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紐約紐約我愛你♪

 注・今回の題名は中国語(繁体字)フォントで作成したため、一部ウェブから見えにくくなっております。なお、題名は《玫瑰玫瑰我愛你》のパロディです。

 関東&関西方面が『冷たい雨(後略)』で盛り上がる中、とーほぐに住むワタクシは『ニューヨーク、アイラブユー』を観に行っていた。
   これはパリ20区を舞台にしたオムニバス映画『パリ、ジュテーム』(2006、中華圏からはクリストファー・ドイルが監督として参加)を企画したプロデューサーが、今度はNYを舞台に世界各地から監督を招集して作り上げたオムニバス映画(全11話)の第2弾。

 多種多様な人種が暮らしているこの街にふさわしく、監督もキャストも前作より多国籍に及び、バラエティに富んでいた。日本では岩井俊二監督が、オーランド・ブルームとクリスティーナ・リッチを主演に迎え(第3話)、これで初めて英語映画を撮ったことが話題になっていたけど、中華圏からは監督に姜文さん、キャストにはマギーQ(彼女はベトナム人と米国人のミックスだけど、香港で活躍していたわけだから勝手に中華明星に認定)とすーちーが参加しているので、実は思ったより中華度が高かったりする。そんなわけで、ここで取り上げた次第。
 実はこれ、香港からの帰りの飛行機の中で観たのだが、8話目まで観て「すーちーまだー?」といってたら着陸態勢に入っていた。だから感想は全部観なけりゃ書けなかったんだよね。

 スリの青年ベン(ヘイデン・クリステンセン)と作家の男(イーサン・ホーク…だったと思った)がなぜか同じタクシーに乗り合わせてしまうオープニングから、マンハッタン先端部に近いトライベッカ(近年はデニーロ先生主催のトライベッカ映画祭で有名に)舞台を移した第1話で、いきなり姜文さんが監督。
 大学教授ギャリー(アンディ・ガルシア)の財布を抜き取ったベンは、そこに挟まれていた女性の写真に心をひかれる。そして街中でその女性モリー(レイチェル・ビルソン)を見かけた彼が後をつけると、モリーはカフェでギャリーを待っていた。実はこの二人は不倫の関係。ベンは彼女に近づいてあの手この手で口説こうとするが、そこに現れたギャリーに、財布をすった仕返しをされてしまう。
 最初観たときは姜文作品だとは全然気づかなかったんだけど、ベンの吸っている煙草が中国製で、それを見たギャリーが「ワタシは中国語が話せるよ」とか言っててきとーに(笑)話していたから、まーちょっとしたお遊びをしたな姜文さん、と思った次第。 。
 この話は、後半の取られた財布とモリーの恋心をめぐってベンとギャリーが応酬しあう場面がすっごくテンポがよくて面白かった。こんな小粋な感じ、今後彼が中華圏で作るであろう新作にも出てくれれば嬉しいな。

 マギーQが登場するのは、フランスの俳優兼映画監督、イヴァン・アタルが演出したソーホーが舞台の第4話(ちなみにイヴァンは同じ舞台でもう1話撮っている)。
夜のレストランの前で、イーサン演じる作家の男が彼女にすっかり魅了され、エロトーク全開の彼に話しかけられてしまったけど、実は…という役どころ。他愛もないエピソードだけど、イーサンと並んで煙草をふかすアンニュイな彼女は画面に映える。中華電影ではなかなか見られないセクシーさも醸しだしていたけど、…それでももーちょっと色気がほしいかな、ってこれはあくまでも個人的な意見ですよ(笑)。
 ついでに書いておこう。イヴァンって『ラッシュアワー3』に出ていたって?…あー、もしかして、あの見せどころが全然ないパリの刑事か。いやあ、言われてやっと思い出したよ。言われなきゃ全然気づかなかったよ。

