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ミラクル7号(2008/香港・中国)

 『ミラクルマスクマン』の原題じゃないけど、チャウ・シンチー(以下星仔)はまさに“百変星君”な無厘頭コメディアン。21世紀を迎え、本格的に監督としても活動するようになった今は、かつての無厘頭ぶりはおさえめだけど、その分誰にでもわかりやすい、ボーダーレスな作品を作ってくれて、こうして日本でも観られるようになったのだから、それについては喜ばなければ。
 でもね、いくら『少林サッカー』や『カンフーハッスル』が大当たりしたからと言って、どっかの国のテレビ局やまたどっかの国の大手映画会社みたいにドラマの映画版や人気作品の続編で儲けるなんて安全パイをとるほど、星仔は保守的じゃないんだよね。90年代だって、“ゴッド・ギャンブラー”シリーズ以外(参考はこれこれこれ)でも、いろんな物語で笑わせてくれたんだからね。
 だから、『ミラクル7号』で彼が生み出した新たなミラクルにだって、大いに納得したし、大いに楽しませてもらったもんなんだ。

 急激な成長を遂げる中国の寧波。その街に次々と建つ高層ビルの建築現場で働く父ティー(星仔)を持つ小学生のディッキー(徐嬌)は、超ビンボーな生活を送っている。勉強ができなかったことを悔いた父は、ディッキーに最高の教育を受けさせたいと願って、超名門私立小学校に通わせている。ビンボーであるゆえに、ビンボー嫌いのカオ先生(李尚生)には嫌われ、小学生なのに七三分けしている大金持ちの息子ジョニー(黄蕾)とその取り巻きからいじめられてしまう。そんなディッキーをかばってくれるのは、美人のユエン先生(キティ)と、彼に恋するビッグサイズの少女マギー(韓永華)だけだった。
 ある日、ジョニーが最新型ペット型ロボット「ミラクル(長江)1号」を持ってきて、見せびらかしていた。それをうらやましがったディッキーは、おもちゃ屋でティーにロボットをねだる。「嘘はつかず、喧嘩せず、一生懸命に勉強すればビンボーでも尊敬される」といわれて育ってきたディッキーだが、やっぱりビンボーはイヤだったのだ。
 ディッキーの運動靴に穴が開いてしまったので、ティーはゴミ捨て場でせっせと履き古しを漁っていたところ、緑色のボールが落ちているのを見つける。それを拾ったティーはディッキーに与えた。彼はそれを学校に持っていって、「これは最新の“ミラクル7号”だ!」などと調子こくから、またジョニーたちにいじめられる。
 すっかり凹んでしまったディッキーだったが、彼の目の前で突然ボールが変形する。フサフサの頭とスライムみたいに変幻自在なボディを持つその姿はまるで宇宙人のペット。この子に“ナナちゃん(七仔)”と名づけたディッキーは、ナナちゃんのスーパーパワーで大活躍する妄想にふけるが、現実はそんなにうまくいくはずもなくて…。

 なんかねー、星仔って40過ぎてもずーっと子供なんじゃないかって思っていた。
 何かにつけ結婚結婚と言われるトニーと違って、カレン以来浮いた噂がない(爆)ってことや、先日の香港レジェンドで『ゴーストバスター』や『ゴーストハッスル』のような無厘頭コメディを観続けていたからってこともあるし、気難しそうな彼の奥さんになるのは大変そうだな、(自分は確実に無理!)って思ったもんだけど、結婚してなくても父子愛って描けるじゃないか、てゆーか星仔、実は子供好きなんじゃん?なんて改めて思ったのよ。
 息子を愛してやまない愚直なティー。あまりに愛しすぎちゃってそりゃねーだろ?と思わせられることもあるが(超名門校に入れるとかね)、金持ちじゃなくて尊敬される人間になってもらいたいと願うのはどこの親も同じだし、狭すぎる部屋で二人が抱き合って眠る場面に思わず目が潤んでしまったよ…。

