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ウォーロード 男たちの誓い(2007/香港)

 8月の終わりに観て、忙しくてなかなか感想を書けないままでいたら、図らずも祝・華仔結婚記念☆なタイミングになってしまった…(笑)。

 数年前から、単館公開の香港映画が来にくくなったわが街。この映画以前に来た単館公開香港映画はジョニー親分の『僕は君のために蝶になる』だったけど、申しわけないがこれはどうも香港映画とは認めたくない(仔仔映画としてならいいけど)気分。同じ親分でも『放・逐』が来ないもんかとリクエストしてたんだけど、…結局こっちまで来なかったよ。キネ旬ベストテンランクインの魔術も、結局大都市圏だけしか効かなかったのか。キネ旬ベスト10がステータスだった時代は終わったのか、ああ…。

 そんな状態の中、この『ウォーロード』は盛岡までやってきてくれたのだが、実はこれを観る前までかなりテンションが低かった。理由はいろいろある。香港で観た《竊聽風雲》が、久々に香港映画らしい映画で大いに満足したこと。6月に観たアンディ趙雲が個人的にはイマイチだったこと。そして、自分の中でこの映画を猛烈に観たいと思っていた時期が過ぎてしまっていたこと。そんなわけである。
 これは例の如くひろみさんと一緒に観に行ったのだが、二人ともテンションが上がらず、香港映画を観られるのは嬉しいんだけど、なんでこんなにテンションが低いのかしら?それってもしかしてアンディのせい?なんてロビーで言っていたら、一緒に映画待ちしていた(おそらく)アンディファンらしき人ににらまれてしまった(汗)。すみません、ワタシは決してアンディが嫌いなわけじゃないんです。ただ…(以下略)だったので、つい毒吐きたくなったんですー。
 でも、毒吐きすぎると心に悪いからね、早いとこ本題に行きます。

 19世紀後半、太平天国の乱が起こり、清国の軍と太平軍は一進一退の攻防を極めていた。
清朝の官僚にして将軍の[龍+广]青雲(パン・チンユン/リンチェイ)は、この戦いで全滅させられた清軍の唯一の生き残りだった。彼は蓮生(ジンレイ)という女性と出会い、一夜をともにする。次の日、パンは姜午陽(金城)という若い山賊と出会う。午陽はパンを気にいり、自分の村に連れ帰る。午陽はパンを自分の義兄である山賊の頭趙二虎(アンディ)に紹介するが、彼はパンをよく思わない。
 そんな山賊たちもパンとライバル関係にある魁軍の襲撃を受け、屈辱的な扱いを受ける。それに耐えかねた二虎はパンの提案を受け、清軍に加わる決意をする。パン、二虎、午陽の3人は、投名状を書いて義兄弟の契りを交わし、山軍という名前を授けられて太平軍を打ち崩す。彼らは快調に進撃を続けていくが、戦いが激化するにつれ、3人の絆は揺り動かされていく…。

 清朝四大奇案の一つとして知られる馬新胎暗殺事件。これをもとにして映画化されたのが張徹監督がショウブラで作った『ブラッドブラザース/刺馬』('73)。ティ・ロン兄さん、デイヴィッド・チャンさん、そして陳観泰さんのお三方が、やっぱりというか例によってというか上半身裸で(こらこら)熱く戦う映画らしい。すみません、結局観ないできちゃいました。



 蛇足ながら、この映画の邦題は「ブラッド・ブラザー」。一方、『投名状』と同じ時期に製作された『天堂口』も同じ英題で、邦題が「ブラッド・ブラザー」となっている。これってわざと変えたのだろうか。

