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《大[イ老]愛美麗》(2004/香港)

2年前の秋、『the Snows』をひっさげてみちのくミステリー映画祭にやって来たステに、ワタシはこんな質問をした。もちろんティーチインで。
「そーいえばこの間得意のマジックをテーマにショートフィルムを作ったと聞いたけど、映画製作などの予定はあるの?」と。すると彼は「今度初めて長編映画の監督に挑戦する。これから撮影に入るんだ。主演は彦祖とイーソン(この時点でカレンの出演は決まっていなかった)」と答えた。その映画がこの《大[イ老]愛美麗》である。

危篤状態に瀕したマフィア“赤義堂”のボス洪一は、弟分の八爺(カーイン)とその息子阿堅(チャッピー)に、勘当した跡取り息子のジョージ(彦祖)を探し出すように命じる。八爺と阿堅はタイに飛び、フレンチレストランでシェフをしているというジョージの家を探し当てるが、そこにいた彼のルームメイト(恋人に非ず)のサム(イーソン)をジョージだと勘違いする。もともと孤児で黒社会映画が大好きなサムはその気になってしまい、ジョージ本人に入れ替わりを頼む。ゲイであるジョージ自身もマフィアの跡目を告ぎたくないという気持ちがあったため、その申し出を承諾。そんな時、洪一逝去の知らせが八爺たちに届き、彼らはジョージとサムを連れて香港へ戻る。
洪一の死とその息子の跡目継ぎの知らせを聞いて色めき立ったのが、かつて洪一の次にボス継承の権利を持っていた雷輝。彼の片腕、秋(ステ)はそれを警戒する。一方、輝の娘ジュリー(カレン)は親の商売を嫌って保険のセールスレディとして自立していたが、契約者が自分の父親の名前の威力に負けて契約してしまうのが気に入らなかった。ジョージの身替わりとしてマフィアのボス生活を謳歌(?)するサムは、クラブで出会ったジュリーと意気投合するが、一夜明けた朝方、サムたちは秋の手下ども(葉山豪ほか)に襲われる。応戦したジョージを見て、ジュリーは彼に一目ぼれ。
赤義堂の継承式も無事終わったが、パーティーに刺客が潜入し、大混乱。さらに輝はサムにジュリーとの婚約を申し出るが、彼女が好きなサムは自分がジョージとしてジュリーと結婚するのに戸惑っている。そして、ひそかにジュリーに好意を示していた秋は、自分の父親が洪一のせいで殺されたと思いこんでおり、その復讐としてサムに手をかけようとする…。

《精武家庭》の時にも書いたけど、この映画のネタは「黒社会とゲイ」。つーことは黒社会映画のホモソーシャルな部分をパロっているのか?うふうふー(*^~^*)なんて思ったものなんだが、実はホモネタ(すまんあえてこう書く)はそんなにたいしたことがなかったりする。八爺親子が「ゲイを探すならタイだ!」というくだりがあるが、タイってそんなにゲイが多かったっけ?とふと思った…。あ、そーいえば『アタック・ナンバーハーフ』にはおネェさんたちの他にゲイのバレーボールプレイヤーがいたか。本来はストレートであるはずのサムをずーっとゲイだと思い続けていたこの親子が面白すぎる。特にチャッピーがサムに「もっと口をあけろ」という屈辱(?)の命令をされてしゃがみこむくだりはおかしすぎ
彦&イーソンというコンビは初めて見た(ニコ&イーソンとか金城くん&イーソンというパターンなら見たことあるが)けど、結構かわいいコンビではないか。それでも彦はゲイっぽく見えてイーソンはちゃーんとストレートに見えるんだけど…って彦!キミはそれでいいのか?さんざんいろんなところでゲイネタ振られて!『美少年の恋』はもちろんだけど、しょっちゅうヌードになって肉体美を誇示するやらなんやらで(苦笑。あ、この映画では脱いでいません。念のため)。
ヒロインがカレンというのは意外というかなんというか…。彦やイーソン、もちろんステと比べてちょっとお姉さんなカレンなんだけど、今回はなんだかかわいくてよかったなぁ。最近のカレンは『クローサー』の刑事役が印象深いんだろうけど、その時のりりしさとはまた違った魅力があって○。

これまでニコと共にオムニバス短編《恋愛起義》の一編を手がけたり、冒頭に書いたような特技のマジックをテーマに自作自演の短編を作ったキャリアを経て、満を持して長編映画監督デビューを果たしたステ。英題のロゴが笑いたくなるほどしゃれていたり、車上の会話をマンガ風に展開させたり、ラストシーンになんと事務所のボスである「あの方」を登場させたり(!他にはニコやサミーもカメオ出演。…ところでサム、どこに出ていたんだ?)と結構こった演出も随所に見える。初監督だからかなり気負ってる?という風な印象も無きにしも非ずなんだけど、それは香港国際電影節にて栄えあるオープニングナイト上映作品にも選ばれた、2作目の《精武家庭》を見れば、さすがに成長したじゃんというように感じたもんだから、デビュー作としてはあんなもん(こらこら!)でいいのかも。いつまでも「美少年」とか言ってられないね、もう30歳だし(苦笑)。

若手映画人がなかなか育たないというのが現在の香港映画界の課題だと思うけど、「香港の宮藤官九郎(だから一般受けを狙ってのその肩書きいい加減やめろよ>自分)」ことパン・ホーチョン(今年32歳)やステのような若手監督(今年《江湖》で金像奨の最優秀新人監督賞を受けたウォン・チンポーや《六壮士》《見習黒薔薇》のバーバラ・ウォンもか?)が出てきたってことは喜ばしいことではないか、ねぇ?果たして今後のステの作品が日本公開されるほどの大ヒット作になるかどうかはわからないけど、その時は是非「香港のイケメン映画監督(自分で書いてて恥ずかしい…)」とかなんとかいって来日させて大いに香港映画をアピールしてもらわねばねぇ。今後も頼むぜ、ステ監督!

そうそう、エンドロールにはNGシーンがついていたんだけど、ラストのステ監督の笑顔、かわいかったっす(*^~^*)。

英題:Enter the Phoenix
監督&脚本&出演:スティーブン・フォン 製作:ジャッキー・チェン アルバート・ヨン 撮影:プーン・ハンサン
出演:ダニエル・ウー イーソン・チャン カレン・モク チャップマン・トゥ ロー・カーイン 

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