T.R.Y.(2002/日本)
すまん、ワタシの個人的妄想からこの感想を始めさせていただく。
今でこそ、アジアンコラボが一応百花繚乱なのだが、中華電影にハマったばかりの頃、個人的に観たかった夢の企画は、トニー・レオンと役所広司とアン・ソンギがアジアを股にかけて活躍する現代東アジア的『スティング』だった。この3人が一致団結して権力を煙に巻く物語を想像しては、一人勝手にワクワクしていたものだ。しかし3人ともすでに国際的スターだったので、当然こんな企画が実現するわけはない。ははは。
それから数年後、踊るシリーズ等ですっかりビッグスターになった織田裕二が、清朝末期の上海で暗躍する詐欺師を演じ、ピーターくんが日本映画に初出演したこの映画『T.R.Y.』が作られた時、個人的には「…なんかデジャヴュ?」なんて感じてしまったというか、自分の想像力の貧困さに悲しくなったというか、複雑な気分を抱いたんだけど、観には行かなかった。…うん、なんかね、評判云々もいろいろ聞いていたからね。
昨日、TV放映されていたので、かなりかるーい気持ちで観た。ありがとう『県庁の星』!この映画がなかったらこれが放映されていなかっただろうし、ワタシもこの機会を逃したらこの映画を永遠に観なかったであろう!(大笑)
ちなみに原作小説は未読です。
1910年、清国・上海。
中国人豪商を騙した罪で刑務所に放り込まれた日本人詐欺師伊沢修(織田)は、豪商が放った赤い眉の殺し屋(ピーター)に命を狙われていた。そんな彼を助けたのは中国人囚の関飛虎(シャオ・ビン)。関は腐敗した清朝に見切りをつけ、人民による革命を起こそうと奮闘していた。二人で脱獄した後、関は伊沢に仕事を依頼する。それは「日本陸軍から大量の武器を奪い、それで人民を蜂起させること」という途方もないもの。ターゲットは陸軍の東正信中将(謙さん)。落とすにはかなり難しい相手だが、関と革命グループ「中華黎明会」の愛玲(ヤン・ルオシー)の情熱にほだされ、彼らの計画に一枚かむことにする。伊沢は関と愛玲、弟分の陳(市原隼人)、朝鮮人詐欺師のパク(ソン・チャンミン)と共に日本へ向かう。彼らが練った計画とは、陸軍学校に留学中の愛新覚羅載寧殿下(松岡俊介)を利用した、突拍子もないものだった…。
上海ロケ敢行(もちろん『花の影』でも御馴染の上海電影製作廠にて撮影)!ってことで、上海を舞台にしたいろんな映画(『カンフーハッスル』の繁華街もここだよね?でも《長恨歌》には出ていなかったよね?)に登場しているオープンセットを観るのは楽しかったわ。
…残念ながら、よかったのはそこだけ。後は「うむむむむーーーーーー(-_-;)」と頭を抱えてしまったのは言うまでもない。
まーねー、まず、コンゲームものとしてイマイチ魅力に欠けるというか。『スティング』みたいな、騙し騙されのスリルが感じられなかった。多分、放映時点で本編にかなりハサミ入れてそうだし、原作自体も仕掛けはもっとコンゲームっぽくなっているんじゃないかと思う。読んでいないからなんとも言えないが。
あと、この時代の歴史には明るくないし(スマン)、フィクションだからツッコミ入れるのは野暮だけど、清国の王族が陸軍学校に留学してたってのはありなのだろうか?この時代だったら旧帝大に留学って方が自然だと思うんだが…いや、ホントにあったのかもしれない。やっぱり原作読むか(こらこら)。
その他細かいことにいろいろツッコミいれたら、かなり長くなりそうなのでこのへんでやめとく。
で、ヒーロー織田さんなんだが、んー、確かに彼は熱い男をやらせたらホンマに天下一品だと思う。自分はそれが好みか?と言われると、否というのであるが。ええ、そのへんは個人的意見なので気にしないでください(特に彼のファンの方)。そんなイメージなもんで、自分はどんな織田さんを観ても「熱いなー」と感じてしまうわけで。いや、こんなんじゃいけないんだが。で、詐欺師という役柄なんだが、こういう役柄にはどうも熱いキャラクターを持つ人は向かないんじゃないかと常々思っていて、むしろ人を食った演技ができる人の方が向いていると思うので、この配役には妙に納得がいかなかったりする。くどくてスミマセン。いやー、頑張って中国語話しているなーとか、そのへんの努力は認めるんだけど。…やっぱりこれはアイドル映画なんだねー、と思った次第。
