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ちょいワル映画監督ジョニーさんに、愛とツッコミを!

 そんなわけで『マッド探偵』ティーチインのこと。
前日のオープニングセレモニーでのジョニー親分たちのはしゃぎっぷりを聞いていたので、こっちでもブイブイいわせるのかな?なんて思った次第。

 ジョニーさん(以下J)から最初の一言:
 こんなに早く集まってくれて、どうもありがとう。朝早い上映だから朝ごはんを食べずに来た人もいるんじゃないかな?もしいたら、これが終わった後に食べてくれよ。

 朝10時台上映なんて、香港じゃ確かに早い時間かもしれないな(笑)。でも日本は朝が早いからね。続いて質問タイム。

 Q(男性):今までにないタッチの映画で楽しみました。質問は2つあって、この映画はきちんと整合性が取れているかということと、いつも90分台でまとめているのは、意識してこの時間でまとめようとしているのでしょうか?
 J:…(15秒ほど無言)時間のことは別に考えていないし、特にそうしようとは思っていないよ。
 今回の映画は挑戦的なところがあって、あえて観客に考えてもらいたいと思って作ったんだ。劇中で登場人物の姿がなぜ変わったか、ということは、各自それぞれで考えてほしい。

 整合性についてだけど、確かにこういうトリッキーな作りの映画で恐れられるのは、物語が破綻してしまうのではないかということだろうね。画面中に現れる人物は、パンの眼から見ると全く違って見えるし、それを了解しないと「つじつま合わないんじゃないの?」と思い込んじゃいそうだもんね。

 Q(女性。おそらくもにかるさんかと):ひとつの場面を違うキャストで撮ることで、どれくらい時間がかかったのでしょうか?そして、監督の心の中には、いったいどんな“鬼”がいるんでしょうか?
 J:今回は他の作品より大変だった。一人の人間が持っている人格(=“鬼”)をどう表現するかが要だった。ロケ現場で全てを撮ることは無理と思ったものの、やるだけはやってみようと思って考えたことは全て撮ったけど、それは全て没になったよ。撮りながら考えられるかと思ったけど、自分ではとても決められなかった。物語に関係あるものもあればないものもあって、それらもいろいろ撮ったんだ。これは確かに複雑な物語なのでどう思うのか難しいと思ったが、ワタシとワイ・カーファイであれこれ考えてシーンを取捨選択して作り上げたのが今回のヴァージョンだ。でも、これでいいのかまだ迷っているんだよ。この映画は撮り終わってもう1年経っているんだけど、まだこの映画を引きずっているところがあるね。
 誰の心の中にも“鬼”はいると思うけど、ワタシは皆さんよりも“鬼”の数は多いと思うよ(笑)。

 メモが走り書きだったので、ちょっと変な文章になってしまって申し訳ない。やろうと思えばいろいろと盛り込めたのかもしれないけど(コーの7つの人格全てに活躍の場を与えるとかね)、それをやるとおそらく2時間以上超えてしまって、ますます整合性がなくなってしまうのかもしれない。この映画にとって幸いだったのは、ジョニーさんだけじゃなくワイさんがいることで、双方向から映画を作ることでベストの場面を選べたことじゃないかな、なんて思ったりする。
 ジョニーさんについている“鬼”の数は、確かに彼が言うように多そうだけど、いったいどんな“鬼”なのか、ひっじょーに気になるねー。

 次はネタバレ質問。未見の方のためにネタバレ部分は白抜きしておきます。

 Q(男性):犯人のコーの、支配的性格である女性の“鬼”が、ラストのホーの場面に、彼の新たな人格として登場し、狡猾な性格を象徴しているかに見えたのですが、監督自身の女性観はいかがなのでしょうか?
 J:女性の“鬼”の登場のために、ホーは変わってしまった。彼についた子供の“鬼”は、ホーの恐怖を表しているのです。女性観については、…あとで言いますか。

 …これ、後の方でちょこっと言った気がしたんだけど、あーやっぱそんなもんか、と思ってメモるの忘れてしまった(苦笑)。でも、映画を観れば彼の女性観って一目瞭然…ってちょっと暴言かしら?

 Q(女性):最後までハラハラさせられました。ラウ・チンワンとアンディ・オンはそれぞれ演じるのに非常に苦労したのではないかと思いましたが、監督は二人にどういう演技を要求したのでしょうか?
 J:キャストには「あまり考えすぎるな。わからなくなるぞ」と言っておいた。撮影中は自分でもあれこれ考えていたのだが、ある時からあれこれ言ったらみんな混乱してしまうから、自分でも考えないようにしたんだ。あと、パンのようないきなり自分の耳を切ってしまうような刑事が実際にいたら社会はどうなってしまうのか?ということなどを、あれこれ試しながら撮っていたよ。

 「Don't think! feeeeeeel!!」ですかい、親分。
 自分の耳を切って人にプレゼントしちゃうのはゴッホだけでいいよ(苦笑)。不祥事さらすアホな刑事がいるのは日本でも香港でも変わらないとおもうけど、パンみたいな刑事がいたら確かに「こんな刑事はいやだー!」って言いたい。

 Q(男性だったかも):『鉄三角』も観ました。監督は非常に多くの映画を作られていますが、現在企画中の作品は何ですか?また『PTU2』を撮影中と聞きましたが、できましたか?
 J:『PTU2』はワタシじゃなくて、別の監督が撮っている。ワタシはプロデュースに回った。帰港後は書きかけの新作の脚本を仕上げて年末までにクランクインしたい。そのほかの企画はまだ確定していないので、今題名は言わない。

 ちなみに『鉄三角』もこの映画も、まだ香港公開が決まっていないらしい。つまり両作品ともアジアンプレミアってことになるのか?相変わらずジョニーさんは多作だけど、もし来月フィルメックスで来日することがあって、その場で同じ質問が出たら、彼はなんて答えるんだろう?

 Q(男性):本作の製作プロセスはどうなっていたのですか?『鉄三角』もこれも共同監督作ですが、共同監督のメリットとデメリットを教えてください。
 J:『鉄三角』は特殊な例で、3人の監督でゲームをしているような感覚で撮ってみた。各自他人の撮っている内容は知らなかったんだ。一つの映画を三分の一ずつ撮り、その撮り方は各監督が自分で考えて撮り、誰にも相談しなかったんだ。ワタシがラストパートだったので他の2人は全く結末を知らなかったんだよね。
 一方、ワイ・カーファイとの共同作業は、2人の間に暗黙の了解と同じような考えがなければできない。2人が一心同体でなければいけない作りなんだ。他人と協力するチャンスがあると、自分の考えが広がるから刺激的だ。

 こういうことを聞いちゃうとますます観たいよ、『鉄三角』(泣)。
 最近の香港映画で特徴的なのが、この共同監督制。例を挙げずともいいとは思うけど、ハリウッドはともかく、日本ではあまり見られないんだよね。このへんの話はもーちょっと詳しく聞きたかったし、相方のワイさんからも是非聞きたかった。うーん、残念。

 こんな感じでバタバタと過ぎていったティーチイン。ジョニーさんったら、鉄三角トリオでランチの約束をしているからと慌しく去っていったけど、いったい当日は何を食べにいったんだか。そしてランチでは徐克さんやリンゴさんとどんな話をしていたんだか?

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