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コネクテッド(2008/香港)

 いつまでもカネカネ言っているのもなんだな(笑)、そんなわけで記事更新。
 うちの方にはこなかったので、悔しさのあまり香港でVCDを買った《保持電話》、つまり『コネクテッド』を観た。

大陸出身で香港に移民したグレイス(大S)は、夫を亡くして小学1年の娘ティンティンと暮らすシングルマザーのエンジニア。ティンティンを学校に送ったある朝、彼女の車は大型ワゴンに激しく追突され、その中にいた男たちに拉致される。彼女を拉致したグループのボス霍(リウイエ)は、彼女の弟ロイの行方を問いただす。ロイは昨夜から行方不明になっていたのだ。荒野の中の掘っ立て小屋に連れて行かれ、彼女は暴行を受けて携帯電話を壊される。ところが、壊れた携帯はわずかながら生きていた。彼女は携帯の配電を組み立てて、ランダムに電話をかける。
 彼女からの着信を受けたのは、財務会社(いわゆるサラ金?)で経理を担当する阿邦(古天楽)。
 彼は息子と二人暮しのシングルファザーだったが、仕事に追われて息子との約束を果たせず、不信感を持たれていた。その息子を姉のジェニーが引き取り、海外で暮らすことになった。3時10分に最終搭乗案内があるから、仕事が終わったら空港まで会いに行く。阿邦はそう約束して、借金取り立ての仕事をこなしていた。
 グレイスからの着信を冗談だと思って取り合おうとしなかった阿邦は、通りすがりの交通課の警官ファイ(張家輝)にとりあえず通報して、空港へ急ごうとする。しかし、つなげたままの相手側から、突然銃声と罵声が聞こえてきた。―彼女は本当に、重大なトラブルに巻き込まれているのかもしれない。そう思った阿邦は、着信を切らずに、彼女を助けようと決意する。
 一方、通報を受けてグレイスの自宅に行ったファイも、その状況に違和感を感じる。かつては特捜に所属していたものの、後輩の張(張兆輝)に出し抜かれて交通課に格下げされた過去を持つ彼もまた、何か大きな事件が起こっていると判断して、密かに捜査を開始するのであった…。

 今までのワタシの経験上、香港映画をリメイクした作品には絶対傑作はない。これだけは断言できる。例を挙げればきりがないし(星になんとかとかナントカのうたとかオスカー獲ったfxxxinディパとか)、昔のトラウマがごっそり甦るのでこれ以上は書かない。だからさー、韓国で進行中の『挽歌』リメイクにも大いなる不安ばかりがあるのよ。申しわけございませぬ。
 ではその逆、つまり他国の映画を香港でリメイクしたものについてのはどうか?
これについてはかなりオッケイだったりする。例えば、『kitchen』は20年前に自国で作られたオリジナルにかなり不満を抱いていたので、12年前に香港で作られたリメイクにはほぼ満足した。そんな感じである。ええ、ホントにすいませんねー、所詮、ワタクシは香港電影至上主義者なもんですからねー、ほーほほほほほほほー。
 で、この映画は意外にも史上初の香港によるハリウッド映画のリメイク。
なお、オリジナルの『セルラー』は機会がなくて観ておりません。すまんです。

 オリジナルはカリフォルニア郊外の砂漠を主な舞台として繰り広げられるサスペンスアクションだったと聞くが、この基本設定なら香港じゃなくても東京やとーぼぐ(笑)でもできそうな感じ。ただ、これを香港でやる意味としては、徹頭徹尾面白いアクションを織り交ぜることができることと、カリフォルニアや東京と全く違う、香港という都市の面白さを際立たせた展開ができるからってことにつきる。
 前者についてはベニ―さんらしさが大爆発していたので(前半のカーチェイスとかクライマックスの空港倉庫内の決戦とか)書く必要がないか。というわけで後者について。
 グレイスたちが住む郊外の高級住宅街、緑に囲まれた急カーブ、冬の寒々しさが伝わる丘(ピークか?)の上の草原でのチェイス、そしてグレイスが閉じ込められたふきっさらしの倉庫があった場所。阿邦は道路下の側溝に車を乗り入れて霍たちを追い掛け回し、彼らから荷物を強奪して丘を転げまわる。街中の風景は見慣れているけど、普段観光客ならまず行かないようなの場所を効果的に使っていたのが面白かった。香港は狭い面積の街ではあるけど、ロケ場所を吟味して効果的に撮影できれば、こんなに面白くなるんだなーと改めて気づいたのであった。ロケ地めぐりしたいけど、どこも行くのが大変そうなところばかりか?