そんな熱い詐欺師とコンビを組む革命家を演じるシャオビンさん。『スパイシー・ラブスープ』に出演されていたそうです。…観たのに覚えていません、ごめんなさーい。でも、いかにも大陸的オトコ前って俳優さんね。同じくパク役のソン・チャンミンさん、愛玲役のヤン・ルオシーちゃん(この二人、もっと役柄を掘り下げてもよかったかも)、よく知りません、これまたごめんなさーい。
そしてピーターくん。…でかっ!and女装にあわねー(爆)!主人公の前に立ちふさがる強敵で、ラストまで行かずに倒されてしまうのって、ちょうど1年前に観た劇場版ファイズのレオと同じ役回りじゃねーかよ!オマケにこっちではろくなセリフがない!ピーター、いいのかそれで?ほんとにいいのか、そんなんで!?彼はアクション要員でもあるんだけど、そっち方面はイマイチかなぁと思ったのは、アクションシーンの撮り方がイマイチなのか、それとも振り付けがイマイチなのか、そのへんがよくわからん。もっともこのへんを追求するつもりはない。あと、もーちょっと文句を言うのならば、組織の名前は「赤眉(チーメイ)」じゃなくて「紅眉(ホンメイ)」にすべき。これは『無間輪舞曲』の「神狗」という名前に感じる違和感にやや近い。いや、中国語の「赤」が変な意味だってわけじゃないけどね。
敵役の謙さん、こんな程度の悪役は演じるのちょろいでしょ(笑)。伊沢の弟分、陳役の市原くん、かわいいんだけど中国語が…。それはしょうがないね。あと、黒木さん演じた喜春姐さんの存在意義は?
んー、でも一番惜しかったのは、映画から清国滅亡前夜の緊迫した空気がイマイチ感じられなかったってことかな。まぁ、日本はその当時明治末期だし、まだ第一次大戦にも突入していないから、国の雰囲気も違ったんだろうけどね。なかなか難しいものなんだなぁ。
と、やや投げやり気味に感想終わります。ええ、今回の感想はかなり投げやりです。
監督:大森一樹 原作:井上尚登 脚本:成島 出 音楽:住友紀人
出演:織田裕二 渡辺 謙 黒木 瞳 シャオ・ビン ソン・チャンミン ヤン・ルオシー ピーター・ホー 市原隼人 松岡俊介 今井雅之
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コメント
愛新覚羅溥傑さんは日本留学時に陸軍士官学校に入っておいでだったので、それに対しては別に違和感はありませんでした。
もっとも溥傑さんの士官学校入学は満州国建国の後なので、あの時代背景でわざわざ日本の士官学校に入るか?って話ですが。
「T.R.Y.」に関しては私の中で素敵な夏八木功さんを見る映画という位置付けなので、それ以上でもそれ以下でもなく。
題材自体は悪くないんだけれど、なんだか惜しい映画だなぁという感じがテレビを見ながらいたしました。
投稿: ぽち | 2006.03.06 00:26
なぜ今頃ゴールデンに『T.R.Y』なのかなあ~とぼんやり思ってましたら、そうか、『県庁の星』につなげたかったんですね。
あの殺し屋、ピーター・ホーが台湾ドラマでお馴染みの彼であることに最近やっと気付いた迂闊な奴でございます~
投稿: 藍*ai | 2006.03.06 13:27
>ぽちさん
そう、薄傑さんが陸軍学校にいたのは満州国建国後というのは承知しているので納得できるのですが、この時代はまだ清国があったわけで、やっぱり留学するのなら旧帝大か学習院ですよね。このときすでに朝鮮半島は併合されていたから朝鮮王朝の皇族が陸軍学校にいたというのは時代背景的にあっても…って思いましたね。なんとなく、10年代~30年代の時代考証を一緒くたにしてしまっているのではという印象を受けました。
夏八木勲さんは渋かったですねー。素肌に綿入れと作業ズボンというワイルドな着こなしの、ダンディな鍛冶屋さんぶりがステキでした。
>藍*aiさん
今回は『県庁の星』公開記念放映なんですよね。そういえば近年の織田さん、踊るシリーズ以外の映画出演は『ホワイトアウト』とこれくらいのような…。意外と少ないのね。
ピーターくん、出番が少ないうえに顔がきちんと見えてなかったのが残念です。役まわり的には似ていても、ファイズ劇場版のほうがまだ顔を見せてくれていたような…(セリフに字幕がなかったけど)。
投稿: もとはし | 2006.03.06 19:48