« 2011年4月 | トップページ | 2011年6月 »

2011年5月

《跳出去》(2009/香港・中国)

 田舎娘が都会に出てきて、持ち前のバイタリティを発揮しつつ都会人を翻弄し、恋や夢をかなえるために大奮闘。これは典型的なシンデレラストーリー。これがチャウ・シンチー(以下星仔)&スティーブン・フォン(以下ステ)という、ともに個性の強い俳優兼業監督が手掛けると、いったいどんな具合に仕上がるか?
 主演俳優の不祥事(詳細は後述)により完成が遅れ、結局完成から公開に2年以上の歳月を費やした《跳出去》は、実にシンプル、でも二人のクリエーターの持つ個性がうまく融合した物語に仕上がっていた。

Jump

 中国奥地のど田舎。そこで生まれて育ったヒロインの彩鳳(キティ)は、父親(ユエン・チョンヤン)からカンフーを仕込まれて育ったが、歌と踊りが大好きな女の子。ある日、村出身の実業家が、上海郊外で経営している裁縫工場の労働者を集めにやってきた。椅子取りゲームによる選抜に勝ち残り、上海に行けることになった彩鳳。だけど、せっかく手にした就業証明を戦いに敗れた親友の小雪(ヤオ・ウェンシュエ)に譲り、「アタシはただ単に都会に出たかっただけだから」などと言ってしまう。

 さて、上海に出てきた彩鳳の心をつかんだのは、街中に大きく張られた国際ヒップホップダンスコンテストのポスター。そんな彼女は一人のサラリーマンに捕まり、ダンススクールへの入学を薦められるが、なんと彩鳳は手にした資金を全て小雪に預けてしまったので、「ちょっと待ってて」と男を置き去りにして、街中から1日近くかかる小雪たちの工場に行く。資金はあっても宿なし食なしの彼女は、小雪たちに匿ってもらってダンスへの道を目指すことにするが、厳格な工場の寮監に見つかってしまい、何のかの言いつつも裁縫工場で働けることになった。

 いざダンススクールに行ったところ、受付嬢に清掃員のアルバイトと間違えられてしまった彩鳳。しかし機転を利かせて職をゲットし、掃除のするかたわらにレッスンを盗み見て学ぶことにする。こうして、お針子と清掃員のバイトをしながら、彼女は自己流のレッスンに励むのであった。
 スクールの生徒や職員たちは彼女をバカにするが、ただ一人、その才能を見抜いた男がいた。それはスクールの経営者にしてダンスコンテストの主催者である若き経営者、朗(レオン・ジェイ・ウィリアムズ)。毎日のハードワークに追われ、ダンサーたちからは冷たくされて打ちひしがれる彩鳳の前に現れた朗は、彼女に学費免除と生活の援助を申し出る。ついに彩鳳は憧れのスクールで、トップクラスのチームに加わってレッスンを受けられることになる。そして朗は彩鳳を食事に誘い、二人は恋に落ちる。みるみるうちに磨かれ、ダンスも女子力もアップする彩鳳。ダンスコンテストにも出場が決定し、j彼女の目標は全世界チャンピオンである韓国チームとの対決となった。

 しかし、朗と付き合ううちに、彼には常に複数の女性との浮名が絶えないことを知り、自分とはあらゆるところで価値観が違うと考え始めるようになった彩鳳は、恋人に不信感を抱くようになる。そして、その決定的な現場を目撃してしまった彼女は、上海から姿を消してしまう…!

 物語としては先に述べたように、典型的なシンデレラストーリーなので、割と結末は読めてしまう。でも、この映画に関しては物語性は脇に置いておく。なぜなら、この映画の売りはベッタベタに破壊的な笑いとクールなアクション、そしてエモーショナルなカンフーの融合だからである。もしこの映画の日本公開が決まったならば、多分『少林ダンシング』とか『カンフーヒップホップ』なんて邦題になったんだろうな。

