たとえ、最近のかの国のやり方が許せなくても。
大学4年のとき、就職活動をなげうって大陸に短期留学したことがある。
すでに台湾とアメリカに留学していたのに、社会人になる前に大陸に行かないのはもったないと思ったからである。
行き先に選んだのは四川省成都市。
当時人形劇から三国志にハマっていたワタシは、北京や上海ならいつでも行けるから、このときでしかいけないところへ行こうと思っていたのだ。
短期留学が楽しかったかといえば、決してそうではない。
嫌なことがたくさんあった。
そこで起こったある事件のために、ワタシはしばらく中国人不信になり、後に中国関係で就職することを完全に断念した。その事件やストレスで後半は完全に体調を崩し、一緒に参加した人々に多大な迷惑をかけてしまった。
しかし、いい思い出がないのかといえばそうではない。
無理を押して出かけたチベットのラサや、渋滞に巻き込まれながら10時間近く車に揺られた、遺跡で有名な大足や恐竜の巨大遺跡を擁する自貢(いずれも四川省南東部、重慶のほうが近い)への旅行は、驚きの風景や市井の人々のありふれた暮らしを見せてくれることで、中国不信どころか自己不信にまで陥ったワタシの心を癒してくれた。ゆるやかな川の流れが美しかった都江堰、後に『風雲』を観たとき、「ああ、この大仏ってもしかしてあそこか!」と思い出した大仏で有名な楽山の旅も楽しかった。
特にラサではワタシの英語を必死に聞いてくれた、英語とチベット語しかできない若いガイドさんや、当時亡くなって間もなかったパンチェンラマの袈裟を見せてくれて、中国語で丁寧に説明してくれた寺院のお坊さんが印象的だった。
そんなこともあったから、もちろんチベットで起こった暴動でその時の人々がどうなったのか不安になったのは言うまでもない。しかも、18年前のラサ暴動がまだ記憶に新しかったから、なおさらである。
そればかりではなく、いい思い出も悔しい思い出もいっぱい詰まった四川で、こんな大地震が起こってしまったことにも、同じように心を痛めているのである。
確かに、年明けのギョーザ事件から、いや3年前の反日デモ報道あたりから、中国に対する日本人の不信感はどんどん大きくなってきただろう。中華趣味のくせに大陸が好きでないワタシだが、やはり同じ中華文化圏として大陸ははずせないし、国際的な存在がますます大きくなっているわけだから、無視するわけにはいかないだろうと思っていた。
だから、ネットのいろんなところで飛び交う中国への批判もただ眺めるだけにして、どんなひどい意見があっても、何も言うまいとしていた。それが、エンタメの批判にこじつけられてもだ。反中派な方には中国行ったことないくせに知りもしないでつべこべ言うなよなどと暴言を吐く以前に、ネットなら検索すればすぐ調べられるんだから、頼むから同じ中華圏でくくらないで香港や台湾のことをよく調べてほしいと思うことがたびたびあった。それでも言うことを我慢した。
しかし、某サイトのコメントつき記事(あえてリンクせず)には閉口したな…。
一番支持を受けていたのは「いくら中国が嫌いでも、こんなときに不謹慎なことは言うな」といったようなコメントだったけど、その下を見ればざまみろ的コメントだって散見される。見ていてつらい。(そーゆー匿名発言は気にせずにスルーすべきだっていうのはわかってるんだけど、どうも気になるのだ。ああ、悲しい性だ)
確かにここ15年来、阪神大震災など日本で頻発した大地震を中国ネチズンや中国の一部マスコミがネタにして面白がったりあげつらったりしたこともあったというが、同じことを日本ネチズンがやっちゃいけないだろう。それこそ同じ日本人として恥ずかしいよ。もちろん「中国人は助けても感謝しないのが当たり前だから助けな(以下略)」なんていうのも論外。
災害はいつ起こるかわからないものだが、それは人間が必ずしも防げるものとは限らない。傷ついて苦しんでいる人たちは助けてあげなくてはいけないでしょ。
被災地は内陸の田舎であり、交通手段も分断されていると聞くが、確かにあそこでは…と思い当たることだってある。
省都である成都の被害も気になる。留学時によく足を運び、川本喜八郎氏による諸葛孔明像のレプリカがあり、7月に『レッドクリフ』のプレミアが行われる予定の武侯伺や、詩人杜甫を祀った杜甫草堂はどうなっているのだろうか。パンダ飼育で有名なあの臥龍も、連絡が取れないそうだ(リンクfrom読売新聞)。→追記:連絡ついたらしいです。とりあえず無事らしい。
トラブル続きの中国だが、この際あの国のやり方が許せないとか、あの国の人々が嫌いとか言っている暇はない。
嫌いなヤツでも、そいつが困っていたら助けてやる。
人として、それは当たり前だろう。
日本赤十字社では明日から義援金の募集も始まるようだし、信頼している地元のキリスト教団体も義援金を募集するだろうから、そこで協力しよう。
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