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モンガに散る(2010/台湾)

 台湾映画は青春を鮮烈に描き出す。ホウちゃんやミンリャン、もちろん今は亡き(泣)ヤンちゃんだって、青春映画を手掛けたキャリアがある。彼ら大御所の後に続くあまたの監督たちも青春映画を手掛け、日本でも多く放映される台湾ドラマも例外ではない。台湾の映画監督はみんな青春映画をとってるんじゃないかってイメージがあると書きかけて、そういえば李安さんは撮っていないな、とふと思ったりして(笑)。

 さて、4月にやっと観られた『モンガに散る』
 かつてホウちゃんの『風櫃の少年』に出演していた鈕承澤が、TVドラマの監督も始めて台湾青春ドラマのプロデューサーとして名をはせた後、映画監督へと転身して放つ第2作。ああ、なんて華麗なるキャリアなのだ鈕承澤。ちなみに彼の初監督作『ビバ!監督人生』は残念ながら未だに観る機会に恵まれず。いつかちゃんと観る機会を作ろう。

 1986年台北。龍山寺を中心にして広がる古い商業地区モンガ(萬華)に、美容師の母と引っ越してきた高校生の蚊子(モスキート:マーク・チャオ)。これまで通学した高中になじめず、転学を繰り返してきた彼だが、案の定今回も学校の不良狗仔(ドッグ:陳漢典)に絡まれた。弁当の鶏のモモ焼きをめぐり、狗仔たちと1人で対決することになった蚊子だが、彼の勇敢さに目をつけたのが、モンガを仕切る一味の息子の李志龍(ドラゴン:リディアン・ヴォーン)や彼の幼馴染の和尚(モンク:イーサン・ルアン)、阿伯(アペイ:ホアン・トンユー)、白猴(白ザル:ツァイ・チェンシェン)の4人だった。蚊子は彼らの仲間に加わり、義兄弟の契りを結んで、喧嘩に明け暮れる日々を送る。
 モンガには様々な人間がいた。志龍の父ゲタ老大(馬如龍)は人がよさそうだが、対抗勢力の人間の指を見ても平然と食事ができる非情な極道である。また、蚊子は娼館で、小凝という娼婦と出会い、ひかれていく。
 ある日、志龍の彼女が狗仔にレイプされ、正気を失った志龍に代わって和尚が薬物で狗仔を拷問するが、適量を間違えて殺してしまい、彼は全ての罪をかぶってゲタの激しい叱責を受ける。そして、蚊子のもとに高中から退学通知が届き、5人は本格的な極道への道を歩むことになる。おりしも、本省人の極道が大半を占めるモンガに、外省人の極道灰狼(鈕承澤)がやってきてゲタと対立する文謙(ジェイソン・ワン)と手を組んだ。それがやがて、和尚や蚊子たちの運命を大きく揺るがすのであった…。

 1986年といえば、台湾の戒厳令が解除される前年である。ワタシはその数年後に渡台して半年ほど留学していたのだが、龍山寺近辺に遊びに行くと、ちょうどこの映画のような雰囲気が漂っていたので、映画を観ていてたまらなく懐かしかった。いや、もちろん日中に行ったわけだし、ヤバいところには一切行ってないよ?信じてくれーみんな。
 和尚の台詞にある「指は5本そろって初めて拳になる」というように、5人一組で行動する主人公たちは多い。香港だと古惑仔シリーズがそうだし、日本の青春映画でも同様(代表として『ワルボロ』をあげとくか)。でも、この映画は他のどれにも似ていない。主人公たちが暴力に明け暮れ、固い絆がほどけて悲劇的な結末を迎えてしまう筋立ては珍しいものじゃないのに、なんだか唯一無二の青春映画と思えるのだ。それはやっぱり、先に描いたように時代設定の絶妙さだったり、まさにその時代に青春を過ごした鈕承澤の思い入れが感じられたからなのかなあ。いや、暴力表現はかなり痛いんだけどね。なんで痛いんだろうと思ったら、アクション指導が韓国のヤン・キルヨンという方だそうで納得。韓国映画のアクションは痛みが感じられて、観るのがときどき辛いからねえ。

 文句をつけるとしたら字幕。本編でちゃんと「外省人」と言っているのだから、「大陸者」と翻訳してほしくなかった。悲情城市以降、「外省人」という言葉は日本である程度知られてはいるんだから、逆に「大陸者」とすると、その時代に大陸から自由に往来して人が来ていたのかと思わせられそうだもの。

 俳優陣ではやっぱり和尚のイーサンに目がいく。整った顔立ちでクール、そしてどこかに狂気もはらんでいる。映像化は台湾の方が先だった『花ざかりの君たちへ(花様少年少女)』では、日本版で城田優が演じた役どころだったとかで(スマン、日本版も観てないよ)。ああ、城田といえばリディアンが彼に似ているとか(と伝聞なのはワタシが思ったのではなく、一緒に観た友人の談である)。彼、もろに欧米ハーフの顔立ちだもんね。ゲタ親分(海角七号に続いて登場の馬さん)の血は一体どこに?と思っちゃうくらいでさ。蚊子のマークは、やや李小龍顔。これにもう少し濃さが加われば、アーリフ・リーになる…のか?
 あーでもやっぱり、オッサン好きとしては一番ステキなのは鈕承澤よねー。TIFFにご本人が来ていらしたのに(イーサン&マークもだけど)、諸事情により見に行かなかったのは残念。

 鮮烈で、痛くて、眩しい青春映画だった。やっぱりこういう映画は大好きだ。ええ、海角とこれを比べたら、間違いなくこれをとりますよ、ワタシは。

原題:艋舺(Monga)
製作&脚本&監督&出演:ニウ・チェンザー 製作:リー・リエ 撮影:ジェイク・ポロック 音楽:サンディー・チェン 音響:トゥー・ドゥーチー
出演:イーサン・ルアン マーク・チャオ リディアン・ヴォーン クー・ジャーヤン ジェイソン・ワン マー・ルーロン

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