 破壊的なギャグといえば、『少林サッカー』『カンフーハッスル』を挙げるまでもなく、星仔作品の独壇場。特に少林以降の作品に観られるような、奇人変人大集合にして必ずヒロインにひと癖あるキャラを充てるというのは、ちゃーんとこの作品に継承されている。いわゆる正統派な美形キャラなんぞは一切登場しないし、むしろそれに逆行するような個性派な人々をヒロインの脇に揃える。このことに関して、以前星仔はインタビューで「自分のイケメンが引き立つからさ」などと大真面目に答えていたものだが、そもそもこの作品に星仔は出てないし(笑)。
 今回の個性派な人々は、彩鳳を助ける裁縫工場の面々。画面だけ見ればもろに女工哀史なのに(こらこら)、かつて『ミラクル7号』で乱暴な小学生暴龍を演じた女優(!)演じる小雪を始めとして、おばちゃん顔女子ありどう見ても男子にしか見えない女子あり、タフでハードボイルドな寮監ありとみんないい味出している。日本だとバラエティ番組でいじられるタイプだろうし、実際皆さん捨て身でギャグ演技しているのだが、それが実に生き生きしている。
 そしてヒロインもいろんな意味で、ただのかわい子ちゃんじゃない。過去の作品においても、少林サッカーでのヴィッキー・チャオは後ろ向きな性格ブスキャラで登場し、カンフーハッスルのホアン・シェンイーは主人公からとことんいじめられて、おまけにしゃべれない。ミラクル7号のヒロインなんて、すでに女性でもないわけだし(!)この作品でキティ・チャンが演じるヒロインも、確かにかわいい田舎娘ではあるのだが、これがまたギャハハハハとよく笑う。そして全くあか抜けず、唇の下の産毛(つまりヒゲ…照)もくっきり見えるほど野放図なルックスで登場する。そして田舎娘だから、上海のダンサーたちにはことごとくいじめられる。もちろん、凹んでもめげないのはお約束だから、悲壮感はないんだけどね。

 そんなキャラをうまく生かすのが、『エンター・ザ・フェニックス』で香港ギャング映画+ゲイムービーの融合を試み、『ドラゴン・プロジェクト』で李小龍映画をファミリームービーで再現して、明るく楽しくノー天気な香港エンターテインメントを作ってきたステ監督。主演作も多いイケメン監督の彼は、カメラの後ろに回るとかなりしっかりと作品を作る。アクションもきちんと撮れるし、泣かせの場面も安心して見られる。カンフーはドラプロで経験済みだし、前作で見せてくれた「カンフー家族喧嘩」もセルフパロディとして見せてくれる。ついついギャグで走りすぎる星仔作品にちょっとブレーキをかけて、誰にも楽しめる作品にしてみましたよ、という出来かな。
 ダンスがテーマなので、音楽も非常にバラエティに富んでいる。往年の中華歌謡からお馴染テレサ・テンの『月亮代表我的心』などの王道から、『ギャランツ』のM.C.Jinが手がける広東語ヒップホップナンバー(これがメインテーマ)までそろっている。なかでも冴えていたのが、そのナンバーに交じって中盤で流れるグロリア・ゲイナーの名曲『I will survive』。この曲ね。↓

 これは映画『プリシラ』などでも使われたナンバーだけど、この曲に乗せて上海の街を楽しげに、軽やかに踊る彩鳳が印象的だった。

 そしてギャグだが、いやーもう、説明しているだけできりがない(笑)。
あえて言うならば、星仔作品でお馴染のメンバーに加え、ステ監督の盟友である彦祖ことダニエル・ウーが自らのイメージをかなぐり捨てて笑いをとっているということのみ記しておきましょうか。

 で、最後になってしまったのだが、改めて主演俳優の交代について。
この作品、最終的にキャスティングは非常に地味になってしまったわけだが(と言いきって申し訳ない)、実は新人のレオン・ジェイ・ウィリアムズが演じた朗には当初、エディソン・チャン(以下えぢ)が起用されていた。しかし作品が完成し、公開を待つばかりだった2008年春に、香港ばかりでなく全世界的に大騒ぎになった彼の「わいせつ写真流出事件」が発覚。この作品と同時期に撮っていた『スナイパー:』は撮り直しもせずに公開を延期したが、こちらはえぢの場面だけを撮り直すことになり、彼に雰囲気の似ているウィリアムズくんが起用されたとのこと。あの事件がなければ、また評価が違ったんだろうなあと思った次第。うーむ。

