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ベルベット・レイン(2004/香港)

華仔と学友。
この字を見て「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおぉ!」と心動かされたそこのアナタ!きっとホモソーシャル好きですね?というのは冗談として、この二人といえば、今から17年前に作られた王家衛の記念すべきデビュー作『いますぐ抱きしめたい』でのものすごーく熱い義兄弟仁義ぶりが未だに忘れられないでいる。特に学友さんは「なぜそこまでやる!わかったからそのへんでやめにしとこうよ、ねぇ!」といいたくなるほどの熱演ぶりも強烈だった(あ、『ワイルド・ブリット』も同じく)。そんな彼はいつの間にやらアジアに名を馳せる“歌神”となり、幸せな家庭も得たステキなお父さんにもなっていた。そして、当時(と言ってもこの映画を観たのは今から8年前だ)は豪快に出血するチンピラ役がハマっていた華仔ことアンディは、映画に出まくり歌うたいまくりの日々を送って、いつの間にやら渋ーい演技もできるオトナな中堅トップスター&アジア映画の未来にかける大プロデューサー様になっていた…。
そんな二人が熱ーく火花を散らし、さらに無間道3部作イニDでいつの間にやら(いいかげんくどい?)次世代明星になっていたえぢ&ショーンとも共演するという、なんてゴージャスな!と言いたくなる映画が、今日観た『ベルベット・レイン』だった。

江湖(黒社会)に名を轟かすボスのホン(アンディ)の暗殺計画が持ち上がっている。ノッポ(エリック)を始めとしたホン配下の3人のボスはお互いを疑いあう。ホンには義兄弟のレフティ(学友)がおり、ホン亡き後は彼が江湖を仕切るとなると、自分たちの立場があぶないのではないかと…。
ホンは愛妻エミリー(シンリン)に子供が生まれたと聞き、レフティと共に病院に駆けつける。レフティはホンの身を案じ、家族と一緒の移住を薦める。そんなレフティは、3人のボスとその家族を抹殺するようにと、刺客を送り込んでいた…。
若きチンピラのイック(ショーン)のもとに仲間のターボ(えぢ)が、鉄砲玉を決めるくじ引きがあるという知らせを持ってきた。一旗揚げたい二人はくじ引き会場のクラブへ。見事、当たりくじの娼婦ヨーヨー(林苑)を選んだのはイック。彼はヨーヨーに一目惚れする。ボスのトウ(チャッピー)はイックにナイフを渡すが、それでは確実に標的を仕留められない。イックとターボは強引に拳銃を手に入れる。しかし、鉄砲玉となった彼らを、別のチンピラどももまた狙っていた…。

いやぁ、わかりやすくホモソーシャルだなぁ。そしてものすごーくはっきりとデジャヴも感じる…(^_^;)。それで思い出すのはやっぱり『いますぐ抱きしめたい』だったり無間道三部作(特に無間序曲)だったりするんだけど。そんなわけで「わー、懐かしーい」なんていいつつ観ていたのである。
こちらはカタギなので黒社会の修羅場なんてほんとに映画じゃなきゃ楽しめないし(現実の中華圏の黒社会はもちろん、日本のヤクザなんかに感情移入はできないよ)、映画の中で描かれる黒社会はやっぱりフィクションの世界。そんな世界だからこそこういうオトコのロマンを託せるんだろうな。
しかし、中華なヤクザの皆さんってどうして敵を殺す時、当人だけじゃなくて家族まで惨殺して根こそぎにするんだろうか、ということを前から考えていた。この映画でもレフティが、ホン配下のフィゴとその一族を自分の手下に皆殺しにさせる場面(フィゴの子供が殺されようとするところはキツかった…)がある。それは古代中国の覇権争いからそのようなことが行われてきたからなんだろうけど、要するに相手を殺すとその子供に復讐されることを恐れてってことか。そこまで非情にならざるを得ない黒社会は恐ろしいが、ホンはそんな掟をあえて遠ざけることで黒社会で大ボスの位置までのし上がってこられたんじゃないかな。家族を守れなければ真のボスになれない、とレフティに告げる場面もそれを考えることで心に響いてくる。…その後の二人には、思いも寄らぬ運命が待っていたのだけど。

