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2008年4月

アニー・リウがNHKドラマに出るぞ!

 少林ちっさくない20代女子、もとい『少林少女』を観て、改めてこの映画を作った富士電視台は好きになれないなーと思った次第。この電視台、金城くんやケリーやフェイを連ドラに起用したりして、香港(というか中華圏)に目を向けてくれていたんだけどね。ま、民放なんて観なくても生きていられるからいいんだ。
 こんな調子だから、民放のドラマはまったく観ていないが、最近のNHKのドラマはかなり面白いのでよく観ている。去年は土曜ドラマの『ハゲタカ』にハマったし、この春までやっていた朝ドラ『ちりとてちん』も大好きで、毎朝録画しながらずっと観ていた。

 NHKドラマといえば、かつてはマギー主演の『ホンコン・ドリーム』があったり、範囲を広げればかの『大地の子』があったりと、中華圏とも縁が深い。さらに土曜ドラマではピーター・ホーの『上海タイフーン』出演が決定しているけど、主演の木村多江さんの妊娠・出産により製作中断。多江さんは無事お子さんを出産したとのことで、そろそろ撮影も再開されたんだろうか?
 で、 NHKドラマホームページを見ていたところ、なんとリンク先のニュースで香港電台(RTHK)との合作ドラマが製作されるということを知った。日本側の主演は成宮寛貴くん、そして彼と共演するのが『姐御』『出エジプト記』のアニー・リウ!さらにアニーのお母さんが“豚小屋砦の小龍女”こと元秋さん、おじいちゃんに午馬さんだよ!
 香港に家出した(!)讃岐うどん屋の息子と、立ち退きを迫られた実家の粥麺屋を救おうとする若手ファッションデザイナーが出会い、祖父が得意とした魚旦粉を復活させるべく、日本と香港を往復する(もちろん恋愛あり)という物語らしい。45分サイズらしいので、この春から始まったドラマ枠で来年春に放映されるんだろうか?

 香港側もなかなかのメンツだし、このへんのキャストが出る映画を観るチャンスが減ったので、とりあえず楽しみにしているかな。なお、このドラマは香港先行放送だとか。

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少林少女(2008/日本)

「オマエのやっているのは少林拳の『型』だけにすぎない」

 これは、『少林少女』のヒロイン、桜沢凛(柴咲コウ)に対して、元彼女の師匠であった中華料理店の店主岩井拳児(江口洋介)が言い放った言葉。
 この言葉の「少林拳」を「カンフー映画」に変え、この映画を企画・製作した富士電視台に投げ返してやりたい、と思ったのはワタシだけなんだろうか。

 もちろん、観る前に十分覚悟はしていたのはいうまでもない。
つっこんだり、悪口を言うためだけに映画を観てはいけないっていうのも十分わかっている。
 それなら観ないほうがましだとは思うんだけど、それでも観てしまうのは香港電影迷であって一人勝手に香港映画の名誉回復に力を入れてしまう自分の悲しい性か。

 とにかく、予想したとおりの中途半端さ。それは予告を見ただけで容易に判断できたけどね。
 少林拳を会得した女の子の大活躍といういかにもな物語には特に文句はない。それにいまさら文句もへったくれもないからね。でも、それで星仔映画や過去のカンフー映画の名作のいいとこ取りをしたとしても、残念なことにそれがまったくいいとこになっていないのだ。アクションもちゃんと香港から本職を呼んで来ればいいのに(『修羅雪姫』のドニーさんとか、『どろろ』のチン・シウトンなどが日本映画に参加済みだしね。そうでなければ谷垣健ちゃんでもいいんじゃないの?でも彼は『カンフーくん』にかかわっていたか)、それもしないし。ただCGでごまかしゃいいってもんじゃないんだよ。

 加えて物語もかなり破綻している。
 師匠の料理店で働く国際星館大学の留学生ミンミン(日本じゃこれで初登場かよ…のキティ・チャン)に誘われてラクロスを始め、一人突っ走りそうになるのを師匠にとがめられ、初試合でノーコンっぷりを発揮して惨敗させたのに、それがなんでチームワークを無視しているからにすり替えられるの?そうか、ノーコンってチームワークを学べば克服できるのか(違う違う)という強引な納得をさせられ、せっかくラクロスメンバーと意気投合してこれから!ってとこでこれまた強引に力を尊ぶ大学の大場学長(トロさん)につかまれ、強引に対決に持ち込まれる。っていきなり話を変えるなよ。そして、ただの少林拳バカ、もとい未熟だった凛はその戦いの終盤で、いきなり目覚めてしまうのだが、なんでそこで唐突に目覚める?しかもそういう目覚め方かよ?と心の中で思いっきり突っ込む。
 確かに、破綻した物語展開は香港映画でも珍しくない。しかし、莫大なお金をかけたメジャー系日本映画でそれをやっちゃーおしめぇだろう。
 プロデューサーと監督よ、香港映画をなめてませんか?香港映画をなめたらいかんぜよ! 

 物語からそんなんだから、キャストにも頭を抱えさせていただいた。
コウ小姐には悪いことを言いたくないが、なんで彼女じゃなきゃいけないのか?少林拳ならぬ少林寺拳法の使い手なら、水野美紀小姐(奇しくも彼女は『踊る』関係者じゃないか)がいるじゃないか!もうすでに“少女”じゃないけど。…ところで彼女が香港で撮ってた『さそり』ってどーなったんだろう。
 師匠の江口。…あれ、いつまたロン毛に戻ったの?(付け毛だってば)こーゆー小汚い役の彼ってあまり見たことないけど、師匠にしては威厳がない。久々に悪役のトロさんは上半身裸も見せてサービスしてくれるけど、ジェネックスの赤虎のときほど光っていないよな。ほえんあいわずとえるぶいやーずおーるど、あいそーあごーすと。←意味もなく赤虎の台詞
 カイマン&ジーチョンの兄弟子コンビ、扱いはあんなもんなんだろーけど、もっと大暴れさせてよかったんだぞ、シャチョーサン!あ、お初のキティはかわいかったです。顔はともかく、思わず胸に注目してしまったワタシは何?
 そして岡村さん…うーん、今回また微妙だったよなー。彼のカンフー映画への偏愛ぶりはもちろん承知なんだけど、それでもどうも違和感を禁じえないのはいったいなんでなんだろう。いや、岡村さんが嫌いとかそんなんじゃないんだけどさ。
 もったいなかったのはラクロスチームの女子の皆さん。知っている若手女優も多かったこともあって、彼女たちにももっと活躍してほしかった。てか本編で全然目立たなくてエンドタイトルで大活躍っていう、あの扱いはひどいよ。逆にちょっと出の街の人たちが豪華な無駄遣い。商店街の店主の一人を演じていたトータスさん、確か以前少林サッカーは好きじゃないって言ってたことを思い出したぞ。
 一つ誉めるとしたら凛のじーちゃん。よくもまぁ、あのお方を引っ張り出したねぇ。まぁ、同じ分野出身のアンノさんとか監督つながりで岩井俊二さんも役者経験ありますからね。

