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2007年4月

そうか、題名は『じょてい・エンペラー』と読むのか…。

連休前半最終日、実家から徒歩35分で行ける一番近いTOHOシネマズ(今年3月オープン)にて、『バベル』を観てきた(感想は非中華日記にて)。そこでもらってきたのがフリーペーパーのTOHOシネマズマガジンと『女帝[エンペラー](夜宴)』のチラシ。
…しかし、女帝と書いて「エンペラー」と読ませるのって、中高生の英語テストで誤解答を誘導しないのか?どこか○○っぽいぞG○G○宣伝部よ、とツッコミたいワタクシ。

で、件の『バベル』も同じ配給のせいか、上映前に流れたのが『夜宴』の予告。
…んー、なんでツーイーと葛優さんしか映さないんだ!彦祖は?周迅は?
と思った次第。

 この『夜宴(あえて“女帝”と書かず)』、いくら原作が『ハムレット』とはいえ、結局ウリはそれとツーイー(のヌード吹き替え)だけっていうのはなんか悲しくないか?それじゃ《黄金甲》の立場は?
…ただ幸いなことに、一部スポーツ紙で報道されたユー○ン様のイメージソングはこれっぽっちも流れませんでしたよ。そこは安心するか。(TVではガンガンかかるんだろうけどさ)あと、題名の読み方が『女帝』と書いて無理やり“エンペラー”と読ませなかったことに安心しましたよ。

 しかし○AG○さん、かつてはあんなに熱心に香港&中華映画を売ってくださったのに、某企業と手を組んでからはガラッと変わっちゃいましたね(泣)。
いや、それは宣伝側が違うからとつっこまれてもしょうがないとしても、これといい『龍虎門』のあれといい、なんか、一般ファンへのアピールに躍起になってホントのファンにそっぽ向かれるような宣伝が続いていると感じるのは気のせいでしょうか。
 今は邦画大手と洋画大手が儲けているから、独立系洋画配給が厳しいというし、メジャー系邦画がガッポガッポ儲けてい陰で、中華映画が全然儲かっていないという事実が悲しすぎる…。7月の『傷城(傷だらけの男たち)』と秋以降の《黄金甲》ではどう展開するんだか。傷城はすでに日本版イメージソングがあのぴんちーぷー小姐ってことで頭抱えてますけどね、だー。

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迷子(2003/台湾)

 昔、といっても90年代末、レオス・カラックス監督&ドニ・ラヴァン主演のフランス映画『ボーイ・ミーツ・ガール』『汚れた血』『ポンヌフの恋人』―いわゆる“アレックス三部作”をまとめて観たことがある(今でこそこーんな人間だが、かつてはアタシだってオサレなおフランス映画をちゃーんと観ていたのだ)。このアレックス三部作は、ラヴァンが演じる、いつも同じ名前の主人公アレックスと、ジュリエット・ビノシュの演じる男女を主人公に、この二人がさまざまな形で出会って恋をしていったり、事件に巻き込まれたりしており、物語はいかにもフランス映画といえる悲劇的かつ内省的なものだった。なにせこれらの映画が公開されたのはバブル期真っ盛りの頃。確か学生時代に『ポンヌフ』が上映されて単館系映画としては大ヒットを記録したことを覚えているけど、当時はあまり観に行こうという気が起こらなかった。なんでかしら?
 で、数年経ってからこのようにまとめて観る機会があったのが…うーーーーーん、なんか自分には合わなかったわ。好きなヒト、どうか気を悪くしないでねm(_ _)m。ヒット当時に観ても多分受け付けなかったんだろうなぁ。
 え?なぜいきなりカラックスの話をするのかって?…実はこの三部作を観る前に、ちょうどワタシは蔡明亮&シャオカンコンビの作品をいくつか観ていて、なんとなーく、カラックス作品とミンリャン作品には、なにか共通するものがあるように感じたのである。それはなんだったのかな?どこか焦りを感じさせる展開と、どことなく後味が悪く感じる幕引きが…?ともかく、そう感じたので、しばらくはシャオカンを“台湾のアレックス”と呼び、ドニ・ラヴァンを“フランスのシャオカン”と呼んでいたことがあったのだ。あと、ミンリャン映画ってフランスで受けそう…とか思っていたら、『ふたつの時、ふたりの時間』はパリで撮影し、『西瓜』はフランスの資金で撮ったわけだから、あの時思ったことは結構関係あったんだ、と思った次第。
 そんなわけで、怒涛の蔡明亮花祭り(爆)の掉尾を飾るのは、彼の分身、相方、または愛人?(こらこら)であるシャオカンこと李康生の記念すべき初監督作品『迷子』である。

 台湾郊外の街、中和。ある夏の日、おばあちゃん(ルー・イーチン)が公園のトイレで用を足している間に、孫のシャオイーがいなくなってしまった。血眼になってシャオイーを探すおばあちゃん。近くの交番に届けても、園内放送をかけてもらっても、大事な孫が現れない。公園内の人全てに孫の行方を尋ねると、急いでるからと邪険にされたり、放送をしてもらえば?とすでに役に立たないアドバイスをされたりと、反応はさまざまだ。
 その公園に、おじいちゃん(苗天)の用意してくれた弁当を捨てた中学生の小杰(張捷)は、学校をサボってネットカフェでオンラインゲームに興じていた。シューティングゲームにどっぷりはまり込んだ彼は、隣に座った常連の男ともオンラインでしか会話をしない。さらにその男が発作で倒れても、彼が戻ってこないことに気づかずにゲームに没頭していた。
 おばあちゃんは公園から街に出る。大根餅屋の車にスピーカーで呼びかけてもらい、通りすがりの男のバイクに無理やり乗って、強制的に孫探しを手伝わせる。さらには郊外の軍人墓地まで行き、死んだ夫の墓前で彼に謝り、孫を探してくれるように願う。
帰宅した小杰は、認知症のおじいちゃんが切り刻んだ新聞紙のくずが、死んだ金魚の水槽の中だけでなく、マンションの通路や部屋一面に散らかされているのを見る。最初は気にせずに、自室にこもって三国無双をして遊んでいたが、おじいちゃんが帰ってこないことに気がついて、彼を探しに街に飛び出す。
 小杰が昼間通ったあの公園に行くと、街ですれ違ったおばあちゃんがいた。迷子を捜すのに疲れ果てた二人が、フェンスで囲まれた広場の中で座り込んだ時、その裏からは、風船を手にした男の子と、彼の手を引く老人の影が映っていた…。

 いつも寡黙で、遠くを見ていて、引き締まった筋肉の持ち主なのにちっともセクシーじゃなくて、むしろドンくさい童貞少年(爆)のようだと感じていたシャオカンなのだが(ちなみにパンフレットにあった撮影当時らしい写真は、ちょっと太っていてオッサン度が高い。多分『西瓜』で身体を絞ったんだな)、本人がそうだかどうかはさておき、いくらミンリャンの一番弟子だとはいえ、作風が師匠と一緒だったら絶対キツいぞーと、観る前はかなり不安になった。これはホントのこと。
 しかし、映画が始まってしばらくして、おじいちゃんと小杰の場面からおばあちゃんの場面に変わったときに、これはミンリャン映画と明らかに違うということを確信した。ミンリャン作品の登場人物は本当にごくわずかで、その他の人々はほとんど登場せず、ひたすらの沈黙で人々の孤独を描いている。しかし、シャオカンは孫を見失ったおばあちゃんを公園の喧騒に投げ込み、その姿をワンシーンでひたすら追い続ける。公園の丘の向こうにおばあちゃんの頭が見え隠れして、声だけしか聞こえなくなっても、カメラはおばあちゃんを追う。パンフによると、この場面はなんとワンシーンワンカット10分だったそうで。ミンリャン映画のような人工的な風景と対照的に、周りの風景やら多くの人々やら、いつもの街角を映しているのはシャオカンの個性なんだろうけど、喧騒の中におばあちゃんの孤独を浮き立たせるのは師匠譲りというかなんというか。
 
 おばあちゃんをやっているのはシャオカンママでお馴染のルー・イーチンさんってことはわかっていたんだが、なんか急に老け込んだ?と思ったら特殊メイクしているのね。もともとイーチンさんはそれなりの美女なんじゃないのかと思うのだが、ミンリャン映画では常にシャオカンママ(除く『西瓜』)だし、どこかヨゴレ系な役割も引き受けている(…これは『河』と『西瓜』だけか)ところもあるからなぁ。
 ガッコをサボってネットカフェにこもる小杰の姿には、もうかなり前に観たミンリャン&シャオカンのデビュー作『青春神話』がかぶっちゃってしょうがなかったかな。彼を演じる張捷くんは、けっこうなハンサム君であるんだが、今後はどんな役どころに挑んでくれるのだか。
 苗天さんは出番こそ少ないけど、ラストのシャオイーの手をつないで歩く姿がとても印象的だった。なぜこんなに叙情的なんだろうと思ったら、この映画の前に父親を亡くしたシャオカンが、自分がかなえることのなかった「孫と手をつないで歩きたい」という彼の願いをかなえたくてその場面に思いを託したと知り、大いに納得した次第。

