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2010年11月

フィルメックス、一本入魂!

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本日(日付が変わって昨日になったけど)、フィルメックスにて『密告者(綫人)』観てきました。日劇はさすがにでかかった(笑)。

ダンテ・ラム×ニコ×ニック・チョンといえば、《証人》トリオだけど、役回りが違ったので印象は…あー、でもみんなボロボロにされたのは同じか。今回はヒロインのルンメイちゃんもボッロボロだったもんな。

詳細は帰盛したら改めて書きますね。
今年の映画祭はこれで終了。
お会いできた皆様、お会いできなかった皆様、お疲れ様でした。

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政治と映画、取るなら当然後者だよん(笑)。

Teddy

陳徳森導演@日劇前

 さて、今日からフィルメックスだし、地元で中華がらみ映画を2本観たので、そろそろTIFFまとめ。
でも、今年はやっぱりこのことをいわなきゃ気が治まらないかな。

 3年前から始まった、東京・中国映画週間
この映画祭、本祭とはつながりのない提携企画なので、うっかりしているとチケットを取り忘れる。
2年前に「赤壁キャストが来るよ」と聞いて慌ててチケットを取って行ったのが最初だった。 
今年はオープニングが『ボディガード&アサシンズ(十月圍城)』だったので、忘れないようにして取った。

 しかし、この映画週間、はっきり言って好きではない。
理由はいろいろあるが、一番言えるのは、中国(大陸)政府のにおいがぷんぷんしているところだろうか。
 ワタシは中国語学習者だし、一時期は都内の某中国語専門学校に通っていたことがあるので、大陸関係のイベントの雰囲気はだいたいわかっている。語学関係のような学術的な交流会なら、別に堅苦しくても構わないのだけど、そういう雰囲気が好きじゃない。
 特に政府系の方が絡むとかなり堅くなる。主催が中国国家広播電影電視総局電影管理局だったから、なおさらなのかもしれない。オープニングセレモニーでも、そのへんは強調されるしね。それにこういう時の偉い人の話は、校長先生の話に負けないくらい長いし、あちこちで言われているように仕切りも悪いから、セレモニーの前半、やさぐれ香港電影迷としては、はいはいお話はいいから早くゲスト出してよ、映画見せてよ、という気分になってしまう。
 それから、上映作品。大陸作品が多いのは別に構わないのだが、観たいと思わせる作品が少ない。そして、台湾や香港との合作も混ぜて「我が国の作品」という(これについては後述)。さらに字幕についてはいうまでもなし。この3年間のラインナップは後で調べるつもりだけど、この映画祭で上映されてあとで一般公開された映画って何本あるのだろう?今年の作品ではユンファの『孔子』と提携イベントでのみ公開された『唐山大地震』の一般公開が決まっているんだっけ?

 それに加えて、今年はやっぱり前日の、台湾映画団グリーンカーペット不参加(リンク先はムビコレ)が響いていた。
 もともと台湾映画団は、本祭の特集企画のためにやってきたのであって、提携企画である中国映画団にはごねる資格はない。それをうまく捌けなかったTIFFスタッフもアレだったけど、その「ごねた当人」を目の前にしていたことにはビックリした。
 個人攻撃になるから敢えて名前は言わないが、その「当人」、オープニングセレモニーではゲストの美人女優を隣に置き、終始ニコニコしていた。彼は昨年も来ていたそうだが、昨年セレモニーに参加していた朋友によると、彼はヴィッキーとファン・ビンビンの両脇に陣取り、ずーっと一緒だったという。なんだこのオヤヂ、まったく現金だねえ、なんて言ってたら、翌日のネットで「台湾は『中国台湾』と名乗るべき」と言い出したのがこの人だとわかり、深くため息をついてしまった。
 セレモニーには台湾の蘇有朋も来ていたのだが、どうりで彼を「中国台湾」と紹介していたわけだよ…。はあ。それでよかったの、蘇有朋?