 と、長くなりましたけどこのへんで。
 なお、この記事はnancixさんの記事を参考にいたしました。我表示多謝。

英題:Jump
製作&原案:チャウ・シンチー 製作:ハン・サンピン 監督&脚本:スティーブン・フォン 音楽:レイモンド・ウォン アクション指導&出演:ユエン・チョンヤン
出演:キティ・チャン レオン・ジェイ・ウィリアムズ ヤオ・ウェンシュエ リー・ションチン フォン・ミンハン ダニエル・ウー ティン・カイマン(声の出演)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

台北の朝、僕は恋をする(2010/台湾)

 見慣れた景色でも、とらえ方によっては全く思いもよらない姿を見せる。映画やドラマで知っている街の全く違った姿を観ることはとても楽しい。そういう楽しみを持つことも大切だな、とつくづく思う。もちろん、それをうまく生かした物語も大切だけどね。

 これまでに何度かその兆しはあったのだけど、やっと台湾映画が新しい時代に突入し、面白くなってきた。その土台は《流星花園》を皮切りとした台湾青春ドラマであり、そこから誕生した多くのアイドルたちが映画にも出始めたというのもあるのだけど、ホウちゃん、ミンリャン、ヤンちゃんなどの重鎮の監督たちの後を継ぎながら、新たな感性を持つクリエーターたちが登場してきたからなのかな、などと思ってみる。
 この『台北の朝、僕は恋をする』を撮ったアーヴィン・チェン監督(現在32歳)はヤンちゃんこと楊徳昌監督に師事し、ベルリン映画祭に出品した短編映画で世界デビューしたまさにぴちぴち(死語?)の若手。台北に生まれ、米国で育って学んだという点ではヤンちゃんや李安さんに通じる。つまり外の眼から台湾を眺めるタイプの監督ということか。
 では、そんな彼が見た台北はどんな姿をしていたのか。

 台北で暮らし、両親の経営する麺屋を手伝うカイ(ジャック・ヤオ)の恋人、フェイがパリに留学してしまった。さみしいカイはパリに行くことを夢見、誠品書店の語学フロアで毎晩のようにフランス語のテキストを読んでいる。そのフロアを担当する書店員のスージー(アンバー)は彼が気になってしょうがない。
 ある日、カイのもとにかかってきたフェイからの別れの電話。いても立ってもいられない彼は、街の顔役である不動産屋のパオ(カオ・リンフェン)にパリ行きの航空券を買う金を借りに行くが、ある条件をつけられる。パリに旅立つ日に小包を受け取り、指定の場所に届けるというものだった。カイはファミリーマートでバイトしている親友のカオ(ポール・チャン)と夜市で食事をするついでにその小包を受け取ったのだが、なぜか彼らはパオのもとで働くチンピラのホン(ルンルン)とその仲間たちにつけ狙われる。さらに麻薬取引の情報を聞きつけた刑事チーヨン(ジョセフ・チャン)にも追われる始末。夜市でばったり出会ったスージーもその騒動に巻き込まれ、カオはホンの仲間たちにさらわれ、カイとスージーは夜の台北を疾走することになり…。

 非常にざっくりとこの映画を説明すると、「台北版恋する惑星」。いや、これを言ったらさすがに怒られるか(笑)。いくらワタシが王家衛&トニー好きだからといっても、件の映画は正直買っていないのでこういうふうに言いたくないのだが、あの映画を観た時と同じ疾走感と軽やかさを感じたので、そう思った次第。
 モダンな誠品書店と下町感あふれる夜市。モダンな刑事のマンションとローカル感たっぷりな寺廟。どれも台北ではおなじみなのに、とても新鮮に感じる。それは先に挙げたように、監督が外の視点からこの街をとらえているのもある。そして、台北のささやかだけどステキな側面をうまく切り取っている。
 誠品書店なんてまさにその代表格だ。最初にこの書店を訪れた時は、台湾のジュンク堂?なんて思ったものだけど、年明けに久々に台北を訪れたときに感じたように、独自の進化を遂げ、書店を越えてしまっている。まあ、この映画では書店でも語学フロアしか登場しないけど、床にお尻をついて本を読みふけっている人がいるという独自の風景を見せているのが楽しい(注:これは決して珍しくない。逆に日本の書店ではこういう景色はめったに見られないのでビックリするはず)。

