« ラウチンに始まり、星仔に終わった2日間 | トップページ | チャウ・シンチーのゴーストバスター(1995/香港) »

ファイヤーライン(1996/香港)

 ジョニーさん&銀河映像の映画には、いわゆる“お仕事もの”と呼べるジャンルがある、ような気がする。代表的なものは『PTU』。ナイホイさんの『アイ・イン・ザ・スカイ』もまた然り。今から12年前(!)に製作された『ファイヤーライン』も、銀河映像お仕事映画系列の一つといえるのかもしれないな。

 九龍北東部にある慈雲山消防署。香港で最年少のチーフ消防士(ラウチン)を擁するこの署は、署の食堂で発生した食中毒のために、弁当持参の新人消防士ホーイン(レイモンド)を除いた全員が救急病院に担ぎ込まれたり、ベテランのフォン署長がエレベーター事故で再起不能になるなど、いつも予測不可能のトラブルに巻き込まれることで、香港中の消防士から“悪運部署”と呼ばれていた。
 フォン署長の後任として、若きエリートの張文傑(中信)が配属される。完璧主義のチョンと、現場第一主義で向こう見ずなチーフはことあるごとに衝突するが、彼らの対立を横に、慈雲山署の面々は日々火災の消火やレスキュー活動に追われている。
 ある日、自殺騒ぎのために出動したチーフは、騒ぎを起こした当人が救急病院の医師アニー・チャン(カルメン)であることに気づく。食中毒とフォン署長の手術のために訪れた病院で彼をアニーを見かけていて、彼女が同僚の医師と恋愛上の揉め事を起こしているのに気づいたからだ。チーフはアニーをなんとか救い、彼女にほのかな感情を抱くようになるが、どうしても気持ちを打ち明けることができない。
 チーフだけでなく、他の隊員もプライベートでそれぞれの事情を抱えている。署長はかつての妻から他の男と再婚するから娘を引き取ってほしいと言われて苦悩する。既婚者のロー隊長(ルビー)は子作り目的のセックスを拒みたいのだが、自らの妊娠を知って動揺する。しかし後日、土中に生き埋めにされた赤ん坊のレスキューを担当したことで、彼女の気持ちに変化が訪れる。
 郊外の古い繊維工場で放火火災が発生した。最大級の大火事に、香港中の消防署に出動要請がかかる。工場内に閉じ込められた人々を救うために、チョン署長、チーフ、ロー、ホーイン他慈雲山署の6名が建物に侵入するが、大爆発が起きて彼ら自身が閉じ込められてしまう…!

 消防士を題材とした映画やドラマといえば、お馴染みの『バックドラフト』や韓国の『リベラ・メ』だったり、日本ではマンガをドラマ化した『め組の大吾』や『火消し屋小町』が思い浮かぶ。主人公は消防士なのに、まったく火事が出てこない『119』って映画もあったっけ。
 消防士たちの公私様々な事情や事件をつなぎ合わせて、クライマックスの大火災へとなだれこんでいくストーリーテリングは、やはりスペシャリストを主人公にしている米国ドラマ『ER』っぽい。後年の作品では一つの事件をじっくり描いているジョニーさんにしては、珍しい構成のような気が…と思ったけど、そうでもないか。無鉄砲な熱血漢、クールなエリート、無邪気な新人、仕事と夫婦生活の板ばさみに悩まされる女性隊員の4人による群像劇の形式もとっているので、それぞれ感情移入しやすくてよい。その物語展開があるからこそ、クライマックスで本物の火をふんだんに使った大火災のエピソードにドキドキしてしまう。確か『バックドラフト』の時にはすでに火災シーンでCGが使われていたと思ったけど、やはりCGの炎だと緊迫感が出ないよな。この場面でスタッフやキャストに火傷を負った人などいなかっただろうか?と心配になってしまうくらい迫力があった。

 キャストについて。…なんかオトコマエなんですけど、ラウチンが!彼によく似ている日本の某歌手よりハンサムに見えるんだけど、気のせいじゃないよね?そのオトコマエが炎に映える。かかかカッコいい…、としか言えない(笑)、いつものジョニー親分映画への賛辞を、今回はラウチンに与えたい。
 たしかラウチンと同い年のはずなのに、ここでは年上で上司を演じている中信さん。相変わらずの三角眉毛がキュートでいかにもな堅物エリートだけど、私服のセンスが全然エリートじゃねーぞ。ジャケットを羽織ったりしなくてもいいんだが、せめて半袖ワイシャツ(カラー可)か白いTシャツにしようよ、昔の彼女と会うときにはさ。
 カルメン、久々に観たなぁ…。華がないのは仕方ないか。それを言ったらルビーもなんだが。女性に華がないのは相変わらずなのね、親分。
 これがデビュー作だというひよっこ消防士を演じたレイモンドくん、父親が大好きな若者っぷりはなかなかかわいい。実際にこんな若者くんいそうだな。

 手に汗握ったり、大いに笑わされたり(一番の笑いどころはあの場面&雑務スタッフとしてクレジットされた林雪でしょ!)、ちょっとしんみりしてみたり。最近すっかりクールになってしまった親分だけど、こういう作品もまた作ってくれないかな、なんて思った。観られてよかったな。

原題&英題:十萬火急(Lifeline)
監督:ジョニー・トー 製作:モナ・フォン 脚本:ヤウ・ナイホイ
出演:ラウ・チンワン アレックス・フォン カルメン・リー ルビー・ウォン レイモンド・ウォン ラム・シュー

|

« ラウチンに始まり、星仔に終わった2日間 | トップページ | チャウ・シンチーのゴーストバスター(1995/香港) »

映画・テレビ」カテゴリの記事

香港映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/14197/41700080

この記事へのトラックバック一覧です: ファイヤーライン(1996/香港):

« ラウチンに始まり、星仔に終わった2日間 | トップページ | チャウ・シンチーのゴーストバスター(1995/香港) »