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ポートランド・ストリート・ブルース(1998/香港)

 今週は比較的余裕があるので、未鑑賞のVCDやビデオの旧作を観ることにした。
まだAERAの最新号もチェックしていないし、キネ旬もすばるもミセスも見ていないので、『ラスト、コーション』のことについては騒げないしね。(追記:火曜にAERA届きました。同時に届いた『ダ・ヴィンチ』の映画コラムでも取り上げられていたので、詳細は近日必ず書きますね)
 そんなわけで観たのは『ポートランド・ストリート・ブルース』。日本では確か『美少年の恋』と同じ年(1999年でした)に東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で上映された作品だけど、結局映画祭上映で終わったんだっけ。

 洪興会唯一の女性幹部、十三妹(サンドラ)。ナイトクラブや売春宿が多いポートランド街を束ねる彼女の部下はほとんどが女性、敵対する東星会の荒くれ連中とも同等に張り合う彼女にはレズビアンの噂があるが、香港中の古惑仔たちから一目置かれる存在だ。しかし、彼女には悲しい過去があった。十三妹は若いころ、洪興会の下っ端だった父親の達(マンタ)を、彼の兄貴分のハムソイの手によって殺されていた。
 そのころの彼女はまだ自分が父親と同じ世界に足を踏み入れることなど考えられなかったお転婆少女で、幼馴染の潤(クリスティ)と夜のポートランド街を自由奔放に遊びまわっていた。ある夜、2人は洪興会と東星会の間で行われる賭けボクシングの試合を観に行き、東星会のボクサー、コーク(中信)のファンになる。それから間もなく、達は自分が当てたロトくじをハムソイに奪われる。十三妹と潤は父の仕返しをしようとするが、失敗する。ハムソイにとらわれた十三妹を救おうとした達は彼の部下から激しいリンチを受け、命を落とす。十三妹はハムソイに復讐しようとしたが逆に襲われる。そんな彼女を助けたのは帽子とマスク姿のヤク中女。“スカーフェイス”と呼ばれるその女、ケイ(すーちー)に拾われた十三妹はしばらく彼女の元に潜伏する。
 間もなく、大陸女とカーセックスしていたハムソイが暗殺された。殺したのは東星会からヒットマンとして送り込まれたコーク。彼に会いに行った十三妹はコークを消そうとする刺客の銃弾を受ける。コークは彼女を連れて香港を脱出し、大陸の車修理工房に仲間の豹とともに身を隠す。彼の手厚い看護を受けた十三妹は一命を取りとめ、生活を共にするにつれて彼にほのかな恋心を抱く。それが彼女の初恋だった。彼女の身を心配した潤も大陸にやってきて、しばらく4人で穏やかな日々を過ごしていたが、ある夜の小さな誤解で十三妹と潤は仲違いする。そして、コークと豹も追っ手に隠れ家をかぎつけられたことで、大陸から姿を消すことになる。
 失意のうちに香港に戻った十三妹だが、彼女の心の中にはある決意が芽生えた。父と同じように洪興社に入会し、生まれ育ったポートランド街を手中に収めよう、自分やケイのようにこの街で傷ついた女性たちを守っていこうと…。

 今から10年前の今頃、香港映画で大ブームを起こしていたのが、アンドリュー・ラウ監督の出世作『欲望の街・古惑仔』シリーズ。同名の人気マンガを原作に、主演のイーキン・チェンと陳小春(チャン・シウチョン/ジョーダン・チャン)をスターダムに押し上げたこのシリーズは、主演の2人のみならず、ジャンユーやアンソニー、B哥ことン・チーホンやロイなど、脇役や敵役の俳優たちにも人気が集まり、パクリ…もといインスパイヤ作品以外にも、アンドリューさん以外が監督した(まーそれもすべて製作のマンフレッドさんがゴーサイン出したからなんだが)スピンオフ作品がたくさん生まれたという。
 そんななかの1作品がこれ。『古惑仔4』に登場した男装の女性幹部、十三妹を主人公に、同じく古惑仔シリーズの常連、ヴィンセント・ワンが本筋とは別の役柄(だったと思う)で登場し、B哥やジャンユーやジェリーもゲスト出演し、ついにはノンクレジットでイーキンがラストに登場してくる大サービスぶり。実はイーキンが登場するのは知らなかったので、大いに驚きましたわよ。
 昨年『楊貴妃になりたかった男たち』を読んだときに、「なぜ香港映画には男装のヒロインが多いのか?」という疑問を呈してみたのだが、この場合の十三妹はもとからあまり美人じゃない(まぁサンドラ姐だからな、って暴言気味につぶやく)ことに加え、日本のヤクザ屋さん以上に俱梨伽羅紋々な世界が繰り広げられる(映画の中限定?)香港黒社会において、男装をする(&レズビアンとして振る舞う)ことで黒社会の兄貴たちにとって脅威となろうとしたのかな、と思ったのだが…これは絶対アタシの考え違いだな。単に面白いから男装して出させたんだな。でなけりゃサンドラ、『わすれな草』で同じような旺角の姉御を演じないよ(苦笑)。

 サンドラ姐は確かに美人とは思えないし(同じ“黒社会の女性”もの映画である『姐御』のアニーやカレーナの扱いともまた違うし。ちなみにカレン主演の『古惑女』は未見)、最近の発言を聞いていると“香港の山田邦子”というより“ゴッド姉ちゃん”だろ?と思っちゃうのだが、十三妹ははまり役だろう。ただのオトコオンナ(英語では“tomboy”っていうけど、いい日本語訳が見当たらないね)が父の死と黒社会の連中に痛めつけられ、ケイのような夜の街の女たちの苦しみと自分の悲しみが結びついて、父の道を継ぐことで女たちを守ろうとする。そこが描かれていたのはよかったな…というのも深読み?
 確かこの作品で金像の助演女優賞を受賞したすーちー、熱演です。しかし出番はあれだけ?
 男優陣は十三妹を陰で見守る(アンドレか?)韓賓のヴィンセントさんと、登場シーンから立派な胸筋を披露してくれる中信さんに注目。中信さんは、《愈堕落愈英雄》もあわせて、こういうストイックな役柄がハマるなぁ。

原題:古惑仔情義篇之洪興十三妹
監督:イップ・ワイマン 製作&脚本:マンフレッド・ウォン
出演:サンドラ・ン スー・チー クリスティ・ヨン アレックス・フォン ヴィンセント・ワン ン・マンタ ン・ジャンユー ン・チーホン ジェリー・ラム ジェイソン・チュー イーキン・チェン

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