチョン、お前は誰だ!?」を組んでくれている。しかも東京だけでなく名古屋や大阪にも持って行ってくれるそうだ。正直、これだけでもいいんじゃ(強制終了)。

 …これは失礼いたしました、つい熱くなってしまって。

 さて、やっと最近になって、長らく未見だった『出エジプト記』を観られたので、個人的にホーチョン作品を振り返りつつ、何の間違いかここにたどり着いたドリーム・ホーム鑑賞者をガッカリさせるような勢いで、「ホーチョンとワタクシ」をまとめてみたりする(笑)。って非常に初心者には不親切な文体ですみません。そして生意気ですいません。

 多くのホーチョン好きがそうであるように、彼との出会いは2004年のTIFFアジアの風の特集「電影新人類―彭浩翔」。当時、久々に香港電影に対してやる気を出すようになっていたワタシは、有名無名を問わず映画祭でかけてくれる香港映画なら何でも観る!という状態になっていたので、『夏休みの宿題』『ユー・シュート、アイ・シュート』そして『大丈夫』の3作品のチケットを取った。残りの1本は『ビヨンド・アワ・ケン』だったわけだが、これは平日上映だったので、後ほど香港でVCDを買って観た次第。
 この特集上映では、『大丈夫』が一番楽しかった。通でベテランの香港電影迷の皆さんには香港映画界への皮肉も読みとれる『ユー・シュート』の評判が高いけど、ワタシにとっては『大丈夫』で彼が見せた、それってどこか中学生男子っぽくない?的な一発アイディアな話を、ホモソーシャルなにおいを露骨に漂わせてしまったあの大胆さ(意味不明さともいえる)に落ちてしまったのだった(爆)。

 翌年はもちろん『AV』を観たのだが、ここで初めて本人と遭遇。といってもティーチイン参加だったんだけどね。そしてこの時、彼を間近で観た友人が「ホーチョンって肌美人!毛穴がまったくないのよ、うらやまし~い」と絶賛したのは今でも鮮明に覚えている(笑)。この時のティーチインは脚本家の深澤さん、そして出演したまなみちゃんが参加していたので、殿方の姿の方が目立った気がする。でも、実際のホーチョンのファンは、やっぱり女性が多いのかな?と思ったのは、上段にいた私の周りがほとんど女性だったからだったりする>ってそんなことまで覚えてないよな。

 そして、やっぱり決定打は『イザベラ』。ええ、繰り返しません。どんなにハマっているかは(笑)。ティーチインの後では初めてサインをしてもらえたけど、すっごい人だかりで、ホントに人気あるんだなあと改めて認識した次第。
 そのあおりでTIFFでのホーチョン熱に火がついたのかもしれない。協賛企画で「香港映画祭」が行われた2007年は、チケット取りで見事に玉砕。そんなわけで『出エジプト記』は観られなかった。ティーチインも聞きたかったなあ。

 2008年は『些細なこと』。この時のティーチインも楽しかった。初めて質問もできたしね。ついでにポスターもいただきました。いい思い出~(笑)。

 で、実は香港で初めて観たのが『恋の紫煙』だったりする。2005年の春に渡港した時、すでに『AV』が上映されていたのに遭遇はしたものの、時間がなくて結局観られず。昨年はちょうど行った時期に上映されていたので、広東語なんかちっともわからない同行の父を巻き添えにして喜んで観に行った。チケットカウンターで何度も「これは三級片だけど本当にいいの?」と念押しされたが、そんなに若く見えたのか?それとも「日本人にはわからんだろーなーアレ」と思われたのか?多分後者だと思いたい。まーでもわかったぞ、だいたいは。でも細かくはわからないので当然TIFFに観に行ったし、ティーチインでもまた質問したのだった(笑)。

 とまあ、過去記事まとめと共にざっくり語ってみた「ホーチョンとワタクシ」でした。
 しかし、こんなワタシが『ドリーム・ホーム』をちゃんと観られる日ははたして来るのであろうか?
 そして、北京に拠点を移したことで一部ファンをがっかりさせたホーチョンの新作が、これまでの作品はもちろんのこと、お堅い大陸の電影関係の方々の度肝を抜くような仕上がりになることを期待したいもんである。頼むぜ、いぇーい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2011年5月 | トップページ | 2011年7月 »