アゲイン 男たちの挽歌Ⅲ(1989/香港)
先々週はNHKのBSで、『男たちの挽歌』に始まる“挽歌シリーズ”を放映していた。
ウーさんの新作でもある『レッドクリフ』日本上映を控えての特集放映かな?いや、違うのかもしれないな。普通挽歌というと、ウーさん自身が監督した1と2をさした2部作として語られることがほとんどなのだけど、今回は珍しく、プロデューサーの徐克がメガホンを取った『アゲイン』が放映される。実は観たことがなかったんです、どーもすんません。
続編といいながら、挽歌1の12年前―1974年のベトナムから物語が始まるので、独立した物語としか思えないんだよねー。前日譚だからキャストもユンファ以外は一新されているし、ユンファ演じるマークのサングラスとロングコートの秘密が明かされるといっても、実質上挽歌2部作とはほとんどつながりがないと思える。
でも、これはやっぱりシリーズだよなーと思うのは、ユンファがひたすらホモソーシャル全開であること。梅姐演じる裏社会の女性キットとのロマンスがあってラブシーンしたとしても、前半は彼女に一目ぼれした従兄弟のマン(このころはまだ“トニー・レオン”だったカーファイ)のために気を遣い、後半は彼女のかつての恋人だったホー(当時は24時間戦ってたトキトー。ところで彼の口の動きと広東語吹替が全然あってないというのは聞いてた話だけど、本人はいったいなんて喋っていたのか知りたい)と彼女のつながりに思い悩む(っけか)。恋していても結ばれることにためらいを見せるストイックさも、前2作で見せた義理人情に通じるスパイスになっている。正編で見せるやんちゃさよりも、若さで押しきるように演技していると思ったけど、このときのマークっていくつの設定だよ(笑)。
◎以下はネタバレです。旧作なのでわざわざ断らなくてもいいんだけど、今回はあらすじを書いていないもんでね◎
この作品は監督が徐克なので、ウーさんが不得手とする女性とメロドラマがふんだんに盛り込まれているし、最初の方の学生デモと軍部が街の中で衝突する場面や、香港でキットがホーと面会し、それと同時進行で店を開いたマークたちが狙われる場面を交互に映し出すカットバックも効果的で、80年代の黄金期香港映画の醍醐味を十分に堪能した。
でもやっぱり徐克だよなー、と思ったのが、クライマックスで軍部のボスとマンが一騎打ちをするくだり。傷を負ったマンはマシンガンを抱えて仁王立ちで乱射するし、それに対してボスは戦車で彼を追いまわし、瀕死の重傷を負ったキットを抱えたマークがベトナム人少年チョーパとともに加勢してけりをつけるんだけど、なんかその場面が緊迫すべきなのに妙に楽しそうに撮ってないか?というか、アクションシーンにおける徐克のやりたい放題っぷりってすでにこのときから始まっていたのか(詳しくはこちらで)、と改めて気づかせてくれたのかというか。
実質上“徐克まつり”といえる今月のBS2の衛星映画劇場、火曜から始まるチャイゴー(チャイニーズ・ゴースト・ストーリー)3部作もちゃんと観ようっと。実はトニーが出ているのにもかかわらず、アタクシは3を観たことなかったんですよん。
原題:英雄本色Ⅲ・夕陽之歌
製作&監督:ツイ・ハーク 撮影:ウォン・ウィンハン
出演:チョウ・ユンファ アニタ・ムイ レオン・カーファイ シー・キエン 時任三郎
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コメント
ども、沖野@八戸です。ご無沙汰してます。
夕陽之歌、未見だったんですか? 勿体ない。英雄本色の公開時期はちょうど東京・神奈川に住んでた関係で3部作全てを劇場で見たというのが密かな自慢だったりします。レンタルビデオで人気に火が付いた作品ですからね。
実は3部作の中でこの夕陽之歌が一番好きかもしれない私です。やっぱりアニタ・ムイが出てるからかも。それに私は香港返還と並んでサイゴン陥落というテーマに弱いんです。
ということで、BS2で見終わったあとに直ぐDVDを再生してBS2との字幕の違いをチェックしてました(^_^;)。
ではまた!
投稿: 沖野 雅之 | 2008.10.16 18:39
夕陽之歌公開時はまだ若かったので、劇場で観たことがなかったもとはしです(苦笑)。だって、ユンファ&ウーさん作品を初めてスクリーンで観たのが『狼たちの絆』ですもの。
梅姐のゴージャスさは、まさに挽歌シリーズでベストのヒロインといえるでしょう。彼女なしでは、この作品は成功しなかったかも。そういう意味で、徐克の演出の確かさを楽しみました。
翻訳はここ数年の中国語映画の字幕を手がけられた鈴木真理子さんの新訳ですね。DVD字幕とは確実には違うのでしょうね。
今週放映されていたチャイゴーシリーズでは、1と2は王家衛作品などを手がけた岡田壮平さんが担当していましたが(挽歌2も担当)、多分これも新訳だったんじゃないかという気がしました。
投稿: もとはし | 2008.10.16 23:24