マッド探偵(2007/香港)
そーいやあアタシ、金像ウィナーになって以来、初めてラウチン主演作品を観ることになるんだなー。《我要成名》観ていないんだもんなー、なんて思いながら観たこの作品の相変わらずどーでもいい前振りにまずはお付き合いを。
ラウチンがアンディ先生と対決する『暗戦』が日本で公開されたのは、確か2000年の秋から2001年にかけてだったような気がする。この映画は『東京攻略』と一緒に仙台フォーラムが上映してくれていたので、2001年の春に友人と一緒に仙台まで観に行った。その当時、この映画を紹介したとある新聞記者が、記事中でラウチンを「The BOOMの宮沢和史(以下ミヤ)に似ている」と紹介していた。
それよりちょっと前、某富士電視台の月9ドラマ『二千年の恋』に、ミヤが金城くん演じるテロリストを追う刑事役で出演していたときに、ワタシを含めた香港映画好きがネット界隈で「あのドラマのミヤってなんかラウチンっぽくない?」と話題にしていたので、おそらくその記者さんもそれを見ていたのかなー、なんて思ったりしたっけ。それ以降ワタシはミヤに「歌うラウチン」なんていうふざけたあだ名をひそかにつけていた(こらこら)。
で、先日、地元で行われた野外フェスにて久々にミヤを見たのだが、「やーっぱ似てないかぁ…あ、でも、目の大きさが違うだけで顔の骨格は近いものがあるか」なんて思いながら踊っていたのであった(おいおい)。
というわけでこの二人を見分けるには目の大きさであり、目が大きければラウチン、小さければミヤである。…って何しょーもないこと書いているんだワタシ。さっさと本題入れ。
刑事のパン(ラウチン)は容疑者の行動をそっくりトレースすることができる不思議な能力があり、その力を捜査に生かして難事件を次々に解決していた。新人刑事のホー(アンディ・オン)は初出勤日で彼の捜査を目撃し、彼を尊敬するようになる。しかし次の日、定年退職する署長にパンは自分の耳を切って差し出すという奇行に走り、警察をクビにされる。
それから5年後、捜査に出た2人の刑事が森の中で失踪し、1人は行方不明のままでもう1人が帰還する。そして、行方不明の刑事の拳銃を使用した強盗殺人事件が連続して発生する。捜査担当になったものの行き詰ったホーは、探偵として生計を立てているパンに捜査の協力を依頼する。パンには人には見えない人間の内的人格-いわゆる“鬼”を見る能力があり、それに加えて自分にしか見えない妻(ケリー・リン)と常に話をしていた。あまりにもエキセントリックなパンの姿に不安を抱くホーだが、パンは重要参考人としてマークされている帰還した刑事コー(カートン)の姿を見て、彼には7人の“鬼”(林雪他)がついている、と呟く。そして、現金輸送中のセキュリティや茶餐廳の店員にいきなり襲いかかる。犯人がとったであろう行動をトレースし始めたのだ。
しかし、ホーはパンの自宅で元妻だった刑事と出会い、パンに精神病院の通院歴があることを知り、彼の捜査方法にますます不安を抱くようになる…。
ここ3年ほどはお互いに単独作品を発表してきた“香港の藤子不二雄(?笑)”こと、トーさんワイさんコンビが帰ってきた。ワイさんがどちらかといえばコメディ作品ばかり作っていたのに対し、ジョニーさんは見事に我が道を行くシリアスかつハードで痛ーい作品を量産し、カンヌやヴェネチアで上映されては国際的知名度を高めてきた。『大事件』や『柔道龍虎房』、黒社会二部作なども確かに面白いけど、どシリアスすぎて痛いのもちょいとね…(苦笑)。親分のワイルドさにワイさんが加わると、幾分ユーモアが加味されるかな。
ストーリーはとってもサスペンスフル。このところの香港映画では無間道三部作や傷城の例を挙げずとも、ハリウッドリメイクのオファーが殺到するような手に汗握るサスペンスが多く、本作もその例に漏れない。
「ボクには死んだ人が見える(from第六感)」もとい「オレには人につく“鬼”が見える」というパンの超能力者的設定は、まーリアルなサスペンスを求める御仁には思いっきり反則な設定だよねー(苦笑)。でも、人間に潜む自覚できない内面がもしこうやって他人に見えたら、そして自らの中に新たな内面が生まれてしまったら…そんなことを考えると、これが人間の業ってものなのかな、などとぼんやり考えた次第。
ラウチンは以前見たときよりずいぶんとスリムになってギョロ目がひときわ目立つ。髪は伸ばしっぱなしでボサボサ、衣装はぴったりめのスーツ(でズボン丈が短い)と外見からも奇人変人振りが強調されている。非常にエキセントリックなこの役は、ここ数年のジョニー親分作品の主演を務めてきた古天楽やヤムヤムだとちょっときついかもしれない。カーファイならできそうだけど、少しくどさが出るかもしれない。それを考えればラウチンはさすが金像ウィナーなので(それが理由か?)ユーモアもたたえて演じてくれたような気がする。
相方のオンくん。彼はアクションスターとしての印象が強かっただけあって、こういうアクションを封印した役どころはどうかなぁという気もしたけど、意外な健闘を見せてくれたのが嬉しい。
カートン演じた“7人の鬼”は、林雪とリーダー的人格の女性(演じていたのはジョー・コックじゃなくて劉錦玲だそうです)が際立っていたけど、他の人格ももうちょっと表に出してもよかったような。森に置き去りにされたホー本人の人格が、憑依しながら捜査中のパンと出会う場面も印象的だった。
香港での公開が決まっておらず、今回が実質上のアジアンプレミアだったというこの作品、上映の後には“ちょいワルオヤジ”として登場したジョニー親分のティーチインがあったんだけど、この要約とツッコミはまた後日別記事にて。ちなみにこれが今年唯一のティーチインでしたよ。
原題:神探
監督:ジョニー・トー&ワイ・カーファイ
出演:ラウ・チンワン アンディ・オン ケリー・リン ラム・カートン ラム・シュー ジョー・コック
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コメント
こんにちわ。
>リーダー的人格の女性
やってたのは劉錦玲だと思います。
投稿: せんきち | 2007.10.29 20:05
せんきちさん、ご指摘ありがとうございました。
劉錦玲(ラウ・カムリン/ジェーン・ラウ)の名前は確かにエンドクレジットで見ました。ずいぶん久々に観たので勘違いしてました。
投稿: もとはし | 2007.10.29 20:31