 ところでこの映画、ただ話を10話並べたわけじゃなくて、各話の間にはインターミッションが入る。これをつなぐのは若きビデオアーティストのゾーイ(エミリー・オハナ)。つまり各話の場面はゾーイが街を歩いて拾い集めたという設定になる。それもあるので、インターミッションにはそれぞれの話の登場人物が出会ったりするわけである。マギーも8話と9話をつなぐインターミッションに登場し、チャイナタウンのランドリーにセクスィーランジェリーの洗濯を依頼したり、広東語(これが意外とうまくなかったのだが、もっとしゃべれなかったっけ?)を話していたりする。 

 そのチャイナタウンが舞台になった第9話を撮ったのが、ドイツ生まれのトルコ移民であるファティ・アキン監督。彼はドイツに暮らすトルコ移民の姿を描いた『愛より強く』『そして、私たちは愛に帰る』で世界的に注目されたそうだけど、ごめん、ノーチェックだった。しかも彼、まだ若い。ちょっとビックリ。
 このエピソードで、やっとすーちーが登場。
 病を抱え、トルコからやってきた画家(ウグル・ユーゼル。トルコを代表する俳優にして映画監督だとか)がそこで出逢ったのが、すーちー演じる漢方薬局の店員。彼女に魅了された画家は、最後の作品のモデルになってほしいとすーちーに依頼するのだけど、彼女はなんともいえずに返事を濁す。ある日、思い切って画家のアトリエを訪ねた彼女は、画家が描いた自分の肖像を見つけ、彼が目を描かずに亡くなってしまったことを知る。そこで彼女がとった行動は…。
 物語的にはこれまたありきたり(オリエンタルビューティーに心奪われる初老の男性という設定がいかにもベタ)なんだけど、この役どころをありがちなツーイーじゃなくてすーちーに振ったのは大正解。この映画でのマギーとすーちーは、同じ中華女優でも見事に好対照であり、役どころも適材適所。美しくメイクしたマギーと同じくらい、ほぼすっぴん(多分)でラフなカッコのすーちーは魅力的。彼女は『トランスポーター』でハリウッドに進出したわけだけど、その前にホウちゃんの『ミレニアム・マンボ』に主演したことから欧米で有名になったというので、なんとなく納得。あと、これを観て気づいたのは、よくよく観ると全然似ているとは思わないのだが、ちょっとした瞬間に見ると、彼女が某ひん○ゅうマジシャン山田な…じゃなかった、仲間由紀恵嬢に似ているといわれるのはこれまたなんとなくわかるな、と思った次第。
 ところでアキン監督、中華電影お好きなようです(fromプロダクションノート)。だからすーちーを使えたのは嬉しかったんじゃないかなあ。

 第11話の後のエピローグ。画家と永遠の別れを経験したすーちーは、まるで画家の代わりに風景を残すかのごとく、街の写真を撮り始める。そこで彼女はゾーイと出会い、街と愛の思い出をシェアする。彼女の気持ちを受け取ったゾーイは、これまで撮ってきたフィルムを編集し、NYの街にそれを投影する。この街に生まれた愛が街の人々に降り注がれ、やがて映画は幸せな終幕を迎える。
 観終わって、ステキな気分になれる映画であった。 

 ところでこのプロジェクトの第3弾は、なんと上海を舞台にした“Shanghai,I love you”とのこと。
これまた再び、ちょっとビックリ。今ちょうど上海万博が行われているとはいえ、やっぱり同じように上海を舞台にした多国籍なラブストーリーが展開されるのかな。
そして、舞台が舞台だから、アジア圏の監督やキャストが招集されるんだろうけど、…さすがにまだこのプロジェクトは動いていないよね。
別のプロジェクトだけど、都市を舞台にしたオムニバス短編映画としては『TOKYO!』もあるんだけど、香港でこういうのってできないかなあ。もしできるとしたら、誰に何をやってもらいたいかなあ。ちょっと考えてみる。もちろん企画を持ち込むわけじゃないし、単なるお遊びでね。

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