 さらに切なさに拍車をかけられたのは、花束贈呈ゲストの人と、そのコメント。
 来たのはこの映画の主演女優。これもあまり非難したくないので詳しく書かないが、花束贈呈でタイミングを逃し、自分と大陸とのかかわりを香港映画出演のキャリアで述べたスピーチにもなんか不自然さを感じ、彼女自身には罪はないことを十分わかっていながらも、久々にイラッとさせられてしまったのだ。あの映画に出られたことが嬉しかったのはわかるけど、香港映画は中国映画と根本的に違うんだぜー、といいたかったよ。
 花束贈呈の人のことをいうと話がどんどんずれていくので、このへんに。

 閑話休題。せっかく映画を楽しみにして来ているのに、こんなふうに政治色をまる出しにするのはいただけない。ワタシは常々「中国語を学んでいるからといって、中国自体は好きじゃない」と言っているのだが、中国映画が好きな人がみな、国を好きで観ているわけじゃない。

 文化は国境を越えるものである。かつて中国映画は、政府が横槍を入れても、作り手が作りたいものを作って、メッセージを伝えてきた作品が多かった。張藝謀や陳凱歌、姜文の作品は映画祭に出すと政府が必ず問題にしてきたし、今関西上映に関して起こったいざこざが話題になっている(これはまた日を改めて)『スプリング・フィーバー』のロウ・イエ監督も、政府の思惑を超えて自分の作りたい映画を作っている人だ。そのような人たちを世界の映画祭と映画好きは評価し、中国映画の価値を認めてきた。
 だけど、それでも政府は映画祭に抗議する。カンヌでもヴェネチアでも。それでも各映画祭は作品を尊重し、評価してきた。TIFFだってそうだった。

 確かにTIFFでも過去に一部の出品作品に対して大陸の電影局が申し入れをしてきたそうだが、それに対して事務局は出品を優先したかったがために国籍変更の処置をとったという。(先ほどは事実未確認のまま書いてしまったので、訂正しました)
 それがあるから、今回のグリーンカーペットでの対応には、もう少し何とか説得できなかったのだろうか、という気分になってしまったのであった。 いや、決してスタッフを責めているわけではないのだが。

 中国は社会主義だから、商業も文化も政治が介入しやすい。国が文化に力を入れ、バックアップすることには文句はないが、そうだからと政治利用するのは違和感がある。彼らにとっては当然なのだろうけど、やっぱり映画は、売り上げや野望はもちろん、主義や主張を超えていけるものだと思う。昔も、そして今も。
 だからワタシは映画を支持し、大切にしたいと思うのであった。

 あー、今回は久々に主義主張入りまくった文章になっちゃったー。
 おまけにやっぱりとりとめがない。
 もちろん、例によって例の如く、政治的なコメントはお断りですよ。

 これにて、ワタクシのTIFF+αは終わり…。だけど、まだいろいろあったりする(笑)。

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ワタシたちの、もといみんなの、パン・ホーチョン。

Shawn_love

 以前アップした“志明與春嬌”特製タンブラー。

Loveinapuff

 2年ぶりに、パン・ホーチョンがTIFFに帰ってきた。
しかも、持ってきてくれた作品はこの『恋の紫煙』
これは春の香港旅行で観ているし、感想も大きく変化したところはないので、今回はティーチイン採録と、TIFFにおけるホーチョン人気を検証したいと思う次第(偉そーに>我)。

 さて、TIFFでは絶大な人気を誇りながら、不況のためかマニアすぎるためか、なかなか一般公開されず、やっと『イザベラ』がDVDスルーされただけというパン・ホーチョン。

 今や香港映画、それも成龍さん作品や大陸との合作を除けば、トーさん一味(笑)やアンドリューさん組に代表されるアクションサスペンス&ノワール系ばかりが紹介されている感があるんだけど、そればかりというのもちょっとさびしいのよね…。いや、実際ワタシもサスペンスアクションは大好きなんだけどね。それも王家衛がまだ《一代宗師》を撮り終えてないからというのもあるのだが。