 ところで、さらに頭を抱えさせてしまったのは、ランキングでしか良し悪しを判断できないオリコンのこの記事(Yahoo!ニュース経由)。
 ああ、これでジェイの『カンフーダンク!』公開時に変な先入観がつかないことを祈るばかりだよ…(泣)。

監督:本広克行 製作:亀山千広 脚本:十川誠志&十川梨香 音楽:菅野祐悟 アクション監督:野口彰宏
出演:柴咲コウ 仲村トオル 江口洋介 岡村隆史 キティ・チャン ティン・カイマン ラム・ジーチョン トータス松本 麿 赤兒 富野由悠希 

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男たちの挽歌Ⅱ(1988/香港)

 彼らが銃を取るのは、勝利のためじゃない。
 彼らが戦うのは、復讐のためじゃなく、死んでいった者たちの悲しみを背負うためである。死んでいった者たちを悼み、彼らの涙を銃弾にこめる。
 だから彼らは喪服をまとい、最後の戦いに赴くのである。

 考えてみれば、この映画の邦題はまさにこれしか考えられない。なんてうまいんだ。
 そして、この2部作には、ウーさん映画の全てがこめられている(もちろん、『狼』や『ハードボイルド』もそうなんだが)。さらにハリウッドでその魂をうまく翻案したのが『フェイス/オフ』だと思うのだが、いかがなものか。

 すでに前作のラストでユンファ演じるマークが死んでしまっているのに、彼にはアメリカに双子の弟のケンがいた、というあまりにもご都合主義な設定ってどーよ?とつっこむのはお約束だけど、そんな設定が気にならないのは、ケンがマークに負けず劣らずいいキャラクターになっていて(「米を大切にしろ!」は名台詞だなー)、前作にもましてドラマティックに描かれる男たちの転落と逆転、そしてプライドとリベンジに加え、チン・シウトンが繰り出す壮絶なアクションシーンもふんだんに盛り込まれているからか。そのせいか(そうか?)皆さん血まみれでございますし、なんてったってシウトンさんなのでなぜか日本刀アクションあり。ティ・ロンさんの往年のアクションスターっぷりが思い出させられるような殺陣も堪能できる。

 また、2ではレスリー演じるキットが1よりも前面に出てきている。それゆえ、レスリーを観るなら断然2のほうがいいといわれるのかもしれない。
 兄への恨みも晴れ、兄のことを知りたいと黒社会への危険な潜入捜査に赴くが、それは当然私生活に軋みを生む。せっかく結婚し、臨月を迎えている妻ジャッキー(エミリー)を放っておくなんて、なんてもったいない、などとちょっと思ったりして。ジャッキーが某☆月の家寶の妻のように、夫の潜入捜査という仕事に耐えられずに心を病んで自ら命を絶ってしまうなんてキャラじゃなかったことは救いではあるんだけど。(つーかあの設定もご都合主義っぽいぞ、と暴言吐いてみる)
 それはおいといても、キットはケンと知り合い、“弟同士”で意気投合する、ごく短い場面は微笑ましかった。後にキットが悲しい最期を遂げてしまうだけあって、なおさらね。キットが命を落とす場面で流れるレスリーの歌が、いま聴くとまるで彼自身を葬った時のように聞こえて、たまらなく切なかったよ…。

 忘れちゃいけない、2での重要キャラであるディーン・セキ演じる龍(ルン)。
ホーの偽札作りの師匠である彼は本来なら敵に回らなければならないわけだが、彼もまたホーと同じように自分の仲間に裏切られ、娘や親類を次々に失って自ら心を閉ざしてしまう。それをケンやホーが目覚めさせ、プライドを取り戻す。構造はまったく同じなのだが、彼のどん底への堕ち方があまりにも強烈なので、その見事な復活には改めて「ううう、漢だ」なんて呟きたくなるのである。

 転落と復活、死に逝く者への哀悼、その末の激しいアクションシーン。 
度を過ぎた銃撃や流血は気分が悪くなるが、ウーさんのアクションで気分が悪くならないのは、それに悲しみがこめられているからだと思う。喪服や教会もそれを表す記号であるのだろうし、後に定番となる鳩だってそうなのかもしれないな、などと徒然に書いてとりあえず終わりにしたい。

原題(英題):英雄本色Ⅱ(A Better Tomorrow Ⅱ)
監督&脚本&出演:ジョン・ウー 製作:ツイ・ハーク アクション指導:チン・シウトン 音楽:ジョセフ・クー
出演:ティ・ロン チョウ・ユンファ レスリー・チャン ディーン・セキ エミリー・チュウ ン・マンタ ケネス・ツァン シン・フィオン

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今年のカンヌはさびしい…。

 昨日、カンヌ映画祭のラインナップが発表されたわけですが、

…はぁ、香港映画の出品がどこにもありませんねぇ。*タメイキ*

 なんてったって、ここ3,4年国際映画祭を席巻していたジョニーさんの作品が入ってないし。
その代わりという感じでジャンクーの新作がコンペに入っているんだけど(こらこら)、さすがに触手が動かされないなぁ。『長江哀歌』を超えてくれないと、ねぇ。

 そーいえば、日本映画もコンペに選ばれなかったんだよね。
このところ香港と日本は不作と思われているのかな。

 で、気になったのが、このプレスリリース(pdfです)のアウトオブコンペにあった王家衛の「ASHES OF TIME REDUX」。

…これってひょっとして、『楽園の瑕』の再編集版(ファイナルカット?)かデジタルリマスター版かなにか!?(追記:Yahoo経由サーチナの記事を読むと、どーもファイナルカット版っぽいな。祈・日本公開!)

