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『坂和的中国電影大観 SHOW-HEYシネマルーム5』坂和章平

 ワタシがこのblogを始めて、来年1月でちょうど4年になる。2004年1月から今まで書いてきた記事数は、長短合わせてこの記事で832本。単純に計算すれば1年に280本書いてきたことになる。来年末までに1000本行くかどうかは、今後のスケジュール次第だけど、いずれは今まで書いてきた映画についてのあれこれを何か形にしたいかなーとは思っている。
 このココログでは、blogで書いた数々の記事を1冊から単行本化してくれるココログ出版というサービスがある。もちろんタダでしてくれるわけじゃないから、それなりの出費も覚悟はするけどね。問題は誰に読んでもらおうかってことで…(苦笑)。うちの母には、「自費出版っていっても簡単には売れないことは知っているでしょ?」と言われましたよ。いや、売って儲けようって気はもちろんさらさらないんですよ。いろいろと心配はあるけど、来年カネとヒマに余裕が出た頃もっと考えてみます。

 そんな前書きはどうでもいいとして、久々に映画評論の本を読んだ。
 著者は都市及び住宅問題を専門となさっている大阪在住の弁護士、坂和章平さん。都市再開発と街づくりに関する著書を多く出され、実務にもおわれているであろう合間を縫って多くの映画を鑑賞し、新聞に映画評の連載を持ち、映画についての本を本書を含めすでに5冊出されているという、まさに“我很忙”な弁護士さん。
 そんな坂和さんが中国映画に“転んだ”のは2002年から大阪のシネ・ヌーヴォで開催された《中国映画の全貌2002-3》。これは現在大阪では大阪アジアン映画祭の一環として上映されており、東京では三百人劇場→ケイズシネマで上映されているあの《全貌》シリーズだけど、坂和さんののめり込みぶりを見れば、これってやっぱりすごい特集上映なんだな、と改めて思った次第。(ちなみにワタシの中国映画暦は池袋の旧文芸坐で上映されていた徳間書店主催の『中国映画祭』がスタートだが、その頃すでにイーモウもカイコーもビッグネームと化していたので彼らの作品は観られなかった)中国映画にグッと胸をつかまれ、さらに何度かの中国旅行の経験もあった彼はその後坂を転がる勢いで、大阪で上映された中国映画上映に足を運び、ついでに香港映画や台湾映画も観て、さらには中国に関連した日本映画やミュージカルまでも加えて合計66本の感想をこの本にまとめたとのこと。うーむ、恐るべしナニワのオッチャン弁護士。すごい仕事だ。

 この本はそれぞれテーマ別に分けて、初心者にもわかりやすい丁寧な解説に、彼自身の思い出をちょっと交えつつ独断と偏見で評論していったものだけど、まー、個人個人の映画に対する感想ってホントに十人十色だからね。みんながいいというものに異を唱えることも否定しないし、その逆もまた然りだからね。
 …ただ、ちょっと引っかかったのは、本人は前書きで「決して盲目的に『中国映画万歳!』と言っているわけではない」と言っているのにもかかわらず、どこかに中国映画を優先気味に観ちゃっているのではないか、と感じさせる部分がそこここにあることだ。それはやっぱり、香港映画や台湾映画の扱いに感じさせられる。ワタシはこれら三地域の映画を“中華電影”と呼んでいるし、昔からプレノンアッシュの飲茶倶楽部を始め、これらの映画を“中国語圏映画”とまとめてはいるけど、それぞれの個性の違いは政治的基盤も頭に入れて充分に区別している。それがあってワタシは香港映画を贔屓し、台湾映画や大陸映画の秀作も愛しているのだけど、それら三地域の映画をすべて“中国映画”とくくってしまったら、なんだか複雑な気分にさせられる。もっとも、一般的な人々は北京語も広東語も上海語もどうでもよくて、中国語をしゃべっていれば中国映画と認識してしまい(で、成龍さんが出ていれば香港映画)、もっと悲しいことにアジア人が日本語じゃない言語を話しているから韓国映画と勘違いされている事実だってある。ああ、話がずれていくな、閑話休題。

 中国映画を観に行くと、他の映画より観客の年齢層が高く、自分の両親より年上の方々が観に来ているとすぐわかる。それは坂和さんがおっしゃっているように、「ある世代のある監督によるある映画には、今の多くの日本人が失ったものを思い出させるもの」があり、それを求めて観に来ているんだよなってわかるんだけど、それならなぜ『単騎、千里を走る。』はコケたんだ?
 ともかく、今後に控える高齢化社会に関連しているかどうかはいいとして、ワタシはもっと広い年代の人々に“中華電影”を観てもらいたい。いまでこそ、シネコン時代でハリウッドの大味続編映画や有料テレビドラマや中身のない泣ける“純愛”を扱った邦画が我が物顔でお金を消費させているけど、そういう映画ばかりじゃ観客が育たないし、いつかソッポを向かれるに違いない。メジャーじゃない映画を観る前に映画に失望されるにはあまりにも残念だ。確かに今日中関係は感情的にソリがあわないと感じている人もいるけど、政治と芸術は別だし、日本のドラマやマンガだって香港や台湾で人気だし、中国の若者だって興味を持っている。また、『ディパーテッド』に満足した人には是非『無間道三部作』を観てほしいし、なぜオスカーを受賞したリメイクよりもオリジナルがいいといわれるのか、比較して考えてもらいたい。
 そんなことを考えながら、ワタシは観た映画の感想を今日も書きつづけている…、っていうのは今考えた後付けの理由(爆)。でも、これからは独断と偏見を入れつつも、読みやすく公平な視点をもって書いていくことを心がけなければね。って最後は本の感想でもなんでもないな。ホントにすみません。

 ところで、この本自体は3年前に出版されていて、それより前に4冊このシリーズが出ているということになるのだが、坂和さんのサイトを見に行ったら、あれから巻を重ねて今や第14弾までいっているとのこと。

…やはり恐るべし!ナニワのオッチャン弁護士。

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