 ホーチョンは当初“ポスト王家衛”的な紹介をされていたけど、どうもそうとは思えない。それはホーチョン本人がちゃんと脚本を作って撮っていることや、王家衛が持つスカした感じがないからというところにある。そして、これも何度か言っているけど、ご本人の感覚がやんちゃ坊主っぽく、それが香港の街に生きる人々の気持ちにシンクロしているように思えるからなのだ。なーんて書いてみたら、気取りすぎかねえ。

 TIFFの頃、Twitterで「なんでホーチョンって人気あるの?」というような投げかけがあったので、自分でもいくつかつぶやいてみた。ここでは他の皆さんのつぶやきはないけど、あれだけ毎年熱狂するのに、他の電影迷の皆さんはえらくクールに彼の作品を観ていて、的確に分析されて客観的につぶやいていたから、ミーハーな自分がなんだか恥ずかしくなった。
 …やっぱりマニアックすぎるのかなあ、一般公開するには。
でもTIFFで人気出ちゃったのはいいけど、一般に紹介される前にお亡くなりになってしまったヤスミン・アフマド監督(残念ながら作品を観たことがないのだ!大泣き)のようなことだってあり得ないわけじゃないから、どこかの会社が早く作品を紹介してほしいと思うんだけどなあ。『イザベラ』はともかく、『恋の紫煙』は一般公開してもいいんじゃないの?一応社会的な側面もあることだし、日港に共通している(笑)。

 さて、個人的なホーチョン雑感はとりあえずこのへんにしておくとして、ティーチインの採録(例によって余計なツッコミつき)を。

 今年は1回だけのティーチイン。それが前半の上映にあったのはラッキーであった。
観客の皆さんも常連さんが多いし、司会者さんも流れをわかっているので、段取りがものすごく悪いというわけでもなかったし、質問者も適切だったので、今までのティーチインで最も観やすく聞きやすかった。
 昨年映画祭に来られなかったのは、この作品を撮っていたからだと理由を述べてから、すぐに司会者さんとのトークへ。
 ここで早速、ワタシが聞きたかった質問に答えが出ちゃいました(苦笑)。

 司:香港では喫煙所は、みんなで周りを囲むことから「火鍋スポット」と呼ばれているそうですが、喫煙者ではない監督がこの映画を撮るのは大変だったんじゃないですか?この映画を撮ろうとしたきっかけは一体何だったのでしょうか?

 ホ:ある日友人の会社に行った時、彼がそのビルの他の会社の女の子たちと挨拶をしているのを見て不思議に思った。聞いてみたところ屋内が禁煙になって、外でたばこを吸うようになってから知りあうようになったと言っていた。それを聞いた時は最初ムカついたんだけど、路地が今、社交場になっているということに興味をもち、自分もそこに行くようになった。そこでこの映画の構想を考えたんだ。
 自分は煙草を吸わないけど、現場で数人が吸い始めると、もうそこは煙たくなってしまう。それが嫌だから、撮影中は助監督にトランシーバーを装着して、そこから間接的に指示を与えた。

 ええ、聞きたかったのは「喫煙者なんですか?」ということ。きっとこれはほかの人もそうだったんだろう。そんなわけで急いで質問を考えなおした次第。はい次。

 Q:香港も日本も、喫煙できるところが減ってきて厳しくなっている。今後は撮影でタバコを小道具で使うのも不便になると思うが、そのあたりはどう考えているのか?

 ホ:全世界的にタバコが吸えなくなってきているし、この映画も大陸で上映した時は大量にカットされた。それにこれは決して喫煙を薦める映画じゃないからね。

 Q:喫煙を通じて歳の差(女子が年上)カップルが愛し合う物語になっていたが、なぜそのような話にしたのか?そして、なぜこのキャスティングになったのか?