 そんな男くさい元ネタだからとはいえ、あのピーターさんがこんなに激しい作品を作るとは、にわかには信じ難かった。ワタシだけじゃなくて、誰もが驚いたんだろうな。
 スクリーンにひしめく兵士たちが次々と斬られて命を落とし、広大な平原はたちまち屍で埋め尽くされる。その中から立ち上がり、とぼとぼと歩いていくパン。絶望の中で蓮生と出会い、彼女の肌のぬくもりで生きる力を取り戻す。そして二虎と午陽との出会いで、国のために生きてきた本来の自分も蘇り、彼らの力を借りて突き進む。
 こうやって書けば主人公としてのパンは非常に魅力的に思えるが、それでも彼の中には権力を取り戻したいという欲望が見え隠れする。ただの清廉潔白なキャラでない、複雑さを持った人物に作り上げられていて面白い。
 一方、二虎はパンと義兄弟の契りを結んでも、彼の信念には賛成できない。しかし、生き抜くためには清軍に加わって戦いに身を投じねばならない。根っからの官僚であるパンとは違い、二虎は山賊ならではの機転と知恵で戦い抜くが、蘇州の戦いでパンと意見がすれ違う。二虎にとって大事なものは、午陽を含めた多くの仲間たちだからこそ、合理的なパンが受け入れられなかった。
 二人の間で苦しむ午陽。二虎を慕い、なおかつパンにも心酔する。それが強いからこそ、極端な道にも進んでしまい、最後には思いもよらぬ行動に出る。
 斬られた脚が飛び、血飛沫が飛び散る激しい合戦場面も交えているが、ここで描かれるのは3人の男たちの結束と苦悩、そして悲劇。それを際立たせるが故のこの激しさか、と思った次第。

 この作品で金像奨主演男優賞を受賞したリンチェイ、同じく主演男優賞でノミネートされたアンディ、二人とも大好演。特にリンチェイの演じたパンは清廉潔白ではなく、成功のためには犠牲も厭わない非情さを持っており、自分を裏切った同僚を見返して朝廷に戻りたい野心に満ちあふれていてこっちも驚いた。アクションも控えめで、リンチェイの行きたい道はこういう演技派なのねというのがよくわかる。…それでもラブシーンを直接的には見せないってーのはどうかと(苦笑)。
 アンディ演じる二虎はワイルドで義理堅い好漢。もちろん彼はこういう役どころも得意とするけど、なんせその前に観た映画がくどいようだけどアレだから(ホントにスマン)、なおさらいい演技に思えたのよ。結婚もしたんだから、今後もアンディは渋い演技で突き進んで欲しいと思う次第。
 この二人に比べたら、金城くんは、ああ、いつもの金城くんでしたね(これまたスマン)。いや、子犬キャラ全開でかわいいんだけど、でもこういうキャラができる俳優が香港映画界に少ないのかもしれないな、それゆえの起用かななんて思い直す。
 男優たちはそれぞれ見応えがあるけど、ヒロインのジンレイ…。んー、好きな女優さんだけど、パンと二虎が奪い合うには…、かな。というか、あの二人の仲違いって、どうも彼女を巡っての色恋沙汰には見えなかったんだよな。汚しメイクの成果あってか、美人に見えるときとそう見えないときのギャップが激しいよ。
 そして、二虎が掛け合う蘇州城主、黄文金を演じた郭暁冬。今までワタシが観てきた郭暁冬の中では一番カッコいい。チョイ役なのに、ムダに男前。なんでだ?

 全体的に観れば、うーんちょっとなーと思わせられたんだけど、これはやっぱり国際版だからイマイチだったのか?香港で買ったVCDもあるので、来月にでも見比べてみよう。

 エンドクレジットに流れる、じあるひーの歌。はぁ…。

※今回の参考:リンチェイ公式BBSの投名状関連記事

原題:投名状
監督&製作:ピーター・チャン 製作:アンドレ・モーガン 脚本:オーブリー・ラム他 撮影:アーサー・ウォン 美術&衣装:ハイ・チョンマン アクション指導:チン・シウトン 音楽:ピーター・カム他
出演:リー・リンチェイ(ジェット・リー) アンディ・ラウ 金城 武 シュー・ジンレイ グオ・シャオドン

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