 最後に、ちょっと気がついたどーでもいいことを。
ミンリャン映画は圧倒的に台詞が少ないのであまり気がつかなかったのだが、このシャオカンの映画では、久々に台湾語の言葉を聞いた。街を行く大根餅の移動販売車が台湾語だったので、そのへんが妙に印象的だった。シャオカンが本省人か外省人かはよくわからんのだけど、やっぱりこの子も台北の雑踏でフツーに育ってきたんだなぁ、なんて思ったのだった。

原題:不見(The Missing)
製作:ツァイ・ミンリャン 監督:リー・カンション
出演:ルー・イーチン ミャオ・ティエン チャン・チェア

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ワイズポリシーマガジンが届きました。

ワイズポリシーマガジンが届きました。
 昨日観た『迷子』の感想を書く前に、これ(写真)が届いたので予定変更。
 李安監督の『ブロークバックマウンテン』やドイル兄さんが撮影を担当した『上海の伯爵夫人』を配給した独立系映画配給会社ワイズポリシー。今年で設立10周年と聞き、「あれ?この会社の名前を聞いたのってブロークバック観たときが初めてだよ?」と疑問に思ったら、どーやら前身のシネマパリジャンから数えて10年のようです。ここ、社名こそ「パリジャン」だけど、フランス映画ばかりじゃなくてジジちゃんの『再見・また逢う日まで』の配給もやっていたのですね。
 この会社が創立10周年を記念して発行したラインナップマガジンが無事到着。いやぁ、こんなに立派な雑誌(某Cutかと思うくらい)だったとは思いもよらずだわ。実は今日は職場から中国語教室に行ったので帰りが夜だったのだけど、夕方から雨と雪(!)が降ってきたので、ポストで見つけた時点では赤い封筒が半分濡れていたんですわ。うわー、表紙は!表紙は無事か!衛生兵ー!とドライヤー片手に封筒を開けたら…中はシュリンク放送でしっかりガードされていました。ありがとうございますワイズさん!

 この表紙からもわかるとおり、李安さんつながりでこの会社が配給権を獲得した《色、戒》(現時点の邦題は『ラスト、コーション』…英文直訳かよ)が巻頭から大フィーチャー。あえて情報を積極的に見ていなかった分だけ、40年代テイストのトニー先生のショットにうっとりー(*^~^*)。
 相手役の新人、タン・ウェイ小姐はこの雑誌で初めて顔を見たんだけど、顔が半分帽子に隠れた状態で判断するに、池脇千鶴ちゃんを中国人にしたような雰囲気かな。宏くんもお素敵だわー。しかし李安さん…確かにお痩せになりましたね(泣)。そんなに過酷を極めたのですか?かの映画の撮影は。
 で、この雑誌、写真だけじゃなくてちゃんと文章もあるのだが、なんと3カ国語で表記は英語・フラ語・日本語の順。…うっかり電子辞書出して英和で調べるところだったぜ(爆)。なんでも、ニューヨークやパリのカフェでも配布するそうで、そのためなのですか。

 映画紹介の間に挟まれている、ワイズポリシースタッフオススメ(?)の東京・NY・パリのお店紹介コラム「LIKE  WISEPOLICY」も読んだけど、驚いたのは香港のお店も紹介されていること。てか、香港(&バンコク)にもブランチオフィスがあるんですね?あらビックリ。
 現地スタッフのポキット・プーンさんのリコメンは旺角にある茶室「好雪片片」、銅鑼湾のインディーズ系レコードショップ「White Noise Music」、ポキットさん(男性のようです)が経営するデザインスタジオ&カフェ「AFTER SCHOOL」に加え、御馴染のKubrickも登場。今年オープン10周年とあるのは、これまた前身のP.O.V.Bookstoreから数えてってことだよね?
 …ところでP.O.V.の頃のオーナーは中華圏映画プロデュース&映画評論で有名なシュウ・ケイさん(舒[王其]。ちなみに舒淇の広東語読みも「シュウ・ケイ」だが、日本でも香港でもこの方と混同されたせいか、北京語読みの「スー・チー」がそのまま英語&日本語表記になっているみたい)だったけど、彼はKubrickになった今もオーナーを継続しているのかな?記事によると、現在はかのグレート・ビル・コン(笑)が出資しているとのことだけど。

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楽日(2003/台湾)

 今でこそ、日本各地にシネコンがボコボコできまくって、数年前に比べたら映画館で映画を観る人も増えてきたとはいえども、ワタシが映画を集中して観始めるようになった頃の映画館といえば、大きなスクリーンに500近い座席、空調は悪くて外の音も漏れ聞こえるような古い映画館ばかりだったような気がする。その印象があってか、香港で映画を観る時も、シネコンよりもかつて信和中心の近くにあった、今は亡き南華戯院のような古くて大きな映画館を選んで観に行っていたような気がする。
 ワタシの住む街では、一つの通りに映画館が集中してある「映画館通り」があることで、映画の街として売り出そうとしているのだが、ここで暮らして10年以上の間、いくつかの映画館が消え去るのを次々と目にしてきた。座席が2階建てになっていた松竹系の映画館、変装までして興味本位で友人たちと足を運んだ駅前の成人映画専門館、思えばここで最後に観た映画が『無間道』だった東映の直営館、そしてワタシに香港映画の楽しみを教えてくれた、ビルの中の小さなスクリーンの映画館…。
その小さな映画館が移転改装した新しい映画館で、蔡明亮版『ニュー・シネマ・パラダイス』といえそうな(?)『楽日』を観て、ワタシはもう街からなくなってしまった数々の映画館のことを思い出していた。

 滝のように降る雨の日、今日は老舗の映画館「福和大戯院」の最終上映日。この映画の最後を見届ける上映作品は、往年の名作映画『血闘竜門の宿(龍門客賤)』。
 チケット売り場では脚の悪い女性(シャンチー)がいつも通りの仕事をしている。電気蒸し器でふかした大きな桃あんまんを半分に割り、映写技師に届けてやったが、彼は不在だった。
 この映画館をふらりと訪れた日本人青年(三田村泰伸)は、スナックをポリポリ食べる女性客や、いきなり自分の横に座ってきた男性客が気になって、妙に落ち着けない。映画の途中で2人の男が席を立ち、トイレに向かう。青年は劇場を抜け、迷路のような劇場裏をさまよい出す。そんな周囲の動きを気にせずにずっと映画を観ていたのは、孫を連れた老人(これが遺作だったという苗天)と彼から離れて観ていた老人(石雋)。この二人は『龍門客賤』に出演していたのだ。
 最終上映が終わり、まばらだった観客は全ていなくなる。チケット売りの女性が客席を掃除する。そして、仕事場だったチケットブースを全て片付ける。電気蒸し器を除いて。やがて、フィルムを全て巻き取り、映写室から技師(シャオカン)が出てくる。チケットブースにある蒸し器に目を留め、フタを開けてみると、半分に割られた桃あんまんが残っていた…。

 かつて中国語武侠映画の黄金期を支えた二人の男優が楽日の映画館で再会し、「近頃は誰も映画を観なくなりましたねえ」「ホントですねぇ」と会話を交わす場面が印象的。彼らの出演した『龍門客賤』が、満員の観客の中で上映される場面からこの映画は始まる。 日本はもちろんのこと、香港でも台湾でも、映画館で自国(自分の街)の映画を観てみんなが楽しむという全盛期はもうすでに過ぎてしまった。そんなことを感じさせられる場面であった。
 ワタシは学生時代の台湾留学では、大学近くの海賊版を上映するビデオシアターで映画を観ていたのだが、映画館で映画を観る体験をしたくて、台北の西門町まで観に行ったことがある。そのときに観たのは、台湾でも香港でもないハリウッド映画で、しかも現カリフォルニア州知事主演のアクション映画(爆)。当時の台湾では、公的な娯楽の際に中華民国国歌を必ず流していて、それまで噂には聞いていたけど、本編上映前にいきなり♪三民主ー義ー、と国歌が流れ、観客が全員起立していたのに面食らったっけ。そういえば、3年前の台湾旅行にて、「台北之家」で『珈琲時光』を観たときは、この国歌がかかっていなかった。…もうやめたのね、国歌を流すのは。