 ホ:香港では女子が年上のカップルは珍しくないし、ミリアムは旦那さんが年下で(参考としてこの記事を)、ショーンも年上女性と付き合っていたことがある。だから不自然なことじゃなかった。でも、ミリアムはタバコを吸わないから、撮影時は大変そうだった。

 上の二つは、観客からの質問。やっぱり話題はタバコのことになる。
いいタイミング(?)で日本でもタバコの値上げがあったので、一般的にもかなりタイムリー(笑)。
 主人公二人の年齢設定の話は、そうだよな、別に女子が年上でも全然問題ないんだよな。なんか日本だけだよな、男子が年下の女子と、女子が年上の男子と付き合うのを好むのって…。

 さて、次の質問。実はこれ、ワタシがしました。これの元ネタは最初の感想にありますよ。

 Q:過去の作品との関連になってしまうが、『イザベラ』ではラストでイザベラ・リョン演じるヒロインが「恋人が戻るまでワタシはタバコをやめる」と言い、この映画でもラストは禁煙を誓って終わる。この2作品のラストがいずれも禁煙だったのだが(特に前者では肺がんの危険性もテーマに入れたといってたし)、偶然だったのか?

 ホ:禁煙した人に理由を聞いてみたところ、「好きな人がいるから」という動機が多かった。それに感動したから、両作品ともそうしてみたんだ。

 おおおお、でましたな(笑)。好Romantic~。
 話を聞いていると、ノンスモーカーであるホーチョンは、タバコに対しては中立的な立場にあるんじゃないかなーと思ったりして。
 そう、どうしてもタバコについては聞きたかったのですよん。

 Q:喫煙禁止場所での撮影はどうしたのか。

 ホ:今の禁煙法は、室内の喫煙を禁止している。撮影はほとんどが屋外だったから、それは問題なかった。ただ、撮影クルーが喫煙場所でどんどん吸っちゃったから、そっちの方が大変だったよ。

 Q:この映画は香港で三級指定されたけど、やはり台詞のせいなのか?香港のレーティングは一体どんなふうに決められているのだろうか?

 ホ:これは18歳未満が観られない三級片に指定されたが、このレーティングは正直言って意外だった。今まで変なものばかり撮ってきたので、今回は健全な作品を撮ったつもりなのに、こうなってしまった。香港の映倫に三級と決められた後、会社でなぜこうなったのか話しあった。それで言葉のせいだとわかったが、3年前の『出エジプト記』で汚い言葉が出てきたのに問題にならなかった。その理由を聞いたら、「これは頭にきて汚い言葉を吐いているから、問題はない。でも『紫煙』ではみんなが嬉しそうに話しているからヤバいんだよ」と言われたよ。

 …嬉しそうにって。この映画を字幕で観たかったのは、この下ネタトークを理解したかったんだからなんだよね。3月に観たときは、志明の元カノのバングルにい○毛ネタだけで精いっぱいだったので(笑)。
 『出エジプト記』はTIFFで観られなかったので、VCDを買ってあるのだが(やっと出た!)、そっか。…理解できるかな、罵倒語。

 ところで、最後にホーチョンの近況を聞いたときは、衝撃だった。
ずっとバリッバリの香港っ子でいると思ったのに!

 Q:最近、北京に引っ越したそうですが、生活はどうですか?

