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ドラゴン・キングダム(2008/アメリカ)

 オタクなクリエイターが作品(特に映画)を作ると、そこには原作や元ネタへの愛とリスペクトが見える。オタクな観客もそれを感じ取ることで、その作品を大いに楽しむことができる。中華電影だと星仔の監督作品やジョニーさんの『柔道龍虎房』、欧米電影だと“指輪三部作”なんかそうかもしれない(欧米のオタク監督といえばクエタラもなんだが、いくら映画に愛満載でも取り上げるネタがとんがってレアすぎるので、同じオタクでもどーも彼にはついていけない)。原作や元ネタにそういうものが感じられずに作られた映画には、落胆させられるのはもちろん言うまでもない。(ディパとか日本の傑作マンガの安易な映画化作品群など。後者はあまりにも多いので具体例を出しません)

 そう考えれば、往年の香港武侠&カンフー映画は、まさにオタク好みのテイストが満載だ。先月の「香港レジェンド・シネマフェスティバル」で過去の作品にいくつか触れ、「うおー、なんてディープなのー」と驚かされたのであるが、「香港映画=成龍作品」という固定観念がすっかり出来上がっている日本のパンピーじゃなくても、これらの作品を観れば、確かに「香港映画=カンフー」という図式が鉄壁なのは頷くしかないのね、と思ったものであった。…まー、個人的には非カンフー映画の方が好きではあるんだけどさ。

 そんなカンフー映画の両巨頭として世界に名前を轟かせるのが、成龍さんことジャッキー・チェンに、リンチェイことジェット・リー。その二人ががっぷり4つに組んで(この表現で問題ない?)主演を張ったのが、“功夫之王”こと『ドラゴン・キングダム』である。

 南ボストンに住むカンフーオタクの高校生、ジェイソン(マイケル・アンガラーノ)はある日、孫悟空(リンチェイ)が大暴れする夢を見て目覚めた。チャイナタウンにDVDを物色しに出かけた彼は、ホップという名の老人が経営する雑貨屋で、少林寺の戦士が持つという長い棒を発見して興奮する。買い物からの帰り、ジェイソンは不良のグループに絡まれ、ホップの店の襲撃に荷担することになってしまう。ホップは棒を構えて応戦するものの、ギャングの凶弾に倒れてしまう。それを止められなかったジェイソンは棒を持って逃げ出すが、ギャングたちにビルの屋上まで追いつめられ、転落してしまう…。
 気がつくと、棒を携えたジェイソンは見知らぬ土地で見知らぬ人に見つめられていた。彼が飛び込んだのはなんと伝説の時代の中国。一息つく間もなく軍部の襲撃に巻き込まれ、絶体絶命の危機に立たされるが、彼を救ったのは、酔拳の使い手である酔いどれの道士ルー・ヤン(成龍さん)だった。
 彼の持つ棒に気づいたルー・ヤンは、ジェイソンに驚くべき事実を告げる。それは孫悟空の武器である如意棒だった。500年前、彼が翡翠帝の目覚めの場でやんちゃをした際、それに怒った帝付きの将軍ジェイド(コリン・チョウ)の策略によって如意棒を失い、石に変えられてしまったのだ。それから500年間、将軍は人間世界にも圧政を強い、人々は苦しんでいて、自分たちを救う悟空の復活を願っていたという。ルー・ヤンはジェイソンに、この如意棒を五台山にある宮殿で石の中に縛められている悟空に届けなければいけないと告げ、二人は旅に出ることになる。
 如意棒がこの世界に戻ってきたことは、将軍の知るところとなり、部下の白髪魔女(リー・ビンビン)率いる軍隊が二人を追いかける。途中、彼らは簪を操って戦う女性剣士金燕子(リウ・イーフェイ)と、棒を求めて旅を続けていた少林の黙僧(リンチェイ)と出会い、共に五台山を目指すことになる。カンフーの知識はあっても全く実戦経験がない完全なるオタクのジェイソンは、ルー・ヤンと黙僧の師事を受けて自らを鍛えていく。
 五台山までもう少しと迫ったところで、4人は白髪魔女の襲撃を受ける。なんとかその場から逃げ出したものの、ルー・ヤンが彼女の弓を受け、瀕死の重傷を負ってしまう。道士ではあっても不老不死ではない彼の命は風前の灯。命を救うには宮殿にある帝の聖水を手に入れることしかない。ジェイソンは黙僧や金燕子の制止を振り切り、如意棒を片手に宮殿に乗り込み、将軍と対決することになる…。