 あ、今年のシネフォンダシオンの審査委員長はホウちゃんですってよー♪

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おおお親分、まぢっすか!

 久々の『挽歌』(はやいとこ2も観たいのだが暇が取れない…)、そしてキンキラキンを観て、気がつけばにわかにユンファ祭りしているこのごろ。
 そんなユンファ兄貴は、欧米電影でも着々と足場を固めつつあるようで、ちょうど金像のころにオーリーくん&リーアム・ニーソン先生とフレンチノワール映画『仁義』のリメイクに出ると聞き(参考はeiga.com)、ほほーおフランス映画とは、なかなかいいところ選んできたではないか、なんて思って記事を読んでいたのである。

 そして、今夜見たこの記事に大いに驚く。

オーランド・ブルーム主演の「仁義」、監督はジョニー・トーに! : 映画ニュース - 映画のことならeiga.com.

 なななななななななななんですとぉー!>自分驚きすぎ。落ち着けオレ
 ついにジョニー親分、欧米進出ですよ!
ハリウッドじゃないってのがポイントだろーか。
なんでもこの映画、フランスと香港の合作になるみたいですね。ってそれはブルベリと同じじゃないですか。いいんですか親分?って聞くことじゃないか。

 しかし、ヒロインがまだ決まっていないそうで。
誰にするんだろう?すーちーとか?
これだけメンツがステキなら無理に女子を出さなくてもいいんじゃないの、野郎だけでもとってもホモソーシャルっぽいし、なんていう意見はごく一部なのかしらね。

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少林ラクロス(だから違うだろ)のマナーCMを観た。

 …どーも素直に『少林少女』と言えない自分。所詮“少林ラクロス”ってーのもパクリタイトルじゃないか、ってことはいいっこなしよ。

 さて、うちんところは東京の劇場と違って、大画面で近くの焼肉屋やパチンコ屋のCMなんぞを流さないので、それはそれでありがたい(そのぶんTVでパチンコ屋のCMがウザイほど流れるんだがな、とさりげなく暴言)。しかし、最近は観る映画の8割くらいで、例の「ノーモア映画泥棒」のユーモアのセンスがまったくないCMがかかっているので、かけるんだったらもっとセンスのあるCM作れよなぁって思うこの頃。
 そういう文句は別にして、普段ワタシが観ない東宝邦画系劇場では、上映予定作品の一場面を使ったマナーCMを流していると気づいたのは3年くらい前。『ウミザル』や『ザ・ワウチョウテンホテル』(検索除けの都合により表記変更)のマナーCMを観たことがあるんだが、先週末に初めて少林ラクロス、もとい少林少女版CMを観た。もっとも、ワタシがこれを観たのは東宝邦画系劇場じゃなくて、東宝邦画系を最近かけるようになった行きつけのシネコンなんだが、チェーン以外でも提供しているのか?>東宝

 内容は映画館で「オモシロイネー」とおしゃべりしたり「カーワイイネー」写真を撮りまくったり、「ラーメンイッチョー」となぜかケータイで出前を頼むカイマン&ジーチョンの少林兄弟子コンビに、スクリーンの中からコウ小姐演じる主人公のリンが燃えるラクロスのボールを喰らわすといったようなものだった、多分。兄弟子コンビに気をとられていたのでよく覚えていないのだが(おいおい)。

 しかしこの映画、正直何が楽しみかといえば、兄弟子コンビだけで、あとはどーでもよかったりするんだよなー。いくら星仔にプロデュースを頼んでもらったとはいえ、やっぱり所詮は日本映画だし、星仔は出てないどころか、監督ですらないし、それなら『ミラクル7号(以下CJ7)』の方がずーっと楽しみ。
 でもこの映画、例によって例の如くの富士電視台お得意の大量宣伝攻撃で、週末動員数ナンバーワンになるんだろうなー。それなら、CJ7も同じくらいプッシュしよーよ>富士電視台さん。

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やっぱり聴きたい、『おばさん』のサントラ

 まー、大陸サイトでは「港片時代結束」とか言われたり、あちこちの中華芸能系blogでは広東語映画じゃないのがねぇ…とあれこれ言われている今年の金像奨の結果ですが、香港じゃなくて大陸の簡体字サイトが詳細を伝えてくれているって時点ですでに矛盾してるなーって気も無きにしも非ずかな、という気もするんだけどね。
 ってはしゃぎまくったオマエが言うなって言われそうですが。

 ともかく、久石譲さんの音楽賞受賞が意外にもあちこちで取り上げられているのを発見。ジブリ応援サイトのある読売にもあったしね。さらにeiga.com経由で久石さんの公式サイトにたどり着いたところ、次のようなblog記事を発見。

叔母さんのポストモダン生活:久石譲オフィシャルサイト Staff Blog.

 映画はもう一回観るのはアレだよな…(参考としてこれ)とは思うのだけど、音楽はまた聴きたいな、せめてサントラないかしら、と思ったら、出ていたんですねこういうものが。

 この本は、久石さんが『おばさん』のレコーディングをしたときのドキュメンタリーブックで、付属のDVDでその模様が観られる&音楽が聴けるらしい。
 さらに、メインテーマはこのCDに収録だとか。

 このアルバムには『おばさん』のメインテーマだけではなく、韓国映画『トンマッコルへようこそ』に加え、久石さん初の香港映画『西遊記リローデッド』のテーマ曲も収録されているとか。
 というか、早いところ『西遊記』を観るべきなのか。

 今後もアジア圏でのお仕事が続くらしく、姜文さんの監督作品《太陽常在升起》のサントラも手がけているそうで、これも日本で観られたらいいな。(今、公式サイトのトップページで曲の一部が聴けるみたいです)
 …そーいや、すっかりスルーしてたんだけど、久石さんの『ポニョ』以外の最新のお仕事って、ぺ様のファンタジードラマなんだって?まー観るつもりはまったくないけどね。

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王妃の紋章(2006/中国)

