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《何必有我》(1985/香港)

 カンヌやら身辺多忙やらで間があいてしまったが、久々に“四川大地震一人チャリティ映画祭”を再開。本来ならワンチャイ2なんだが、字幕なし北京語吹替に挑むにはしんどい状態なので、ワンチャイ1で肉屋の榮を演じたケント・チェン監督作品《何必有我》を鑑賞。
 おお、ブレイク直前のユンファが若い!そして新藝城(シネマシティ)製作か!時代だなぁ…。

 ココ(オリヴィア・チェン)はソーシャルワーカー。上司である周主任(ユンファ)とは恋人同士だが、どうも部下としては認められていないような気がするし、家に帰れば同居するおばあちゃんのもとに、離婚して出て行った父親(朱江)がカネを無心しに来ている様子なのが気になっている。ココの母親は新しい夫(とっつぁん)との再婚を控えていて、オーストラリアに移住しようとしていた。
 主任に仕事を認めてもらいたいココは、生活調査のために訪れた郊外の村で、知的障害を持つ肥猫(ケント)という男と出会う。彼は村のドラ息子吉少(フィオン)たちにいじめられてはいるが、大体の子供たちとは仲がよく、豆腐花やボートハウスの経営で生計を立てている母親と一緒に暮らしていた。親子の貧しい暮らしぶりに胸を痛めたココは、二人の生活保護を申請し、毎日のように村に通っては彼らの生活をサポートした。やがて、肥猫はココを姉のように慕い始める。
 しかし、肥猫の母は子宮ガンに冒されて死んでしまう。母を失った肥猫はすっかり沈み込んでしまうが、吉少に母親を罵倒されたことで逆上してしまい、彼を痛めつけただけではなく、包丁を手にバラック小屋にろう城してしまう…。

 パッケージ(以前のサークル仲間からVCDをもらった)こそサスペンス調なんだが、これはもちろん香港映画お得意の誇張(苦笑)で、実際の内容は社会派ドラマ。ユンファの出番もそれほど多くなく、いわゆるヒロイン的役割。ベッドシーンもあるし、白ブリーフはわかるとしてもなぜか白靴下を履いたままでラブシーンするし(爆)。

 物語としてはよくある話であり、ラストがいきなりサスペンスになってしまうのはお約束なんだろう。しかし、たとえフィクションとはわかってはいても気になるのは、だいたい25年前の香港における知的障害者の扱いって、ホントにこんなもんだったんだろうか?ということ。日本の特別支援児教育(って今は言うんだっけ?)の状況についてわかっているので、ここまでひどい差別や扱いはないだろうというのは理解できるんだけどね…。まぁ、昔の映画だからな。

 そんな中で印象的だったのが、肥猫のファーストシーン。仲よしの子供がかわいがっていた小黒という犬が死んでしまい、子供たちと一緒に丘で小黒を埋葬してあげるという場面なんだが、それが彼の母親の死の場面につながっていく。最初は小黒の死も理解できなかった肥猫は、飼い主の少年の悲しみに触れて愛するものが死ぬことの哀しさを知る。やがて、彼の母親が死んだ時、最初はそれも理解できなかったものの、小黒の死を思い出して、大きな悲しみに襲われる。そして、その感情が彼を支配してコントロールできない状態にさせてしまうのが、なんともやるせない。

 こんな感じでへヴィな作品ではあるのだが、さすが香港なので終始暗ーい作りにはしない。適度に笑いを入れるのも許される。巨体に天真爛漫さを秘めた肥猫がいきなり「Thanks, thanks, thanks, thanks, Monica~」とか「Sayo~nara~」などと歌いだす場面は、やっぱり笑えちゃうしね。

英題:Why Me
監督&出演:ケント・チェン 製作:レイモンド・ウォン 音楽:クリス・バビダ
出演:オリヴィア・チェン チョウ・ユンファ チュウ・コン シン・フィオン エリック・ツァン

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