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『幸福(しあわせ)』周 麗淇

 ご存知の方も多いと思うけど、ワタクシこともとはしは関東出身で現在岩手在住。
東京までは新幹線で最短2時間半。台湾や香港へ行く飛行機よりも短い時間で都心まで出られるのは便利だけど、気軽に上京するには交通費があまりにも高い。そして、映画祭や舞台挨拶などのイベントに行くのにも時間がかかる。いくら輸送手段が高速化したとはいえ、まだまだ不便に感じることは多い。地域格差は広がるばかりだし、いつもぼやいているように、映画館での香港映画上映が減っちゃっているしね。

 そんな岩手を含む東北地方、旅行好きな香港人はここを訪れてくれるのだろうか。
やっぱしさ、トニーが何度も通うことでもわかるように、香港人が雪を見たいと思えば、北海道に行っちゃうんだよね。スキーは長野でも出来ちゃうんだよねー。
 お金を出さなきゃ観に行かなければいけない映画と違って、自宅で気楽に観られることから韓流ドラマはブームになったけど、ブームが去った今でも俳優たちは全国プロモーションにも抜かりなくてさ、気がつけばビョンが秋田でロケしたり、ぺ様が盛岡在住の韓国人漆芸家のもとを訪れて美術館の名誉艦長とかになっているんだよねー。ずるいよなー。

 いいかげん前振りはここまで。
海外どころか日本国内でも観光アピールが少ないと思われる東北地方だけど、今年の4月、TVBの企画でタレントのニキ・チャウがここを19日かけて旅をした。トニー迷には『ファイティングラブ』でトニーのゴージャスな恋人を演じた人といえば通じるかな?
 彼女が岩手に来ていたことは、新聞のローカルニュースに取り上げられていたので知っていたんだけど(その記事が見つからなかったー)、ワタシが香港を訪れている時に、その特番《櫻紅酔了》が放映されていた。親しみ深い風景が香港のテレビに映し出されるなんて思いもよらなかったよ。
 その特番の放映を知らぬ前、銅鑼湾の商務印書館でこの本を見つけた。おお、ニキったら岩手だけじゃなく、東北6県に加えて新潟も旅していたのね。そんなわけで読んでみた。

Niki025

 旅の始まりは、ワタシの地元岩手県。全43県の中で最も広い県であるんだけど、彼女は盛岡、北上、そして遠野を訪問。
 盛岡では、宮沢賢治の足跡を追い、歴史的建造物の岩手銀行中の橋支店(先にアップした記事で写っていたのがその建物)、岩手を象徴する桜である石割桜、そして賢治が生前に出した唯一の童話集の出版社「光原社」の跡地を訪れている。
 この光原社のある材木町、実はうちの職場の近くです。ここは確か8年前に、みちのく国際ミステリー映画祭のゲストとして来盛したミシェル・リーも訪れていて、当時「週刊朝日」のグラビアでそれを知ったワタシは、「ミ、ミシェルが近くにいたなんて!誰か教えてくれよー!」と悔しがったことを覚えている。
 光原社の中にある大きな梅の木は、彼女が訪れた頃にはまだ満開じゃなかったけど、盛岡から少し南下した北上では、北上川のほとりの桜並木が満開だった。ここは「展勝地」と呼ばれていて、県内でも屈指の桜の名所。
 北上からさらに山地に入ったところにある遠野。ここは『遠野物語』で有名な民話の里で、ワタシも個人的に気にいっている。民話以外にも、最近は高校サッカーやどぶろく特区などでも有名になっている街である。ニキは有名なカッパ渕や縁結びの卯子酉神社にも訪れているけど、ここでクローズアップされているのが、農業体験が出来る民宿「MILK INN 江川」での宿泊。こういう宿泊形態は香港ではほとんどないので珍しいし、自分の食するものがどう生まれてくるのか実際に出来る経験はやっぱり貴重だもんね。

 秋田では田沢湖で秋田犬と触れあい(今タイミングよくハリウッド版忠犬ハチ公が公開されているしね)、みちのくの小京都角館で和服を着て桜を見る。そして乳頭温泉郷で秘湯初体験。横手焼きそばって食べたことないな、食べてみたいな。
 山形では山寺を訪ね、酒田で芸妓さんの踊りを鑑賞。当然、《礼儀師之奏鳴曲(おくりびと)》のロケ地も訪問。最近、舞台となった鶴の湯の閉業が伝えられたので、なくなる前にここに足を運べたのは
ラッキーだったね。

ニキの旅の順番は岩手→山形→秋田→北上して青森だったらしいけど、ここでは春の雪も体験したみたい(とーほぐ人には珍しくないんだけど)。弘前では弘前城の桜を眺め、りんご園でりんごの木のオーナーになっていた(くどう果樹園に行けば、彼女所有の木が見られるぞ)。そして青森で海鮮市場を散策し、奥入瀬で大自然に触れる。