 ホ:北京語は苦手だから、会議は嫌だな。でも北京に拠点を移したことで、短編で自由に撮ることができるし、実際に短編も撮った。シナコムで見られるよ。あと、プロデュースもやっているんだ。

 …ピーターさんに続いて、キミもか。
香港から北京に移れば、確かに可能性は出るのだろうけど、そのまま大陸寄りになってしまうのはちょっとなあ。ビジネスと割り切っていれば、香港でも変わらないんだろうけどね。

 でも、ホーチョンはやっぱりホーチョンかな。いつまでも変わってほしくない。でもそれ以前に、日本でも自信を持って一般公開できる作品を撮ってほしいと思う。だから、応援したいのでアルよ。

 ティーチイン終了後は例年のごとくのサイン会。ええ、毎度ですがまたもらいました(笑)。暗くなったTOHOシネマズの階段を、たくさんのファンに囲まれて降りた姿を見て、やっぱホントに人気あるんだよなーと当たり前のことを思ったりして。
 また会える日を楽しみにしているよ、ホーチョン。

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二人の勇者(Gallants)、六本木に立つ!

どうも、怠惰すぎるbloggerですいません。この記事からTIFFツアー後半戦です。

東京国際映画祭アジアの風特集企画・「生誕70年記念-ブルース・リーより未来へ」のオープニング作品的な位置づけだった『ギャランツ』
初回の上映だったので当然大盛り上がりだったわけだけど、その勢いで突入したティーチインでは、監督のデレク・クォック(来日3回目。アジア太平洋映画祭に『野・良犬』を出品)&クレメント・チェン(いとこが日本在住)の勇者コンビのトークショーと化していたのであった。
 客観的な採録は以前もご紹介したKEIさんゆずきりさんにお任せするとして、こちらでは主観バリバリなツッコミを盛り込んで、ティーチインの感想を書いてみる次第。

Gallants

 場内が明るくて助かったが、ワタシの位置からはうまく撮るのが難しかった。
なにせiPhone内蔵カメラで撮ったもんで。

 この後のグリーンカーペットに参加することもあったのか、二人とも正装で登場。ワタシはアジア太平洋映画祭に参加したことがないので、デレクさんは初見なのだが、以前の彼を知る方によれば「だいぶ太った」とのこと(笑)。ハンサムなクレメントさんは、我が朋友にも受けがよかったです。 

 Q:往年のスターを、若手監督の自分たちが演出する気持ちはどうだったか?

 デレク:テディ・ロビンに関しては、彼はボクらの師匠のような存在だったので、出演してもらうのには全く問題はなかった。ブルース・リャン(梁小龍)にはこの話をしたら、脚本等でアドバイスをしてくれた。陳観泰にはクレメントとプロデューサーが北京にまで行って話をした。3人とも大いに楽しんでくれ、それじゃあいろいろ遊ぼうよ!という感覚でこれを作っていた。

 クレメント:演出時には、彼らを怖いと思っていた。ブルースさんと観泰さんはなんといっても大ベテランで強い人たちだから、何か失敗して殴られたらどうしようかと思ったよ。でも、往年のロックスターだったテディさんは、ボクたちは二人とも尊敬している人だった。彼もとってもノリノリだった。劇中に登場した、3人の弟子がはまべで尻を出して放尿している場面は、ボクらが演出したんじゃなくて、本人たちの提案でやってみた場面だったんだよ。

 Q:テディ・ロビンは、もう映画には出ないと思っていたのだけど…。

 デ:彼はもう10年以上役者をしていなかったが、いいシナリオがなければ出演しないという考えを持っていた。ボクらは二人とも、彼のおかげで映画界で働くことができたので、なんとかして彼を出演させたかった。そこで、「主人公じゃないけど、彼の師匠でめちゃくちゃ強く(でもそんなにカンフーをする場面はない)、女性にもモテて、とにかくいいとこ取りできる役」を用意して釣り、シナリオを見せたらOKが出たんだよ。

 実質上、テディさんのお芝居を観るのはホントに久々、というかスクリーンではまったく初めて。とりあえず、ミュージシャンという認識しかなかったもんでね。
 デレクさんはウィルソン・イップ監督の弟子筋とあったので、おそらくテディさんも交えたこのあたりが香港映画界の一つの集団にあたるのかな、と思った次第。

 以上は司会の方からの質問。次からが会場の質問です。

 Q:この映画の構想はどこから?

