« トリック大作戦(1991/香港) | トップページ | 真夏の中国茶会 »

ひとりにして(2004/香港)

香港出身で、タイ&香港の両地で活躍する双子の映画人パン兄弟。日本で紹介されている彼らの映画は『レイン』や『The EYE【アイ】』などのタイがメインの映画が多いけど、昨年の東京国際アジアの風でワールドプレミア上映されたこの『ひとりにして』は、無間道三部作の編集も手がけたダニーが単独で監督した香港映画なのだ。イーキンが初の双子(しかも片割れがゲイ)役にチャレンジするのも見もの。双子の監督(正確に言えばプロデュースが二人一緒なんだが)が双子の映画を作るっていうのは結構面白い。まぁ、実体験ではないと思うけど。

キットとマン(イーキン二役)は香港生まれの双子の兄弟。二人は仲がよく、小さい頃からよく入れ替わってはいたずらをしていたが、彼らが8歳のときに両親が離婚、兄のキットは父に連れられてタイに移住、弟のマンは母親と香港に残った。 それから約20年後、ファッションデザイナーとなったマンのもとをキットが訪ねる。マンはキットに自分がゲイであることをカミングアウトし、キットは自分に恋人ができたことを告げる。気晴らしにドライブしたいというキットに、マンは自分の車と免許証を貸してやる。しかし、それが彼らに押し寄せる人生最悪のトラブルの始まりだった…。
キットは交通事故を起こして外国人女性をひいてしまい、自分自身も下半身が一時期不随になる。マンはトラブルを抱えたキットの身代わりとしてタイに渡り、兄の恋人ジェーン(阿Sa)とともに、地元の高利貸しキング(黄子華)に借りた大量の借金を返すためにあちこち奔走するはめになる。これで何とかなると安堵したキットだったが、自分に付きまとう変な男が妙に気になる。実はこの男、マンの恋人でなんとエリート刑事のチンチョン(ジャン)。彼の献身的かつ情熱的な行動に困惑してしまうキット。
そんなことをしている間に、タイにいるマンとジェーンには次々と災難が襲いかかり、事態は泥沼と化す。果たして、双子の兄弟はちゃーんと元に戻れるのか…?

双子の子供(大人もいるけど)たちを写した写真をコラージュしたオープニングタイトルから本編へと移っていく流れがお見事。さすが腕利きの編集マンであるダニーさんらしい。 どーもパン兄弟というとやっぱり『The EYE』のイメージがあまりにも強すぎるので、ついついホラーな方向へ行くのか?なんて思っておびえてしまうんだけど、そういえばこの兄弟がブレイクした『レイン』ってアクション映画だったし、『EYE』もクライマックスの爆発シーンがすごかったので、当然この映画もアクションが多めだったりする。…でも、基本的にはコメディらしい。
この双子の兄弟、仲はいいんだけど、兄のキットはタイでブイブイいわせている華僑の古惑仔。しかし弟のマンは穏やか(つまり非暴力主義?)でこまやかな心遣いを持つゲイのファッションデザイナーと性格も立場も正反対。そんな二人が入れ替わり、自分の普段の生活とは全くかけ離れた事件に巻き込まれていくのだから、おかしくないはずがない。特にタイに渡ったマンのくだりにそれが顕著で、異国でのカルチャーギャップという基本的ネタに、キングにとっ捕まり指を切られそうになるドタバタや、銃撃をジェーンに任せて腰が引けたまま逃げ回るという、もうよわよわ君お約束ネタが満載。その一方で入院中のキットが、自分の世話をする弟の恋人(彼は恋人の正体に気づかない)に怯えるというくだりでバランスをとっているけど、もーちょっとこのへんを強調したらもっとバランスがよかったかな。
先に編集のことを書いたけど、えっ?て思ったのが、クライマックスに唐突に挿入されたアメリカドラマ『24』のパロディ(時計の電子音と分割画面)。いや、もちろん笑ったんだけど、あまりにも唐突だったので、もーちょっと悪乗りして多用するか、それとも入れないかどっちかのほうがよかったな。

今回、双子&ゲイ役に初チャレンジだったイーキン、最初のシーンではどっちがキットでどっちがマンだかわからなかったんだが、観ているうちに見分けがついてきたので、演じ分けとしてはオッケイかな。でも、キットの方が「いつもの古惑仔イーキン」だったので、マンの方の役柄ばかりに目がいってしまったかな。ゲイ役としては…うーん、フツーの男だよな、って感じだけど、香港のゲイってそうなのか?
キットのパートナー、ジェーン役の阿Sa。…なんか阿Saとイーキンがコンビを組むと、いつも彼が彼女に振り回されているって印象が強いのはなんでだろうか。
久々に顔を見た感がある「香港のコーネリアス(by何年か前の香港電影通信)」ことジャン・ラム。彼の弟のジェリーやお姉さんのサンサンさんがイーキンゆかりの人物として有名だけど、イーキンとコンビ組むのって珍しいような気がする。しかし、童顔だなぁ。無精ひげ(それもマッキーふう!)を生やしているからなおさら童顔が目立つ。さらに刑事って言うのも信じられなくて笑える。うん、ジャンのほうがいわゆる「ゲイっぽさ」が出ていたかな。
あと脇役だと、阿Saパパの阿Bがおかしかった。妙に若いパパ(でも年齢的には阿Saくらいの娘がいてもおかしくない?)だなぁと思いつつ、もっさい長髪から娘の「恋人」の忠告に従って(あるいはライバル心むき出しで?)ちょいワルオヤジに変身していくくだりが笑えた。
しかし、黄子華の英語名って、「Dayo」って言うんだ。初耳だ。…ダヨ・ウォン。マヌケすぎないか?

原題&英題:阿[子子]有難(Leave me alone)
監督:ダニー・パン 製作:オキサイド&ダニー・パン 編集:パン・チンヘイ
出演:イーキン・チェン シャーリーン・チョイ ジャン・ラム ウォン・ジーワー ケニー・ビー ローレンス・チョウ

|

« トリック大作戦(1991/香港) | トップページ | 真夏の中国茶会 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

香港映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/14197/5398484

この記事へのトラックバック一覧です: ひとりにして(2004/香港):

« トリック大作戦(1991/香港) | トップページ | 真夏の中国茶会 »