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《志明與春嬌》(2010/香港)

 Pang Ho-cheung is back!
 tiffのアイドル、または第二の王家衛なんかじゃなくて実は香港の宮藤官九郎(違う)こと、我らがパン・ホーチョン待望の新作が《志明與春嬌》。
 しかも昨年新作を発表しなかった反動か、この後には次回作《ヴィクトリア一号(日本語訳)》も控えている。ついでに日本では昨年秋にやっとのことで『イザベラ』がDVD化。
 どうかどうか、今年こそホーチョンの知名度が上がりますように!と思いつつ、映画を観に行った。

 2007年、香港政府は喫煙法を改正し、屋外の指定場所以外の喫煙を禁止すると決定した。すると、必然的に喫煙場所にはそれぞれのオフィスを締め出された愛煙家たちがたむろするようになっていた。
 サラリーマンの志明(ショーン)と、化粧品店に勤める春嬌(ミリアム)は、その屋外の喫煙場所で運命的に出会った。愛煙家達のシモネタトークに爆笑し、火を貸し借りしているうちに、志明と春嬌はお互いを強く意識していく。実は春嬌は喘息もちなのだが、それにもかかわらずタバコが手放せない。それが気になる志明だが、恋に落ちるごとに二人のタバコの量は増えていく…。

 確か映画の冒頭に、「この映画は事実を基にした」的な字幕が出ていたような気がするのだが、気のせいか(笑)?その「事実」というのが、すなわち喫煙法の改正であり、それを報道するフィルムが大げさなBGMとともに流される。
 行き場のない愛煙家達の間で繰り広げられるのは、駐車場に停めた車のトランクから助けを求める声が聞こえたきたが…といったオフィスの怪談から、美女が腕につけたバングルに金髪のい○も○(品がないので伏せ字)が引っかかっていたというようなエロトーク。井戸端会議ならぬ灰皿端会議といったところか。
 その中から志明と春嬌はお互いを見つけ出し、やがて二人きりになって愛し合う。…残念ながら本編ではセックスまでには至らないが(苦笑)。改正喫煙法の犠牲者として、すっかりマイノリティになった悲哀を感じつつ、煙草をすいまくる二人だが、彼らを追いつめるように喫煙法は厳格化される。喫煙か恋愛か、というある意味究極の選択を迫られるのである。結果は…あえてここで書くまでもないでしょ(笑)。

 こんな恋愛映画なので、ミリアムとショーンというキャスティングはばっちり。よく考えたら姐さん女房なカップルなんだけど、ヨワヨワなくせについ意地を張って煙草をすってしまうミリアムのかわいらしさと、そんな彼女に引きずられながら気を遣ってあげるショーンの姿は、観ていて楽しかった。久々にかわいいショーンを見られて満足。
 その他に気がついたのが、中盤でミリアムに声をかける愛煙家の警官。これがなんと、昨年のNHK土ドラ『遥かなる絆』に出演してたグレゴリー・ウォン。彼は台湾ドラマにもいくつか出ているので、華流な方にはお馴染だろうし、でているということを予め効いてはいたけど、出てきたとたんにすぐ、「うわー、孫玉福が出てるよ~!」と驚いちゃったもの。一緒に観た父もあのドラマを観ていたらしく、「おお、あいつじゃないか。加藤健一の若い頃をやった人」と反応していたぞ。 

 ワタシは愛煙家じゃないので、飲み会で必ず服にタバコの匂いが移ってしまうのを気にしてしまうけど、だからといって、決してスモーカーを憎んでいるわけじゃない。でも、現在のタバコ業界が未成年や女性対象にターゲットを絞ってタバコを売っているような風潮が好きじゃないので、喫煙場所は制限するべきであるとは思う。タバコ農家の収入とかいろんなことを考えても、やっぱり制限すべきかと。

 そんなわけで喫煙制限に同意しつつも喫煙者を嫌いじゃないので、この映画で描かれる愛煙家達の繰り広げるドタバタには大いに笑いつつも、これからの香港社会も大変だわねー、ってもしかしたらこの映画、ホーチョン初の本格的恋愛映画と見せかけて、実はタバコを親の敵のように憎みまくっている社会の風潮にツッコミを入れているんじゃないか?そうするとある意味社会派映画じゃん、なんて思ったが、おそらく気のせいなんだろうなー(笑)。
 タバコで思い出したが、『イザベラ』でもタバコが重要な小道具になっていた。これもまた「タバコは身体によくない」というような裏テーマをこめた的なことを言っていた気がしたが、そのご当人はスモーカーなんだろうか?この映画がtiffに来たら、是非とも質問してみようっと。

監督&脚本:パン・ホーチョン 脚本:ヘイワード・マック
出演:ミリアム・ヨン ショーン・ユー チョン・ダッミン チョイ・ティンヤウ ジョー・コック グレゴリー・ウォン

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コメント

スクリーンで観たいです。
上の質問、機会があればぜひ監督に質問してください。
先日、香港人とこの映画の話をしていたら、
香港では街頭の喫煙場所で何人かでたばこを吸ってるところを「火鍋を食べてる」と言うとか。
潮語のようで、確かに鍋をつついているようにも見えるので、うまい表現だと爆笑しました。

投稿: 亜美 | 2010.04.26 10:20

ホーチョンのこだわりはシモネタだけでないのか?というのを今回の喫煙ネタで感じたので、もし今年tiffでこの作品が上映されたなら、絶対聞いてみたいと思います。
その前にホーチョンがどこかでしゃべらないことを望む(笑)。

「火鍋を食べてる」っていうスラング、面白いですね。
鍋をつつけば確かにおバカ話に花が咲くものですからね。

投稿: もとはし | 2010.04.27 22:53

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