 書店での出会いから、街での再会でカイとスージーの心が通じ合い、お互いを意識しだす。ここより他の場所を求めたカイにとって、台北はまさに「しあわせの青い鳥」であり、さしずめスージーは彼を導いた光の精というところか。兵役を控えた純朴な親友、恋の終わりに動揺するマッチョな刑事、凄味があるけど気のいい顔役、詰めの甘いヘナヘナなチンピラなど、いかにも台湾コメディ的な脇役陣を配しながら、今までに見たことのない台北を描こうとしている。スカしたところも気取りもなく、素直に作られている。こういう映画は大好きだ。

 美人とはいえないけど親しみやすい顔立ちのアンバーちゃん、誠実そうなジャックくんはまさにナイスなキャスティング。彼らをサポートする面々も豪華でビックリしたけど、どうしてもルンルンに目がいってしまう(笑)。『色、戒』でかなり久々に彼を見たときにはビックリしたけど、今回の役回りは完全にお笑いだったなあ。
 そして高捷さんとトニー・ヤンくんの名前を見かけたんだが…、高捷さんがカイのパパ、トニーくんがチーヨンの彼女の新しい彼氏役でいいのかな?>やや自信なし。

 最後に、製作総指揮がヴェンダースなんだけど、映画全体としてはあまりヴェンダースっぽさは感じなかったぞ。いや、ヴェンダースは嫌いじゃなくてむしろ好きなんだけど。まあ、製作総指揮のカラーに染まっちゃったら面白くないもんね(笑)。

原題(仏題):台北一頁(Au revoir Taipei)
監督&脚本:アーヴィン・チェン 製作総指揮:ヴィム・ヴェンダース&メイリーン・チュウ 撮影:マイケル・フィナモリ 録音:トゥー・ドゥーチー 音楽:シュ・ウェン
出演:ジャック・ヤオ アンバー・クォ ジョセフ・チャン クー・ユールン カオ・リンフォン トニー・ヤン カオ・ジエ

| | コメント (1) | トラックバック (0)

我が愛しの呉宇森導演(笑)

 現在シネマート六本木で絶賛上映中の「香港電影天堂SPECIAL」もいよいよ後半。
 連休があった前半は、挽歌二部作を中心としてジョン・ウー作品(&ユンファ作品も)が上映されたわけなのだが、ワタシが関東に帰省して挽歌二部作を観に行ったのは以前も書いた通り。先の記事に追記するつもりですっかり放置してしまったため、改めて記事にまとめる次第。

 この特集で上映されたウーさん作品は、運よく全部観ている。そのうちこれまで劇場のスクリーンで観られたのは『狼-挽歌最終章-』『狼たちの絆』。それ以外はビデオでフォローした次第。あとは『ハードボイルド』をやってもらえれば完璧だったのに(笑)。
 狼たちの感想でも書いたのだが、ウーさんは決して暴力だけの人ではない。確かに米国に渡る前後、彼はよく“バイオレンスの詩人”と紹介され、国内外でもその激しい銃撃戦やらなんやらで注目されてしまったけど、何のかの言いつつ彼は決して暴力礼賛者じゃなく、あくまでも表現手段としてそれをやっているのだ。

 そんなことを念頭に置きながら、挽歌二部作を続けて鑑賞し、もにかるa.k.a.napolingさんこと水田さんのトークショーを迎えた。以下、採録しながら感想をば。

 挽歌のヒットを受けて、87年に作られた挽歌2は、製作側も最初はどうなるのかわからなかったらしく、ポスターがなぜかウーさんと製作の徐克さんだったという(笑)。そのポスター、観てみたかったものだな。実はウーさん、この続編に乗り気じゃなかったらしい。でもあれこれやっていくうちに、結果的には実に盛りだくさんな作品になったとか。当時の香港映画界は挽歌の成功を受けた“英雄片”と呼ばれる、この作品のような映画がブームになり、やはり特集で上映された『友は風の彼方に』も含め、この時期(86~87年)のユンファの出演作品は実に22作…。わはははははは、働き過ぎじゃユンファ。

