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プロジェクトBB(2006/香港)

 やっと観られましたよー『プロジェクトBB』
 …しかし、上映2週目のレイトショーだったからかどうか知らんけど、観客はワタシと友人だけっていったいどういうこと?もうわが街には香港電影迷はいなくなってしまったの?
ああ、先月公開の『龍虎門』も、1週目は都合が悪いから2週目から…と後回しにしていたら、あまりにも人が入らなくて1週で打ち切られたらしいからなぁ。地方の香港電影迷にはまだまだ試練が続くぜ。

 泥棒3人組、サンダル(成龍さん)、フリーパス(漢字では八達通/古天楽)、大家(房祖公/マイケルさん)。サンダルとフリーパスはとある巨大病院に忍び込んで現金や薬を大量に盗み出すが、ヘマをやらかしてセキュリティに追われるはめに。この病院には香港有数の富豪、李氏の息子(連凱)の嫁マニ(チェリー)が赤ちゃん(マシュー君)を出産したばかりだが、マニの元彼氏マックス(テレ)が彼女に復縁を迫るべく赤ちゃんを強奪、大パニックを起こす。そこに居合わせたサンダルが落ちそうになった赤ちゃんを救い、そのどさくさにまぎれて脱出するが、一緒に転落したマックスは地上からあの世行き。
 盗みに関しては腕利きのはずなのに、私生活はとにかくダメダメの3人組。カジノのオーナーを夢見るサンダルは素人賭博で負けまくり、高利貸しのマックダディ(コンロイ)に借金を作っており、郊外でゴム草履を作っている父親(谷峰)からも見放されている。若気の至りで早婚したフリーパスは何とか妻のパッイン(阿Sa)と離婚してセレブの婿になろうとしているが、コスプレしてバイトしながら生計を立てているパッインに「妊娠したの」と言われて動揺する。サンダルとフリーパスに部屋を貸し、名前通りに生計を立てている大家の心配は、若い頃に産まれた子供を失ったショックで赤ん坊人形を手放せなくなった妻(杜麗沙)の存在。盗みの分け前を貯め込んで老後に備えていたが、ある日家に空き巣に入られてしまってスッカラカンに…。
 そんな彼らのもとに届いたのは、あの李氏の赤ちゃんを誘拐せよという黒社会のボス(陳寶國)の依頼。実は彼は、あのマックスの父親で、もしマックスが赤ちゃんの父親だということが証明されたら、死んだ息子の代わりに跡取りにする野望を持っていたのだが、3人組はそんな裏は全然知らない。誘拐や殺人は絶対しないという掟を破って赤ちゃんを誘拐した3人だが、運悪く検問に引っかかって大家が逮捕される。依頼主との連絡法を知っていたのが大家だけだったため、サンダルとフリーバスは道交法違反で10日ほど留置される彼が出てくるまで、仕方なく赤ちゃんの面倒を看るはめになる。
 子供を持ったことがない二人はう〇この始末やミルクの作り方に悪戦苦闘。ゲイカップルを装ってトイざラスに買い出しに出た際、ここの育児教室でインストラクターを務めていた北京出身の看護師メロディ(高圓圓)と出会い、いろいろと助けてもらう。そうして面倒を看ていく中、二人は赤ちゃんに対して愛情を抱くようになってくる…。しかし、いつまでも赤ちゃんが届かないボスは手下(ロー・ワイコン&葉山豪)を放って二人を襲い、愛しのベイビーをめぐって、海洋公園にあるボスの屋敷で最終決戦が繰り広げられる…!

 香港へ帰ってきてからの成龍さん映画は、アクションだけじゃなくてストーリーもちゃんと練られているし(ハリウッドで撮った作品より中身は充実していると思うぞー)、ニューポリではニコ&彦、そして今回は古天楽と現在の香港映画を支える明星達にちゃーんと花を持たせ、さらには成龍集団所属の俳優たちから大ヴェテランまで登場させて娯楽電影の王道を行く作りをしているのが好ましい。
 さらに面白いのが、ここ2作品での成龍さんの役が無敵の熱血ヒーローではなく、人間味豊かで共感を得る役柄になっているということ。ニューポリのチャン警部は部下を失ったトラウマで苦しんでいるし、サンダル(これはあだ名だけど、役柄上の本名はいつもの「陳」姓じゃなくて、成龍さんの本当の本名と同じ「房」姓だそうだ)は親にも見放されたダメダメな博打好き。日本の宣伝で言われたような「悪役」なんて言うもんじゃなく、悪役なんていうのが恥ずかしいくらいのヘタレな小悪党。ついでに彼とつるむ二人も同じくらいのヘタレ。
 そりゃさー、ヘタレなジャッキーなんて見たくない!なーんていうオールドファンもいるのかもしれないけど、彼だっていつまでも昔と同じ人間じゃない。いつも満身創痍で決死のアクションに挑む彼も、隠し子問題があったり、出自の新事実が明らかになったり、息子のジェイシーくんが自分と同じ俳優になったりといろいろあったわけだから、その今まで表に出てこなかった自分の歴史と経験が彼の演技にも滲み出てきて、ハリウッドから帰ってからはアクションコメディにも人間的な深まりを出そうという、今までになかった挑戦に取り組んでいるんじゃないのかなー、なんて思った次第。
 そんなわけで年齢と経験を重ねて進化していく成龍作品なんだけど、それが日本ではどう取られているかというと…、宣伝面ではむしろ退化してるんじゃないかなんて思うんですが、その詳細は後ほど。