 問:キンキラキンこと『王妃の紋章』の内容を、10字以内で説明せよ。(100点)

 解答例:中国最悪の家族ゲンカ(10字)

…これ以外の適切な解答例を募集中。何かいい例があったら教えてください。

 今やすっかり中国が世界に誇る国際的大導演と化した張藝謀先生は、2002年の『英雄』の大ヒット以来すっかり大作づいている。間に日本との合作『単騎、千里を走る。』は挟んだものの、この路線をひた走っているのは説明するまでもない。
 そして、五輪を3ヵ月後に控えたこの春、何かと中国には風向きが悪い(長くなるから省略)この季節―というかなんで今頃まで公開が延びたんだ?―になってやっとやって来た、イーモウ式武侠映画3部作のしんがり、といってもいいキンキラキン、もとい『王妃の紋章』は、…なーんとなく「大丈夫かよイーモウ、というより中国よぉ」という感想を言うので精いっぱいのような映画であった。

 『夜宴』の時のように原作として露骨にはアピールされていないけど、この映画のモチーフになったのは、中国の近現代演劇の名作といわれる曹禺の代表作『雷雨』である。中国文学や文化を専門的にやっていれば、必ず取り上げられるくらいの名作であり、ワタシも学生時代に抄録を中国語で読んでいたことがある。中華民国初期、欲望と不貞と嫉妬にまみれ、近親憎悪に加えて近親相姦までが発覚し、やがて崩壊していくある富豪一家を巡る物語なのだが、抄録を読むだけで気が滅入り、ここまでドロドロならいつか東海テレビ製作のドロドロ昼ドラでネタにしてくれないかしら、そうすればきっと『真珠夫人』や『牡丹と薔薇』に負けず劣らず大ウケかもよ、なんてことも思ったくらいだ。
 だから、イーモウがこの戯曲をモチーフにして新作映画を作ると聞いたときには、やっぱり気が滅入るんだろうなーと覚悟していたわけである。…案の定、多少気は滅入った。でも、それはある程度の想定内だったので、決してガッカリしたわけではないので誤解なきように。それだけじゃなく、大陸での公開時は『夜宴』と前後したことで両作品が比べられたりしたのだが、出来としては圧倒的にこっちの方が上だったよな。やっぱり、こういう“情念”を描き出せば、イーモウに勝つ中国人監督はいない。 日本人的には『初恋のきた道』のウケがかなりいいので、彼にはどーもそっちの路線に戻ってほしいと思う人もいることはいるんだろうけど(それはほぼ日で連載された件の映画の対談連載を読んでそう感じた次第)、個人的にはイーモウの本質は“情念”であると感じるので、製作バジェットの大小にもかかわらず、こういう激しさを見せてくれると、頭を抱えつつもなぜか安心する。もっとも『初恋』にも激しい情念を感じさせられないというわけじゃないんだが、それ以前にツーイーへのらぶらぶ邪念が…(以下殴られそうなので略)。
 しかし頭を抱えながら安心する映画っていったい何なんだよ!(苦笑)

 確かにね、物語としては非常に毒々しい。ほとんどすべてが黄金で覆われた五代十国時代の後唐の王宮。絶対君主として君臨する国王(ユンファ)と、なぜか彼に殺されかかっている後妻の王妃(コン・リー)、王妃と血のつながらない第1王子祥(リウ・イエ)との不倫、その祥王子は母親に隠れて王宮医の娘(李曼)と恋愛をしている。いまさらドロドロといわなくても、このシチュエーションだけでもうお腹いっぱい。
 ところで、なぜこの一族がいがみ合っているのか理由がハッキリしないという批評がある。いやー、それは簡単じゃないすか?国王は隣国の梁国(だったっけ)から王妃を迎えたけど、もともと梁国は敵国だから、政略結婚して王妃を殺し、完全に隣国を配下に治めたいから、じゃないの?違ってたらスマン。あとは、国でも家でもトップに立つ国王に対して、祥王子はその手から離れたいと願っており、母親孝行の第2王子杰(ジェイ)は窮地に立たされた母親を救いたいということだけを願い、遠ざけられながらもその様子を見ていた第3王子成(チン・ジュンジエ)はみるみる家族不振に陥っていって、重陽節に国をも巻き込んだあのような修羅場が繰り広げられたのである、とワタシは読み取った次第。

 すべてが毒々しくてドロドロしている中、やっぱりジェイの存在感は清涼剤のようでしたねー。とはいっても修羅場ではキンキラキンで血にまみれているので、見てくれは全く清々しくないんだが(苦笑)。中華圏最大のポップスターにして今時の若者であるジェイは、今時の若者にしては親孝行なので個人的にも高感度が高いといっても過言ではないんだが、まさかそのパーソナリティがこのドロドロ映画で活きるとは!“俳優がもともと持つ特性をそのまま役柄に反映させる”のは王家衛の専売特許ではないのか、というよりも、血まみれでいてもどこかイノセント、という役どころがジェイにしか出来ないからというのが正直なところなのか。白い菊マフリャーをなびかせて突撃するクライマックスの場面はホントに彼の独壇場だったしね。
 コン・リー王妃はいうまでもなく当たり役でせう。『夜宴』のガードルード=ツーイー、確実に霞みます。リウイエくんも最近この手の報われない役どころが当たり役になってはきたけど、…おーい、こーゆー役どころだけじゃ淋しいよー(大泣)。
 そして、ハリウッドから貫禄を携えて帰還したユンファ。
 怖い。この怖さは『色、戒』の時のトニーに通じる怖さだ。時々いつもの笑顔が見え隠れするので(あと、瞳がやや銀灰色に見えたときがあったんだが、元からあんな色だっけ?)、ものすごい凄みとかとにかくどす黒いというところまでは完全にはたどり着いていないのだが、今までのユンファのイメージを木っ端微塵にしてくれた。二挺拳銃や決して上手くないカンフーばかりが求められたハリウッドでのステロタイプを完全に振り切った故の到達点なんだろうか。まだまだ現役だと思ったのも確か。亀仙人、どーなることやら。

