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我が愛しの呉宇森導演(笑)

 現在シネマート六本木で絶賛上映中の「香港電影天堂SPECIAL」もいよいよ後半。
 連休があった前半は、挽歌二部作を中心としてジョン・ウー作品(&ユンファ作品も)が上映されたわけなのだが、ワタシが関東に帰省して挽歌二部作を観に行ったのは以前も書いた通り。先の記事に追記するつもりですっかり放置してしまったため、改めて記事にまとめる次第。

 この特集で上映されたウーさん作品は、運よく全部観ている。そのうちこれまで劇場のスクリーンで観られたのは『狼-挽歌最終章-』『狼たちの絆』。それ以外はビデオでフォローした次第。あとは『ハードボイルド』をやってもらえれば完璧だったのに(笑)。
 狼たちの感想でも書いたのだが、ウーさんは決して暴力だけの人ではない。確かに米国に渡る前後、彼はよく“バイオレンスの詩人”と紹介され、国内外でもその激しい銃撃戦やらなんやらで注目されてしまったけど、何のかの言いつつ彼は決して暴力礼賛者じゃなく、あくまでも表現手段としてそれをやっているのだ。

 そんなことを念頭に置きながら、挽歌二部作を続けて鑑賞し、もにかるa.k.a.napolingさんこと水田さんのトークショーを迎えた。以下、採録しながら感想をば。

 挽歌のヒットを受けて、87年に作られた挽歌2は、製作側も最初はどうなるのかわからなかったらしく、ポスターがなぜかウーさんと製作の徐克さんだったという(笑)。そのポスター、観てみたかったものだな。実はウーさん、この続編に乗り気じゃなかったらしい。でもあれこれやっていくうちに、結果的には実に盛りだくさんな作品になったとか。当時の香港映画界は挽歌の成功を受けた“英雄片”と呼ばれる、この作品のような映画がブームになり、やはり特集で上映された『友は風の彼方に』も含め、この時期(86~87年)のユンファの出演作品は実に22作…。わはははははは、働き過ぎじゃユンファ。

 ウーさんのトレードマークであるバイオレンス描写は、彼が67年に初めて作ったモノクロの短編で既に取り上げられていたとか。もちろんそれだけでなくて、後の彼の作品にも不可欠なキリスト教や仏教のモチーフも盛り込まれていたらしい。
 もともとは俳優志望で、ゴールデンハーベストに抱え込まれたウーさんだけど、香港ではうまくいかず、その後シネマシティに移って台湾支社の社長を務めてやさぐれていたが(こらこら)、その後徐克さんに呼び戻されて挽歌を作ったのは有名な話。そんなわけで、業界の噂ではマークがウーさん、ホーが徐克さん?などと言われていたとか。(あと、ウーさんが台湾の刑事を演じていたのは台湾時代を反映しているっていう説もあったっけね。>以上我がコメント)

 ここでもにかるさんが紹介されたのが、『アーメン・オーメン・カンフーメン!』

↑参考映像(笑)。4分40秒くらいから件の予告編登場。

 台湾ではコメディを主に作っていたウーさん、この作品の監督や『Mr.Boo!ギャンブル大将』を作っており、後者は執行導演としてマイケル・ホイさんに演出を指導していたとか。

 さて、2では唐突にニューヨークが出てきたのだが、これは観ての通りわざわざロケしに行ったわけである。それは、当時からハリウッド進出を狙っていたのかと思われてたと思ったら、実は苦肉の策だったって(笑)。
 で、2で同じく唐突に、もとい大々的にフィーチャーされていた石天さんは、そのシネマシティをレイモンド・ウォンさんとともに立ち上げた方だそうで、ウーさんとは『滑稽時代』という作品を作り上げていたらしい…ってこれは後で調べておこう。
 その後ウーさんは徐克さんと袂を分かち、徐克さんは『アゲイン』を作るわけなのだが、やっぱり正編は2までですね、確かに。

 そして、ワタシもこれは意外だったのだけど、この映画にはヤクザ的な言葉や、広東語で言うところの「粗語(スラング)」が一切ないという。ああ、そうだったのか。それならかつて学生時代に中国語の教材としてこの映画の北京語吹替版が使われたわけだ。謝謝、張老師、と当時の教授にここでお礼を(笑)。

 

これは今から11年前に発行されたキネ旬の「フィルムメーカーズ」シリーズのウーさんの本。他に王家衛やリドリー・スコット(はアジア人じゃないでしょ)などが出ている。実は持ってません、しーましぇーん。これには石琪さんや羅卡さんなど、香港のそうそうたる評論家が寄港しているというすごい本らしいのだが、共通して言われているのは、ウーさんはトーさんと一緒で「作品を見ればわかる」タイプの作家らしい。暴力はあくまでも演出のスタイルにしかすぎず、平和や人間の心と愛情をテーマにしているということを常に強調しているとか。これは『ハードボイルド』に出演した國村準さんにも話されていたとか。

 当日(5月1日)のトークショーはこんな感じの内容でした。

 実は中国語教室でこれまで2年かけて学習してきた羅卡さんの『香港類型電影之武侠篇』(from『香港電影類型論』)がもうすぐ読み終わるのだが、この論の一番最後がウーさんについての章なのである。そんなわけで、この記事の続きとして、羅卡さんの呉宇森論の抄訳と考察でもここでまとめようかと思っている次第。もしかして「中国語でも書いて」とか言われるかなー(笑)。ま、頑張ります。 

 次は「我が愛しの彭浩翔導演」でもやろうかしら(あくまでも予定)。それよりも早く《一頁台北》の感想を書かねばね。

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