 ウーさんのトレードマークであるバイオレンス描写は、彼が67年に初めて作ったモノクロの短編で既に取り上げられていたとか。もちろんそれだけでなくて、後の彼の作品にも不可欠なキリスト教や仏教のモチーフも盛り込まれていたらしい。
 もともとは俳優志望で、ゴールデンハーベストに抱え込まれたウーさんだけど、香港ではうまくいかず、その後シネマシティに移って台湾支社の社長を務めてやさぐれていたが(こらこら)、その後徐克さんに呼び戻されて挽歌を作ったのは有名な話。そんなわけで、業界の噂ではマークがウーさん、ホーが徐克さん?などと言われていたとか。(あと、ウーさんが台湾の刑事を演じていたのは台湾時代を反映しているっていう説もあったっけね。>以上我がコメント)

 ここでもにかるさんが紹介されたのが、『アーメン・オーメン・カンフーメン!』

↑参考映像(笑)。4分40秒くらいから件の予告編登場。

 台湾ではコメディを主に作っていたウーさん、この作品の監督や『Mr.Boo!ギャンブル大将』を作っており、後者は執行導演としてマイケル・ホイさんに演出を指導していたとか。

 さて、2では唐突にニューヨークが出てきたのだが、これは観ての通りわざわざロケしに行ったわけである。それは、当時からハリウッド進出を狙っていたのかと思われてたと思ったら、実は苦肉の策だったって(笑)。
 で、2で同じく唐突に、もとい大々的にフィーチャーされていた石天さんは、そのシネマシティをレイモンド・ウォンさんとともに立ち上げた方だそうで、ウーさんとは『滑稽時代』という作品を作り上げていたらしい…ってこれは後で調べておこう。
 その後ウーさんは徐克さんと袂を分かち、徐克さんは『アゲイン』を作るわけなのだが、やっぱり正編は2までですね、確かに。

 そして、ワタシもこれは意外だったのだけど、この映画にはヤクザ的な言葉や、広東語で言うところの「粗語(スラング)」が一切ないという。ああ、そうだったのか。それならかつて学生時代に中国語の教材としてこの映画の北京語吹替版が使われたわけだ。謝謝、張老師、と当時の教授にここでお礼を(笑)。

 

これは今から11年前に発行されたキネ旬の「フィルムメーカーズ」シリーズのウーさんの本。他に王家衛やリドリー・スコット(はアジア人じゃないでしょ)などが出ている。実は持ってません、しーましぇーん。これには石琪さんや羅卡さんなど、香港のそうそうたる評論家が寄港しているというすごい本らしいのだが、共通して言われているのは、ウーさんはトーさんと一緒で「作品を見ればわかる」タイプの作家らしい。暴力はあくまでも演出のスタイルにしかすぎず、平和や人間の心と愛情をテーマにしているということを常に強調しているとか。これは『ハードボイルド』に出演した國村準さんにも話されていたとか。

 当日(5月1日)のトークショーはこんな感じの内容でした。

 実は中国語教室でこれまで2年かけて学習してきた羅卡さんの『香港類型電影之武侠篇』(from『香港電影類型論』)がもうすぐ読み終わるのだが、この論の一番最後がウーさんについての章なのである。そんなわけで、この記事の続きとして、羅卡さんの呉宇森論の抄訳と考察でもここでまとめようかと思っている次第。もしかして「中国語でも書いて」とか言われるかなー(笑)。ま、頑張ります。 

 次は「我が愛しの彭浩翔導演」でもやろうかしら(あくまでも予定)。それよりも早く《一頁台北》の感想を書かねばね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

どうもやる気が出ないでいたら、知らぬ間に《武侠》がカンヌでプレミアやってた。

 先週からカンヌ映画祭が始まっております。
  今年も昨年に続き、コンペに中華電影がないのでまたしてもやる気ナッシング気味。いや、確かに審査員には我らの親分、トーさんがいるのであるが、なにか面白いことしてくれるわけじゃないしねえ(こらこら)。