 驚いたのが宮城の旅。かつてドラゴン航空が仙台に就航していたことから、香港人にとっても「宮城=仙台(&松島?)」のイメージが強いのだろうけど、行ったところがなんと石巻と登米と鳴子!(仙台はスルーしたのかと思ったら、後のほうでちょっと寄ったらしい)
 石巻といえば海鮮とお寿司、そして石ノ森萬画館。ワタシは石ノ森章太郎の熱烈なファンなので、ここには何度か足を運んでは、いつも楽しんでいる。彼が原作を手がけた《再造人009(改造人第九号じゃないのか…)》《[巾蒙]面超人》、《小露寶》等のアニメや特撮ドラマの多くは香港でも放映されているので、当然香港人にも懐かしさを喚起させるのだろうなぁ。ところでニキ、003は女の子だからね。念のため。
 石巻の萬画館を訪ねたら、是非とも登米市の旧中田町にある石ノ森章太郎ふるさと記念館にも行ってもらえればよかったと思ったけど、同じ登米では旧登米町にある、まさに東北の明治村である登米明治村教育資料館、警察資料館を訪問。登米は車がないと行けないので、ちょっと行きにくいんだよねー。
 そして鳴子といえば温泉の他にこけし。もちろん、こけしの絵つけにもチャレンジしたようで。

 東北最後の旅は最南端の福島県。猪苗代湖や会津若松などのベーシックな旅と一緒に、老人ホームも訪問していた。香港でも町のあちこちで老人ホームの看板を見かけたけど、日本では郊外型のホームが多いから、珍しいのかな?
 会津若松から彼女が乗り込んだのが、SLばんえつ物語号。東北訪問の後に彼女が訪ねるのが新潟県。北東北から新潟に行くのは大変なんだけど、一般的に山形や福島を旅するときに、一緒に新潟も訪れることが多いそうで、そこから訪問したとのこと。訪問時にはチューリップや菜の花が満開だったよう。桜の花の満開とはまた違う味わいがあるよね。菜の花畑に「愛」と書いてあって感動したようだけど、日本では今、「愛」の字をモチーフとした武将が主役の時代劇が放映されているからね。

 そんな感じでむらのあるダイジェストになったけど(自分の知っているところしか書けないもん)、こういうふうに見てみると、東北地方にも魅力的なスポットはやっぱり多いんだな、と改めて思った次第。
 東北人はプロモーションが苦手と見られるらしいので、国内でもどーしてもマイナーな存在にされちゃうけど(それもあるから今年のこーこーやきゅーでうちの県の代表があれだけ注目されたのかも?)、日本はともかく香港でもこういうステキなところを紹介してもらっているのだから、東北各県の観光局の皆さーん、そのへんを積極的に打ち出して内外的にアピールしちゃっていいと思うよ。それで、韓国よりも香港や台湾方面への呼びかけを積極的に行おうよ(大陸はどーでもいい>こらこら)。そうすれば北海道大好きの某トニーが興味を示してくれて、あわよくば雫石にスキーしにきてくれるんじゃないかななんて期待しているんだけど。
 結局それが狙いかよとつっこまれそうなことを言いつつ、とりとめなく感想を終える次第。

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コメント

前略
  櫻紅酔了をご覧いただき誠に有難うございました。私は今回の番組の日本でのコーディネートを行った者です。Nikiさんとは18日間一台のバスで、東北6県と新潟県の撮影の旅をしました。今回が初対面でしたが、大変快活で何にでも興味をもたれる素晴らしい女性でした。おっしゃるとおり、東北はこれまで素晴らしい観光資源がありながら海外へのPRはいまひとつだったと思います。しかし平成19年から4回、東北観光紹介番組が香港のTV局を通して放送されました。そして、今年の3月に香港で観光調査があり、香港の人が日本で訪れたい地域という設問に対し、東北が北海道、東京に続いて第三位になりました。東北人として大変嬉しいことであり、また手前味噌になりますが、東北紹介番組が多少お役に立ったかと思っております。この番組は香港・澳門・広州で同時放送され、その後オーストラリア、マレーシア、台湾、シンガポールなど華僑ルートに沿って順次放送される計画もあるということです。美味しい食材、素晴らしい自然、暖かい人情、くつろげる温泉・・・の東北地方を世界の人々に紹介し、多くの方々に東北を訪れていただき、友好を更に深めることが私の夢です。東北地方を宜しくお願いいたします。
        草々

投稿: 小林  裕 | 2009.09.18 23:29

 小林さま、コメントありがとうございます。
実際に取材に携われた方からのお言葉、嬉しいです。

 東北に生きる人間として、この地方がもうちょっとメジャーになってくれればなぁ…と思っていたので、香港で《櫻紅酔了》を観て、盛岡の風景を観た時にはビックリしました。
でも、この翌日に帰国したので、観られたのは1本だけでした。他のエピソードも観てみたかったです。日本じゃ放映は難しそうですよね。

投稿: もとはし | 2009.09.18 23:51

早速の返信有難うございます。この番組の日本での放送は残念ながら難しいと思います。今回の番組は7本全てが視聴率20~22%でした。香港の人口は凡そ700万人ですので、視聴率的には980万人に見てもらったことになります。平成19年の「雪映移城」という東北紹介番組を放送した後、日本を訪れた香港の人は35万人が50万人に増加しました。今回も多くの方に東北訪れていただきたいと願っています。先週、香港でNikiさんにお会いしましたが、東北地方を大変懐かしんでおられました。きっと、これからも東北地方を多くの方に紹介してくださるものと思っています。

投稿: 小林  裕 | 2009.09.19 17:10

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