一方、イックとターボにはもろに『いますぐ…』のアンディ&学友の影響が見られる。それは特にヘラヘラしながらもイックのためにつくすターボの姿を観ていればすぐわかったし、「もしかして、この二人って十何年前の…」なんてことも感じていた。でも、この二人が『いますぐ…』の完全コピーでなければ、この二人が数年後にあの二人になるというのも、また違うんじゃないかなぁなんて思ったりもしたのだ。いつの世にも香港の江湖で繰り返される歴史的光景?って感じかなぁ。(あ、カッコつけちゃった。というより今回の文章はあいまいな文末ばかりですみません)

しかし、アンディももうボスをやるようなお年頃になったのね…。確かに今年44歳だし、やってもおかしくないんだよな。まぁ、この間観た『愛していると、もう一度』よりは自然に受け入れられたのは言うまでもないわ。昔は似合わねーとか言ってバカにしていた(ファンの皆さんごめんなさい)長髪も不自然に感じられなかったし。シンリン(日本語表記が久々に「ウー・チェンリェン」)とのツーショットは見ていて嬉しかった。
演技を観るのはドラマ『恋のめまい愛の傷』以来だけどスクリーンで観るのは何年ぶりだろう?な学友さん(《金鶏2》観てないもんで)。最初スチールを見た時は「なんぢゃこりゃあー!」と叫んだラスタヘア(つけ毛だよねー)も動くとそれほど違和感がないな。それもあわせた衣装設計にも伊達者っぽい性格が反映されてて面白いっす。
この二人が雨の中歩く姿は…こりゃ確かにたまらん。金像奨でのアンディ入場(学友さんはいなかった)@ブルーカーペットを思い出しちゃったもんねぇ。
次は若者ふたり。ショーン&えぢといえば先にイニDを観ているのは言うまでもない。イニDのときはえぢがよかったけど、今回はショーンがよかったなぁ。ただ黙って立っているだけでも、あの大きな黒い瞳がものを訴えている。無間道三部作のおかげで、ショーンはよくポストトニー扱いされているけど、あの瞳の存在感はトニーとは全く違う種類のものだと思う。うまく説明できないけどね。今回のイックは、どん底の人生から這い上がろうとする意志の強さと、死の影とに怯えるナイーブさを持ち合わせたキャラクターになっていた。
えぢのターボはヘラヘラしながらもイックを守ろうと身体を張る。軽薄だけど惚れた相手(?)には自ら負傷してでも命もかける。敵対勢力にとっ捕まってゲロ吐くまでこてんぱんにされ、ある行為をしろと強要されるシーンは衝撃的だった(あれぐらいグロいシーンは香港映画に全くないわけじゃないけど、見慣れているわけじゃないからねぇ)けど、そこまでさせられるくらい彼のイックへの想いは強いってわけで…って自分で書いてて赤面してきたぜ。
あと、小ネタとしては、エリック兄貴の役名とか、『大丈夫』にも出ていた(風俗ネットカフェのおねいちゃん役かな?)という林苑ちゃん演じるヨーヨーの「(名前は)カリーナ・ラウよ」とか、『PTU』に続いてまたしても拳銃をなくす警官の林雪あたりに笑っていたけど、当然劇場で反応していたのはワタシだけ…トホホー。しょうがないんだけどね。 

最後に、この映画で今年の金像奨で最優秀新人監督賞を獲ったウォン・ジンポー監督(1973年生まれ)の演出手腕についても。
“王家衛の再来”とか言われているらしく(てゆーかそれはパン・ホーチョンだって言われていたじゃん)、映像センスは凝りまくっているし、そんな中でもきちんと物語を描こうとしているけど…実際にはまだまだかなっていう印象も感じるなぁ。まぁ、これが長編2作目ってこともあるし、正当な評価はこれからかもな。しかし、エリック兄貴やアンディ率いるフォーカスフィルムズのバックアップを受けている香港映画の期待の星であるのだから、これからも自己研鑽して香港や世界の香港映画好きの観客をうならせるような作品を作ってほしいと期待して、終わりにするかな。ははははは(なぜそこで笑う?>自分)

