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結果がアレでも、香港映画ボーダーレス化は喜ぶべき?…だと思いたい。

今年のカンヌの傾向からは、中華圏作品の出品よりも、中華圏映画人や明星の非中華圏映画進出(その逆も然り)が目立ち、まさに香港&中華電影のボーダーレス化が始まったと感じさせてくれたけど、賞レースにはきっと絡まないんだろうな、というのが正直な気持ちでして、結果ももう、ご承知の通りというべきか…。

河瀬直美監督「殯の森」、カンヌ国際映画祭グランプリ受賞 (読売新聞).

 もちろん、同世代&日本人として、河瀬監督のグランプリ受賞は素直に喜んでおります。まっちゃん映画や富士電視台2大ドラマ映画の話題なんかよりずーっとずーっと嬉しい。詳細は後日、非中華の方で書きますよ。
 あ、中華圏がらみと言っていいかどうかわからんけど、60回記念賞のガス・ヴァン・サント監督の《Paranoid Park》ではドイル兄さんが撮影を担当し、さらに役者として出演されているようですね。にーさん、ハイライト番組ではレッドカーペットを歩いていましたもん。

 河瀬監督がカメラドール受賞で華々しく世界デビューした10年前といえば、前からも書いているように王家衛の『ブエノスアイレス』が香港映画として初めてコンペに出品されて監督賞を受賞した記念すべき年でもあったけど、その頃も含んだ90年代の中華電影のことをちょっと思い出してみようかな。
 今回家衛と一緒に『それぞれの映画』を撮ったイーモウやカイコーは、彼より早くカンヌのコンペ常連となっていて、『覇王別姫』や『活きる』のように、中国政府にクレームをつけられながらも自分の撮る映画にメッセージ性を込めていたもんなぁ。もっとも、パルムドールやグランプリを撮った後の二人は、心境の変化がどうあったかは知らないけど、『あの子を探して』や『北京ヴァイオリン』のようなわりと国内ウケ(もちろん国際的にもウケたが)のような作品を経て、『英雄』や『無極』のような、香港明星も出演する超大作の監督になっちゃったわけで…。政府の妨害や横槍にもめげずに映画を撮っていた頃もずいぶん昔なんだなと思ったりして。

 あと、家衛といえば、97年以前に『楽園の瑕』のヴェネチア出品&金のオゼッラ賞受賞のキャリアもあって、『欲望の翼』か『天使の涙』も監督週間に出したこともあったんだっけか?そのへんはうろ覚えで申し訳ないんだが、正直言ってブエノスがカンヌ出品と聞いたとき、ものすごく驚いた記憶がある。日本でしか人気がないのか(当時は韓国でも人気があったらしいが)としか思っていなかったから。でも、これと『花様年華』がきっかけとなったのかな、欧州にて家衛作品の評価が高まったのには、我々10年来のファンとしては、嬉しく思わなきゃいけないもんだ。たとえ某『2046』が日本的にブーイングされたとはいえ…(アレは日本側の宣伝が悪かったのが原因。もう語りつくしたからいわないけど)。
 記念すべき60回目のオープニングフィルムとなった『マイ・ブルーベリー・ナイツ(邦題はこれで決定だよね?)』は、先にカンヌで観た方のレビューを読むと、かの『恋する惑星』を彷彿とさせるラブストーリーだとかいうらしいけど、それを聞いて「まさか片手間の仕事感覚だったんじゃ…」とか妙な心配をしてみる(笑)。いや、確かに家衛には珍しいくらい、今までにない早いスピードで撮り上げていたし(香港に比べると、欧米人スタッフ&キャストの拘束時間の契約がしっかりしているからか?)…それなら《一代宗師》はいったいどうなるんだ?ていうか、今後もちゃんと香港で撮ってくれるよね?っていうのが一番の心配。だって、齋藤敦子さんもおっしゃっていたけど、ワタシもまた王家衛の持ち味は香港でこそ発揮されると思っているからね。
 それもあわせて、どんどん外に出る香港映画人(もにかるさん曰く「香港映画人は西(欧米)を向く者、北(大陸)を向く者、そして留守を守って残る者がいる」とのこと)の活躍も嬉しいけど、たまには地元に戻って、思いっきり自由に映画を撮って、そのローカルさが国際的に注目されるってーのも大いにありなんじゃないか、なんてお気楽に思った次第。ええ、見果てぬ夢なのかも知れないけどね(やや泣)。

 さらに気になったことをいうと、この10年間で、家衛以外の香港映画コンペ作品をチェックすると、スタンリーさんの『ホールド・ユー・タイト』と、ジョニー親分の『エレクション』しかあがっていないのよね。ヴェネチアやベルリンにはいくつか出品されてはいるけど、カンヌでコンペにあまり出ていないってのが淋しい。なぜだろうか?
 ジョニー親分の作品が何のかのいいつつもアウトオブコンペに選ばれているのは、選考委員にジョニー親分ひいきがいるからか、それともハリウッド映画が増えてきたアウトオブコンペ全体のバランスをとるつもりだからかしら?

 ま、こまかいことをゴチャゴチャいってもなんだけど、やはりここ数年は世界的にも欧州映画のほうに注目が上がっているのかもね。そのわりをくっちゃっているのが中華圏電影であると考えればいいか。あと、別にワタシもアート系ばんざい人間じゃないから、ホントに面白い映画を観たくてしょうがないのよね。某電視台ドラマ映画のことばかり騒がれていたマーケットにも香港独自のブースはあるわけだし、そこで『イザベラ』や『父子』、そして《鉄三角》が日本の配給業者の目にとまってくれていればいいよなぁ、なんて思ったのだけど…やっぱり無理か。

 最後に超蛇足。
今回の映画祭で、王家衛と仲よくしていたアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督(『バベル』)の顔と名前をしっかり覚えた(ラテン系の濃ゆい男前顔で出まくってたんだもの)。彼は昨年の名前ヨメナ語監督ナンバーワン。で、今年のヨメナ語監督ナンバーワンは、ロシアのアンドレイ・ズビャギンツェフ監督だ。わはははは。

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