 スタッフ方面にもコメントを。
 前2作のワダエミさんから代わって、今回の衣装は香港で御馴染のハイ・チョンマン。エミさんの衣装が動を重視しながら静を感じさせる作りとすれば、チョンマンさんのそれは静を重視した出来といったところか。しかしあの女性陣の“寄せてあげる”ドレス…。某胸の大きな方(それをまだ言うか)じゃなくても、着る人を選ぶ服だよな。もっともあれなら多少胸が小さくても見てくれは悪くないんじゃないか、なんてセクハラ意見をまたしてもすみません。
 『十面埋伏』以来のイーモウ作品登板となる、音楽の梅林茂さん。アジア映画のみならず最近ではハリウッドや欧州映画のサントラを手がけているとのことで、すっかり日本が世界に誇る音楽家になってしまいましたねー。パンフには珍しくインタビューが掲載されていて、中華圏での音作りについてじっくりと読ませていただきました。しかし、『花様年華』や『ブルベリ』でも使用された『夢二のテーマ』が、海外の人々に南米の音楽家の作品と思われていたっていう裏話にはやや苦笑。今回はあえてコーラスを多用したそうで、それもあってタン・ドゥンっぽいといわれるのがわかったわ。

 しかし、なんでこの映画は重陽節にあわせて秋に公開されなかったのだろうか…。その方が雰囲気も出たような気がするし、いま公開されることで、中国を巡るネガティブイメージに短絡的に結びつけられてしまうのではないだろうか、と最初は心配した。しかし、実物を見ると、この映画はかの国へのある意味の暗喩がこめられているんじゃないだろうか、と思った。結構露骨に出てるのだけど、よくパスしたなーと思った場面もあったし、いまこの時期だからこそ、それが皮肉に感じるのかな、と思った次第。具体的にはなんだか言わないけどね。

 ラストシーンに訪れる一瞬の沈黙の後、ゆるやかに流れたジェイの『菊花台』。確かに、この物語のラストには挽歌のようなこの曲しかない。そして、初めてジェイの曲を劇場で聴けたことで、ドロドロな思いがすっかり洗い流されたのであった。

原題(英題):満城盡帯黄金甲(Curse of the golden flower)
製作:ビル・コン&チャン・ウェイピン 監督&脚本:チャン・イーモウ 脚本:ウー・ナン&ビエン・ジーホン 撮影:チャオ・シャオティン 音楽:梅林 茂 衣装:ハイ・チョンマン 美術:フオ・ティンシャオ
出演:チョウ・ユンファ コン・リー ジェイ・チョウ リウ・イエ リー・マン チン・ジュンジエ

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アプローズ組圧勝!今年の金像奨を振り返る。

 昨日、「スポーツ紙あおれー」と書いたのが効いたせいか(たぶん違う)、今朝の日刊スポーツに以下のような記事がありましたよん。

「香港電影金像奨」音楽賞に久石譲さん - シネマニュース : nikkansports.com.

 しかし、RTHKって、直訳すると「香港公共ラジオ」というのか、初耳だぜ。

Tony_kinzo2008

21世紀亜洲影帝、開幕宣言のご様子。from捜狐娯楽

 さて、2年ぶりの監督賞となるピーターさんだけど、今年は自ら監督した初の時代劇《投名状》と、イー・トンシンさんとタッグを組み、プロデュースに回った《門徒》が多数ノミネート。結果として《投名状》で8部門、《門徒》で2部門と、受賞部門のほぼ半分がアプローズ・ピクチャーズ作品ってことになったわけか。2年前の『ウィンターソング』ではお帰りなさい的ムードも多少あったんだろうけど、思い切って路線を変えたこの作品で多数受賞したのだから、本格的に中華圏復帰ってことになるのでしょうかね?
 一方、ライバルの銀河映像組も『マッド探偵』と『アイ・イン・ザ・スカイ』で手堅く3部門ゲット。ジョニーさんもすっかり“香港が世界に誇る映画の親分”的貫禄を見せているけど、これからも当分「こつこつ作って海外の映画祭でドカンとプレミア」状態が続くんでしょうね。

 リンチェの主演男優賞!ここ10年ほど聞いたことがなかったので、なんだか他人事とは思えず嬉しいよ。しかもこの《投名状》、アクションだけじゃなくドラマの比重も高いとのこと、リンチェだけではなく金城くんもアンディも出演してるから、もちろん買いますよね角川ヘラルドさん?(『ウィンターソング』配給元)日本公開はジェイの『カンフーダンク!』の後でいいですから。

 観たのが2年前なのですっかり過去の映画と思っていたアン・ホイさんの『おばさん』、こちらもダブルおばさんパワー(おいおい!)で主演女優賞&音楽賞の2部門ゲット。おかしくてやがて哀しき…な話なのでもう一回観たいかというとあまりにも哀しすぎるんでできれば遠慮したいんだが、愛すべきおばさんの喜怒哀楽を説得力をもって演じきったカオワーさんは見事だった。
 そして久石譲さんの音楽がこれまた泣かせるのよ!宮崎アニメmeets中国音楽といったバリエーションで冴え渡ってます。映画が公開されなくてもサントラだけでもほしい。スタジオジブリさーん、この夏公開の『崖の上のポニョ』のHP&パンフでの久石さんの紹介には、是非とも「中国・香港合作『おばさんのポストモダン生活(06)』で香港電影金像奨最優秀音楽賞を受賞」の一文を入れておいてねー。

 金像奨全体を見れば、顔ぶれが決まってきているというか、台詞が北京語の作品が目立ってきているとか、気になるところはいっぱいあるんですよね。先にも書いたけど、主演女優賞が4年連続大陸女優っていうのもどうよって思うし。北京語のスピーチが多かったとはいえ、実際大陸からのゲストは胡軍さんだけだし、台湾からは『不能説的・秘密』でヒロインだったグイ・ルンメイちゃんが笑えるやりとり(注)をしていて、それがわかって大笑いしたのは助かったんだけどね。

(注)うろ覚えですがこんな感じでした。
ステ:キミは『不能説的・秘密』に出演したけど、あれはジェイの初監督作品だったよね。初監督作品で(金馬賞の)監督賞にノミネートされたんだっけ。
ルン:そうよ。あなたも監督だったわよね。監督賞のノミネートは?
ステ:…ないよ。
ルン:じゃあ、処女作が新人監督賞にノミネートされたの?
ステ:…ないよ。