 デ:最初、クレメントと考えていた話は、老人たちがロックバンドをやるという話だった。でも、香港では音楽の映画が受けないと思ったので、10年ほど寝かしていた。2008年か09年ごろ、プロデューサーのアンディ・ラウとラム・カートンがやってきて、何かないかといわれたところ、このシナリオを見せてみた。その時はやっぱり音楽じゃダメだったけど、ちょうど香港でまたカンフーがブームになりかけていたので、音楽から老人がカンフーをやる話にしてみたら、OKが出た。梁小龍や陳観泰などの往年のカンフースターはものすごい人だったのに、若者にはほとんど知られてなかったので、是非彼らを知ってほしいと思い、活躍させたかったんだ。

ク:ボクらは二人ともいろいろな映画を観ている。日本なら高倉健や北野武、米国ならクリント・イーストウッドの映画が大好きだ。でも、香港には彼らの作品のような映画がなかったので、自分たちで好きなものを作ってみたかった。

 うむ、趣味がよろしいザンスね。ストイックで男くさくてときどき静謐でたまにバイオレントな味わいの作品がお好きなのかな(笑)。

 Q:この作品と、次回作《Frozen》では、どちらも登場人物が永い眠りから目覚めるという展開であるが、これは失われた往年のよいものを今の世代に伝えようという狙いからなのか?

デ:自分でもよくわからないんだけど、人が無意識下にあるということが面白くて好きなんだ。意識を失う前後は一瞬だけど、他人にとっては長い時間が経っているから、まるでタイムトラベルのようだ。もし自分が気を失ったら、目覚めたら別の世界にいるのかな、なんて思ってしまうよ。時間と人との関係は面白いし、いいものは絶対すたれず残っていくと思うんだ。

 ふむ、なるほど…。
ワタシはデレクさんの前作《青苔(エメラルドの童話)》は観てないんだけど、ここでも意識を失う人が出てくるらしい。意識をなくしてしまった人は、他の人とは違う次元を生きて帰ってくる。それを面白いと感じているのかな。そこで今思ったのが、デレクさんが北村薫の“時と人”3部作を翻案して映画化したら面白そうかもなー、なんてこと。

 あっという間に最後の質問。その質問、不肖ワタシがいただきました!(笑)

Q:観ていて気になったのはアヒルの燻製。これは香港映画につきものだとは思うのですが、どんな意味が込められているんですか?

ク:あのアヒルの燻製は美味しいんだけど、とってもくさいんだよ。料理する前はまるで死体の匂いがするみたいだ。これは昔はハレの日のごちそうだったんだが、今の人はめったに食べない。本当においしいのに、これはもったいないと思った。この燻製が途中でニワトリに代わるけど、この場面にはたとえ姿は変わっても、大事なものは決して変わらないという意味を込めた。ちなみにアヒルの燻製の発音はゴミ(lapsap)と同じ発音。他人にとっては無駄に思えるものでも、本人にとってはとっても大切なものだ、ということを象徴しているんだ。

デ:劇中で師匠がいう「自分はただの人間だ。それなら場所は関係ない」というセリフになぞらえば、気持ちがこもっていればそれでいいのだ、というメッセージをアヒルにこめてみた。

 おお、思いがけず深い言葉を聞いてしまった。
 あのアヒルの燻製は非常に意味ありげに撮られていたので、てっきり功夫電影のお約束なのかなー、もしかして誰か聞くかなー?と思ったけど、誰も聞かなかったので質問しちゃったんですよ。でも、皆さん気になっていたんですねー。

 こんな感じにバタバタと過ぎた(というかデレクさんの話がほとんどだった気がする)ティーチイン。その後は例によって例のごとく即席サイン会になったのだけど、果敢なトライの結果デレクさんのだけはもらえました。我が朋友のためにクレメントさんのサインももらいたかったのだけど、さすがにそうはいかず、二人はバタバタとヒルズの緑色地毯へと去ってしまったのであった。