最後に私信:はたさーん、以前の記事コメントでお約束した「ワタシ的アンディ映画ベスト5」は、次回の記事で書きますねー(予定)。

原題:江湖(jiang hu)
監督:ウォン・ジンポー 製作総指揮:アラン・タム&アンディ・ラウ 製作:エリック・ツァン 脚本:トウ・チーロン&ウォン・ジンポー 音楽:マーク・ロイ
出演:アンディ・ラウ ジャッキー・チョン ショーン・ユー エディソン・チャン エリック・ツァン ン・シンリン(ウー・チェンリェン) チャップマン・トウ リン・ユアン ラム・シュー

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コメント

華仔と學友(激しく強調)の「ベルベットレイン」遂にご覧になったんですね。
>昔は似合わねーとか言ってバカにしていた長髪・・って「(秀樹の)スター伝説」の事でしょうかね?私も全くの同感ですが、同時にアンディ・ラウの美しさを再認識した作品でもありますね。
>この二人が雨の中歩く姿は…こりゃ確かにたまらん・・これホントにたまりません。この先共演なんてまたン年もないかも知れないもの。しかも肩や腰を抱き合いながらなんて(妄想入ってます?)。

私はこの作品のエディソンは結構好きなんですよ、無間序曲よりも断然いい。「頭文字D」は未見なので、「同じ月~」は是非観たいですね。(私の頭の中の消しゴムも行かなきゃ)ではでは、べすと5期待してますので。

投稿: はた | 2005.11.14 17:26

どもども。『江湖』もっかい観てもいいなぁと思ったのですが、地元では夕方のみ1回上映&今週金曜日で終了なので、ガッカリした次第です。

はい、長髪と言えばやっぱり『スター伝説』ですよね。それ以外にも長髪って結構あるかなーと思ったのですが。あ、これはベスト5ネタに入っています(笑)。
そーいえば『ブエノスアイレス』って最初は華仔&學友が候補だったって聞いたことがあるのですが、あの雨のシーンを観たら確かにあの二人でも観てみたかったかも(でも現在のあのヴァージョンとはかなりテイストが変わりそうだ)って思いましたよ。

えぢってデビュー時から観ていると、どうも演技も地もヘラヘラしてるよなーっていう印象があったのですが、このところの作品ではホントにいい仕事が多くて観ていて頼もしいですね。
「同じ月」のえぢの演技は楽しみです。

ベスト5はまだまだ考え中です。まじめに行くかちゃかすかどうか迷っていまして(こらこら。笑)。

投稿: もとはし | 2005.11.14 23:50

 「ブエノスアイレス」ではアンディ&トニーが実現しなかったし(確かアンディは、相手役がトニーとならいっかと思いながら、返事を先延ばしにしていたと今年4月に出された電影節本でバラしていたよーな)、「ベルベット・レイン」もそもそもはアンディ&トニーで企画されたんでしたっけね。トニーだとレフティは全然異なる造型になったでしょうね。
>当然劇場で反応していたのはワタシだけ…トホホー。
 解ります、わかります…レディスデーに独りで出かけると、その、ついつい取ってしまうリアクションを、フツーの観客の皆さんに奇異な目で見られそうで…辛い。ま、最前列の1列全部が「カリーナ・ラウ」ネタなどに一斉にくっくっくっくっと反応するのもどーかという話でもありますが…(あれ、それとも1列全部トニーファンだったのは「王家衛作品特集上映」のときだったか?)。

投稿: nancix | 2005.11.15 01:23

ああ、そうか!勘違いしていましたよnancixさん、ブエノスの最初のカップリングって華仔&偉仔(とあえて漢字で書く)だったんですね。うっかり幻想見そうになりましたよ。

一般客が笑わないところで笑うのは香港電影迷の悲しい性かと(苦笑)。そういえばイニDを観た時、劇場で元映画サークル仲間と一緒になって観たのですが、パンピーの若い男子に囲まれながら、アンソニーさんやチャッピーが出たところで一緒に思いっきり大笑いしてしまったことがあります。ははははは。

投稿: もとはし | 2005.11.15 22:18

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