 では、覚え書きとして受賞作品一覧を。
以前書いたノミネート予想と見比べると、結構当たっているような気がするぞ。

最優秀作品賞 《投名状》
     
最優秀監督賞  ピーター・チャン(投名状)

最優秀脚本賞  ワイ・カーファイ&アウ・キンイー(マッド探偵)

最優秀主演男優賞 ジェット・リー(投名状)

最優秀主演女優賞 スーチン・カオワー(おばさんのポストモダン生活)

最優秀助演男優賞 アンディ・ラウ(門徒)

最優秀助演女優賞 邵音音(野・良犬)

最優秀新人俳優賞 ケイト・チョイ(アイ・イン・ザ・スカイ)

最優勝撮影賞   アーサー・ウォン(投名状)

最優秀編集賞   コン・チーリョン(門徒)

最優秀美術デザイン賞 ハイ・チョンマン、易振洲、黄炳耀(投名状)

最優秀衣装デザイン賞 ハイ・チョンマン、載美玲、利碧君(投名状)

最優秀アクション指導賞 ドニー・イェン(導火線)

最優秀音響効果賞 Sunit Asvinikul、Nakorn Kositpaisal(投名状)

最優秀視覚効果賞 呉[火玄]輝、鄒志盛、郭惠玲(投名状)

最優秀サウンドトラック賞 久石譲(おばさんのポストモダン生活)

最優秀主題歌賞「逼得太緊」(十分愛)

最優秀新人監督賞 ヤウ・ナイホイ(アイ・イン・ザ・スカイ)

最優秀アジア映画賞 『ラスト、コーション』

 …しかし魏君子さんとやら!「港片時代完結」なんて、かなり失礼なこと書いてくれるじゃないのよ。儲かる映画だけがいい映画じゃないってことは、日本でも中国でも同じことでしょ!

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香港電影金像奨、絶賛発表中(?)

 今年は大陸のリンク、捜狐の特設ページ『 第27届香港电影金像奖-搜狐娱乐』の情報を追っかけることにします。とりあえず限界までは。

 今年の開幕宣言はトニーなんですねーheart01
RTHKもスタンバイ完了なので、これから聞けるのが楽しみざんす。
 そして、今年から主席はゴードンさんですか…。主席が変わったことで何か変化はあるんだろうか?

 今の時点で発表されているのが、最優秀新人監督賞が『アイ・イン・ザ・スカイ』のヤウ・ナイホイさん、最優秀編集賞のコー・チーリョンさん(門徒)、最優秀撮影賞にアーサー・ウォンさん(投名状)、そして最優秀新人賞に『アイ・イン…』のケイト・チョイといったところらしい。あ、専業精神賞は肥姐です。合掌…。

 あーっ、やったやった!最優秀アジア映画賞は『色、戒』だ!
 そしてそして、音楽賞は日本人快挙!(とスポーツ紙みたいにあおってみる)『トゥーランドット』&『崖の上のポニョ』の久石譲さんだよ(注:受賞作品は『おばさんのポストモダン生活』である。念のため)!ここぞとばかり、スポーツ紙あおれ!そして『色、戒』のことも一緒に書け(暴言)!
 (追記)今、ラジオで最優秀音楽賞受賞の模様を聞いたんだが、まさに久石節爆発!なテーマ曲を久々に聴いて、もう涙腺刺激されまくってますよ。はははは。
 脚本賞は『マッド探偵』。さすがですわね。面白かったもん。

 助演男優賞はアンディ。意外?いや堅い?てことは、主演男優賞は…?
助演女優賞は『野。良犬』の邵音音さん。これ、日本でも映画祭上映されて最優秀賞を受賞しているけど、改めて観たい気がするなぁ。

 さて、今年の日本からのゲストプレゼンターは倉田保昭さんだったようですよ!
彼がプレゼンターを務めたのは当然アクション指導賞、そして受賞したのはド兄さん(導火線)です。ここも書きどころですよ、スポーツ紙さん!とふたたびあおる(苦笑)。

 現地は、そろそろ主要賞の発表に入ってきてる模様。
主演女優賞は、2度目の受賞になる『おばさん』のスーチン・カオワーさん。前回の受賞は『ホームカミング』ででしたっけ?大ベテランのカオワーさんの受賞は予想していたけど…、これで4年連続大陸女優の受賞だよ(やさぐれ気味に泣き)。
 監督賞も発表。うおおおおー、ピーターさんじゃないか!恭喜恭喜!!
 さらに《投名状》組つながりで、最優秀主演男優賞はリンチェイだって!
 そしてオーラス、最優秀作品賞は、ここまで来たらもうこれしかない!

《投名状》でした!

以上、リアルタイム更新終了!詳しい感想はまた明日!
…そーいえばまだキンキラキンの感想書いてないぞ!

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明日は金像奨ですね。

 今日はキンキラキン公開開始日ですが(苦笑)。これから観に行ってきます。
 感想は今夜以降にでも。

 さて、金像奨といえば、昨年は新浪網を始めとした大陸のポータルサイトに加え、サイマル放送で放映されているRTHKのネットラジオを聴きながら、結果を入手しておりました。今年もその予定。
 …しかし、月曜は早いんだよな。先に昼寝でもしてから、夜に備えようかしら?

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男たちの挽歌(1986/香港)

 今年のレスリー追悼鑑賞第1弾にするつもりでいたこの『男たちの挽歌』。なんとか命日前後に、と思っていたもののいろいろと予定が重なり、10日を過ぎてしまったのだけど、やっと観ることができてホッとした。このために、最近はiPodで「當年情」ばかり聴いてきたのだよ。

