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《戯王之王》(2007/香港)

 香港へ行く前の3月の祝日の話。
 朝起きてテレビをつけたら、当然のようにワイドショーがやっていた。

 うわー、つまらん。と思ってチャンネルを某日本電視台に変えたとき、そこに写ったのは白い砂浜をバックに「沖縄国際映画祭、ひとつよろしくなー」とかなんか言ってはしゃぐ某芸能プロのお笑い芸人たちだった(うろ覚え)。
 おやまぁ、某芸能プロも最近飛ばしとるなぁ。でも一般的な意味での「お笑い」には興味ないし、どーせ自分たちの作品をとりあげて騒いでいるだけでしょ、とその時は冷たくスルーしていたのだが、…まさかこの映画祭に、約1週間後香港のTVで観ることになる《戯王之王》が参加していたとは思わなかったのだ。(チャン・ヒンカイ監督の上映挨拶の記事もあったよ

 黒社会の実力者サムを逮捕すべく、警察は潜入捜査官ヤン(!)を送り込んだが、「演技が限りなく下手だ!」という理由で、サムはヤンを殺す。困り果てた警察の幹部(アン・ホイ、ヴィンセント・コック他)は、黒社会に送り込む捜査官をリン警部(ホイ・シウホン)に依頼。彼は自分の選んだ警官を香港演芸学院に送り込むことにし、部下の陳文龍(ソイマン)に白羽の矢を立てる。彼は昨年度の警察慰労会で最優秀演技賞を受けた男で、それもそのはず、演技が大好きな彼は30過ぎても俳優になりたいという夢を捨てられずにいたのだ。そのせいで文龍は、未だにヒラ巡査であった。
 文龍はイタリアのスパゲッティ芸術学院でオペラを学んだという触れ込みで学院のドラマスクールに編入。同じく途中編入してきたのは三級片で名を売るセクシータレントの単丹(阿Sa)。ドラマスクールのリーダー的存在のアレックス、クラスのマドンナ小曼、演技派のフェリシアなどの若い学生とはそりが合わない彼は、単丹とたちまち仲良くなる。
 ドラマスクールの授業は本格的で、先生たちも厳しい。特に基本動作を教える甘先生(とっつぁん)は、文龍の動きは誇張しすぎだと厳しく指摘する。文龍は学生生活にのめりこんでいくが、同棲する10年来の恋人ジュディとはどんどんすれ違っていく。
 ドラマスクールでは、優秀な学生の主演で『ロミオとジュリエット』を上演することになった。文龍も単丹も俄然はりきるが、結局、主演に選ばれたのはアレックスとフェリシア。ガッカリした文龍に、単丹は友人のボスコが監督する自分の主演映画で、彼女を誘惑するトイレパイプ修理人“渠王”の役で出演するように持ちかける。彼の熱演は三級片業界でも認められる。
 ようやく文龍に潜入捜査の仕事が来た。サム(チャッピー)をマークするために、古惑仔として雀荘に潜り込むが、演技にうるさいサムは文龍の正体を見破る。絶体絶命の文龍を救ったのは、意外なことにアレックスだった。
 潜入捜査に失敗し、さらに自分の出た三級片の海賊版がリン警部に見られてしまったことで、文龍は演芸学院を退学することになる。彼はあらゆる演劇のセリフを諳んじることができる舞台清掃人(秋生さん)と出会い、自分の演技法に決定的にかけていたものに気づく。
 すれ違っていたジュディが人気DJと恋仲になってしまい、文龍は失意のどん底に落ちる。その一方で、単丹にはなんとアラン・マック監督(本人)から出演依頼の要請があり、スターへの道を登ることになる。
 雀荘を経営するアレックスの父(田啓文)のもとに、彼の旧友(林雪)が金をせしめに来る。父親の命が危ないと察した彼は、文龍を呼び出し、彼はクラスメイト達と協力して、現金を横取りすることにする…!

