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『春田花花幼稚園 マクダルとマクマグ』謝立文(ブライアン・ツェー)文/麥家碧(アリス・マク)絵

小さい頃からマンガやアニメや絵本で育ったこともあるせいか、けっこういい年こいてもワタシはキャラクターものが大好きだ。携帯ストラップはもちろんのこと、仕事で使う筆記用具、普段使いのハンカチやポーチ類には、どこかしらにムーミントロールやポストペットのモモなど、複数種のキャラクターがついている。さすがに仕事用の鞄や財布もキャラものってまでは行かないが(こんなアタシにだってオトナとしての理性はあるぞ)、ブランド物よりもキャラクターをが眺めていた方が気分として和むからだ。
ワタシに限らず、日本のオトナたちもキャラ好きが多く、キティちゃんやドラえもんなどの日本発のキャラが国際的に有名になり、「カワイイ」文化が世界を席巻しているのは、説明しなくても承知だろう。もちろん、香港でも日本のキャラたちに出会う機会も多く、親しみと同時に、日本のキャラ文化のすごさを実感させられる。

では、香港には日本のキャラばかりで香港独自のキャラが存在しないのかと問えば、その答えはノーである。香港では、数年前から店頭や雑誌の広告、映画の小道具などにあるキャラが登場するようになってきた。右目の周りにぶちのある、点目の子ブタちゃん。彼の名がマクダルという、香港を代表するキャラクターであることを知ったのは、3年前の東京国際アジアの風で『マクダルの話』というアニメ映画が上映された(でも観ていない…)ことからだった。さらにその翌年の映画祭では、続編映画とテレビシリーズが一挙上映され(これも観ていない…)、満を持して今年、TVシリーズDVD発売と『マクダル パイナップルパン王子』の日本正式公開が決定し、この子ブタは日本上陸を果たすのだ。ああ、この説明文ともども長かったわねー(^_^;)。

マクダルとマクマグ
謝 立文著 / 麦 家碧作画 / 野村 麻里訳
朝日新聞社 (2006.1)
通常24時間以内に発送します。

そんなわけで本格的日本上陸第1弾といえるこの本を読んでみた。発行社のアサヒコムマクダル特集ページもあるので、あわせてどーぞ。
ワタシが初めて観たマクダルは『1:99電影行動』のCGアニメの短編だけで、しかも字幕なしだったから細部までよく理解できなかった。星の王子さま(今思えばあれはパイナップルパン王子?)ふうマクダルと、う○●ばっかりしているウワバミの話だったような気がする。どーもマクダルにおいて、●○こは重要みたいで、シリーズに登場する●ん○マンなるキャラクターが、星仔の『喜劇王』に流用されているってーのを昔聞いた気がする。つーことは本編は、かなーりナンセンス(広東語だと「無厘頭」だっけ?)でシモネタばしばしでブラックユーモア満載ってこと?なんて妙な期待をしてしまって、本を読んでみた。

…そのヨコシマな期待はあっけなく外れた(爆)。

しかし、その期待が外れてよかった。ほろっとしてしまったくらいだもん。

香港・深水捗にある春田花花幼稚園(うまい名前だよねー)のマクダルと従兄弟のマクマグ、クラスメイトの動物たちと人間(!)の先生や大人たち、そしてマクダルのママが繰り広げる6編の物語と4コママンガ、2編のポエムという、絵本ともマンガともいえない構成(でも図書館では、背表紙のラベルに書かれる分類番号は、絵本もマンガも同じになるんだよね)の本。
マクダルは幼稚園児なので多分5歳くらいの設定。お勉強もスポーツも苦手だけど、そこにコンプレックスを持っていない、素直な子ブタ。時々とんちんかんな努力をすることもあるけど、そのへんな努力のせいで失敗しちゃっても、努力したところもみんなが認めてくれる。それがマクダルの個性であり、いいところだってみんなが知っている。これが現実の人間社会なら、かなり浮いちゃっていじめられちゃうのかもしれないけど、大人たちも子どもたちもマクダルをちゃんと認めている。それが嬉しい。おそらくこの本は香港で出版されているたくさんのマクダルのシリーズから日本向けに馴染む話をよりぬきした初心者版なのかもしれないけど、こういう話を選んできたのは正解だったと思う。
特にマクダルとミセス・マクのやり取りには笑ってしまう。こういうお母さんはいるもんねー。いい加減なキャラだけど決して投げやりじゃなくて、ちゃーんと息子を愛しているお母さん。理想の母親じゃないですか(^_^)。