 この映画のあらすじは、いまさら説明しなくてもいいだろう。3年前の金像奨特刊の特集「101港人評選百年最佳華語片」では、堂々の第2位に選ばれた(ちなみに1位は『春の惑い』のオリジナル《小城之春》、3位が『欲望の翼』である)、香港映画のマスターピースである。香港人にとってはまさに宝物のような映画(それ言いすぎじゃないか?)なのだろうが、ボーダーを越えた大陸でも愛されているのは、ジャ・ジャンクーの『長江哀歌』を観てもよくわかる。
 この映画で注目を引く部分といえば、やはり欧米で“Bullet Ballet”と呼ばれ、ウーさんが“バイオレンスの詩人”と賞賛されることで有名な、クライマックスの激しすぎる銃撃シーンであろう。この様式がクエタラ始め、世界の映画人に引用され、自らハリウッドに渡った彼もまた激しさを増したアクションシーンを手がけるようになるが、実はこの映画の中では、それはちっとも重要なんかじゃない。映画人たちが銃撃戦だけ観てこの映画を賞賛しているとしたら、それはとってももったいないことなんじゃないだか、と思っている。
 何より増して重要なのは、ホーこと宋子豪(ティ・ロン)、その弟のキットこと子杰(レスリー)、そしてホーの親友マーク(ユンファ。ちなみに北京語圏では彼の名前は“小馬哥”となっている)という3人の男たちの、兄弟愛と友情、そして栄光と転落とリベンジとプライドを描いた、非常にホモソーシャル度が高くドラマ性に富んでいるということである。そして、それは男性だけでなく女性もを魅了するのだ。ねー皆さん?
 学生時代からもう何度も観てきた映画だが、改めて観ても、オープニングタイトルから胸をつかまれてしまう。3人の主人公のうち、中心に行くのはどうしてもホーになってしまうのだけど、ここはグッとこらえて、今回はキットに注目しながら再見してみた。

 以前取り上げた『レスリー・チャンの香港』で、この映画に関しては、「旧システムの映画会社による製作制度の最後の世代で、旧体制の澱を引きずっていたジョン・ウーに、香港ニューウェーブの中核になった、斬新な感覚を持つツイ・ハークが絡んだことにより、古くささと新しいセンスが混じりあって化学反応を起こした作品(要約もとはし)」というように紹介されている。また、キャストをとっても、ショウブラで武侠電影のスターだったティ・ロンさん、TVB養成所出身のユンファ、そしてアイドルのレスリーとさまざまなタイプの役者が結集して作り上げられた、ある意味奇跡的な作品なのかもしれない。

 かつてレスリー迷だったマダムとこんな話をしたことを思い出した。
 この映画のキットは“純粋”の象徴であるということ。
 兄が黒社会の人間であることを知らず、真っ直ぐな正義感あふれる青年に育った兄思いの弟は大学を出て警官を目指す。が、父が台湾人の刺客によって命を落としたことで兄の本当の姿を知り、一転して兄を憎み、父を殺した黒社会への追撃にのめりこむようになる。それに輪をかけて兄の帰盛が彼を揺るがし、昇進も阻まれることになる。兄は弟のために堅気になろうとするが、それもでも弟は兄を憎むのである。―えーと、カインとアベルってこういう話だっけ?(たぶん細部が違う)
 キットの立ち位置としては、こういう見方は珍しくはないのだろうけど、銃弾と血にまみれながらも、古い時代ではなく新しい時代への希望(=若者だから。当時の実年齢はもちろん考えてないです)として設定されたキャラだったのかな、と考えることもできるかもしれない。実は彼こそが真のヒロインである、って考えもアリだと思うけど(苦笑)。

 そういうふうにあれこれ考えてみても、結局全体の感想としては、ティ・ロンが渋いとか、ユンファの男気にやられるってー基本的なところに戻ってしまって、どーしてもレスリーメインの感想をまとめることはできないのよね。
 この続きは、近日アップ予定の『挽歌Ⅱ』の感想にて。
 というわけで書き逃げスマン(汗)。

原題(英題):英雄本色(A Better Tomorrow)
監督&脚本&出演:ジョン・ウー 製作:ツイ・ハーク 撮影:ウォン・ウィンハン アクション指導:ブラッキー・コー&・スティーブン・トン・ワイ 音楽:ジョセフ・クー
出演:ティ・ロン チョウ・ユンファ レスリー・チャン レイ・チーホン エミリー・チュウ ケネス・ツァン シン・フィオン

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続・共通点は、胸かよっ!

 すんません、また軽い記事です。

 昨日の記事でムネムネ言ってた効果なのか、あるいはキンキラキン試写会について書かれたシネマトゥデイのこの記事の胸の大きな方(またセクハラ気味にて失礼)のとってもステキなご発言の効果なのか、アクセス解析を見たら、この記事にある王妃様のステキなお写真イメージ検索が上位にきましたよ!

 すごいなー、胸って。(意味不明)

 ちなみにワタシが「○ょ○ゅう」と書かずに「胸が大きい」と書き換えるのは検索除けに加えて、単なる言葉へのこだわりです。
 …でも、「乳毛」はストレートに書くよね、自分(爆)。証拠はここだ。

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共通点は、胸かよっ!

 多忙のため、軽い記事で失礼。
キンキラキン試写会を紹介したこの記事、タイトルから思わずそう叫んでしまいました。

 出席された胸の大きな方(…ああ、なんかセクハラっぽい。スマン)には罪はないし、失礼かと思いましたが、やっぱりこの手のPRイベントはどーも(以下、以前と同じことの繰り返しになるので言うので省略)…。
 王様も王妃も第二皇子も来てないとはいえ、ねぇ…。
 いや、リア小姐は別にイヤじゃなかったんだが。

 久々の更新がボヤッキーな感じで申し訳ありませんわよ~。

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『ミラクル7号』と少林ラクロスの予告を観に行きました。

 予定ならレスリーを偲ぶエントリにする予定だったのですが、今日これらを観たので、急遽このネタに。
 ちなみに今日観たのは、正確には米国映画『燃えよ!ピンポン』。これについては後ほど。

 まずは少林ラクロス…もとい『少林少女』
…あれ?この監督『SP』を映画化するんじゃないんだっけ?などとボケてみる。
 え?広東語じゃないんだ?ジーチョン&カイマンコンビは大陸に行っても広東語なのに(そういうツッコミ自体おかしい)。
 江口洋介がヒロインの本当の師匠?大丈夫なの?
 ほートロさんが悪役か…。ジェネックスや東京攻略を考えれば、このへんは非常に正しいキャスティングだな。
 そしてミスター無問題こと岡村さん…実は大した役じゃないでしょ?(暴言)
 そんな感じで、期待しないでおきます(爆)。