 閑話休題。
 この映画には、とある映画館の終わりをめぐる淋しさ、というよりも、人々の気持ちのすれ違いを映画館に投影したような雰囲気。
 横に座った男性にどう対処していいのかわからず、同じことを他の客に試してみる青年。劇場裏を彷徨ううちに出会った不思議な雰囲気を持つハンサムな男(久々のチェン・シャオロン)に話しかけられ、「ボクは日本人です」という彼。自分たちの映画を懐かしく眺める苗天・石雋の両人と、別の目的で来ているため、映画をマジメに観ていない観客、そして、今まで一緒に仕事をしてきた映写技師シャオカンに思いを寄せている受付嬢シャンチーと、彼女の最後のプレゼントから思いを読み取れないシャオカン。それぞれの気持ちは一方通行で、会話すら成り立たない。
 でも、そこに現代社会の孤独を読み取るとかいうのは本来の趣旨に外れるだろう。この映画の主人公は人ではなく劇場だ。そしてここで動き回る登場人物たちは、その劇場が見守っているような状態で行動している、と考えるといくらか理解しやすいのかもしれない。それに気づかされたのが、シャンチーが掃除をして出て行った後、約5分ほどカメラがそのままの状態で映し出される劇場の客席の場面だった。

 映画のラスト、大雨の中劇場から立ち去るシャンチーの場面からエンドタイトルには、服部良一氏の作曲による中国語懐メロが流れる。この曲がリアルタイムで台湾で流れていた時代こそ、あの劇場の“最好的時光”だったのかもしれない。でも、この映画はそれを懐かしんで昔はよかったと思う映画じゃないよなと思った。それはワタシが60年代台湾を知らないこともあるし、懐かしさを持たなくても、一つの劇場への挽歌はこの映画のような形で歌うことができると思ったからだ。

原題:不散(Good bye,Dragon Inn)
監督&脚本:ツァイ・ミンリャン
出演:チェン・シャンチー リー・カンション 三田村泰伸 ミャオ・ティエン シー・チュン チェン・シャオロン ヤン・クイメイ

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西瓜(2005/台湾)

えー、今から「蔡明亮に捧げる詩」を詠みまーす。

 ああ、蔡明亮よ
 その名を聞くと身体の奥底がざわめくのは如何なる事か
 決して語りたくないのに、ついついそれを語ってしまう
 汚水と体液にまみれる思いでそれを観れば
 不快感も限度を超え やがては聖なるものに昇華される
 ああ、げに恐るべし蔡明亮

終わりまーす。
 
なぜ唐突に詩(なのか?)を詠んだかというと、つまり、ワタシにとっての蔡明亮ってこんな感じなのだ。…ってどんな感じだよ。
と自分にツッコミながら、桜前線とともにやってきた春の蔡明亮祭りとして、『西瓜(東京国際では「浮気雲」の題名で上映)』と『楽日(同じく「さらば、龍門客賤」の題名で上映)』を観てきたのだった。
なお、今回の感想はR18指定です。といっても高校生以下はあまり読まないか。

 これは公表されているかどうかわからないし、なんとも断定しようもないのだけど、実はワタシ、ミンリャン(とシャオカンこと李康生)はゲイだとずっと思っていた。それは『愛情萬歳』や『河』に男同士のキスシーンやゲイサウナの場面(しかも近親相姦までやらかす!)が頻繁に登場することや、ミンリャン作品全てに出演しているシャオカンがほとんどの作品できれいに整った全裸を披露している(それもバック全体だ)から。でも彼は「別にゲイの映画じゃないんだけど」と言う。そういう時点で…じゃないかとツッコミたくなるが、実際どうなんだか?
 そんな思いもあって、延々と固定カメラで撮られるオープニングの地下道シーンの後に、、いきなり看護婦コスプレで開脚全開、さらに下着をつけていない(だから○○○○がちらちら見えるー、うー気になるー)そこには淫らなくらい赤く熟れた西瓜がおしつけられた日本人AV女優(夜桜すもも嬢。ええ、オレ女子なのでどーゆー方か知りません)と、素肌に白衣を着て○○○○を愛撫するかのように西瓜を責めまくり、西瓜汁まみれになって彼女と合体する男優(シャオカン)の嬌態を観て、心の中で「あれ、ミンリャンってゲイじゃなかったっけ?なんでノーマル(じゃないじゃん)なセックス撮ってるのよ」とか、延々と映し出されるセックスシーンを観て、これはもろにやっているのか以前に「房中術とか使ってないか?」などと冷静?にツッコミ入れた次第。ってこーゆーシーン観てそう考える自分ってアホ過ぎ?まーオレ女子だしー(と逃げる)。
 それはさておき、自分のAVに対するツッコミはこちら(これ以上AVAV書いていると、ますます検索ワードで「AV」がトップに来るよー、えーん)を見てもらうことにして、興奮しておっ立てるブツもないオレは、女優のあげるあんあんあんという甘い声を聞いたり、シャオカンと女優が繋がっている場所をしつこく撮り続けるカメラマンなどの姿を観て感じたのは、AVにおける人間の肉体って、ホントに肉なんだなーってこと。そっか、AV好きな世のオトコどもは、肉に興奮しているってわけか、ふーん…。
ってなんだそりゃ。でもやっぱ、やる時にはコンドー…ってアンタはもう。いい加減にしろオレ。
しかし夜桜嬢の肉体、すごい迫力だったなぁ…。胸はともかく、全体的に大振りなつくりで。母性本能を感じさせる肉体ってゆーか(演技はともかく…ってこれは暴言じゃないよ)。

 日本人女優や、自分の母親と同じくらいの年頃の女優(『河』でシャオカンママだったルー・イーチン)とせっせと交わり、自分の身体をまさに心のない肉として扱っているようなシャオカンと、彼の昔馴染みである故宮博物館のガイド(シャンチー)。二人を再会させたのはやはり西瓜。
 そして、極度の水不足に襲われた近未来台湾に、まるで水を流すような勢いでこの二人の恋物語が始まる。
 シャオカンの仕事場は、シャンチーの住む林森北路のマンションだが、もちろん彼は 自分の仕事がなんだが彼女に言おうとしない。最初は彼女の差し出した西瓜汁に、仕事を思い出して飲むことが出来なかったシャオカンも、冬粉やカニを料理しては食べ、彼女の足に挟んだタバコをすって寛ぐまでの関係に至る。お互いに好意は持っているし、愛し合っている。だけど一つになれない。その思いをシャオカンは寡黙&無表情で仕事に打ち込むことで押し込み、シャンチーは川から拾ってきたホールの西瓜にキスをし、硬い表皮に舌を這わせ、服の下に入れて妊婦のふりをし、胎児を産み出すふりをして遊ぶ。
 その西瓜も、シャオカンの仕事相手がエレベーターの中で気絶していた(死んでいたんじゃないのか?)AV女優を運び込んだことで不意に割れてしまい、そこに二人が思わぬ形で出会うことになることを予感させる。そしてラスト、ついに二人は求めていた通りに結ばれるのだが…はたしてアレで愛は成就したのか?と問題の場面に(ホントにやったかどうかという興味本位の疑問以前に)しばし頭を抱えた。
 …まーでも、ミンリャン自身はアレでよしとしたんだろうなぁ。一部にはきっと不快感があったに違いない肉欲的な淫らさも、本当に求め合った二人が真に合体し、お互いを溶かし込まんとして一つになろうとすることで神聖なものになるってことで、もっと簡単に言えば「きれいはきたない、きたないはきれい」を地でいったということか…ってだんだんヤケクソで書いていないか自分?

 リアルな現実に押し込まれた登場人物の感情は、彼らが幻想の中で着飾り、往年の流行歌を歌って踊るミュージカルシーンに託される。
…実はさー、ミンリャン初のミュージカル映画『Hole』を観ていない(さらに『ふたつの時、ふたりの時間』も未見。両方とも当地で上映されていないのだ)ので、仕事を終え、屋上の貯水槽で身体を洗う全裸のシャオカンがいきなり半魚人(というより人魚か)に変身して歌う場面には面食らったのよ。でも、過酷な現実と閉塞した状況に追い込まれてますます無口になる人々がこの場面で絢爛豪華に歌いまくるのは、やはりこっちも閉塞した気分で見つめている観客にとっても清涼剤となる。それが救いだったのね。皆さんの衣装も突拍子もないけど(イーチンさんの、露にしたたるんだお腹もものともしないセクシーな蜘蛛女姿や、アレが機能せずに全身アレになってしまったシャオカンを鼓舞するチアリーダーことヤン・クイメイの、マドンナもどきなビスチェ姿など)、騒がしく、色っぽく、はっちゃけて踊りまくる様は結構楽しい。ええ、現実にはなかなか歌なんて歌えないもんねぇ。

 とまれ、こんなふうにあれこれ書いてきたけど、なんのかのいいつつ「思い出すだけでイヤになるけど、とにかく語らずにはいられない」ミンリャンの魔法に、今回もまんまとハマってしまったってわけか、自分。
現在東京で公開中の最新作『黒い瞳のオペラ』でも、こっちに来たらあれこれ文句言いつつもやっぱり観てしまうんだろうなぁ、ははははは。

