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女人本色(2007/香港)

 東京国際映画祭の協賛企画として毎年実施されている東京国際女性映画祭。これまでなかなか行く機会がなかったのだが(自分、女性のくせに!)、今回初めて行くことができた。当初予定にはなかったのだけど、同好の士の方に券を譲っていただいたので(改めて、ここで御礼申し上げます)オーチャードからダッシュして(途中歩いて)観に行った。しかし、新幹線の時間が迫っていたのでティーチインはパス。NHKのBSニュースでも取り上げられた映画だけあって、バーバラさんのお話を是非聞きたかったんだけどねぇ。

 大会社で働くジョイ(ジジ)は腕利きのキャリアウーマンで、職場結婚した夫ラム(ジョージ)は同じ会社のCEO。ロロという息子を得て、幸せに暮らしていた。しかし1997年7月1日、返還記念パーティーの席で夫はCEOの職を解任されて、後釜に大陸から来たチェンが就任する。そして、ジョイはCFO(最高財務責任者)となり、チェンの片腕として働くことになる。ラムは新天地を求めてシンガポールに移り住む。
 ジョイの元隣人である義父(シウホン)は彼女に不動産の購入を勧め、いくつか購入していたが、10月のアジア経済危機とそれに伴う不動産の価格が下落する。ジョイは義父をなじり、彼は自殺してしまう。ジョイとは姉弟のように育ってきた医学生の息子は、ジョイに向かって「父親が死んだのはキミのせいだ」と責める。
 ラムは事業の失敗により多くの負債を抱え込む。彼を心配するジョイは夫の負債を負担するが、それが他人に知られることになり、ラムは自暴自棄になって交通事故で命を落とす。
 一方、ジョイの部下シウタン(フィオナ)はカバンをひったくった男を捕まえてくれたスタイリストのケビンと知り合う。彼によってオシャレに変身したシウタンはケビンに夢中になるが、ケビンは付き合っている女性に偽物ブランドを平気でつかませるような男だった。
 2003年、ロロが新型肺炎に感染したことがわかる。封鎖病棟に駆けつけたジョイを迎えたのは、仲違いで別れたっきりになっていた義弟だった。しかし、ジョイの必死の祈りも叶わず、ロロに続いて義弟もSARSによって命を落とす…。
 (あー、資料不足に加え、映画を観ているときには帰りに間に合うかどうかが気になってしょうがないので、物語はもとより登場人物名をろくに覚えていません。ホントにすみません。)

  実はあれこれ映画を観る合間を縫って、この冬と夏に放映されたNHKの土曜ドラマ『ハゲタカ』にハマっていたんだが、これを観て、このドラマをちょっとばかり思い出していた。
 1998年から2004年まで、景気がどん底で外資ファンドによる企業買収が活発化した日本で都銀出身のファンドマネージャーとかつての彼の上司にして企業再生を請け負うターンアラウンドマネージャーが“企業再生とカネ”をめぐって対決し、挫折などを経て新たな企業再生への道を築くまでを描いていて、経済なんてチンプンカンプンな自分は、ほー、なるほどーと思いながら観ていた。それ以外に企業を巡る男と男のぶつかり合いが素晴らしい!でもスタッフちょっと無間道リスペクトしてない?と確かにワタシも思ったけど、これ以降は別の話になるのでおいておこう(このドラマについて詳しくはこちらを)。
 で、『女人』の描く時代が、多少こっちの方が期間が長いにしろ、ちょうど『ハゲタカ』で描かれた日本とかぶるなぁと感じたのだった。でも、あのドラマでは主要登場人物のプライベートは一切描かれなかったし、香港映画ならどシリアスは厳しいので、辛い時代の出来事もユーモアやペーソスをもって描かないと痛いものね。

 この10年間でワタシはちょうど10回香港に渡っていたのだけど、訪れた時に起こった大事件が劇中に見事に反映されていたので、「そういえばそんなことがあったなぁ」といろいろ思い出していた。例えば不動産株下落に伴い、株で儲けまくって一気に損をした不動産王が追い詰められて練炭自殺した事件。これも当時香港滞在中にニュースを知った。また、SARSが流行する直前にも香港入りしていたので、その頃から思うとまさにああなるなんて思わなかった(もちろん、レスリーのことも…当然本編には登場しなかったけど)。
 主人公ジョイの人生にはいろんなことが起こる。昔の男、もとい愛する夫は彼女の前から去り、新しい男、もとい大陸出身のビジネスパートナーとはどうもうまくいかない。父親代わりの隣人と義弟に加え、夫と息子にまで先に逝かれてしまい、彼女は打ちひしがれる。しかし、さすがバイタリティあふれる香港人の血のせいか、彼女はどんなに叩きのめされても決して凹まない。彼女を助け、サポートしてくれるのは部下のシウタンだったり、彼女に投資依頼をする起業マニアの毛毛だったりと、女性ばかりだ(もちろん、彼女と時に対立し、時に気にかけたりするチェンも、彼女の知らぬところで助けてあげているのだが)。日本の場合に当てはまると、ビジネスサイドではまだまだ男性上位で、女性管理職が登場しても同姓からのサポートがなかったりなんだりという話もまだまだあるし、ジョイも夫の助けがあって子供を産んでも働ける(メイドさんも雇えるしね)ので、香港って女性にとって働く環境が整っているのかな。うらやましいぞ。

 こんな感じで非常に興味深く観たし、それなりに楽しんだんだけど、欠点はキャストの地味さかなぁ…いや、これでも派手じゃんと批判されるのは承知だけど、その前まで彦祖やニコからラウチンやらカートンやら林雪まで観てしまっているので、どーも比べてしまって。
 ジジが時々カリーナに見えたのは気のせいか?というよりも、とってもキュートな彼女もいつの間にかこんなキャリアウーマンを演じるようになったのか…と感慨深い。しかし旦那がジョージ・ラム…。うーん、ジョージさんはベテラン歌手ってイメージが強いし、役柄的にも「えええーっ!!!」って末路なので「それでいいのか?ジョージさん」と思った次第。しかもベッドシーンが濃い。それで…いいのか、ジョージさん。
 フィオナちゃんの演技はお初(あ、今月の中国映画祭で『早熟』観ますよ)なんだけど、もっと活躍すると思ったらそうでもなかったなぁ。しかし、独立独歩のジョイに比べて、まだ若いからと言い訳できるにしろ、あのスタイリストと付き合い始めてからのシウトンはちょいと軽率だよな。もっとも、彼女のことをずっと見ていた花屋くん(若手歌手のヒンスくん)に気づいてくれたのはお約束だけどよしとしよう。あとのキャストはシウホンさん以外ほとんど知らない、というか知っていてもなんか気がつかなかった。スマン。それだけキャストが地味ってことなのか。

 最後に気がついたことを一つ。
 最近の香港映画は、広東語をしゃべれない俳優で中国人か台湾人だったら、そのまま北京語でしゃべらせといて、広東語のできる俳優はそのまま広東語で一緒に会話するというパターンが一般的なんだけど、北京語しかしゃべれないチェンに、ジョイはちゃんと北京語で話しかけていた。ジジも大陸映画出演のキャリアがあるので、しゃべっても無問題だからかな? 

英題:Wonder Woman
監督:バーバラ・ウォン 製作:レイモンド・ウォン
出演:ジジ・リョン フィオナ・シッ ジョージ・ラム ヒンス・チョン ホイ・シウホン

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