 この親にしてこの子ありで、ディッキーもまた愚直な少年。でもビンボーであってもやっぱりみんなと同じものが欲しいし、父親の言いつけを守ってしまう。腕白であって反抗的でもあるこの年代らしい子供だ。そんな子供だから、父親ともつい意地を張り合ってしまう。そのわだかまりがあって、父親がああなってしまったとなれば(以下ネタバレになるので略)、確かにショックは大きいはずだよな…。

 そんな二人の元にやってきたナナちゃん。そりゃさー、宇宙からあんなに派手にやって来れば、大きな期待をかけられちゃうのは仕方ないよね。たとえウン○をひりだそうとも。結局、不思議なものには頼らずに、自分の道は自分で開けってことなんだよね。ま、そんな“使えねー”子であっても、密かに活躍してそれが報われるのだから、存在意義はあるんだけどね。もしかしたら、ナナちゃんは宇宙人が親子に与えた試練なんじゃないか、って思った次第。そのへんが描かれていないから、いろいろ想像を働かせられるよね。
 最初、「なんだこれは?」と思ったナナちゃんの造形なんだが、動くと確かにカワイイ。『喜劇王』からの流用という百面相場面は楽しかったもの。ディッキーの胸に収まったラストの“あの姿”に至ってもかわいらしい。日本でグッズを作らなかったのはもったいないよ。

 若い頃は確かにトニーに似ている…と思った星仔も、年を増すごとにトニーとはタイプの違ったハンサム(自分でイケメンと言ってはいけないよ。苦笑)になってきている。それが嬉しい。それに加えて、今回は労働者の哀愁を漂わせた姿がよい。来年の金像の助演は狙えるかもよ!…って助演かよ!って星仔に怒られるかな。
 もっとも、今回は子役たちが主役。ディッキー役のチャオチャオ始め、メインの男子は女子が演じているわけだけど、こうでもしなければ案外子供らしさが出せなかったんじゃないかな。男子が演じたマギーも思った以上に愛らしくてけなげでしたよ♪
 キティ小姐は『少林ラクロス』よりこっちの方を先に観たかったよ。美人だし、このところの星仔映画のヒロインにしては美味しい役なんだけど、…実質上のヒロインはチャオチャオだもんね(苦笑)。あと、今回初めて例のメガネ君(トレパンを深ばきする体育教師役のフォン・ミンハン。『少林サッカー』のスパナを持って戦うサッカーチームキャプテン&『功夫』での市電の乗客)の名前を知ることができたのは嬉しかった。

 で、今回一番の心配は、吹替版でどこまで楽しめるかってことだったんだが…、まー、9割方は楽しめました♪もーちょっと翻訳考えようよって思ったところが多少あったのが残念だけど(どこだかは言わない)、声優さんも星仔と言えば山ちゃんを始め、ディッキーを演じた野原しんのすけこと矢島晶子さん(実は子役だと思っていた。もちろんしんのすけとも全然違うんだからすごい!)、ジョニーを演じたラピュタのパズーこと田中真弓さんなど、素人タレント抜きで芸達者な皆さんが熱演していたのだから、あんしんできるわけなんだけどね。
 …あー、それでもやっぱり広東語で観たい。仙台に行って字幕版観るかな。
 …それでも、チャオチャオの生声聞きたいから北京語でも観たい。香港でVCD買うかな。

 実はもーちょっと書きたいんだけど、あまり長くなるのもなんなので久々に別記事で。

原題(英題):長江7号(CJ7)
監督&製作&脚本&出演:チャウ・シンチー 製作:ハン・サンピン 共同脚本:ヴィンセント・コック 撮影:プーン・ハンサン 美術デザイン:オリヴァー・ウォン 衣装:ドーラ・ン 編集:アンジー・ラム 音楽:レイモンド・ウォン
出演:シュー・チャオ キティ・チャン ホアン・レイ リー・ションミン フォン・ミンハン ヤオ・ウェンシュエ ハン・ヨンホア ラム・ジーチョン

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