原題:天邊一朶雲
監督&脚本:ツァイ・ミンリャン
出演:チェン・シャンチー リー・カンション 夜桜すもも ルー・イーチン ヤン・クイメイ

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気持ちとしてはややビミョー?今年のカンヌのラインナップ。

Cannes_60th
左上、バンザイしながらジャンプしている御方にご注目。
ええ、我らが俺様審査委員長、王家衛大導演でございます。by今年のカンヌ映画祭ポスター。

金像奨も無事に終了し、いよいよ来月は第60回カンヌ国際映画祭
ああ、思えば『ブエノスアイレス』が監督賞を受賞して早くも10年か…。と感慨深くなってしまうアル。しかし今年は公式サイトでのコンペ&招待作品の発表が遅いよなぁ。やはり10年前にカメラドールを受賞して注目された河瀬直美監督の新作が出品されると聞いたけど…と思っていたら、コンペ全作品&招待作品一部が eiga.com [ニュース&噂]に載っていました。

…うーーーーーーん(-_-;)。

あっ、すみません。ついうなってしまいました。
いや、記念すべきオープニング上映に我らが王家衛の新作《My Blueberry Nights》が選ばれたことは、もちろん香港人監督初(中国人に範囲を広げても初か?アジア人で見ると、確かアキラ黒澤監督の『夢』か何かがオープニングに選ばれた記憶があるので)だし、中華趣味人間&王家衛ネット追っかけ(こらこら)としては、非常に喜ばしいことなんだけど…。
ただ、いくら映画製作のナショナリティが香港であっても、これは完全なる英語映画で、主演がノラ・ジョーンズ&ジュード・ロウと英語圏俳優(ノラは歌手だけど)なんだもんねぇ…。これが香港映画なら、アンドリューさんがリチャード・ギア主演で撮った新作も香港映画になるのか?そうじゃないはずだよなぁ(苦笑)。

さらにラインナップを見ると、なんとコンペ作品に中国&台湾作品がありません!
こりゃ去年の日本(コンペへのエントリー作品がなかった)状態ですか?
そのかわり韓国から2作品エントリーされているけど、全く関係ないからスルー。
さすがにトニー&李安さんの《色,戒》が入るとは思わなかったけど(『ブロークバック』の縁でヴェネチアに回るかも)、何か1作くらい入ってもいいんじゃないのかなぁ?
まぁ、アウトオブコンペはまだ全部出揃っていないし、最近は本選よりも注目されているという監督週間のエントリー発表がまだらしいので、そっちで何か中華圏映画が出てくれることを願うばかりかしらね。
そうしたら楽しくカンヌ追っかけができるってことだな(笑)。

Election2_french

おまけ。フランス上映版《黒社会2》ポスター。
…これ、古天楽だよね?

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燃えよ!エ〇ゴン

すみません、今回は中華ネタじゃないです!
でもあまりにもビックリで、ついこっちに書いてしまいました!

日曜朝のよい子のお楽しみ、『じゅうけんせんたいげきれんじゃあ(なぜ全部平仮名なのかは聞かないでくれ)』を元よい子だった(?)オトナはたまたまその時間に起きたのでなにげなーく観ていたのだが、中華っぽい技で戦う(ちゃんと中国武術指導がついているらしい。ユエン・ウーピンさんとかチン・シウトンさんじゃないけどね)主人公の戦士3人を新たに鍛えるゾウ顔のお師匠が登場(ちなみにこの3人の本来のお師匠は猫顔)。
そのゾウのお師匠、その名も

エレハン・キンポー。

ご丁寧に声は水島裕さん。

…ああ、いったい何人の親たまたま観ていた同好の中華趣味人が、ワタシのようにテレビの前で頭を打ちつけたのだろうか。

ところでゾウのお師匠、女子戦士ちゃんにさりげなーくセ〇ハ〇している気がするんですが、それでいいんですか(ちょい泣)

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フェニックスへの道、再び開く!

えー、ご当地同好の士&語学教室でお世話になっているHさんのご好意により、『エンター・ザ・フェニックス』を日本語字幕&吹替の両方で観ることができましたの。この映画の初見は3年前の台湾旅行、でもその時は北京語吹替だったから、ちゃーんと観たのは2年前の5月(あ!約2年前か)。

当時の感想を観ると、結構意味を取り間違えて書いているところも多いなぁ(笑)。ルイ(そうか!なんかただ者じゃないと思ったら演じてたのはチャン・ワイミンか!)は決して敵対心を抱いていたわけじゃなくて、義侠心をもって洪一(今さらユン・ピョウと気づいてスマソ)と結びついていたのか、そーかそーか。
チャウってジュリーに横恋慕してたと思ったけど、実際そうじゃなかったか。
あと、ゲスト出演の面々もサミー(赤義堂襲名パーティーで借り切ったレストランのフロアスタッフ)、ニコ(チャウの手下の手下で、サムにう〇このタトゥーを入れられる)、やっと見つけたサム(ジョージにモーションをかけるゲイ)の他、如花ことレイ・キンヤン(マッサージボーイのデイヴィッド)、ティン・カイマン(チャウの放った刺客)もいたのねー。でもリー・リクチーが見つけられなかったわ(^_^;)。

本編を一通り観た後、一応吹替版でも観直した(笑。いや、来月うちの街でも上映が決まった愛と哀しみの『龍虎門』吹替版に免疫をつけるため)。
彦の声はニューポリ日本語版と同じ三木眞一郎さん、ステの声は『The Snows』と同じ置鮎龍太郎さんか。この映画の彦はゲイ役だから、三木さんはやっぱり彦にふさわしい声優?(こらこらー!詳しくは上記リンクのニューポリ感想にて)渋ーい置鮎さんの声はステにしてはやっぱり多少違和感が…。でも『トランサー』の松田悟志くんの声でもステにしては涼しすぎるんだよねー。
あ、チャッピーの声はもしかしてイニDの時と同じ人(中村大樹さん)?同じ人といえば、ユン・ピョウもかつての成龍映画日本語版同様古谷徹さん。…声若過ぎ!
カレンの声は朴ロミさん。あー『ERⅩ』でサンディ・ニュートンが演じたカーター君の恋人ケムをやった人か。わりとあっていると思った。ニコの声は…あれ?浪川くんでも荻野くんでもない?誰?それとも聞き間違い?
それから、吹替版ってもしかしたら原語版台本ほぼ直訳に近い?ずいぶんギャグが細かいんだもの。字幕だと情報が字数で限られてしまうもんね。

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星仔よ、ところで新作の進行具合はどないなんだ?

…ってタイトルからいきなり暴言ですんません。
以下のニュースを知って思わずこう言っちゃったもんで。

柴咲コウ 映画「少林少女」で1年間カンフー修行:芸能:スポーツ報知.

そりゃーまーアタクシはアジアンコラボ積極的推進派ですし、柴咲コウ小姐のヨゴレ役も厭わない(バトロワの極悪女子中学生とか最近ではどろろとか)女優根性には彼女の映画を観るたびにいつも感心させられていますけど、製作が富士電視台、監督が踊るなんちゃらの人と聞いて萎えたのは気のせいでしょうか?

『少林足球』は好きな映画だし、10年前の日本における香港ブームでも星仔作品に光が当たらなかった頃を知る香港電影迷としては、この映画でやっと星仔が日本でも知名度を上げられたってことは非常に喜ばしいことであるんだけど…、逆に暴言を吐けばなんだよ富士電視台が絡むんじゃ、まるっきりバラエティノリになるのかよーって気分ですよ。確かに富士が好きそうなノリだもんなー、『少林足球』って。
それと同時に、一般的には妙に今さら感が漂いそうな予感がするのはなぜー?