どの話もよかったけど、ワタシの好きなのは「マクダルの願い」とラストの「永遠の鳩時計」。この2作にはマクダルの世界観がよく見える気がする。
テイストとしては、やはり中華圏発のジミーの絵本の雰囲気よりも、チャールズ・シュルツのピーナツブックス(スヌーピーのあれ)に似ている気がする。ドジでのろまなチャーリー・ブラウンが子どもなりに一生懸命あれこれ考えて社会に向き合おうとするような感じ。まー、ピーナツは米国社会を反映しているようなところもあったから、全く同じではないんだけど、マクダルも絵本を全作読んだり、TVシリーズや映画を観れば、香港社会をどう映し出しているのかがわかるのかな。

『パイナップルパン王子』の地元での上映はなさそうな気がするけど、仙台で上映されるのなら絶対観に行きたいな。TVシリーズDVDも、機会があったら観てみたい。

そうそう、以前の記事「ボニピンちゃんがマクダルを愛好している」と書いたけど、昨年、『妖怪大戦争』と『ウルトラマンマックス』の演出で話題をさらった鬼才・三池崇史監督もマクダルに興味がおありだということを彼のコラム「三池崇史のシネコラマ」で知り、大いにビックリしたもんでごんす。三池さんったら…。

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コメント

先日、アリスさんのサイン会に行ってきました。小柄でとってもキュートな方で、同行の妹と「可愛い人だね」と後で何度も話しました。
随分と時間のかかるサイン会だなぁ、と思っていたら、一人一人に違ったイラストを書いてくださっていたのでした(妹、私、田舎に居る姪用に3冊書いていただいた)。しかも、臨月近い妹にはマクダル親子を、名前に「音」の字の入る姪っ子分にはハミングをするマクダル(音符入り)、私には三角帽子を被って眠るマクダル(休日は24時間平気で眠る私。何故わかったのでしょう(^^;)という心遣い。感激。
さて、『マクダル』を読んで感じたのは、『タオのプーさん』で分析されたような、道教の老師や禅問答のような世界。「子供」の持つイノセントって、すごいなぁ、と。かなり好きです。映画はどのようになっているのか、公開が楽しみです。
会場で配給の方とお話をする機会があり、公開劇場が増えていて嬉しい旨、東北でも是非公開差し上げてくださいね、とお願いをいたしましたが、どうなるでしょう。

投稿: ぷぅ | 2006.02.12 22:52

アリス・マクさんの東京サイン会、いろんな方のblogで報告を拝見しました。うらやましいですー。
ワタシはマクダルをbk1で買ったのですが、地元の書店には出ていないんですよ。やっとジミーの絵本を並べてくれたのは嬉しいけど、せめてジミーの絵本の横にマクダルをお願いします>地元大手のS書店さん!(こらこら)
…それはともかく、やっぱり香港人だからってこともあるのでしょうか、道教的思想の影響はなんとなくありそうですね。道教思想をマンガにしたものは、日本でも翻訳されている台湾の蔡志忠のマンガなどがありますけど、マクダルでは子供の世界でそれを描くことで親しめるのかもしれません。
うちの方まで来るのは難しいかもしれませんが、仙台に来てくれれば絶対観に行きます(そんな仙台では来月『イエスタデイ、ワンスモア』が上映決定。嬉しい♪)

投稿: もとはし | 2006.02.13 20:02

> いろんな方のblogで報告
そうなんですね。最近年甲斐も無くはしゃぎ過ぎてお疲れモードのため(>_<)、blog巡りが出来ていません。一休みをしたら訪ねてみます。
このマクダルワールドの不思議(道教的)な感覚をチビっ子にも知って欲しい、チビっ子はどう受け止めるのだろう、チビっ子はただ楽しんで、素直に「その世界」として感じるのかなぁ、と姪の感想が楽しみです…これもオトナの勝手な願望? まずは幼稚園児のためにはフリガナを振らなければ(^^;。
また、「蔡志忠のマンガ」をお教えいただき有り難うございます。探してみます。

投稿: ぷぅ | 2006.02.14 02:10

蔡志忠のマンガは講談社のα文庫からいろいろ出ていましたが、ちょっと前の話なので今は品切れかもしれません。古本屋にはあるかもしれませんね。
確か、孟子や老子の思想をわかりやすく絵にしたものでした。絵が4コママンガっぽいユーモラスな感じでしたよ。

投稿: もとはし | 2006.02.14 23:11

もとはしさん、ご親切に有り難うございます(^^)。
いつも色々と情報を発信してくださって嬉しいです(^^)。

投稿: ぷぅ | 2006.02.15 01:10

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