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『我が名はエリザベス』入江曜子

  ベルナルド・ベルトルッチが『ラストエンペラー』を作ってオスカーを得たのは、考えれば20年くらい前だったっけ?ちょうどその頃、ワタシも中国語を学び始めたのだが、学ぼうと思ったきっかけは、決してこの映画を観たからというわけではない。ジョン・ローンも好きじゃなかったしね(笑)。
20年くらい前はちょうど中国ブームが来ていて、経済の急速な発展とその勢いが世界中に注目され始めた頃で、これからはアメリカじゃなくて中国が来る!と言われていたような気がする。そんなことがあったり、当時読んでいた本やマンガに中国をモチーフにしたものがあったり(何だかはあえて言わぬが)したので、こちらも自然と中国に興味を持った次第。それでも『ラストエンペラー』を観たいとは思わなかったのよね。結局件の映画をビデオで観たのは大学生の頃で、ジョン・ローン演じる溥儀やジョアン・チェン演じる婉容が中国語ではなくて、ピーター・オトゥールと同じくらい(と当時は思った)流暢な英語を話していたのに、大いにガッカリした次第。

 その映画が日本でブームになった頃、これに乗じていろんな映画や本が登場していたことを思い出す。西洋的視点で描いたことに対抗して、その数年前に中国で作られた梁家輝主演の『火龍・ラストエンペラー』が公開されたり(残念ながら未見)、婉容を主人公にした『運命の貴妃』とかいう映画も大学の授業で観た覚えがある。主演は確か劉暁慶だったっけかなー。書籍でも、溥儀の自伝として有名な『我的前半生(我が半生)』やその周辺書、あるいは完全に便乗したような本も多かった。さすがブームに弱い日本だよね、ハハハ。でも、その頃ワタシは全然読む気にもなれなかったのだ。
 その頃出版され、3年前にやっと文庫化されたのが、この『我が名はエリザベス』だった。職場イベントの古本市に出品されていたので、ちょっと興味を持って売上貢献した次第(笑)。

 清朝末期の天津で西洋文明の恩恵を浴びて育った少女、婉容。民国初期の中国では充分に進んだ考えを持つ彼女が、なぜすでに終わった時代の象徴のような溥儀のもとに嫁いだのか。建前としては、殿下を西洋文化に触れさせたいから、奥方は西洋的な教養を身につけている方がふさわしいというものだったらしい。しかし、これは完全なる政略結婚であり、宮廷に嫁いだ婉容がふれるのはあまりにも前時代的なしきたりに第2夫人淑妃との確執、そして溥儀の秘められた性的嗜好に愕然となるのであった…。やがて彼らは紫禁城を明渡すことになり、日中戦争の混乱に巻き込まれていく。溥儀が満州国の皇帝となっていらい、婉容の存在は闇に封じられ、自室幽閉や阿片中毒などの苦難が彼女を襲う。離婚したいと願っても、それは決してかなえられず、日本軍による傀儡政権が彼女の虚像を作り上げる…。

 溥儀の性嗜好ってーのは実は少年愛嗜好なんだが、特に驚かなかったと同時に、映画ではそーゆー場面全然なかったよな?もっともオトゥールさん演じた家庭教師ジョンストンさんとはどこかホモソーシャルっぽいつながりを匂わされていなかったっけなー、なんて漠然と覚えている程度だけど、これは真実なの?有名な事実?
まぁ、知ったからって詳しく調べようとするつもりもないのでいいんだけど(投げやりだなー)。まーなー、年頃の女性にとっちゃ、自分の夫がBL愛好者だと知ったら確かにショックだな。ルイ16世(彼もフランスの“最後の国王”か)みたいな内気で錠前作りが大好きなオタク気味キャラだったらまだ救いがいがあったのだろうけど。…ってこれはあまりにも『ベルばら』的認識?

 物語では、婉容が溥儀や彼の臣下、さらには日本の傀儡政権に対する不満等を交えながら、それでも悲劇の縁へと追い込まれてしまう様を語っているのだけど…、うーん、さすがのワタシでも、どうも感情移入はできなかったな。
 それはやっぱり、かの映画でジョアンさんが熱演した婉容のエキセントリックさにひかれすぎていたのもあるし、やっぱりこの時代があまり好きになれないこともあって、のめりこめなかったのかもしれない。
 とか言っているけど、そーいえば『色、戒』の時代とこの時代ってちょっとかぶるんだよね。ただ、場所が違えば起こっていることも全く違うってことか。
 そんなとりとめのないことを思いながら、感想を終えたいと思う。
なんか全体的にやる気のない感想ですが、素直に書いております、はい。

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