 《竊聽風雲》『意外』に続き、またしてもメガネくんの古天楽。でも、この3作を比べたら、断然この映画の彼が一番。役どころもそうだし、メガネもね♪人に誉められるような仕事をしておらず(としか思えないんだが)、息子との約束をなかなか果たせないので嘘つき扱いされているかわいそうなパパだけど、電話の向こうで助けを求められたらそれを救いに行かずにはおれない騎士精神もちゃんと持っている。だからアクションヒーローでもないけど自分の車が大破しても犯人を追い続けるし、モトローラのお客様センターでイラつく係員(いい味出していたよねー)を脅さざるを得ない…って、それは明らかに騎士精神とは違うだろう(苦笑)。だからボロボロになりながらも最後は反撃に出て、全て解決した後に訪れたことは、やっぱり彼にとってはこの上ない幸せだったのかもしれない。
 大Sはもうすっかりオトナの女性だねー。おかげでうなじと手首のタトゥーを探そうなんて余裕もなかったわ(もしかしてすでに消したのか?『シルク』の時にはまだあったけど)。
 ニックさんはこういうのが当たり役だよね。後半からの大活躍には目を見張りました。
 リウイエは…んー、ハンチングにグラサン、銀髪にロングコートとイヤミなくらいカッコいいんだけど、このところ悪役ばっかりで食傷気味なのと、もったいつけて出たわりには目的はそれかよ!というくらいアレだったので、そのへんは一工夫ほしかったかも。
 
 そのほか、細かいところにつっこんでいったら、きっときりがなくなりそうだけど、全体的に観れば、とっても満足できる作品で楽しかった。香港映画らしい北京語と広東語(時々英語も)のクロストークもあったしね。
 このところ、重苦しく救いのない映画が香港では多く作られているだけあって、徹頭徹尾アクションで、なおかつスカッとできる作品って少なくなってきたよなーと思うので、ベニ―さんはやっぱりこの路線を走っていってもらって、どんどん香港でドッカンドッカンやって新作を作りつづけてほしいなあ。

原題:保持電話
監督&脚色:ベニー・チャン 原作映画:『セルラー』by ラリー・コーエン 撮影:アンソニー・プーン 美術:ハイ・チョンマン 編集:ヤウ・チーワイ アクション指導:リー・チョンジー 音楽:ニコラス・エレラ
出演:ルイス・クー バービー・スー ニック・チョン リウ・イエ チョン・シウファイ フローラ・チャン ルイス・ファン ヴィンセント・コック

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コメント

こんにちは。もとはしさんにぜひお伺いしたいことがあって、「コネクテッド」の記事をアップされるのを心待ちにしておりました♪

素朴な疑問なのですが、北京語と広東語ってあんなにサクサク会話が成り立つものなのですか?
言葉の違いがこの映画のツボだと思うのですが、あそこまで通じ合うものなのか?と正直疑問でした。

でも香港映画では本当に久しぶりに「痛快!」と思える娯楽作品に出会えた気がしています。かなりのお気に入りです。

投稿: たつ子 | 2009.12.17 21:41

たつ子さん、お久しぶりです。
ご質問の件ですが、ワタシが香港で北京語を使うと、香港人も北京語で返してくるので実のところ不明です(笑)。
でも、米国人と日本人の夫婦がお互いの言語で会話して通じ合っていたので、何とかなるのかもしれません(こらこら)。

このところの香港映画は、シリアスで重苦しいものばかりだったので、これはホントに爽快でした。さすがベニーさんだなと思いますよ。

投稿: もとはし | 2009.12.20 10:41

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