 この春のジョルダーノのショウウィンドウを飾っていたのが、この映画の主演俳優にして人気コメディアン、チム・ソイマンのコラボTシャツ。ソイマンといえば、パン・ホーチョン作品の常連でもあり、特に『AV』でのアダルトビデオ礼賛おじさんは、あまりにも強烈だったもんで、一発で顔と名前を覚えてしまったくらい。一部港影迷にはよく知られた存在であるが、ごめん、ワタシは『AV』でしか知らない。だから、これを買ってみたのである。

 演技についての映画ということもあり、《我要成名》とかぶるところは多いかな。受賞こそしなかったけど、これで阿Saが昨年、金像の主演女優賞にノミネートされていたし。
 ただ、向こうがわりと香港映画の現状を踏まえたシリアス風味を含んでいたのに比べ、こっちは徹頭徹尾ベッタベタなコメディだった。テイストとしては『無間笑』も入っている?だからひたすらお気楽、深刻さは皆無。
 長年の恋人ジュディと別れても、文龍は悩まないし(恋人より演技に夢中ってか?)、せっかく単丹と仲よくなっても、キスすらしない。恋愛ネタそんなに薄くていいんか?
 …いいのか、コメディだから。

 先に書いたように、お笑いにとんと疎いのでよくわからないんだけど、ソイマンって世界の芸人のタイプでいえば、エディ・マーフィみたいなスタンダップコメディアンのタイプなんだろうか?皮肉を利かせたしゃべり芸と言うよりオーバーアクトで笑わしていく印象を受けたので。で、基本的にシモネタはないのね。冒頭の「海洋公園のパンダのうち1頭はもう死んじゃってて、実はボクが潜入してパンダをやっているんだよ~ん」なんていうお子さんとのやりとりが微笑ましかったので。

 そして、色気は全くもってないんだけど、阿Saって意外とグラマー?ってことに今さらながら気がついた。身長もそこそこあるから、実は結構スタイルがいいのかも。って本人を間近で見たことがないので断言はできないが。多少ちゃかしも入っているんだろうけど、実際の三級片もあんなヘンなシチュエーションで撮られているんだろうか?ワタシは女子だから、エロだけメインの三級片はほとんど観たことないので、なんとも言えんのだが。
 ところで、あの“渠王”関係の言葉って、沖縄国際映画祭ではどう翻訳されていたのかな?“超絶倫テクニシャン下水管修理人!お願い、ワタシも貫通させて…”みたいな感じ?あまりエロくないあおりでスマン。 

 こういう“映画の映画”には欠かせないいろんな人たちのカメオ出演は楽しいねぇ。
 ハイレベルな演劇知識を見せる秋生さん(『オセロ』はともかく『エクウス』はあまり馴染みがないもんで)、軽妙な動きが楽しい“香港男優版月影千草”ことエリックとっつぁん(とある場面を観て勝手に考えた)、結局アナタが狂森なんですよね?のチャッピー、ハンサムな文雀のタムさん、まーそーゆー役どころだよな、のサンドラ等、俳優たちも数え上げればきりがない。それに加えてアン・ホイ姐さんの制服姿は決まっているし、ご本人役で登場のアランさんも嬉しい。

 内容が内容なので、徒然なるままに感想を書き散らしたけど、最後にこれだけ。
 共同監督のパトリック・レオンさんは、最近じゃ《絶世好》シリーズで知られる人だけど、赤壁二部作で海洋戦場面の監督としてクレジットされていたので「!?」と思ったんだけど、ウーさんの『ワイルド・ブリット』の脚本を書いており、アーロンが主演してウーさんが製作を手がけた『野獣の瞳』の監督を務めていた人だったのね。守備範囲が広くてフットワークの軽い監督さんだなぁ。

英題:Simply actors
製作&監督:チャン・ヒンカイ 監督:パトリック・レオン 撮影:ウォン・ウィンハン
出演:チム・ソイマン シャーリーン・チョイ アンソニー・ウォン チャップマン・トー サンドラ・ン サミー ジョシー・ホー イザベラ・リョン パトリック・タム フィオナ・シッ ローレンス・チェン ジョー・コック ウォン・ヤウナン チョイ・ティンヤウ デレク・ツァン ホイ・シウホン アン・ホイ アラン・マック フルーツ・チャン ヴィンセント・コック ミッシェル・イエ レイモンド・ウォン ラム・シュー ティン・カイマン エリック・ツァン 

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