 その他の皆さんについて。
祝!古天楽全国デビュー(大爆発)!!ああ、思えば『OVER SUMMER』日本公開から6年、名前と顔だけはみんなに認識してもらえてもどーも映画が地元に来ないと悩んでいたのに、やっと自信を持って「どーだ!コイツが古天楽だ!」と威張れる時が来たよ、嬉しいよー。…いや、これでも全然惚れてないですよー(爆)。実はコメディの古天楽を観るのはこれが初めてだと気がついた(『恋ブラ(仮)』観ていないのよー)。んーまールックスこそ王子様キャラの白ルイス(『忘れえぬ想い』 《生日快楽》)じゃなくて、イケイケ極悪黒ルイス(『バッドボーイ』『エレクション』)だったけど、そのイケメンなルックスに器量が追いつかないというお笑いヘタレキャラのフリーパスとしては黒で精解ですね。阿Saがいつもとうってかわってヨワヨワな妻だったのはビックリ。登場時は常にコスプレっていうのは誰の趣味ですかベニーさん?
 マイケルさんのヘタレキャラってーのは定番ですよね。そのヘタレっぷりは哀愁スレスレのとこまで行きながらもちゃんとわらかせてくれるから、香港映画黄金期の爆笑王はまだまだ健在。
 大陸から登場の高圓圓ちゃん。王小帥監督の《青紅》の主演女優…ってことはこの子ですか!大陸女優のわりには野暮ったさを感じさせないのと、どっかゆんれんれんに似ている大きな目が印象的。
 豪華なゲストではAlive総出演が嬉しかったー。一番美味しい役どころはコンロイだね!(ところで、彼がラストシーンで抱いていた赤ちゃんはジョシーとの間にできた子か?明らかにマシューくんじゃなかったのよ)ニコ&彦のブロークバック運び屋くんも面白かったんだけど、彦よ、なんでそんなにゲイっぽい役どころが好きなの?とくどいけどつっこむ。あと、救急士のカートンさん、刑務官のシウホンさん(多分)など、華仔&ジョニーさん関係者のまさに意外なゲスト出演も楽しかったざんす。エンドクレジットをきちんと観れば見逃した人も多いだろうに。
 忘れちゃいけない、“ベイビー” ことマシューくんを!ものすごくかわいいのはいうまでもない。しかーし、世に赤ちゃん映画数あれど、まさかここまで激しいアクションに何度も挑戦することになった(?)赤ちゃんは彼くらいなんじゃないか!…まー、あと数年もすればそんなことがあったことすら覚えていないくらい成長しちゃうってのはわかっているが。

 そんな感じで久々に地元で観る香港映画に大はしゃぎしたわけなんですが、先に書いたような淋しい人の入りって…(泣)。ちゃんと宣伝やってくれよーと叫ぼうとして思い当たったのが、往年の明星とのコラボ復活をメインにした公開開始当初の宣伝活動。別にそれを諸悪の根源だと決めつけるわけじゃないけど、さっきも書いた通りに、成龍さん×マイケルさん×ユン・ピョウという往年の明星3人組を大々的にフィーチャーして古天楽を“期待の新人”呼ばわりした宣伝は退化してるんじゃないかって思ったもんで。こういう娯楽作品こそ、ワタシたち香港電影迷はもちろん、ここ10年のハリウッド作品でしか成龍さんを知らない若い観客に向けてアピールすべきなんじゃないかな。
 もちろん、成龍作品以外にも、近頃の香港映画の劇場作品の宣伝もそれってどーよと言いたくなるのはいっぱいあるんだが、それをいうときりがなくなるので、いずれ日を改めて言おうか(ってアンタ、そのことについてはいつも吠えてるじゃん)。

英題:Rob-B-Hood
製作&監督&脚本:ベニー・チャン 製作総指揮:アルバート・ヨン
出演:ジャッキー・チェン ルイス・クー マイケル・ホイ マシュー・メドヴェデフ カオ・ユエンユエン シャーリーン・チョイ テレサ・カービオ クー・フェン コンロイ・チャン ロー・ワイコン 葉山 豪 チェリー・イン アンドリュー・リン キャンディ・ユー チェン・バオクオ テレンス・イン ニコラス・ツェー ダニエル・ウー 樋口明日嘉 ラム・カートン ホイ・シウホン ユン・ピョウ

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