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無間道三部作を超個人的に振り返ってみたりする…。

先週末の映画興行トップ10(from:ニフの国内興行ランキング)では辛うじて10位にランクインした我らが『終極無間』。ええ、ワタシも頑張って今週はなんとか3回観たものの、その努力及ばずわが街では今週末から某韓流ホラー映画公開開始のあおりで夕方1回上映に減らされましたとも。ちくそー、やっぱり予想通りワリを食ったか…(T_T)。
今週末からの上映を観に行けるかどうかわからないので、早いけどここらでそろそろ個人的に無間道3部作のまとめに入りたいと思います。いつもながらの長文になるのでよろしくー。

1作目の『無間道』を初めて観たのは2002年クリスマスの香港、広東道にあるゴールデンハーベスト系の某戯院だった。劇中に登場した港威じゃなかったんだよね、惜しいことをした(笑)。
実はこの当時、本館を立ち上げたばかりだったとはいえ、香港映画に対しての愛が少し下がっていた頃だった。サークルでは韓国映画の人気が高まり、韓国映画と入れ替わるように香港映画の日本での上映が減り始め、さらにネットを通じて知り合った香港映画仲間ともバラバラになり始め、自分でも香港映画のほかに気になるものができたり、仕事も忙しくなり始めたなどの要因でちょっと気持ちが冷めてしまっていた時期だった。この時期香港へ行ったのも、当時大陸に留学していた弟が香港で再入国ビザを取得してから中国南部を旅行するので、その待ち合わせ(&荷物持ち)も兼ねていたのである。ま、香港映画への愛が冷めようとも当時からトニーは好きだったから、クリスマスに『英雄』と一緒に主演作品が観られるのが嬉しくなかったわけではない。
帰国前の夜、しかもクリスマス後の土曜ということもあって劇場は満員。空いている席は一番前の右側しかなかった。そして、こんなに人の多い映画館で映画を観たのも初めてだった。ストーリーもちゃんとチェックせずに来たので、どういう話だかわからない(今の自分からすれば考えられないな、こんなこと)。とりあえずトニーが潜入、アンディも潜入(もちろん立場は全く逆)で、この二人が友情を深めるけどいいのかそれで!と思ったら案の定裏切りやがってトニーが死にアンディが潜入の身分を隠したまま生き残った…。という話は理解した。でも悲しいかな、やっぱり物語の要となる言葉の詳細がわからなかったので細かく理解することができなかったのである。ワタシも初見時は結局アンディの勝ちなのね…なんて浅はかな結論を出してしまったので。でも、どこか心に残る映画だったのは間違いなかった。凝った設定にひたすらオトコくさいストーリー展開。“香港ノワール”という分類をしても、明らかにウーさんやリンゴさんの映画とは違うビターでスタイリッシュなテイスト。王家衛映画のカメラマンを経て『古惑仔』や『風雲』など90年代を代表する香港エンターテインメント映画を量産した映像派監督アンドリューさんのすごさを改めて実感した作品だった。(ちなみにこの時は弟をホテルに残して一人で観に行ったんだけど、後に彼も大陸にて観たらしく「いいね、渋いねー」というコメントを寄せてくれたのであった)

年が明けて春になり、香港映画へ回帰しようかと思った矢先に衝撃を受けたのは、SARSの猛威とレスリーの死。特に後者にはホントに打撃を受け、しばらく立ち直れなかったのは言うまでもない。なにせ金像奨受賞の嬉しさも吹き飛んでしまったし、彼が香港と香港映画界に失望していたということを知ってしまい、どうしようもない気分になってしまったのだ。そういえば、この事件で香港芸能から足を洗って別方面(もちろん韓流とか)へ行ったって人も多かったな…。レスリーの呪縛(語弊があるかも…)はかくも自分の中で大きかった。
『無間道』の日本公開を知ったのはいつだったろうか。多分、この出来事からしばらく経った頃だったような気がする。その時見たスポーツ紙サイトの記事のリードが「ブラピがリメイク権取得の香港映画、日本公開決定」というふざけたものだったような気がする。なんで枕詞がこれなんだろうか?という疑問はスコセッシ監督、レオ&マット主演のハリウッド映画『The Departed』として正式リメイクが決定した今でも持っているが、日本で観られるのは嬉しかった。でも、田舎もんの悲しみもあって、あの大々的なジャパンプレミアには行かず(その前に行われた『英雄』ウェブマスター向けプレミアには行ったくせに)。ここで新たなるトニー迷が多く誕生したと聞き、嬉しく思ったものだ。
そんな田舎者の地元では「みちのくミステリー映画祭」が行われ、『無間道』はこの映画祭の記念すべきオープニングを飾った。いやぁ、嬉しかったよこの時は!…ま、トニーやアンディはおろか、アンドリューさんやアランさんなどこの映画の関係者は誰も来盛しなかったし(でも香港からは別の上映作品ゲストでステが来た)、映画祭のオープニングフィルムに選ばれたおかげで全国上映より1週間上映期間が短くなってしまったということはあったけど。それでもめげずに当時の上映館ではなんとか時間をやりくりして2回観ることができた(ちなみに東映の直営だったその映画館はもうない)。そして日本語字幕のありがたみを充分に感じ、トニーだけでなく今まであまりひかれなかったアンディの魅力も理解し(それでもやってることにツッコミは入れたくなるが)、エリックさんやアンソニーさんなどの脇役陣にも、これまで観てきた彼らとは全く違う魅力を見出すことができ、初見時とは違った思いでエンドタイトルでトニーとアンディが濃ゆく歌い上げる『無間道』を聞くことができた。ああ、これでワタシは安心して香港映画に復帰できるわ!そう誓った2年前の秋であった…。