 そんな感じだったし、私的にも忙しかったのでまめにチェックすることなく過ごしていたら、Twitterの金城くん迷の皆さんがにぎやかになっていた。どうも、ピーターさんの監督最新作で、ド兄さん主演の《武侠》に彼が出ているかららしいとわかったのだが、実はこの作品が正式に出品されているとは全然気付かなかったのである。てっきり《赤壁》のようなフッテージ上映だと思っていたのだが…ちゃんとアウトオブコンペでエントリーされたと知ったのは、ワールドプレミア上映が終わってからであった。
 ええ、気がつかなくてすみませんでした。ホントにごめんなさいでした。

Wuxia_1

 このメガネ&帽子の金城くんが味わい深い。ド兄さんは辮髪。

 物語はまだ上映前だからパスするとして、比較的詳しく紹介されているのが、毎年楽しみに読んでいる斎藤敦子さんのカンヌレポート@河北新報と、シネマカフェのレポートなのでこっちをリンク。

 先に上の予告編を観ていたので、「これってバイオレンス?確か王羽先生も久々に出てらっしゃるというから、そーゆー方面なのかね?」なんて思ってやや不安になってたのだが、どうもそういう話ではないらしい。アクションメインというより、謎解きの要素もあるというから、物語にも一工夫したのかな、と思った次第。まあ、ピーターさん4年ぶりの監督作だから、ただのバイオレンスでは終わらないはず。

 香港及び中華圏では8月公開。ってことはこの夏行けば観られるのかな?
  評判がよければ、TIFFで上映される可能性もあるし。
 ま、楽しみにしていよう。

Wuxia_2

 ド兄さんの妻は湯唯ちゃん。ああ、麗しひ…。
 また大陸方面からいじわるされているの?(ソースはこれ
 どうせだから香港映画に頑張って出演して、ハチャメチャやってしまおう(笑)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

モンガに散る(2010/台湾)

 台湾映画は青春を鮮烈に描き出す。ホウちゃんやミンリャン、もちろん今は亡き(泣)ヤンちゃんだって、青春映画を手掛けたキャリアがある。彼ら大御所の後に続くあまたの監督たちも青春映画を手掛け、日本でも多く放映される台湾ドラマも例外ではない。台湾の映画監督はみんな青春映画をとってるんじゃないかってイメージがあると書きかけて、そういえば李安さんは撮っていないな、とふと思ったりして(笑)。

 さて、4月にやっと観られた『モンガに散る』
 かつてホウちゃんの『風櫃の少年』に出演していた鈕承澤が、TVドラマの監督も始めて台湾青春ドラマのプロデューサーとして名をはせた後、映画監督へと転身して放つ第2作。ああ、なんて華麗なるキャリアなのだ鈕承澤。ちなみに彼の初監督作『ビバ!監督人生』は残念ながら未だに観る機会に恵まれず。いつかちゃんと観る機会を作ろう。

 1986年台北。龍山寺を中心にして広がる古い商業地区モンガ(萬華)に、美容師の母と引っ越してきた高校生の蚊子(モスキート:マーク・チャオ)。これまで通学した高中になじめず、転学を繰り返してきた彼だが、案の定今回も学校の不良狗仔(ドッグ:陳漢典)に絡まれた。弁当の鶏のモモ焼きをめぐり、狗仔たちと1人で対決することになった蚊子だが、彼の勇敢さに目をつけたのが、モンガを仕切る一味の息子の李志龍(ドラゴン:リディアン・ヴォーン)や彼の幼馴染の和尚(モンク:イーサン・ルアン)、阿伯(アペイ:ホアン・トンユー)、白猴(白ザル:ツァイ・チェンシェン)の4人だった。蚊子は彼らの仲間に加わり、義兄弟の契りを結んで、喧嘩に明け暮れる日々を送る。
 モンガには様々な人間がいた。志龍の父ゲタ老大(馬如龍)は人がよさそうだが、対抗勢力の人間の指を見ても平然と食事ができる非情な極道である。また、蚊子は娼館で、小凝という娼婦と出会い、ひかれていく。
 ある日、志龍の彼女が狗仔にレイプされ、正気を失った志龍に代わって和尚が薬物で狗仔を拷問するが、適量を間違えて殺してしまい、彼は全ての罪をかぶってゲタの激しい叱責を受ける。そして、蚊子のもとに高中から退学通知が届き、5人は本格的な極道への道を歩むことになる。おりしも、本省人の極道が大半を占めるモンガに、外省人の極道灰狼(鈕承澤)がやってきてゲタと対立する文謙(ジェイソン・ワン)と手を組んだ。それがやがて、和尚や蚊子たちの運命を大きく揺るがすのであった…。

