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『転がる香港に苔は生えない』星野博美

☆明けましておめでとうございます
今年もfunkin'for HONGKONG及びもとはしをよろしくお願いいたします☆

では、今年お初のエントリは前回予告のとおり、『転がる香港…』です。

転がる香港に苔は生えない
星野 博美著
文芸春秋 (2006.10)
通常24時間以内に発送します。

年末年始は実家に帰省し、某番組でアンジェラ・アキ嬢の故郷をテーマにした歌を聴きながら過ごしていたのだが、「ふるさと」という言葉は、日本人には生まれた場所を意味していても、他の国―特に流浪を繰り返してきた人々には違う意味なんじゃないかなと、ぼんやりと思っていた。1ヵ月半後には旧正月を迎え、多くの華人がそれぞれの故郷に帰っていくのだが、ふるさとを後にしても決して帰ることの出来ない華人だって少なくないだろう。そんな人が多く集った“借り物の土地”…それが香港だ、とワタシは認識していた。

80年代半ばの学生時代に、香港に語学留学生としてやってきたのが、著者の星野さん。それから約10年後の1996年、彼女は再びこの地に舞い戻る。返還の瞬間を見届けるため、そのときの街の人々の姿をカメラに収めるため、そして、かつて九龍城塞で出会ったひとりの大陸からの密航者・阿彬に再会するために…。
一言に“香港人”といっても、人々はそれぞれがさまざまな背景を抱えていて、まさに映画のようなとしかいえない想像のつかない人生を背負っている。彼女が出会ったのは大陸から渡ってきた人々がほとんどだ。もちろん、香港生まれの香港人も友人の中にはいるのだが、すでに海外に移民した人や、移住はしたものの結局帰国してきた人なども少なくない。もとからの香港っ子でも、いろんな手段で大陸からやってきた人でも、この街には本当に複雑な感情を抱いている。そして、中文大学で広東語を学ぶ一方、本職のフォトジャーナリストとして返還前後の街の姿を記録し、すでに死んでいた阿彬を知る人と必死にコンタクトを取ったり、茶餐廳で出会った美青年ウェイター子俊に一目惚れして深水[土歩]に居を定めた(深水[土歩]といえば無間道のファーストシーン…だよね)星野さんの身にも、この街の厳しい現実が降りかかってくる。星野さんが住んだのは古いアパートである“唐楼”。映画にもよく出てくるアパートであると思うけど、いくら香港に憧れて、暮らしてみたいと思う身であっても、家賃の高い香港の住宅の中でも比較的安価な唐楼で自分が暮らせるかどうかと考えると…ああ、自信がない(泣)。しかし、その描写が非常に詳しいので、映画で観られないホントの香港の姿を想像するのは容易だった。

この本に書かれている光景は今から10年前の香港の姿だ。そうか、もう10年経ってしまっていたのか…となぜか感慨深く思ったと同時に、では、今の深水[土歩]はいったいどうなっているのだろうか、かなり変わってしまったのではないだろうか、とも思った。それは、4年前のSARSのことがあったから…。
香港へ行っても、いつも行くところは同じなので、たまには下町も散策してみたいのだが、もうこの本で描かれたような光景も、なくなりつつあるんだろうな…。

本当は、出版されたときに読むべきだったのかもしれない。(そういえばビーケーワンでリンクを作った時にオリジナル版に対する野崎先生の評を発見しましたよ)でも、返還から10年を経た今読んでも、その意義は充分あるのはいうまでもない。今度香港へ行くときには、ちょっと違う観点で見てみたい気がする(たぶんその余裕はないかもしれないが…)。

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コメント

あけましておめでとうございます。本年も変わらずよろしくお願いいたします。

この本、買いながらまだ読んでおりませんが、映画と違って本のレビューは気にならないので先読みさせていただきました。

旅行者として訪ねると、みなさん口をそろえて「また行きたい」とおっしゃる香港。では生活したら?その辺がとても気になっています。

>映画で観られないホントの香港の姿
そうですか!私も早く読みたいです。

投稿: 藍*ai | 2007.01.03 11:37

新年好!
今年もどーぞよろしくです♪

レポートまだ書けていませんが、
12月の出張中にずっとこの本を読んでいて
マイブームが盛り上がった私は
心強いお友達が「オーディオショップ訪問計画」を作ってくれたので、先日、ついにサムソイポーへ行ってきましたよ♪

ただ、この本を持っていくのを忘れたので
ちゃーちゃんてぃんに行けなかったため
次回は必ず、本に出ていた場所でお茶をするという野望を新たにしたのでした。

この本の感想もまとめねばならないのですが、こういう素晴らしい本を読むと、みーはーちっくに「香港大好き♪」なんて言ってる自分をすこし恥じてみたりします(汗)

サムソイポーでは、旧暦の分かる日めくり暦を買ってきました。
今年は良い年にしたいわ・・・。
お互い、頑張りませう!

投稿: grace@初出勤ちう | 2007.01.03 17:49

藍*aiさん、graceさん(香港お疲れ様でした)、新年快楽!今年もよろしくお願いします。

>藍*aiさん
ワタシ自身、何度も香港に足を運んでいるのですが、実はホントの香港のことなんか、ちっともわかっていないんじゃないかと激しく反省させられました(泣)。それでも、やっぱり好きだと思ってしまうのだから、あの街は奥が深いものです。

>graceさん
後ほど改めて記事にも書きますが、来月の連休を利用して香港に行くことが決定しました!…でも同行の友人が香港初心者のため、深水[土歩]行きは断念した次第です(その代わりランタオ島とマカオに行きます)。いずれは深水[土歩]ウォッチングも実現させたいものですよ。

投稿: もとはし | 2007.01.04 00:18

遅ればせながら。。。
明けましておめでとうございます
私も昨年 ノロウィルスに早々に罹って
二日ほど休んで寝ていた時に 
あまりの分厚さに尻ごみしていたこの本を
ようやく読む事が出来ました
そして もっと早く読むべきだったと
深く反省したのでした
こんなディープな香港の生活があったのか
とグングン惹かれて読みふけりました
去年は結局一度も香港に行けませんでした
香港に行きたい病は悪化の一途です
来月にお出かけとは何とも羨ましい。。。
またお帰りの香港日記等楽しみにしております
今年もどうぞ宜しくお願いします

投稿: usako | 2007.01.07 22:22

usakoさん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

以前、弟の友人(非香港人)の家に行ったことがありますが、そこは香港大學付近の比較的ハイソな地域だったので、ホントに一般庶民の生活の様子が想像つきませんでした。
現在の深水[土歩]がどんなふうになっているのか、いつか見に行ってみたいものです。

それ以前に来月香港行きのホテル回答が…。うう、早く来てほしいです。

投稿: もとはし | 2007.01.08 21:36

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