間もなく、その年の暮れに香港で完結編『終極無間』が公開されることを知ったが、冬休みに仕事が入ってしまったので現地で観ることはかなわなかった。さらに昨年の2月、旧正月の香港に渡ったものの、行った時は『終極』のソフトはまだ発売されておらず、結局『無間序曲』もキャセイの機内上映で観るだけで諦めた。これらも日本公開が決まりそうだと思っていたからだ。だから「果報は寝て待て」状態で待っていた。
が、決まったことは決まったが、わが街では公開されなかった。実は以前ここでも書いたように、昨年のみちのくのゲストに『序曲』でロー・ガイを演じたロイ・チョンが決まっており、映画祭側も上映作品として『序曲』を押していたそうだ。ところが『序曲』は市内の某映画館が上映を検討とのことで『序曲』の映画祭上映を諦めて『やりび』に決定した直後、その映画館が『序曲』上映予定から外したということだったそうだ。スターが出てなくて地味だからというのが外した理由とのことから、恨むぞ某映画館!スター出演の有無くらいよく調べてから上映検討しろよー!と心で大泣きした次第。結局、『序曲』を『終極』上映直前にDVDで再見したのはここに書いたとおり。

で、『終極』だが、『序曲』が上記のようにして地元ではじかれたことを恐れたワタシは、わが街が公式サイトの上映予定に入っていなかったのを見てため息をつき、こんな暴言を吐きまくり、上映が決まって安心したと思えば、プレミア直前のゴタゴタや行かれた方の感想を聞くたび、「ああ、やっぱり無理やりプレミアに申し込んで、仕事も全部ブッちぎってトニーに逢いに行けばよかった…」などとたわごとをかましていた。が、後悔役立たずなのはいうまでもない。それは別のことだ。ともかく、自分の街で“地獄のような出来事”の顛末を他の都市とリアルタイムで見届けることができたのは嬉しかった。終極単独の感想はすでに書いてきたので、ここでは特に書かない。

世間の評判としては、「21世紀に香港映画復活を予感させる無間道」「前作を重層的にさせ、かつ単独でも充分楽しめる序曲」「時間が錯綜しすぎで前2作を見ていないと辛すぎる終極」というのが一般的だろうか(苦笑)。まぁ、前二作の好評はともかく、これまで香港映画には観られなかったミステリアスな展開を見せた終極も、この三部作にふさわしい終わり方をしたのではないかと思うのは、ファンの贔屓目か。この三本は脚本を重視し、これまでの『挽歌』シリーズや『古惑仔』シリーズにあったようなオリジナルに派生する作品がない(『大丈夫』や『インファイナル・アンフェア』などのパロディ作品は産んだにしろ)ほど完璧に出来上がっているという点でも香港映画史上に名を残す作品になったのでないだろうか。いずれにしろ、ワタシの中では大切にしたい作品になった。