 1986年といえば、台湾の戒厳令が解除される前年である。ワタシはその数年後に渡台して半年ほど留学していたのだが、龍山寺近辺に遊びに行くと、ちょうどこの映画のような雰囲気が漂っていたので、映画を観ていてたまらなく懐かしかった。いや、もちろん日中に行ったわけだし、ヤバいところには一切行ってないよ?信じてくれーみんな。
 和尚の台詞にある「指は5本そろって初めて拳になる」というように、5人一組で行動する主人公たちは多い。香港だと古惑仔シリーズがそうだし、日本の青春映画でも同様(代表として『ワルボロ』をあげとくか)。でも、この映画は他のどれにも似ていない。主人公たちが暴力に明け暮れ、固い絆がほどけて悲劇的な結末を迎えてしまう筋立ては珍しいものじゃないのに、なんだか唯一無二の青春映画と思えるのだ。それはやっぱり、先に描いたように時代設定の絶妙さだったり、まさにその時代に青春を過ごした鈕承澤の思い入れが感じられたからなのかなあ。いや、暴力表現はかなり痛いんだけどね。なんで痛いんだろうと思ったら、アクション指導が韓国のヤン・キルヨンという方だそうで納得。韓国映画のアクションは痛みが感じられて、観るのがときどき辛いからねえ。

 文句をつけるとしたら字幕。本編でちゃんと「外省人」と言っているのだから、「大陸者」と翻訳してほしくなかった。悲情城市以降、「外省人」という言葉は日本である程度知られてはいるんだから、逆に「大陸者」とすると、その時代に大陸から自由に往来して人が来ていたのかと思わせられそうだもの。

 俳優陣ではやっぱり和尚のイーサンに目がいく。整った顔立ちでクール、そしてどこかに狂気もはらんでいる。映像化は台湾の方が先だった『花ざかりの君たちへ(花様少年少女)』では、日本版で城田優が演じた役どころだったとかで(スマン、日本版も観てないよ)。ああ、城田といえばリディアンが彼に似ているとか(と伝聞なのはワタシが思ったのではなく、一緒に観た友人の談である)。彼、もろに欧米ハーフの顔立ちだもんね。ゲタ親分(海角七号に続いて登場の馬さん)の血は一体どこに?と思っちゃうくらいでさ。蚊子のマークは、やや李小龍顔。これにもう少し濃さが加われば、アーリフ・リーになる…のか?
 あーでもやっぱり、オッサン好きとしては一番ステキなのは鈕承澤よねー。TIFFにご本人が来ていらしたのに(イーサン&マークもだけど)、諸事情により見に行かなかったのは残念。

 鮮烈で、痛くて、眩しい青春映画だった。やっぱりこういう映画は大好きだ。ええ、海角とこれを比べたら、間違いなくこれをとりますよ、ワタシは。

原題:艋舺(Monga)
製作&脚本&監督&出演:ニウ・チェンザー 製作:リー・リエ 撮影:ジェイク・ポロック 音楽:サンディー・チェン 音響:トゥー・ドゥーチー
出演:イーサン・ルアン マーク・チャオ リディアン・ヴォーン クー・ジャーヤン ジェイソン・ワン マー・ルーロン

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ウーさんの誕生日にマカオ料理を。

5月1日は労働節、と書くとなんか一気に中華度を増すのであるが、この日は我らが呉宇森導演の誕生日であった。現在シネマート六本木で開催中の「香港電影天堂」でも、この日は“ジョン・ウーDAY”と銘打って、入場者には当日上映の『男たちの挽歌』の写真がプレゼントされた。当然ワタクシもゲット。 1304429944161.jpg 1304429958475.jpg