まーそれでもいいか。某インスパイヤアフェア無間輪舞曲のような(笑)パクリではなくて、ちゃーんと星仔に許可を取っているんだし、星仔組のジーチョン君やカイマンさんも参加するっていうし(ところで「ティン・カイ・マン」って表記は限りなくアホっぽいからやめてほしーい…)。やるんだったら愛とリスペクトを持ってやってほしいよ、頼むぜ亀○さん&○広さん!
…って一応期待をかけとくけど、本音を言えば早く星仔本人のちゃんとした新作が観たいし、コウ小姐も香港で星仔の新作に出てもらって、ガンガンと鍛えられてほしいってことなんだが(爆)。

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『墨攻』酒見賢一

祝!『墨攻』金像奨最優秀編集賞受賞!と偶然なってしまったけど(苦笑)、週末日帰り旅行の車中で、やっと『墨攻』を読了。
面白いことに、この小説の題名の読みは「ぼくこう」で、映画とマンガは「ぼっこう」
ちなみに広東語では「パッコン」(笑)。

墨攻
墨攻
posted with 簡単リンクくん at 2007. 4.17
酒見 賢一著
新潮社 (1994.7)
通常24時間以内に発送します。

24時間以内発送可なら、表紙画像を出してほしい気がしますよ、bk1さん…。

さて、デビュー作の『後宮小説』(これもいずれ感想を書いてアップするか)に続き、中国史を土台に虚実が織り交ぜられた、酒見氏お得意の中華小説の第2作。この路線はその後も孔子とその弟子たちを取り上げた全13巻の大長編シリーズ『陋巷に在り』や、現在文芸誌に連載されている諸葛孔明が主人公の長編などで続けられているけど、実はワタシは『陋巷』を1巻で挫折した人間なので追いきれてません(泣)。『後宮』はものすごく好きだったのに、『墨攻』より先に『陋巷』を読んでしまったせいで、しばらく酒見作品から離れてしまったんですねー。もったいないなぁ。
中国の架空王朝「素乾」を舞台に、次期国王の后を決める後宮に飛び込んだ少女を描いた『後宮小説』では、舞台こそ架空でありながら、そこで繰り広げられるのは哲学と房中術(ってこの小説で知ったんだよねー)の授業だったり、素乾王朝と反乱軍の対立とその顛末が妙に中国史記的であったりと、細かいところで事実を入れつつ、とんでもない物語を軽妙に語っていて、その大胆さは大いに気に入っていたのである。しかし、この小説を原作に1990年に作られたアニメ『雲のように風のように』では、小説にあった大らかな官能性がすっぱりそぎ落とされてしまったのが残念だったわ。それは仕方のないことなのだが。
あー、いいかげん本題に戻らねば。

長編といっても、文庫本にしてわずか145ページで展開される物語は、映画と同じように墨者の革離が城邑の梁城に一人でやってきて、いかに趙国の2万(残念ながら10万ではない)の軍勢に対して城を守り抜いたことを描いているのだが、映画では(マンガでも?)描かれなかった、その戦いの果てにあるとんでもない顛末まで書き、さらに墨家の成立から滅亡、革離の生い立ちと彼の墨家における位置なども交えた(ほとんどは架空だろうけど)濃厚な内容になっている。
革離の性格も映画とはちょっと違っていて、アンディ先生が演じるだけあって墨家思想の清廉潔白さを絵にしたような映画の隔離とはさすがに違い、原作の彼は戦に対してかなり非情で、かつどこか胡散臭い?雰囲気がある。このままのキャラならアンディよりも秋生さんが演じると意外にハマるんじゃないかなって感じだ。
彼以外のキャラの立ち回りも微妙に違い、映画オリジナルの子団や逸悦にあたる人物はもちろんいないし、その分牛子張の出番が多めかな。梁王の梁渓はあまり出てこず(さらに敵方の巷淹中もかなり出番がない)、革離との交渉は専ら梁適が行っていたんだけど、映画と決定的に違うのが、梁適が革離に心酔せず、かえって反発していたのである。ちょっとビックリ。そして、この二人に決定的な溝を作らせたのが、映画では重要な位置を占める“兼愛”だったというのがなんとも皮肉で…。
終劇に悲劇が待ち受けるのは映画同様なんだけど、それでもあまりヘヴィではなく、むしろ軽く感じるのは、酒見さんの文体に重さを感じさせないからかなぁ。初期作品なので、読後感が『後宮』によく似た印象を持ったこともあるし。

たまたま未読だったので映画を観た後に読むことになったけど、これを映画の前に読んだら、また印象も変わったかな。
でもなによりも重要なのは映画の直接の原作であるマンガ版か。小説のエッセンスをどこまで取り入れて、どうアレンジしているかはもちろん気になるから、やっぱりどこかで一気読みする機会を作るかなー。

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とりあえず面目躍如?と今年の金像奨の結果につっこむ。

昨日は日帰り旅行していたために疲れが出て、結局ネットで最優秀作品賞の結果を知ってラジオも途中で切り上げてすぐ寝てしまいました。だから、トニカリコンビが作品賞プレゼンターをしていたことやユンれんれんがかの事件に関してスピーチしていたこともみーんなnancixさんもにかるさんのblogで知った次第でして。
すっかり他力本願ですみませぬ。

Tonicali200704_1   

てーわけでお約束の二人。今はこれが精いっぱい…。

さて、今回の受賞結果に愛とツッコミを。
フタを開けてみれば、キレイどころ(主演女優賞とか美術系部門とか)は《黄金甲》が持って行ったけど、主要3賞は『父子』が占めたので、あちこちで「香港映画は死んだ!」といわれ続けてちょっとヤサグレ気分だったものの、結局は香港映画の面目躍如だったのでちょっとホッとしたというのが今年の感想でしょうか。
しかし、ネットラジオから聞こえてくる北京語のスピーチ回数がずいぶん多かったのは…。主演女優賞が3年連続大陸女優っていうのは…。なーんか、香港映画の抱える課題が見えてきたなあと思いつつも、でもガイジンで素人で全くの外部の人間である我々電影迷にはどうしようもできないから、今後もただ忍耐してずっと香港映画を観続けなければいけないのかなぁとも思った次第。
しかし『父子』…。観たかった!あと、なんで買わなかったんだろうか《我要成名》
パトリック・タム監督の復活にはとにかく喜ぶばかり。東京国際での2冠に続いて、とにかく快挙としかいえないけど(他の映画賞ではどうだったのだろうか?)今後も香港を始め、アジア各地で映画を作り、いろんな地域を結びつけて欲しいです、
ハイ。これがきっかけで日本公開されたら、絶対上京してでも観に行きますから、どうかどこかの配給会社さん、『父子』を買ってくださいませ。お願いいたします。

俳優賞ですが、ラウチン、ついに“無冠の帝王”返上でホントにホントにおめでとう!アーロンはまたもや金馬とのダブルならずで残念だけど、まだまだ獲れる余裕はあるもんね(といいながらこれで彼が“三代目無冠の帝王(金像でのみ)”になってしまったらおいおいーって感じなんだけどね、あはははは)。
主演&助演女優が二人とも大陸女優っていうのは…やっぱり、今の香港映画に足りないのは魅力的な香港人女優ってことか。今はサミーが休業明け間もないって状態だし、ミリアムもまだまだって感じだろうし、初主演で女優賞初ノミネートのイザベラちゃんもいい仕事をしていてもこれで主演賞を獲ってしまったらあまりにも早すぎるから…といろいろ思うところもあるけど、とりあえず若手香港人女優の養成は急務なんじゃないでしょうか、香港映画界。

Ian_wu

目下最年少の助演男優&新人賞受賞のン・キントー君、かかかかかかかわいい…。
sina.comにあったプロフィールを見ると、オランダ国籍で英語名「イアン・イスカンダル・ゴウ」?おかあさんの名前はスターシャとか言いませんか?(言わないよー)原島大地君みたいに、続けて映画に出てほしいものだけど、もしホントにオランダ在住だったら厳しいのかなぁ?
技術賞関係は、《傷城》のアンドリュー&ファイコンビの撮影賞、『イザベラ』のピーターさんの音楽賞(よく考えれば2年連続だわ)、フォーフォーのユエン・ウーピンさんのアクション指導賞、《鬼域》の視覚&音響効果賞等、収まるべきところに収まったというか。このへんは各映画の特徴がよく出ているともいうべき?
最優秀アジア映画賞、実はアジアンフィルムアワードに続いて『グエムル』だと思っていたけど、さすがにかぶることはなかったか。…しかしこの賞のノミネート作って、なんか「香港で売れたアジア映画」って基準で選んだとしか思えないのはなぜ?
ジェイの主題歌賞は素直に喜んでおります。個人的好みは断然フォーフォーだけど、一般的に受けるのはやっぱり『菊花台』的なスケールの大きなバラードか。…これで日本公開時にまたしてもエンディング差し替えとかいったらホントに怒るぞワーナーよ、とまたしてもしつこく書きつづけるアタクシ。

そうそう、忘れちゃいけないもう一つの面目躍如、それは彦祖の新人監督賞受賞。
昨年のステが選ばれなかったので、もしかしたらアイドル監督は避けられるのか?と危惧したけど、それが杞憂に終わってホッとしたわ。しかし相変わらず下手くそだったよねーAlive(爆)。それは久々に集まったから?それとももともと?