 で、そんな気分になったところでいきなりやってきたのが『ミラクル7号』予告編っ!
 えーっ、これちょっと見せすぎとチャウ・シンチー?とベタなギャグを言ってみる。
予告でこんなに面白かったら、本編はいったいどーよ、なんて言いたくなったりしてみたりしてー。予告ナレーションは『少林サッカー』以来星仔の吹き替えを担当している山ちゃんだったような気がするけど、本編の吹き替え版もまた彼が担当するのかな?
 ええ、もちろん『少林少女』より、本編の映画より、この予告編が一番面白くて、大笑いしたのはいうまでもありませんよ。ここまでやったら見せすぎ?と思っても、やっぱり楽しみだわー。

 ちなみに本編の『燃えよ!ピンポン(Balls of fury)』ですが…大いにくだらなかったわ。
 マギーQのアクションはよかったけど、あの主人公が…。いくら香港でくだらないコメディをこなしてきたとはいえ、そんなに安かったのかキミは。あの主人公で満足か?
 そして、異常にはじけまくっていたクリストファー・ウォーケンは、もともと好きな俳優さんではあるけど、…いくらまっちげさんに似ていると思ったとはいえ、あんな青い目の中国人なんかいないんじゃないか?とつっこんだのはいうまでもない。
 だって、役名が「フェン(封)」って言うんだよー。それってどーよ。
 なんか、ウォーケンさんを香港へ連れていって、香港でもっといいリメイクを作ってほしいって思ったほどくだらなかったよ。

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『レスリー・チャンの香港』松岡 環

 職場で取っている各新聞に、少し前に日本版『覇王別姫』の批評が掲載されていた。
それを読み比べて思ったのは、原作となった映画の重さ、そしてやはりレスリーが不在であることで、どうしても見る目が厳しくなってしまうのだろうか、ということであった。

 この記事は、『寵愛』を聴きながら書いている。
iPodにもレスリーのアルバムが増えてきているし、なぜかこの春はこれまでよりも彼の歌が聴きたくなってしょうがないのである。

 確かに、一時期は彼の歌が全然聴けなかった。特にレスリーが一番好きってわけじゃなかった。でも、彼がいなくなったことはかなりの打撃だった、ということは今までもこの季節になれば繰り返し言ってきたことである。

 もともとはインド映画がお好みで、『アジア・映画の都』の著者としても知られる松岡さんは、70~80年代はインドに行くついでに香港によってそこでよくインド映画の資料を集めていたという。そこで香港映画と香港ポップスの洗礼を浴び、『誰かがあなたを愛してる』のついでに観た『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』でレスリー落ちした(って失礼な書き方で申し訳ありません)という。つまり筋金入りのレスリー迷である。そんな松岡さんが香港の20世紀後半から現代に至る香港芸能史と、その中で生きたレスリーの生涯を重ね合わせて書いたこの本。

 まず、「はじめに」で書かれた「時代が彼を殺した」の一文に衝撃を受ける。
確かに、あのころの香港はSARS渦以前に、映画も(『無間道』の大ヒットは別として)芸能界も元気がなかった。'02年のクリスマスに渡港したとき、知り合った在港カナダ人女性に「香港映画が好きなの?今の香港映画は面白くないじゃないの、くだらなくて」といわれて内心凹んだこともあったが、それでもいつかは元気を取り戻してくれると思っていたからだ。しかし、それからしばらくして香港でSARSが大流行し、その騒ぎにまぎれる形で、5年前の今夜、ワタシはネットでレスリーがこの世から去ったことを知ったのだ。そんなことを思えば、「時代に殺された」と言いたくなるのもわかるのだが、それは当たっているような気もすれば、どこか違うような気もする…。これについては、うまく言えないのだが。

 香港エンタメ&香港好きを10年以上やってきている私だが、どうもかの都市が背負う歴史的背景や、香港芸能の変遷については疎いところがあった。←それは単なる勉強不足である。だから、前半で60年代香港の時代背景から始まり、本当の意味での“香港芸能”が確立していく80年代までを丁寧に紹介されてくれたのは嬉しかった。香港でも台湾でも、90年代初頭までは日本語のカバー曲が多かったので、学生時代にはよくそれをネタにして盛り上がっていたのだが(特に北京語の台湾ポップス)、カバーだけじゃなくて実際に日本人ミュージシャンが香港の歌手に曲を書き下ろしていたとここで初めて知った。どうりでレスリーの80年代の曲を聴くと、カバー曲じゃなくてもどこかに80年代日本ポップス(それもまだJ-POPなどと呼ばれないころの曲たちだ)の香りがあると感じるわけだ。

 そして、レスリーがアイドル歌手だったころについて語るときに欠かせないのが、当時トップアイドルだったダニー・チャン(陳百強)のこと。実際、歌手としてはレスリーよりダニーのほうがいい、と言い切った人が身近にいたような気がしたし(たぶん学生時代のことだ)、元レスリーファンの知人から『青春の光と影(失業生)』を借りて観た時は、ああ、これは確かにレスリーが出ていてもダニーの映画だな、と感じたわけであって、そういうところから80年代半ばのレスリーの立ち位置を理解したものだった。同じ時期に『衝撃・21』も観たけど、あれもまた…(中略)な映画だったよな。しかし、それを観た当時は、ダニーがすでにこの世におらず、彼もまた衝撃的な最期を迎えていたということも知らなかった…。

 一度引退してからふたたび復帰した後の活躍はもちろんよく知っている。そして、97年以降の香港の変化と、レスリーがチャレンジしようとしていたことも。しかし、大陸の影響や日本でも旋風を巻き起こした○○が直接・間接的に影響したのかどうか知らないが、香港映画は活気を失い、彼の夢の実現も遠ざかる。そして…と考えると、非常に切ないのである。ああいう状態ならば、鬱にならないほうがおかしい。
 遅かれ早かれ、人はいつかこの世から去ってしまう。レスリーもたとえ今生きていたとしても、いつかは命尽きただろう。その命の尽きる時期が、あまりにも早かったのはやっぱり惜しいとしかいえないのだ。だから、ワタシは彼の分まで精一杯生きたいし、これから香港映画や芸能がどういう方面に動いていくかも見守りたい。そんなふうに思ってしまいながら、この本を読み終えたのである。 

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