 その後、噂を聞いたところによると(というか微博に挙げていたらしいのだが)、このコンビは日本でグルメ三昧だったらしい。はあ、うらやましいわねえ、でもそこで養った英気を香港に帰ってから次回作の製作に生かし、また日本に面白い作品を(今度は一般公開できるようなものを)持ってきてもらいたいもんだ、と思った次第。

 ちとおおざっぱなまとめ方になりましたが、こんな感じでよろしいでしょうか?
 ではこれにて。

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ボディガード&アサシンズ(2009/香港=中国)

 ワタシたちが生きてきた歴史には、多くの人々の血が地に流され、その死体が埋められてきた。そして、歴史の転換に係わった人は、ほとんどが無名の庶民である。
 あの坂本龍馬だって、本当は無名の庶民として生きたかったんじゃないかな、などと思ってしまう。

 お分かりの通り、今年の大河ドラマには結構ハマっているのだが、主演の人は好きじゃないし(ファンの人スマン!)、だいたい龍馬自体にも思い入れなんか全然ない。それじゃあなんで観ているんだと問われたら、主人公以外の人物が魅力的だからと答える。もちろん、龍馬以外の人々も名前は残しているのだが、志半ばに早逝してしまったり、凶刃に倒れた人もいたりしたわけだから(龍馬もそうだったし)、評価されていない人物だってきっと多いのだろう。でも、有名/無名、評価の有無にかかわらず、だれもが歴史を支えて生きてきて、その中で死んでいっているのだ、なんて無理やりスケールでかすぎることをいいながら、『ボディガード&アサシンズ』の感想を書きたい。

 日本の大政奉還・明治維新から約40年が過ぎた1906年の中国。
 イギリス植民地である香港では、自由港としての発展を遂げながら、民主的な政治が行われていたため、没落しつつある清国をめぐっての政治活動も活発に行われていた。その活動家の1人である陳少白(梁家輝)の元に、革命を目指して日本に滞在していた孫文が香港を訪れるという知らせが入った。それは彼を危険視する清王朝にも伝わり、朝廷は閻孝國(胡軍)をリーダーとした暗殺団を結成して彼らを香港に送り込む。
 少白は親友であるパトロンである新聞者主の李玉堂(王學圻)と接触し、協力を取り付ける。始めは渋っていた玉堂だが、息子の重光(王伯杰)が少白に心酔して革命にのめりこんだことを知り、使用人の車夫阿四(ニコ)たちの気持ちも知って、協力を受ける。
 玉堂と少白は孫文の警護に協力してくれる人物を訪ね歩く。天津から追われてきた元軍人の京劇団のリーダー方天(ヤムヤム)は要請を承諾するが、いち早く潜入していた暗殺団によってほとんどが惨殺される。一人生き残った団長の娘方紅(李宇春)は復讐を誓い、玉堂の仲間に加わる。また、かつては腕利きの武闘家にして高い身分だったが、地位を追われて浮浪者になった劉(リヨン)も彼らに協力する。そして、暗殺者のスパイであった警官沈重陽(ド兄)も、かつての恋人だった玉堂の後妻月茹(范冰冰)と再会したことで、孫文警護団に身を投じることになった…。

 いきなり登場した學友さん、と思ったらいきなり退場ー!という衝撃的な幕開け。
画面には、不穏な空気が漂っている。日本の幕末でなくても、ひとつの時代が終わろうとしているときは、全世界共通のものがあるのだろう。だからなおさら龍馬がかぶる。そんでもって思わずテーマ曲を替え唄したくなる。
 ♪ほん~こ~ん~に~、へええ~、そんぶんきたよ~、おおおお~。