 思ったより楽しかったですよ。
 ノリとしてはエログロ抜きの『魔界転生』(by山田風太郎)とか、横山光輝原作の『ジャイアントロボ』アニメ版(全部観たってわけじゃないが、横山キャラが総出演する話らしいので、中国が舞台のひとつ&孔明や張飛が登場するらしい)とか、ゲームのスーパーロボット大戦みたいな感じ?(いくらよく知らないからって、中途半端に例を挙げるなよ)
 孫悟空はいいとしても、それに不死身の道士や白髪魔女や金燕子が絡むし、ファンタジーの王道“行きて帰りし物語”でまとめるんだから、オタク的ではあるよなー。荒唐無稽さがいい意味で効いたってことか。
 ま、成龍さんとリンチェイのバトルが見られれば、そんな仕掛けはいらんと思っちゃうのかもしれないけど(こらこら)。あ、このバトルについてはいろんな人が語ってくれるので、アタシは特に書く必要ないよね?(こらこらこらこら!)見ててワクワクしたってだけで十分よね。

 というわけでキャラクターについて。
孫悟空を演じるのは当然リンチェイ、か。最初パツキン&髷を結った長髪での登場に「え?」とビックリし、孫悟空ゆえに落ち着きなくハッチャけたキャラに再び驚き、なんかリンチェイと違うなーと思ったんだが、しばらくして慣れてきた。リンチェイというとストイックというイメージが先行しちゃうので違和感があったんだろうけど、誰が演じてもこの役は確かに楽しいよ。それでも某しんごくう(苦笑)よりは100倍ハマっているんだから、さすがよねー。ほぼ二役状態で演じた黙僧も、酒はかっくらうはホーニョー(まぁお下品)するわ、意表を突いたキャラクターで魅力的だった。
 成龍さんの酔いどれ詩人(ブコウスキー?…そういうボケはやめよう>自分)、黄飛鴻じゃなくオリジナルキャラなのか?まー、黄飛鴻は実在の人物だから、ファンタジーに登場させちゃいけないよね。しかし、蓬髪といいボロボロの衣装といい、『楽園の瑕』にそのまま出られそうだと思ったのはワタシだけだろうか?
 金燕子(ゴールデン・スパロー…って、ツバメならスワローじゃないの?スパローならスズメじゃん)は『大酔侠』『大女侠(ゴールデン・スワロー)』でチェン・ペイペイが演じた役…なんだが、未見ですすんません。 ペイペイ姐さんを知らない身でも、やっぱり武侠ヒロインでも線が細いかなーという気がするんだが、それはしょうがないのかな。
 チャイナタウンのシーンでレスリー&ブリジットの『白髪魔女伝』のパッケージが出てきて「わーい♪」と嬉しくなってしまったのは言うまでもないのだが、リー・ビンビンが演じた白髪魔女は…ブリジットのような色気や凄味がないのが残念だわー。それなりにアクションも頑張っていたんだけど、やっぱりブリジットの印象が強烈なもんで。
 コリン・チョウ演じる将軍。アイシャドウ濃いぞー、ってありがちな突っ込みにてスマン。そして唯一の西洋人であるジェイソンくん。…ヘタレなキャラってーのはお約束だからこんなもんだな。

 しかし、この二人の本格的共演、やっぱり香港映画で観たかったよなぁ…。 

原題:The Forbidden Kingdom
監督:ロブ・ミンコフ 脚本:ジョン・フスコ 撮影:ピーター・パウ 武術指導:ユエン・ウーピン
出演:ジャッキー・チェン リー・リンチェイ(ジェット・リー) マイケル・アンガラーノ リウ・イーフェイ リー・ビンビン コリン・チョウ  

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