« するってーと、今年の金像プレゼンターはゴーゴー千明ちゃんなんですか?あ、違うのか? | トップページ | 第25回香港電影金像奨、正在開始。 »

憂鬱な楽園(1996/台湾)

ホウちゃんの映画の特徴は、どんな人間の物語でも淡々と描いてしまうことだ。それを考えれば、多分『悲情城市』が彼の映画の中でも一番派手なんじゃないかと思うんだけど、他の映画は一見しただけで「あー地味ー。」っていう印象を持ってしまう…って自分、ホントにホウちゃんのファンなのか?
そんなホウちゃんが“台湾現代史三部作”を経て作り上げた『憂鬱な楽園』もまた地味な映画であったが、なんと題名と全然違って、その中身はヤクザ映画であった。でも立派にホウちゃんの作品である。…これ、もしかして世界一地味なヤクザ映画なんじゃないか?

台北のチンピラ、高(高捷)は弟分の扁頭(林強)と彼の恋人麻花(伊能静)を連れて電車で平渓へ行く。高の兄貴分の命令で、賭博場のしきりに来たのであるが、絶壁頭をからかわれた扁頭が地元の男とトラブルを起こしてメチャクチャになる。高はいずれは上海にレストランを出したいと恋人の阿瑛に語るが、高が手を出した仕事は次々と失敗する。扁頭と麻花もちょくちょくトラブルを起こし、阿瑛と同じ店でホステスをしている麻花は借金を踏み倒すため自殺未遂まで引き起こす。高と兄貴分は電力会社の土地買収に乗じて豚を集めて土地の評価額を集めて成功するが、成功の宴会後泥酔する高は仕事もろくにできず、阿瑛と結婚できない自分の情けなさを愚痴る。
扁頭は高と麻花と共に故郷の嘉義に行く。一族の土地が買収された時、自分だけが金をもらえなかったのはなぜかと兄に問い、その詳細を知っているという叔父のところに行くが、取り合ってもらえないばかりか従兄弟の刑事に恐喝罪で連行され、ボコボコにされてしまう。扁頭は従兄弟に復讐すると言い、高も彼に手を貸そうとするが…。

ヤのつく人々(と呼んでいる)を描いた映画は世界中にいろいろある。日本なら『仁義なき戦い』や健さんの映画、最近は北野武監督作品や三池崇史さん作品。香港ならウーさん作品や《古惑仔》シリーズ、製作にヤのつく人々が係わっているものもある。ハリウッドならコッポラのゴッドファーザー三部作にスコセッシの作品。台湾にもアンディと家輝さんが主演した《黒金》というヤクザ映画もあるけど、これは残念ながら未見。こうやって書き出してみると、それぞれお国柄も出て個性的な印象を受ける。
日本でヤクザ映画というと、やっぱり健さんや文太さんや若山富三郎さんの映画になるんだろうか。わたしは『仁義』なんか当然観たことないし、若山さんは『ブラックレイン』の大阪ヤクザのボスってイメージしかないんだけどね。健さんたちの時代のヤクザ映画って、ヒーローっぽかったんだろうなー。カッコよくて(ってよく知らんが)。
最近のヤクザ映画では、たけしが『brother』で描いた破滅的なものとか、三池監督が力兄貴や翔さんと組んで作ったカッコいいんだが脱力系って感じのものが多いので、もう日本でのヤクザ映画にはヒロイズムってものが求められてないのかな。(注・暴言ですが本気で言っていないので真剣なヤクザ映画好きの方は聞き流してください。文句つけられても反論できないので…って弱気だなー自分)
これ以上ヤクザ映画について書くとますます脱線するに違いないので本題へ(こらこら)。

ホウちゃん映画の常連、高捷(カオ・ジエまたはジャック・カオ)さん演じる高は健さんや力兄貴からあまりにも遠く離れすぎたヘタレなチンピラ。弟分の扁頭はさらに輪をかけてヘタレ。そんな三人が不器用(さだけは健さんに負けない)な毎日を過ごしている。その毎日をホウちゃんはいつもの如く淡々と書く。…ああ、そりゃ確かに地味だよ。誰がなんと言おうと地味だよ。おかげで(やっぱり途中眠くなって)李天禄おじいちゃんの場面を見逃しそうになったもの。ところで阿禄おじいちゃんはこの映画の2年後に亡くなっているけど、これが遺作になるのか?
でも、多少は眠気を誘うにしろ、この映画は全編を観ている分にはあまりつらくない。なぜなら画面が驚くほど明るいから(爆)。画面が観やすいのは撮影にリー・ピンビンさんが入っているせいか…ってそうか?ともかく、この映画では夜のシーンは例によって暗いものの、外を照らす太陽の光は部屋の中にも鮮やかに入ってきていて、オープニングの電車の景色や、高たち3人がバイクで扁頭の故郷嘉義に向かう場面は印象的だった。

あ、あと今さら気がついたんだけど、ホウちゃんの映画の出演女優って10年間固定みたいなもんなのね(笑)。
『童年往事』から『悲情城市』までの80年代は辛樹芬。90年代の『好男好女』とこの映画(あと『海上花』も)は伊能静。そして『ミレニアムマンボ』と『スリータイムス』はすーちー。男優はトニーから張震までころころ変わっているけど。

トニーとホウちゃんといえば、件のローレンス・ブロックの映画はブロック本人の脚本でと妙に話が広がっちゃってるみたいだけど、台北を舞台にした香港人探偵の話っていう設定も捨てがたいんだよなー。もうヒロインはすーちーでいいから、実現させませんかホウちゃんってば?多分当分、葉問映画の撮影も始まらないだろうし、ホウちゃん自身自分は早撮りだからって言って、さっさと撮れるんだからさぁ。

原題:南國再見、南國
監督:候孝賢 原作:高 捷 脚本:朱天文 撮影:李屏賓 音楽:林 強
出演:高 捷 林 強 伊能静 李天禄

|

« するってーと、今年の金像プレゼンターはゴーゴー千明ちゃんなんですか?あ、違うのか? | トップページ | 第25回香港電影金像奨、正在開始。 »

台湾映画」カテゴリの記事

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/14197/9475438

この記事へのトラックバック一覧です: 憂鬱な楽園(1996/台湾):

« するってーと、今年の金像プレゼンターはゴーゴー千明ちゃんなんですか?あ、違うのか? | トップページ | 第25回香港電影金像奨、正在開始。 »