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玲玲の電影日記(2004/中国)

「意味のない人生なんてない。」
これは先頃完結したNHKの朝ドラで、宮崎あおいちゃん演じたヒロインがラスト近くで言った言葉(ややうろ覚え気味だが、もしかしたら“つまらない人生なんて…”だったかもしれない)。さまざまな事情で夢を断たれ、不幸な出来事に遭って何もなさずに人生を終えることになろうとも、それぞれの人生は輝いており、それを見つめてくれた家族はいとおしいものだということを表した言葉だった。彼女のこの言葉に、先週観た『玲玲の電影日記』が重なった。

映画が大好きな青年、毛大兵(夏雨)は水の配達の途中、胡同に積んであったレンガに激突する。さらに突然目の前に現れた女性(チー・チョンヤン)にレンガで思い切り頭を殴られ、気絶してしまう。この事件で失業した大兵は事情聴取を受けている女性のもとに行って責めたてるが、どうも耳が聞こえないらしい彼女は、なぜか大兵に「金魚に餌を」というメモと部屋のかぎを託していなくなる。
彼女の部屋には古い映画ポスターや切抜きが壁一面に貼られ、大きなスクリーンとプロジェクターまで備えられていた。大兵は彼女の部屋に泊り込むことになるが、そこで日記帳を見つける。日記に綴られたのは彼女―映画が大好きな玲玲(クァン・シャオトン&チャン・イージン)と、かつて電影明星を目指した母、江雪華(チアン・イーホン)の半生が綴られており、やがて大兵は、自分がかつて玲玲と一緒に遊んでいた幼馴染(幼名は小兵/王正佳)だったことを思い出す。しかし、自分をレンガで殴った今の玲玲は自分の知っている明るく元気な玲玲じゃない。大兵はさらに日記を読みすすめていくが、彼が玲玲のもとから去った後、玲玲の身に起きた悲しい出来事を知ることになる…。

映画を愛し、電影明星を目指しながら、その夢を断念せざるを得なかった江親子。文革の最中、炭鉱の街でアナウンサーをしていた雪華は妊娠でその夢が断たれる。しかし、絶望にあった彼女を救ったのもまた映画であり、愛娘の玲玲だった。後に義父となる映画技師の潘大任(李海濱)との交流、おバカで腕白だけど映画狂の小兵との出会いが、玲玲の“シネマパラダイス”を彩る。しかし、彼女の幸せな幼年期は小兵との別離で終わりを告げる。そりゃ確かに自分が親しくしていた人が、いきなり父親になりゃ面白くないだろう。さらに玲玲の不機嫌は、父の違う弟の兵兵に二人が愛情を注ぎ、自分が構われなくなったことで増幅する。夫と家庭を得て幸せをつかんだ母は娘に安定した幸せを願うが、娘はやはり電影明星になりたい。姉弟揃って受験した少年宮に合格するも、それを諦めろと言われる。だからその“殺したいほどの”憎しみは弟に向かう。でも、それを本気で願ってはいなかったのに、悲劇は起こってしまい、その報いは自分にも返ってくる…。
貧しくとも幸せに満ちていた幼年期が綴られる前半とはガラリと趣を変え、母の幸せが自分の不幸になる思春期が描かれる後半。その顛末があまりにも悲劇なのでこれ以上は詳細に描けなかったのだろうと思うけど、このあたりで『胡同のひまわり』の父子関係と対照的であって、それでいてよくわかるなぁと思ったのは言うまでもない。やはり、母と娘とのこの種の葛藤は万国共通であるのだ。
しかし、玲玲が成人した今、家族関係が断絶したまま終わるようでは、あまりにも悲しすぎる。彼女らを結びつけたのは、思わぬ形で再会を果たした小兵こと大兵であり、立場や環境が変わっても好きでありつづけた映画だった。一人ぼっちで都会に出た玲玲は、ハンデを背負いながらも映画を愛することによって、家族を愛することをやめなかったのだろう。そして、彼女の幼い頃の思い出の象徴であった大兵が、玲玲と母親たちをつなぎとめ、凍っていた彼女の時間を溶かすことになる。夢を断たれ、不幸な形で別れてしまった家族だけど、もう不幸じゃないし、それぞれの人生は映画という記憶で輝いている。はたから見ればありふれていても、彼らにとってはまさに輝ける人生だったのである。…そんなわけで冒頭のセリフにつながるのである(笑)。

この映画は、監督(ワタシとほぼ同世代の女性)の実体験をベースにしたそうだけど、やっぱり国と環境が違えば、こんなにも違うもんなんだなー。時は文革真っ最中、所は辺境の街だから、なんだかもっと昔の話か?などと錯覚しがちになる。この世代だと文革の記憶があまりないこともあり、否定的でも肯定的でもないというけど、時代的にはやっぱり苦しいのは言うまでもなさそうだもんなぁ。そんな中の楽しみとしての映画もバリバリのプロパガンダ的映画ってのもうーん、なんだかって気もするけど…。中国も日本と同じ、ノスタルジーブームなのか?って思ってしまった。まぁ、この手の映画は日本じゃほとんど紹介されなかったし、珍しいからそれなりに興味はあるんだけどね。

夏雨くんは『太陽の少年』以来の再会だなぁ。約10年前とほとんど顔が変わっていない、というよりもサム・リーっぽく(つまり個性派ってことだ)なってるっていう印象を抱いたのはワタシだけか?なんと今年30歳。張震やすーちーやジジやヴィッキーやジョーと同い年だよ!ちょっとビックリ。あ、近日日本公開の『ドラゴン・スクワッド』ではショーンやヴァネと共演してるんだってね。チャン・イーホン嬢は『鬼が来た!』に出ていたというが…すまん、覚えてない。そしてちび玲玲を演じたクアン・シャオトンちゃん、どっかで観た覚えが…と思ったら、あーっ、『無極』饅頭ドロボーことちび傾城ですよ。つまりこの子が成長したらセシになるんですよ!(嘘)
製作にイー・トンシンさんがいるのにもまたビックリ。…うむ、こういう仕事をせっせとしなくちゃ、香港で映画をコンスタントに撮れないのかもしれないなぁ。

原題&英題:夢影童年(Electric Shadows)
監督&脚本:小 江 製作総指揮:ジョン・シャム 製作:黄建新&イー・トンシン
出演:夏 雨 姜易宏 李海濱 斎中[日易]

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