確かに、純粋な香港映画の製作はますます減り、合作に活路を見出してしまう現状は憂うべきなのだろう。でも、これでやっぱり「香港映画は死んだ」なんてしたり顔でいってほしくない。今までずっと香港映画を観てきたんだもの、そう簡単に諦めたくないし、まだまだ雌伏の時期であるんだと思いたい。…とまぁ、毎度ながらのことを言いながらこのへんで。

以下、備忘のための受賞結果。

最優秀作品賞『父子』
     
最優秀監督賞 パトリック・タム『父子』

最優秀脚本賞 パトリック・タム&田開良『父子』

最優秀主演男優賞 ラウ・チンワン《我要成名》
  
最優秀主演女優賞 コン・リー《満城盡帯黄金甲》

最優秀助演男優賞 ン・キントー『父子』
  
最優秀助演女優賞 ジョウ・シュン『女帝 エンペラー』

最優秀新人俳優賞 ン・キントー『父子』
  
最優秀撮影賞 アンドリュー・ラウ&ライ・イウファイ『傷だらけの男たち』

最優秀編集賞 コン・チーリョン『墨攻』
  
最優秀美術デザイン賞 フォ・ティンシャオ《満城盡帯黄金甲》

最優秀衣装デザイン賞 ハイ・チョンマン《満城盡帯黄金甲》

最優秀アクション指導賞 ユエン・ウーピン『SPIRIT』

最優秀音響効果賞 Nakom Kositpaisal《鬼域》

最優秀視覚効果賞 呉[火玄]輝《鬼域》

最優秀音楽賞 ピーター・カム『イザベラ』
  
最優秀主題歌賞 「菊花台」byジェイ・チョウ《満城盡帯黄金甲》

最優秀新人監督賞 ダニエル・ウー『四大天王』

最優秀アジア映画賞 『単騎、千里を走る。』(中国&日本)

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間に合った!というわけで金像奨。

しかしシナコム重過ぎ!
彦祖が新人監督賞をとったの?えー、マシュー君世界最年少新人賞?(いいえ、《父子》のン・キントー君でした。いずれにしろ金像史上最年少新人賞受賞?)といいつつ追っかけます。

…シナコムがあまりにも重いのとデスクトップがすぐにフリーズするのでノートでRTHKを聞き、シナコムを見ながら記事を書いている(電気代が…泣)けど、音楽賞が『イザベラ』のピーター・カムさん、美術系が黄金甲、脚本が『父子』、撮影が《傷城》とわりと均等な感じで受賞していますねー。
今Alive歌っています。うーんオマエらってば…と苦笑するしかない。
主題歌賞はリベンジ受賞(?)のジェイ!だけどフォーフォーじゃなくて『菊花台』か。
アジア映画賞は『グエムル』かと思ったら、なぜか中国映画としてエントリーの『単騎』。…いや、受賞した分には文句はありませんが。

リアルタイムでは俳優賞の受賞に入っている模様。女優賞が周迅ちゃん(助演)&コン・リー姐(主演)って、2人とも大陸女優ってーのは…(ちょっと泣)。助演男優はン・キントー君2冠とは!
最優秀監督賞は不死鳥の如く甦ったパトリック・タム監督だ。やっぱり観たいよ、『父子』。

ただいまラジオではジェイがフォーフォーのコーラスを弾いた(?)後、『菊花台』をメドレーで歌っております。うまい入り方ー。

とかなんとか言っていたら、主演男優賞がすごい!
トニーでもアーロンでもなく、ついにラウチンが初受賞だよ!恭喜恭喜大恭喜ラウチン!
そして、ネットで見たら作品賞も決定!『父子』です!おめでとう!!

以上リアルタイム更新終わり!
受賞結果への詳細な分析(つまりツッコミ)は明日やります!

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2046+11年・予想外だらけの旅

えー、観てきましたよー『サンシャイン2046+11』(爆)。真田大将軍様とミシェル姐さんが『皇家戦士』(すみません未だに未見です)以来なんと20年ぶりの共演。8人の宇宙飛行士の中では、この2人はかなりオトナだったわ。
2人で並んで展望室で太陽を眺めている場面にはわーい(はぁと)って気分で観ていたけど、真田キャプテンはドクターミシェルに「キミに話したいことがあるんだ…。オレと一緒に行かないか?」…とかは言いません(苦笑)。アクションもないけど。

しかし、さすがは宇宙SFなので、次から次へと予想外の展開でして(^_^;)。
そもそもあと50億年くらい寿命がある(と昔『学研まんがひみつシリーズ・宇宙のひみつ』で読んだ覚えがある)といわれている太陽が今から約50年後に早くも衰退してしまうという事態自体が予想外だし、その太陽を救うのに今まで多くの人々を死に至らしめた核爆弾を投げ込むという任務もおいおいそれでホントにできるのかよ?ってツッコミたくなる。それでも結構このミッションって自己犠牲的だから、ラストはもうあれしかないだろ、と思ったらその通りになったけど、ね。
それにしてもキャプテン、早過ぎますよ退場が!とだけ太陽に向かって叫んでおこう。

予想外といえば、ドクターミシェルは意外と活躍してくれました。しかし、彼女は植物学者なので、植物に多大な愛を抱いているというこれまた予想外な役どころですわ。普段はクールなのに、植物のことになると目の色が変わるのよ。それがかえっていのちと…っとこの後は言えないけど、なんでそこで一撃で倒さないんだ相手をー!と、ワタシを含めた中華趣味人間は画面に向かってツッコミたくなるんじゃないか的な場面があります、ハイ。ええ、その相手(あえて誰だか書かず)が憎らしくなったのは確かです、そいつに対しては「くぬやるー、オマエなんか早くやられちまえー」(こらこら!)って思ったよ。
うう、彼女にアクションを封印させたダニー・ボイル監督ってホント罪作りだわー
あ、でも中盤で見せた三つ編み姿は似合っててかわいかった。歳を重ねても三つ編みが似合う女性っていいよなー。

そーいえば、真田さんをボイルさんに推薦したのは予想外にも王家衛だったって言うのはずいぶん前にネタにしたことだけど、ラストサムライならぬトワイライトサムライ(=たそがれ清兵衛)を家衛が観たことがきっかけらしい。…つまり、キャプテンはサムライがちょうどいいってことか?って自分でもわけのわからないまま、この感想だかツッコミだかよくわからない文章を終える。

しかし、この文章を読んで映画を観に行く人がいたら、それこそ奇蹟だよなぁ…。

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大変な事件なのに、なぜか日本ではマスコミの話題になっていないことなど。

新年度1回目の中国語クラス開始前、語学教室のラウンジで2年前の『CHAI』(終極キャンペーンでトニー&アンディが登場した号)をめくりながら、先生はワタシに「劉徳華は今大変なことになっていますねー」と話しかけた。
うわっ、あの事件、もしかして在日華人の間でもかなり話題になっているの?いや、単にワタシが中華芸能好きだから先生が話題を振ってきたのか?ということで、このことについて、ワタシは語学教室のクラスメイトに概略を説明した次第。
詳しくはnancixさんのblogで取り上げられています。日本で出た報道記事はこれ↓が一番わかりやすいかな。

【北京春秋】溶けゆく?中国人 ラウに恋し、父親自殺…|Sankei WEB.

以下はこれを受けての、ワタシと先生の会話。

先生「この女の子はホントにおかしいですよねー。…日本でもこんなことする人はいるんですか?
もと「追っかけもここまでひどくはありませんよ。ただ20年ほど前に女性アイドルが自殺した時、ファンが後追い自殺したってことがあるくらいかな。4年前のレスリーのとき、後追いした人っていませんでしたよね?(追記:やっぱり後追いはいたそうです。でも日本では…だよね)彼のファンは落ち着いているなって思いましたよ」
先生「しかし、劉徳華ってどこがいいんでしょうねぇ?ワタシは彼があんまり好きじゃないです。何がいったいすごいんですか?それならワタシは成龍のほうが好きです。アクションすごいでしょう?」
もと「先生、成龍さん好きだったんですか?それはちょっと意外ですよ(先生、もしかしてあまりに大衆的な明星はお好きじゃないのかしら?と思ったりする)」

この事件に関しては、先生のように「あの子の考えがおかしい」と思うのが、彼に限らず一般の中国人の考えだろうし、ワタシも先生に同意するんだけど、この「追っかけ」があそこまでひどくなったのも、彼女らを支援し、逆に利用された大陸マスコミが関わっているからかなーと思う次第。

もうひとつ気になった中華芸能系トラブルは、日本でも国際欄に小さく登場したけどレイニー・ヤンのこの騒ぎ(from毎日新聞)。
…不可解なのは、なぜ4年前のバラエティ番組のたわごとがここまで顰蹙を買われたか、ということ。それは日本と中国の国民性の違いか、チャン・ツーミン体制下で行われてきたという反日教育が浸透した結果か。反日に関する言論統制で過去の戯言がとばっちりを受けたというのが強いかな?
これ以上書くとヤバい話になっていくので打ち止めするけど(だからこの件にかかわる批判もノーサンキューです)、あの“天安門事件”前後から中国大陸に注目せざるを得なかった自分からすれば、最近の大陸で沸き起こる芸能系事件のあれこれや、今年ブームにしようと目論んでいる?南京大虐殺(すみません、あえてこれを使っています。これに関する批判もノーサンキューです)関連映画など、とにかくギスギスした話題が多いのに、それってなんだかなぁ…ってやるせない気分になってしまうざんす
ああ、健さんの『単騎、千里を走る。』のように、まごころがギスギスした関係を変えるような心持でいたいんだけどねー。実はワタシも正直言って大陸政府の信念については好みではなく、やってることがスマートじゃないと思っちゃうから好きになれないところも多少あるってのもあるんだけど。自分やっぱり中国語学習者だから、擁護ももちろん、ある程度ツッコミ入れてやらんといかんかもなーって思うところもあるもんで。