 これまでTV放映やDVDでしか観てなかったので、大きな画面でユンファや狄龍さんやレスリーが観られたり、あのテーマ曲が聴けたのにはもう感慨深いばかり。いろいろな思いにふけりながら観てしまったよ。
  挽歌2部作上映後には、お馴染もにかるさんあるいは@napolingさんこと水田菜穂さんのトークショーもあり、 盛りだくさんの上映だった。 そして、夕方はTwitterの香港クラスタによるオフ会。場所は恵比寿にあるマカオ料理メインのアジアン居酒屋ラザロ

こんな料理をいただきましたよ。

1304429970713.jpg

コロッケ。

1304429979706.jpg

アフリカンチキン。

1304429988860.jpg

マカロニグラタン。

1304429996646.jpg

カニ。

1304430004478.jpg

そして、話題騒然のエッグタルト(笑)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

黄金周に台湾体験。

 黄金周真っ只中、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
ワタクシは一気に休みをとって帰省し、震災のゴタゴタで溜まったストレスを発散すべく遊びまくっております。普通、帰省すると中華度は低くなるんだけど、今回は台湾度、香港&マカオ度ともにかなり高くなっているので、それらをネタに記事書きまーす。

 まずは4月29日に行われた新宿にある台湾料理店、味王 小酒舘で行われた台湾オフについて。
 そもそもは震災後、3月18日に台湾で行われたチャリティーイベント《相信希望Fight&Smile》をUstで観ていて(関連記事はこれ)、みるみるうちに募金が集まったのに驚いてtwitterでわいわい騒いでいたところ、台湾つながりでfollowしていただいた方と「上京したら飲み会やろーよ!」と言うことになったこと。
 連休の帰省をなんとか決め、フォロワーさんにお店の手配をお願いしたところ、探してもらったのがこの店なのであった。

 新宿駅周辺は台湾料理店が多かったのは昔から知ってはいたけど、この店は創業してから40年を迎えるらしい。そんな老舗なのに、ぜんぜん知らなかったよ…。
 メニューはお任せし、最初はビール、次に紹興酒をいただいた。久々に飲む紹興酒(正確には花彫酒)にはスライスレモンを入れて飲んだ。台湾留学時にはこういう飲み方してたのよね。

1304352644019.jpg

 小籠包。肉厚で安心して食べられる。

1304352660721.jpg

 魯肉飯。義援金つきサービス実施中。本来なら締めに食べるものだが、なぜか要望があって途中に注文。
ちなみに台湾に行って魯肉飯を注文した記憶なんてあまりないのだが、なぜか日本にいるときにはやたらと食べたくなる台湾料理である。

1304352669734.jpg

花彫酒が切れたので注文したライチ酒。
「ラベルが台湾っぽくないよねー」と話題だった。

 皆様初めてお会いする人たちばかりだったけど(blogの頃からのお付き合い方もいたりする)、お話も弾んで楽しかったです。またお会いしたいなあ。
 幹事のどんさん、ホントにありがとうございました。

 そして2日には、渋谷パルコで開催中の「パルコツーリスト」をのぞいてきた。
これは旅をテーマに企画されているエキシビジョンで、台湾にゆかりの深い一青窈小姐(中華電影迷にはホウちゃんの『珈琲時光』ヒロインとしてお馴染…と思ったら、公開延期となった『唐山大地震』のイメージソングなんて歌っていたのかい)がものづくりと出会う3泊4日の旅を通して、台湾の魅力を紹介している。写真はエントランス(でかくて失礼)。
1304352677919.jpg

 あえてネタばれなしで書くけど、彼女が訪れた場所がかなりコアなところばかりなのが素晴らしい!彼女のバックグラウンドやホウちゃんとの仕事等を考えても、台湾とのつながりは思った以上に深いのだろうなって思うんだけど、台湾は行けば行くほど面白いところなのだなあ、と改めて思った。ワタシがいた頃とは明らかに違うし、新しいスポットもレトロなものもたくさんある。
 もちろん、好きな場所がかなり変わってしまったという切なさもあるんだけど(例:九イ分。今や「悲情城市の街」じゃないんだもんなあ…)、それを別にして、新しいものを探して楽しまなきゃって思ったよ。

 台湾はこの年末年始で行ってきたけど、また近いうちに行きたい。
もちろん、目的はお礼参りですよー。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2011年4月 | トップページ | 2011年6月 »