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葉問2(2010/香港)

 李小龍(ブルース・リー)の唯一の師匠、という触れ込みで日本では紹介されている葉問。不思議なのは、小龍さん自身はあんなに人気がある方なのに、なぜそのお師匠や香港での子役時代などが今までに一般的に紹介されてこなかったのだろうか、ということ。香港電影迷暦15年近くになるワタシも、小龍さん作品に触れたのが驚かれるほど遅かった(だって去年の夏だもの)わけだが、それでも彼が子役から出発していたことや、香港で学んでいた功夫が葉問の詠春拳だったということは知っていた。そのものずばり《詠春(レディ・ファイター)》という映画もあるもんね。
 …まあ、普通はそんなことはあまり関心なんか持たれないか、ははははは(と乾いた笑い)。

 以前『葉問(イップ・マン 序章)』の感想を書いたときにも少し書いたのだが、もともと葉問の伝記映画の企画は、王家衛&トニーの《一代宗師》の方が早かった。しかし、例によって例のごとく製作が順調に遅れる王家衛組なので、いまだ完成の報を聞くことはない。ただ、今年のカンヌで上映権が売り出され、日本公開(配給はなんとギャガ!)が決定したというので、来年中にはきっと観られるのだろうと思いたい。
 そんなふうに王家衛たちがもたもたしている間に、ド兄さんことドニー・イェンとウィルソン・イップ監督はさっささっさと葉問の映画を撮りあげてしまい、1作目は2年前に金像奨作品賞を、その好評を受けて昨年2作目を作ってしまった。これぞ香港映画独特の軽いフットワーク。ああ、いとうらやまし。

 1940年代後半、葉問(ド兄さん)一家は住み慣れた佛山から脱出し、香港へ新天地を求めた。しかし彼の脱出を手配した親友の泉(ヤムヤム)は追っ手に頭を撃たれてはぐれ、生死不明となってしまう。
 香港にたどり着いた葉問は、小さなアパートを借りて身重の妻(熊黛林)と息子の準と暮らし、同郷の知人からビルの屋上を借り、ガラス瓶倉庫を事務所にして詠春拳の道場を開くが、最初のうちは閑古鳥がないていた。収入がほとんどなく、家族の暮らしは苦しくなるばかりだが、葉問は至ってマイペース。
 ある日、彼の元を血気盛んな若者・黄〔木梁〕(黄曉明)が訪ねてくる。腕に覚えのある梁は葉問に勝負を望む。最初は詠春拳を馬鹿にしていた彼だが、葉問にあっという間に倒される。これにほれ込んだ梁は仲間達を連れてきて葉問に正式に弟子入り。こうして、香港で詠春拳を学ぶ初めての門下生が誕生した。
 別の日、葉問は市場で鶏の丸焼きを盗んで逃走している人を捕まえる。それはなんと泉であった。頭に入った銃弾が脳を傷つけたために、泉には以前の穏やかさがすっかり消え、粗野な人間に変わり果てていた。彼は一緒に暮らす息子に新聞社の職を紹介し、父親の面倒を見るように言う。
 梁たちは、街で洪師匠(サモハン)の元で学ぶ洪拳の弟子たちに絡まれてトラブルを起こす。彼らを止めるために向かった魚市場で、葉問は香港の功夫道場の師匠たちに出会う。洪は彼らと魚市場の元締めであり、いわば街の顔役であった。そして彼らは葉問に勝負を挑み、彼が勝ったら道場を開くことを正式に認めるという。そして対決の日、葉問は師匠たちを次々と倒し、洪とは互角の勝負をする。ついに洪は葉問を認めるが、葉問は彼らから距離をおいていた。
 洪は皇家警察にもパイプを持っており、イギリス人ボクサーのツイスターを招いたボクシング大会の興行を依頼されていた。功夫の普及のためにせっせと準備をする洪だったが、香港人を見下している英国人の警部はそんなことは考えず、ツイスターも試合で彼らを侮辱する。面子を潰された洪はツイスターとリングで勝負するが、死闘の末に洪は倒れ、息を引き取ってしまう。非は明らかにツイスター側にあるのに、当然彼はそれを認めない。そして、洪の無念を感じた葉問は、ツイスターと戦うことになる…。

 物語の構成的には1とほとんど同じ。
 本来争いを好まない葉問は、義理堅く情に厚く、真意を表には出さないけど、理不尽なことが起これば容赦なく怒りを爆発させる。香港に移り住み、ますます師匠として穏やかになった彼だが、そこは佛山時代と全く変わりない。
 彼に向かう者たちは当然グレードアップする。血気盛んな黄樑、どこか黒社会の元祖的な空気をしょっている洪(サモハンつながりでSPLを思い出したのは言うまでもない)、そして感情移入もできないほどに憎々しいツイスター。特にツイスターはもうやりすぎ。当時の英国人がここまで香港人をバカにしてたのかよと本気で思って怒りたくなるくらい凶悪。いや、ああいう凶悪さがないとバトルものは面白くないのはわかっているんだけどさ、ひっどいキャラだよなーと思ったのは確か。まあ、おかげで1の三浦さんの印象がかえって軽くなったから助かったといえば助かったけど(笑)。

 ド兄さんが素晴らしいのはなにもワタシが改めて言わなくてもいいことなので(こらこら)、サモハンの相変わらずの貫禄と、これまでの作品と比べたら断然ベストな演技を見せてくれた黄暁明にも拍手を送りたい。特に暁明は今までどこかイケイケでナルっぽさが感じられたのであまり好きになれなかったのだけど、今回の直情な熱血漢はぴったりだった。彼にはこういう小僧キャラを香港でたくさん演じてほしいな。あと、高良健吾くんにちょっと似ていると一緒に観た朋友が言ったのだけど、ワタシも思わず同意してしまった。すいません。顔立ちよりも雰囲気に似たものを感じたのよね。まあ、今回限定なんだろうけど。そして朋友はヤムヤムが出ていたのに気づかなかったと言っていた…。確かにね、あのキャラはビックリするもんな、うん。あと、最近ちょっと話題の杜宇航くんは、洪拳のお弟子のリーダー格だったっけ?あやふやでホントにすみません。

 ま、全体的には1とそんなに印象が変わらないので、だらだら書くよりも気づいたところでさくっとまとめた次第。1は明日から上映なので、改めて日本語字幕で観て気がついたところをまとめますかね。そんなわけで以上。


とっくに出ているDVD&BD。
当然、サモハンの声は水島裕さんなんだろうねえ…。SPLでもそうだったというし。

邦題:イップ・マン 葉問(Ip Man 2)
監督:ウィルソン・イップ 製作:レイモンド・ウォン 撮影:プーン・ハンサン アクション指導&出演:サモ・ハン・キンポー 詠春拳顧問:葉 準 音楽:川井憲次
出演:ドニー・イェン ホアン・シャオミン サイモン・ヤム リン・ホン トー・ユーハン ケント・チェン ルイス・ファン 

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