そんな大陸と距離を近づけている香港映画界。いとも簡単に“香港映画は死んだ”とはいわせたくないけど…どうなるのかなぁ。
と思いつつ、気がつけば金像奨まであと3日であるのだった…。

あ、繰り返しますが、本blogは芸能&文化系blogであるので、この記事に対する政治的コメントは申し訳ありませんがノーサンキューです。

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『1+1到日本找幸福』阿倫(アラン・リャン)・艾莉(アリー・チェン)

『1+1到日本幸福』

去年の年末と先月の年度末、北海道に行ってきた。
とはいっても豪華温泉旅館に泊まったり、カニやジンギスカンを腹いっぱい食べたりしたわけじゃなく、ひたすらローカル列車を乗り継いで、網走や稚内や根室などの“日本の果て”を目指し(夕張も見に行ったよ…)、毎晩東横インに泊まって朝はそこでおにぎりを、昼は車内で駅弁と名物お菓子(マルセイバターサンドや夕張メロン系お菓子)を食べていたので、体脂肪率は上がっても決して贅沢な旅ではなかった。でも、春でもたくさんの雪が見れたし、雪に覆われた原野や湿原などは普段見ない景色が多いから、移動が大変でも楽しかったのは確かだ。
この春の旅の最終地点は函館。朝市の近くにある某海鮮料理店ででこの旅一番の豪華なディナーをとったのだが、そこで板さんとお話ししたところ、お店には台湾人や香港人、韓国人やロシア人も多く来るそうで、簡単な挨拶や魚の名前を各国語で表わしたメモを使ってコミュニケーションをとるんだとか。「香港や台湾は南国だから、みんな雪を見に来るんだよねー」とも言ってたっけ。春の旅では、イースターホリデイなどに重なっていなかったせいか、旅先で香港人を見かけることは少なかったんだけど(その前の年末旅行ではホントにたくさんの香港人とすれ違った)富良野で韓国人グループ(多分日本の大学への留学生でしょう)、函館朝市で台湾人家族(台湾語を話していたのですぐわかった)とすれ違った程度だった。
ところで、北海道大好き香港人といえば当然トニーなんだが、ここ3度の北海道旅行ではすれ違ったことがないんですけど…ってあたり前だわな。旅のルートが全然違うんだから。あっちはスキー&スノボがメインだし。ついでにワタシが香港に行っている時に限ってトニーが日本に来ているってこともしょっちゅうだ。

それはともかく、ワタシは旅が大好きだ。香港にハマる前は台湾や大陸は当然のこと、学生時代からアメリカやカナダ、イギリスに行っていたし、高校時代に経験した初めての一人旅は花巻と遠野だった(当時はまさかその約10年後にこの岩手に住むことになるとは思いもよらず…)。国内旅行はお金がかかるけど、北海道みたいに工夫すれば貧乏旅行でも充分楽しめるので、あちこち行くようにしている。今年のGW後半は2年ぶりに京都へ行くので、それもまた楽しみなのである。
そして、おそらくワタシ以上に旅が好きな人間というのが台湾人じゃないのだろうか、ということを思ったのが、前回香港旅行で買った、『1+1到日本找幸福』を読んだ感想になるのだ。
相変わらず長い前置きでスマン(ってここまでが前置きだったのか)。

福岡県が制定しているAYCC(アジア青年文化センター?)の駐台北大使を務めているフリーライターの阿倫(男性)と、テレビ番組制作やラジオDJを務めている艾莉(女性)の自由旅行中毒(「中毒」は中国語で「上[(疾-矢)+隠」と書く)カップル(多分)が、雪まつり真っ最中の北海道、桜が満開の京都と東京、福岡→別府→ゆずの野外ライブ→新宿→姫路→福岡と動き回った暑い夏、紅葉の京都と大阪…とい、各季節の日本各地を精力的に回り、二人で満喫した旅の記録を綴ったこの本、確かに一種の哈日本であるけれど、一般的に台湾の皆さんがどーゆーところを好むのか、というのがよくわかる。
しかし二人とも、やっぱり“ガイジン”的な視線で日本を見ているなぁ、当たり前なんだけど。ワタシたちが知らないものをあれこれと見つけているもんね。
台湾の皆さんって「カワイイ」ものが大好きだから、登場するアイテムも写真もイラストもみんなカワイイ。今や上のほうが「クールジャパン!」とかなんとかいって、全世界に日本のカワイイカルチャーを発信しようと躍起になっているけど、そーんなに必死にならなくても、カワイイものは自然と日本の外に出ていて、注目されているんだからね。それを思うと台湾人の流行に関するアンテナっていうのは非常に鋭く、これはやっぱり旅行好きだからなのかなーなんて思ったもんで。
それでも多少は筆者たちのこだわりがあるみたい。だって自由旅行とはいえ六本木ヒルズが取り上げられていないもん(笑)。ヒルズでは土地柄か、アジア人より欧米人の方が多いんだよなー。あと、文中に「手塚治虫博物館」とあったのでてっきり宝塚かと思ったら、京都駅のほうか…。手塚御大迷でなくても、カワイイもの好きだったら宝塚の記念館の方も行こうよー(趣味丸出し発言でスマン。苦笑)。
当たり前ながら全編中国語なので、丁寧に読むよりもほとんど流し読みしたんだけど(こらこら)、眺めていても結構楽しめましたよ。

ここ4,5年、日本中でも英語以外の観光案内が増え、これは本腰入れて外国からの観光客を誘致しようとしているんだなーと感じてるんだけど、一つ注文がある。中国語の表記は簡体字・繁体字併記にするべき。いくら大陸と国交を結んでいるとか言っても、彼らも頻繁に日本に自由旅行に来ているわけじゃないし、それなら繁体字圏の台湾&香港人の来日率の方が高いでしょ、やっぱり。
…と、ウェン・ジアポー先生がやってきている今、こんなことを思うのであった。
まーウェンさんのことについては門外漢なので書きませんよー。

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《恋愛起義》(2001/香港)

最近劇場でよく観るのが、複数の監督が同じテーマで短編を撮るオムニバス映画。
先週は夏目漱石の短編小説をそうそうたるメンツがいじりまくった『ユメ十夜』を観たし、来月は世界中の映画人(含むドイル兄さん)がパリを舞台にして撮った短編を集めた『パリ、ジュテーム』を観る予定。その他、ウーさんが久々に中華圏でメガホンを取った短編が含まれるオムニバス映画も公開待機中だし、来月のカンヌでは、60回開催を記念して、王家衛やイーモウ、北野武氏などが劇場を舞台にして作ったオムニバス短編を製作してお披露目されるという。これ、全世界的な傾向なのね。

もちろん、香港でもオムニバス短編は作られている。今回感想を書く《恋愛起義》は6年前に作られた、恋愛をテーマにした3本の短編で構成されたオムニバス映画。(ちなみに製作はあの英皇!)この映画にはもうひとつ共通点があって、監督がみんな素人かつ異業種の人間であるということ。スチールカメラマンのウィン・シャが第1話の『非走不可』を、ニコとステが共同で第2話の『愛得鎗狂』を、そしてラジオDJの芝See茹Biが第3話の『不得了』をそれぞれ処女作として撮りあげているのである。では、各話ごとに紹介&ツッコミを。

『非走不可(kidnap)
父親と靴屋を営むジョーは、定職につかないことや身なりのことで父親からどやされ、いつも不機嫌だ。ジョーは毎晩店の前を通ってコンビニに寄る名前も知らない少女が妙に気になっていて、ある日、衝動的に彼女を拉致監禁してしまう。少女はジョーに反抗し、出会ったばかりのボーイフレンドのジョセフに助けを求めるが、彼はいつまでたってもやって来ない。やがて、少女とジョーは感情を通わせるようになり、距離を少しずつ近づけていくのであった…。