 まあそんなことはどうでもいいとして、何度となく暗殺が試みられたという孫文。
もし彼が東京やサンフランシスコ、そして香港で殺されていたら、中国は今とは全然違っていたのかもしれない。…もしかしたら、今より悪くなっていたかも(笑)。
 彼は確かに辛亥革命の英雄、そして中華民国の初代総統(かつて台湾では「国父」と呼ばれていた)であるのだが、それを支えたのは多くの名もない人々。孫文の映画ならいくつも作られているのだけど、この映画ではあえて彼でなく、無名の人々に光を照らしたのがいい。それは多分、プロデューサーのピーターさんとテディさんの狙いだと思うし、大陸主導でお約束な歴史大作にするのなら、ド兄さんやニコのアクションを盛り込んだ、王道的香港映画らしい作品にしてやろう!なんてったって舞台は香港!なんて思いながら撮ったのかなあ、と思ったりして。約1年前、「チャイナパワー」を観たときには、いったいどうなるのだろうかと心配していたことを思い出したりして。

 まあ、実際に観た作品は、「中国映画」として出品されたこともあって、台詞はオール北京語、クレジットは簡体字、そして字幕はまさに“伝説の字幕”だったわけだが、このへんへの思いはまた別記事にでも。日本配給のギャガさんのtwitterによると、言語は北京語&広東語の国際版、字幕も別版になるとのことでひと安心。

 キャストはアンサンブル。誰にでも見せ場がある。
今年のTIFFはド兄さん祭りか!といいたくなるほど出まくっていたわけだが(葉問二部作もあったもんね)、この作品では辮髪姿を披露。新鮮だ~♪かつて愛した女と、暗殺団との間で板挟みになりながら、結局愛を選んでそれに殉ずる重陽。毎度ながらの白熱アクションにドラマティックな役どころが加わって魅力的。
 この作品で金像奨助演男優賞を受賞したニコは、おぼっちゃまではなく泥まみれの車夫という意表をついた役どころ。しかし、丸い頭とにっこり笑顔が愛らしく、久々にかわいい~と思っちゃったよ。
 実質上の主人公といえるのが王學圻さんと家輝さん。學圻さん演じる玉泉さんは、あまりにも物分かりがよすぎないか?と拍子抜けするところがないわけじゃなかったけど、香港の良心というべき人物を体現していた。家輝さんの少白もまた然り。
 そして、設定上では最強の武闘家である劉…。なんかこのりよん、ものっそくりよん谷原、つーか「劉よ、あんたは木戸寛治か!(注:りよん谷原が龍馬で演じている役柄)」といいたくなってしょうがなかったんですけど(笑)。そして、彼の見せ場がまるで『風雲』の風だったのに笑った。

 いかんいかん、このままだらだらと書いていたら、かなりネタバレしちゃいそうだ。>いや、もうかなりしている。
こまかいことはまた正式公開決定時にでも書くとしても、最後にこれだけは言っておくか。

…しかし、孫文といえばある意味国民党の創設者だから、台湾に拠点を置く現在の国民党とはライバル関係にあたる党が政府となっているかの大陸で取り上げちゃっていいのかなー。
なーんて思ってwikipediaをみたら、…あらー、ある意味ずるいわねー、なんて思っちゃったりしたのだった。ははははは。
※なお、この一文についての政治的コメントは、毎度ながらお断りしております。

♪こ~れ~で~、おわりよお~お~お~お~お~おぉぉぉぉぉぉぉ!(龍馬のテーマのラストのメロディで歌ってくれると嬉しい)

原題:十月圍城
製作:ピーター・チャン 監督:テディ・チャン 音楽:チャン・クォンウィン&ピーター・カム
出演:ドニー・イェン ニコラス・ツェー ワン・シュエチー フー・ジュン レオン・ライ ワン・ポージエ クリス・リー ファン・ビンビン ジャッキー・チョン レオン・カーファイ サイモン・ヤム エリック・ツァン 

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