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チャウ・シンチーのゴーストハッスル(1990/香港)

 『ミラクル7号』のパンフに、星仔のフィルモグラフィーが掲載されている。完璧かどうかは定かではないものの、それを見て改めて確認したのは、星仔が最も活躍したのは1990年から95年にかけてだったということだ。この時代、日本ではかろうじてユンファやレスリー、そしてトニーが紹介されるようになり、95年の『恋する惑星』日本公開をきっかけに香港ブームが始まるのだが、そんな時代でも星仔の作品が大々的に紹介される機会はなきに等しい状態だった(と言っても『0061』や『マッドモンク(魔界ドラゴンファイター)』、『チャイニーズオデッセイ』2部作は小規模公開されている)ことを覚えている。星仔、もといチャウ・シンチーが日本人に認知されるのは、それから『少林サッカー』まで7年待たなければいけなかったのだ。

 ワタシが星仔の名前を初めて知ったのは、1990年の台湾。 
 そのころ、すでにユンファは病気のために休養しており、台湾で公開されていた映画もチャイゴー2を始め、そのパク…もとい類似作品『チェイス・フロム・ビヨンド』などくらいだった。そんな時、街のレンタルビデオショップに貼られたポスターに「周星馳」やら「賭聖」やら「賭侠」という文字が躍っている。さすがに当時は香港電影迷じゃなかったので、広東語どころか北京語にも自信がなかったので手を出さずにいたのだが、帰国してアジア映画関係の資料を調べてみたら、どうやら香港では、チャウ・シンチーというコメディアンが映画界を席巻しているらしいということが改めてわかった。その後、何度か台湾に足を運ぶごとに、その名は大々的になっており、93年の「People」国際中文版では、四大人気俳優にランクインしていたのも覚えている。(あとの3人は成龍さん、ユンファ、アンディだったっけ)そんなふうに名前を知ったのは早かったものの、映画自体は『0061』が初見だったので、…今思えばもったいないことしたな、という気もするのだった。
 その頃に星仔が出演し、香港映画界のマネーメイキングスターへの階段を駆け上り始めた頃の作品が、香港レジェンド・シネマフェスティバルの個人的オーラスとなった『チャウ・シンチーのゴーストハッスル』である。あいかわらず前振り長くてすんません。

 麻薬課の警部ピウ(トン・ピョウ)は、相棒のカム(スタンリー・フォン)と共にパトロール中、麻薬精製工場を発見する。カムを見張りに立てて勇敢にも一人で工場に潜入したピウだが、奮闘も虚しくあっけなく殺されてしまう。
 マルコス大統領(!!)やチャウシェスク大統領(!!!)と並んで霊界の裁判所に行ったピウだが、人間界では自分が殉職したどころか借金苦で自殺したということになっているのに大ショック。自分を殺した犯人が捕まっていないことを知った彼は、真犯人を突き止めるために裁判官を買収して霊体のまま地上に戻る。身体に赤いあざを持つ人間を探せと教えてもらったピウが見つけた自分の協力者は、お調子者の新人警官シン(星仔)。シンは都合のいいことに麻薬課に配属され、相棒を失ったカムとコンビを組むことになる。
 ピウは捜査でドジばかり踏みまくるシンを助けてやり、シンは麻薬課でも頭角を現す(?)。そんなある日、捜査の中でシンはCMタレントのユイ(ビビアン・チェン)と知り合い、彼女に一目惚れする。しかし、運の悪いことに彼女はカムの一人娘。相棒であるシンの軽さを快く思わないカムは、溺愛するユイに彼氏を作らせたくない。そこでピウはシンの恋愛成就を、自分の殉職事件について調べることと条件として手伝ってやることになる。
 シンとユイの交際は順調に進む。しかし、カムは二人の邪魔ばかりする。シンはカムにピウが幽霊になって下界にいることを告げるが、それすらも信じようとしない。先祖信仰に厚く、道士でもあるカムがご先祖に相談すると、先祖は彼に呪符を授けて、ピウを閉じ込めるようにカムに急かす。しかし、それは力のある道士を味方につけた真犯人の罠だった…。

 『ポリス・ストーリー』の署長さん役としても知られるトン・ピョウさんの大活躍(スタントバレバレじゃん!と言いたくなるアクションシーンあり)や、突然道士になってしまう(?)スタンリー・フォンさん、セクスィー度がハンパないエイミー・イップ(イップ・チーメイ)など、味わいのある脇役たちによる80年代ノリを保ちながらも、その後の星仔のハジケっぷりの凄さを充分に感じさせてくれる作品。王晶パパ王天林さんも今よりちょっと若くて、登場場面も楽しかったなー。
 星仔ったらめっちゃ若い!当時28歳のはずなのに、顔がまだ小僧だよー(笑)。個人的には今の銀髪のクール顔星仔の方が好みなので、小僧の星仔にはひかれないんだが、時々横顔がトニーに見えるのに参った(苦笑)。同い歳(&同じ誕生月で5日違い)だし、幼馴染だし、ね~ぇ。

 観客を笑わせようとギュッと凝縮されたギャグに、当時の世界&香港の情況を織り交ぜ、今観てもその当時はこうだったと確認することができるような作り(もちろん、当時はそんなことまで考えてはいなかったんだろうけど)もとっても楽しい。これは大陸や世界を見据えすぎてしまって、自ら自由な作りを制限してしまっているような気もしないでもない今の香港映画にはない魅力なのではないだろうか。
 もちろん、『香港ラバーズ』やこの映画の時代に帰れといっているわけではないけど、例え対象が香港&広東語ローカルであっても、全世界であっても、香港映画のくっだらない面白さ(注・誉め言葉です)は理解してもらえるのだから、そういう流れもあるべきだと思う。…でも、やっぱりそれも過去のものになってしまったのかな。
 それでもワタシは香港映画を見捨てたくないけどね。
 
 あー、すみません、最後はなんかおセンチになっちゃったよ。せっかくの星仔映画なのにね。
 最後に蛇足的意見。先に観たのが『チャウ・シンチーのゴーストバスター』で、これが『チャウ・シンチーのゴーストハッスル』。邦題、思いっきり紛らわしいです!それにいくら90年代黄金期の映画を持ってきたとはいえ、邦題まで90年代ビデオっぽくするってのもいかがなもんなんでしょうか。そのへんがちょっと惜しかったです、はい。生意気言ってすみません。

原題&英題:師兄撞鬼(Look out,officer!)
監督:ラウ・シーユー 撮影:ウォン・マンワン 音楽:チョウ・カムチュン
出演:チャウ・シンチー トン・ピョウ スタンリー・フォン ビビアン・チェン エイミー・イップ ウォン・ティンラム

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