無間道三部作が完結して1年が経った今、香港映画は復活したのだろうか。
実際に香港に足を運んでみた限りでは、香港映画の上映も相変わらずの寂しさで、一見すれば4,5年前とそんなに変わらなく見える。実際ヒット作も滅多に出るものではないのかも知れないな、と感じることはある。しかし、ここ1年を振り返ると、いろいろと面白い動きもちょこちょこと出てきている。
まず、ハリウッドを中心に活躍していた成龍さんが香港に戻り、彦やニコの“ジェネックス”世代の面々と一緒に『香港国際警察』を撮った。その成龍さんの息子、ジェイシー・フォン(もしかして日本で紹介されるとしたら、表記は「ジェイシー・チェン」か?)がデビュー。彼、遅刻魔とかネボスケとか素行はあまり正しくないっていう評判みたいだけど、それはいずれ改まると思うので今後に期待(やはり二世タレントのニコもかつてはちょいワルちゃんだったし…ってそんなこと言っちゃいけんか)。
ところで成龍さん、自分のプライベートを公表するとファンの夢を壊すと心配しているとはいえ、やっぱり今後は海外(特に日本)向け媒体にも自分の身辺はちゃんと説明した方がよいかと思いますよ。だって、日本の皆さんはアナタが今までずーっと独身だと信じ込んでいたから、こんなおっきなジュニアがいたと知ってビックリしているのですからね。
また、王家衛がやっとのことで『2046』を完成。ここで彼の“60年代トリロジー”に一区切りつくか。香港での次回作に予定されているという《葉問傳》、今までとは全く違うジャンルであることもあり、どうなるか思いっきり不安かつ期待。
さらに王家衛と無間道組のライバル、21世紀の香港電影娯楽作親分となったジョニーさんが今年ついにカンヌ映画祭コンペ部門に殴りこむ(だからそれは違うって)。ここ数年の映画不況の中で一人(正確に言えば相方のワイさんと二人で)気を吐いてきたジョニーさん。この香港映画の王道的人物がアート系の雄・カンヌ映画祭でどう評価を受けるかが大いに楽しみ。
香港映画で世界に殴りこみといえば、星仔も忘れてはいけない。本格的に監督独り立ちをした『カンフーハッスル』ではご存知の通り金像奨作品賞を受賞。本人は監督賞&主演男優賞の三冠を狙っていたみたいだけど、獲れなかった(しかも主演男優賞受賞は幼馴染でライバルのトニーが…)からといって拗ねちゃいけない。今後も大いなる期待がかけられているからね、頼むよ星仔!
そして、ベテランばかりではなくて新人監督も登場し始めた。スタイリッシュかつトリッキーにして趣味的?な映画を放つ“香港のクドカン(だからそれも違うって)”今年32歳のパン・ホーチョン(『大丈夫』《AV》)に、事務所のボス成龍さんのバックアップを受けて監督デビューした音楽プロデューサー兼俳優兼マジシャン?のステ(今年31歳。《精武家庭》)。その他、期待が持てる新人監督も次々登場しているみたい。ホーチョンもステも着々とキャリアを積んでいるようなので、二人の次回作がホントに楽しみだ。
あとはベテラン俳優の演技の充実に加えて、彼らに負けないくらいの光を放てる若手俳優の養成も必要だね。
確かに今日本では成龍さんや王家衛等ビッグネームの作品以外、たとえトニーやアンディが出ていてもホントにヒットした映画しか紹介されなくなってきていて上映本数もガタガタに減っているが、あと数年は待ちたいと思う。例え製作や公開される作品の本数が減っても、現在の香港映画のことを考えると、その分1本1本の質は上がるのではないかと思うからだ。なんのかのいいつつも、やっぱり香港映画は死なない。そんなふうに心得たい。

なんだか終盤に行くにつれてスケールのでっかい方へ脱線して行っちまったけど、つまりはワタクシ、アンドリューさんとアランさんとフェリックスさんとメディア・アジアの皆さんには大いに感謝してるってことなんですわ、ハイ。そしてこの映画を見られて嬉しいってことです、結論は。すまんくどくて。強引にまとめてしまったわ。そのうち何かあったらしょーもない小ネタも書きます…。こんなふうにあれこれくどくどとマジメに書いてしまうと、どーも「きゃートニー素敵~(はぁと)」とか素直に言えなくなっちまったもんで(笑)。

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コメント

お久しぶりです。tomozoです。
やっとやっと「III」を見ることができました!なんだか終わってしまってちょっとさみしい気がします。
私もこのシリーズ1作目で遅ればせながらトニーに目覚め、3作目にしてアンディの魅力もわかるような気がしてきました。でも、いちばん驚いたのはアンソニー・ウォンです。「ワンダーガールズ東方三侠」の怪人役しか知らなかったもので…。
パンフレットにずらりと並ぶ出演者を眺めながら、やっぱりハウも格好良かったとか、ロ・ガイも渋かったとかニマニマしてる今日この頃です。TB(「インファナル・アフェア終極無間2003/香港」のほうに)させていただきました!

投稿: tomozo | 2005.05.09 10:00

すみません。なぜか2つ投稿されてしまいました。お手数ですが削除してくださいね。

投稿: tomozo | 2005.05.09 10:02

tomozoさん、こちらこそお久しぶりです~。
ワタシの地元では早々に終わってしまったので、もうリピート鑑賞ができませんが、いずれ3部作のBOXがでたら入手したいと考えております。
そう、この映画ってトニー&アンディ&リヨンの明星の競演とともに、堂々たるシブ系香港(&中国)俳優が勢ぞろいしているんですよねー。とかなんとか言いつつ、エリックさんとダオミンさん以外はトニーやアンディとほぼ同世代だったりするのですが。

こんなふうにドキドキする映画を次はいつ観られるのかなぁ…。

投稿: もとはし | 2005.05.09 23:34

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