ここでネタバレすると、ジョーは男モノの服をまとった引きこもり気味なすっぴん顔の少女である。だからつまり彼ではなく“彼女”なのであるが、そんな彼女が恋に落ちるのが同性の少女だ。つまり同性愛なのね。香港映画にはレズビアンカップルがよく登場するけど、だいたいがボーイッシュな少女とフェミニン美女という組み合わせ。最近日本のライトノベル界隈でウケてる百合ものとは明らかに違うのね。二人の間には非常に緊迫した空気が流れている。そりゃ状況が異常だからね。監禁された後にその相手と恋に落ちる“ストックホルムシンドローム”状態だし。彼女にひかれるあまりにジョセフの存在を確かめたくなったジョーは古着のデニムを脱いでドレスをまとい、ルージュをひいて本来の“女”になり、クラブに乗り込むまでに至るのだ。…でも彼女の心はやっぱり自分の手中にある“名無しの少女”にあるというのがオチであり、それを盛り上げるのがニコの代表曲『非走不可』ってわけ。…といってもストーリーはあってほとんどなしって感じだから、『非走不可』のPVっぽい印象かなってーことも思ったりして。
ウィン・シャの写真は好きだけど、この映画ではまさに彼の写真が動いているって感じ。演出的にはやっぱり王家衛っぽい?と思ったら、クレジットの一番最後の「鳴謝」トップに「王家衛先生」の字があったよ(笑)。

『愛得鎗狂(my beloved)
ピザ屋で働くロビンは、無愛想で社会不適応な性格である。彼は銃をこよなく愛し、モデルガンのベレッタを大事にしていたが、ある日その最愛のベレッタが壊れてしまう。ロビンはベレッタの亡骸を墓地に葬るが、まもなく街で見かけた美しいライフルに心を奪われる。バイト先から給料を前借してライフルを手に入れたロビンだが、そのライフルがだんだん女性に見えるようになってくる。彼女に誘惑されたロビンは、ライフルを街に持ち出すようになり…。

恋愛といっても、第1話に続いてまたもちょっと尋常じゃない恋愛物語。とんがったサウンドに乗って描かれるロビンの銃恋愛妄想の暴走はオタと一言で済まされるけど、ロビンの辿る顛末を思うとちょっとかわいそうな気も多少するかな。しかし、こんなロビンに銃の組み立てにセックス以上の興奮を覚えると呟いた、高村薫の小説『李歐』の主人公一彰を思い出したのはいうまでもない。
かつてステはマーティン・スコセッシを尊敬しているといっていたこともあって、演出はスコっぽい感じがある。でも、恋愛をテーマに与えられても、まっとうな恋愛ものにしないところが、このニコステコンビのこだわりというか意地なのかというか。それはともかく、映画自体もとっても男子な作品だよなーと感じた一編。

『不得了(oh,g!)
シャーリーン(阿Sa)はICQチャットで知り合ったローレンス(ローレンス)と会ってみた。二人はたちまち恋に落ち、一夜を共にした。アトムやガンダムが好きなローレンスと感情豊かなシャーリーンはデートを重ねて愛を深めていく。

今時(といっても6年前か)の香港人の恋模様も、日本人若者の恋愛とあんまり変わらない。3編のうちでは一番馴染みやすい(?)恋愛だけど、ただラブラブであるってーことを30分で描いたって感じかな。それが悪いってわけじゃないけど。
阿Saもローレンスもこれがデビューだったのかな?二人とも若いー(笑)。ローレンスは佐藤隆太君みたいなちりちりヘアで登場しているけど、結構似合っているし。

この映画を経てステは長編監督デビューを果たしたわけだから、ステ監督誕生前夜はもちろん、阿Saやローレンスのデビュー当時を見られた意味では得かな。
ところで第3話を監督した芝See茹Bi、ちょっと前に自殺騒ぎを起こしたことは聞いているけど、日本じゃほとんど知られていない人だからその顛末を知らないんだけど…どーなったんだろうか?

英題:Heroes in love
製作:ゴードン・チャン&ジャン・ラム 監督:ウィン・シャ(非走不可) ニコラス・ツェー&スティーブン・フォン(愛得鎗狂) 芝See茹Bi(不得了) 撮影:オー・シンプイ 編集:ウィリアム・チャン
出演:唐詠詩 鄭躬菁(非走不可) 胡 波(愛得鎗狂) シャーリーン・チョイ ローレンス・チョウ(不得了)

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この三文字には、今でもドキドキしてしまう。

年度始めなので、職場で行事が次々に重なって忙しい。
(昨日、《恋愛起義》を観たんだけど、その感想もまだ書けないほど忙しい…)
今日も大きな行事があってバタバタしていたのだが、その途中ちょっと休んで新聞を見ていたのだが、集英社の文芸誌『すばる』の最新号の広告に次の三文字を見つけてビックリした。

『無間道』

なななななななに!?インファかインファか、ディパじゃなくてインファか!
とプチパニックに陥るもとはし(アホ)。
ええ、もちろん件の映画とは関係ないと思います。
ちなみにこれは新連載として始まる小説で、作者は先日芥川賞候補にもなった星野智幸さんだそうです。星野さんの公式サイトを拝見しますと、一時期映画の字幕製作にも関わっておられたそうですが、プロフィールから判断したところラテンアメリカ方面がご専門とのことで。
…ごめんなさい、著書は読んだことがありませんでしたので、何か読んでみたいと思います。

ところで、『すばる』のサイトをあれこれ見ていましたら、映画レビューのページで野崎歓先生のお名前を発見いたしました(^_^)。ええ、もちろん香港映画への愛がこめられたレビューばかりで、昨年の香港国際電影節レポートが読めたのが嬉しかったです。

(追記)今日、ジュンクにいったので読んでみました。
すみません、連載じゃなくて短編でした。
しかも、テーマは〇〇…。生き長らえて味わうものとは対照的というかなんというか。
と、曖昧な感想で失礼します。

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くどいようだが、“香港映画は死んだ”なんて絶対言わせないぜ、金像奨よ!

このビジュアルを見ると、金像が間近ってことを感じるよなぁと思う次第。

Kinzo2007
ほー、今年は白シャツ×ジーンズのカジュアルですか。
左からユンファ、イザベラ、アーロン、アンジェリカ、トニー、レネ、ラウチン、リンチェイ、テレサ。誰かいないかってのはおわかりの通りコン・リー姐。
んー、トニーは一昨年の「体育教師のコスプレ(零食皇后さま談)」のような衣裳じゃないからまぁ許せるとしても、個人的には去年の皆さんのようなブラックフォーマルの方が好みだわ。
女子の皆さんではアンジェリカがかわいいな。ラウチンが妙に気のいいおっちゃんモードなのもなんか気になる…。坊主対決では個人的にアーロンに勝利か(笑)。

今年もまた新浪網で特集ページが組まれているけど、ヘッドラインにある「香港映画は死んだ」的なノミネート評を書いたこのblog記事が妙に気になる…。最多ノミネートが《黄金甲》だったから、それを受けての批評なんだろうけど、後で読んで感想でも書くか。新浪網ってページが重いから読み込みも読むのも大変なんだよね。

それはともかく、これはやっぱり香港の映画賞なんだし、某オスカーで無間道リメイク作品が作品賞を受けているのだから、やっぱりそんなことは言わせたくないし、当日はドッカーンと香港映画ばっかの受賞結果になってくれればそんなこと言わなくてもすむのさ
そんなわけで、4月15日が楽しみざんす。
ところで、また新浪網によると、授賞式では某韓流明星がプレゼンターを務めるらしい。このへんで話題になるのって、すっげーうっとーしーんだけど…。

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愛小姐講漢語不錯!…つーか負けたわ(爆)

お久しぶりでございます。無事、北国の旅から戻ってまいりました。
いったいなにやってたんだということはこちらを見ていただくとして、留守中は手塚眞さん&イーキンの対決もとい対面(詳しくは眞さんのココログを)とかレスリーのこととか、旅行がらみで旭川の中華まんじゅう再びとか函館や富良野で見つけた中華ネタとかいろいろ書きたいことがあったのですが、とりあえずそのへんは整理してからということで。

さっきまで、『中国語会話』を観てました。
あ、講師の先生は変わったけど、黄鶴&熙寧コンビと知恵ちゃんは続投かぁ、ほぉー、白田久子さんってこんな人か。ん、この栗原裕貴くんって男の子は誰?えーっ!今年中学生になったばっかり?
しかし、ずいぶん雰囲気が変わったなぁ…って当たり前だけど。驚いたのが、これまでの韓国ドラマ枠(!)でこの春から放映される中国ドラマ『北京バイオリン』の紹介をするようになったこと。んー…なんとコメントしてよいのやら(苦笑)。

で、その後で観たのはもちろん『とっさの中国語』(HPがまだないのね)。
去年まで前述の番組の講師だった陳淑梅老師はリヨン谷原と一緒にこっちにスイッチ。で、陳老師とともにリヨン谷原を強力にサポートするのが、今年から某W大の学生となる愛小姐なんだが、さすが幼少時から中国卓球リーグでもまれていただけあって、中国語の発音がいいわー、っつーか負けたわー(こらこら)。リヨン谷原のキザな(それも芸風だ)中国語よりナチュラルだわ。いつか対決してほしいもんだ。卓球じゃなくて中国語で。

またおさらいか?と去年も書いた気がするけど、やっぱり今年もちょこちょこ観ていこうかなーと思う、新年度一発目だったりするのでした。ちゃんちゃん♪

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