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ターンレフト・ターンライト(2003/香港)

この映画、今週始めにDVDで観ていたんだけど、終極エントリのアップを先にしていたら、昨日、ジョニーさんの新作のカンヌ出品が決まっちまったので、一応祝!ジョニーさんカンヌ殴りこみ(違う)記念感想ということでアップいたしましょ(大笑)。まぁジョニーさんと書いてみても、この映画はおなじみの相方ワイさん(単独監督作は『大陸英雄伝』《鬼馬狂想曲》)とのコンビ演出なんだけどね。

2003年の香港ではジミーブームに乗って、3作のジミー映画が登場。ひとつは絵本『地下鉄』を下敷きに、クリスマス間近の香港・台湾・上海で生まれた2つの恋を綴った《地下鉄》。またひとつはジミーが映画のために描き下ろしたイラストをアニメ化した『恋の風景』。そしてこの映画は同名の絵本(邦題・君のいる場所)に、金城武&ジジ・リョンという『君といた永遠』のコンビを起用し、ジミーの住む台北の街を舞台に描き出した香港映画である。

台北郊外、北投のアパートメントに住む青年(金城)と女性(ジジ)が主人公。右に行く癖のある彼はバイオリニスト、左に行く癖のある彼女は翻訳家。二人ともとっても内気で、自分のやりたいことをしたいのに、思うとおりに行かない人生と騒がしい世の中に虚しさを感じている。冬のある日、同じ郊外の公園に行った二人は、彼女の原稿を彼が拾ったことから出会い、恋に落ちる。話しているうちに、実は二人は中学校時代に遠足で行った公園で出会っていて、それ以来の再会になったのではないかと気がついた。携帯電話を持っていない二人はお互いの電話番号を交換したが、突然の雨のせいで、電話番号がわからなくなってしまった。名前も知らない二人が覚えているのは制服に縫いこまれた学生番号だけ。やがて、彼は間違い電話が元で知り合った食堂のウエイトレス(テリー)に一方的に付きまとわれ、彼女は救急車で運ばれた先で再会した小学校時代の級友だった医師(エドマンド)に付きまとわれる。両者と面識のあった医師とウエイトレスはこの二人が隣同士のアパートメントに住んでいることを知っていたが、意地悪してそれを告げなかった。彼らの一方的なモーションに嫌気がさした彼と彼女は、会えない思い人への気持ちをいっそう募らせていくが…。

主役は金城、舞台は台北。…だけど台詞は広東語(笑)。オープニングは緑の傘をさした金城くんが横断歩道を渡り、原作にも冒頭で引用されているポーランドの詩人、ヴィスワヴァ・シンボルスカの詩「恋」を言語で諳んじる赤い傘をさしたジジが一歩遅れて歩いていく。雰囲気的に香港映画ぽくないぞ。いいのかジョニーさん&ワイさん、これ、ホントに香港映画か?と思ったら香港映画でよく見慣れた顔登場。ジジの勤める出版社の編集長に眼鏡のオジさんホイ・シウホン、スタジオミュージシャンの仕事をやめた金城くんが再就職するフレンチレストランの店長がご存知ほくろ毛男の林雪。ああ、これでなんか香港映画っぽい雰囲気になった…と思ったら、この二人、ホントに特別出演的顔見世ですぐ退場(笑)。
その後は彼と彼女の出会いとすれ違い、そして再会が描かれる。しかし内気で中に籠もりやすい二人(金城くんの役はジョン、ジジの役にはイブという名がつけられているのだが、本編には全く出てこないのでここでも書かず)の孤独は香港映画らしからず内省的&叙情的に描かれる。じょ、ジョニーさん&ワイさん、これでいいのか?まぁ、ジミーの絵本の持ち味はこの叙情さにあるので、このへんのくだりは頑張って映像化しているなーと感心。
しかし、やっぱりジョニーさんもワイさんも香港映画人なので、こんなにおセンチな描写を延々と続けているのは照れくさいらしい。後半に登場した彼を追いかける騒がしいウエイトレスと彼女を追いかけるマッチョな医師の登場がいかにも香港コメディ的。この二人、相手の気持ちを考えずにとにかく振り回す。原作には登場しないこのキャラクター、原作ファンはどう考えるのか?でも、二人ともただのわがままキャラには終わらず、お互いくっついちゃった(そして彼と彼女に共同で意地悪をする)というのがおかしい。
コメディ部分とシリアス部分がすっぱり分かれていて、コメディ部分のこのキャラが退場した後、相変わらずおセンチな彼と彼女はどうやって再会するのだろうか?と心配していたら…おいおい、そんな再会方法は強引じゃねーか、ジョニーさんにワイさん!という力技のラストシーンが登場する。それは、香港にはなくて台湾と日本にはある(しかも最近頻発しているので怖い)自然現象が彼らを結びつけるのだが…うーん、香港らしいラストとはいえ、ホントにこれでいいのかよお二人さん(これはジジ&金城、ジョニー&ワイの両人を指す)とうっかり頭を抱えてしまったのである。いや、このラストがキライだってわけじゃない。むしろ二人がちゃんと再会したというのは喜ばしい。でもねーご時世的にちょっと…。今回はあえてネタばらしていませんので、気になる方はDVDで是非チェックを。ま、『Needing You』や《痩身男女》という、力技の香港ラブコメを産み出してきたお二人だからこうなったといえば納得するしかないんだろーね(笑)。

そんな力技な映画でも、原作の雰囲気を感じるアイテム(メリーゴーランドに猫に赤ん坊など)をうまく取り入れたのはステキだし、金城くんの住む畳敷き風の部屋、ジジのまとうカラフルで素朴な衣裳もいい味を出している。ジョニーさんというとついつい『やりび』や『フルタイム・キラー』『ブレイキング・ニュース』のような男っぽい映画が印象的と思うのだけど、こんなかわいく叙情的(でも力技)なラブコメも作れるんだから、ただもんじゃないんだよねー。カンヌに行くのもわかるよ、ジョニーさん。
…あ、でも、もしかしたらジョニーさんとワイさん、シリアスパートとコメディパートで分業しながら演出してたのか?もしそうだとしたらどっちがどっちを撮ったんだ?誰か知っていたら教えてー(苦笑)

原題:向左走、向右走
監督:ジョニー・トゥ&ワイ・カーファイ 原作:ジミー『君のいる場所』
出演:金城 武 ジジ・リョン エドマンド・チェン テリー・クワン ホイ・シウホン ラム・シュー

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コメント

この映画、かわいくって大好きです。好きあう二人のすれ違いをテーマにした映画って悲恋とか重いものをテーマにしがちですけど、軽くていいなーと。最後もそんな終わり?って思いましたけど、冗談みたいなとこが好きです。ジョニ&ワイさんて藤子不二夫みたいなコンビなのでしょうか?

ところで一番最後の、で二人の傘が立ててあるシーンで、傘の横にある緑の物体がありますが、あれは何ですか?ドリフのXXXみたいなものがあるんですけど。ものすごおおおく気になってます。

投稿: こっぺ | 2005.04.22 02:12

こっぺさん、どもども。
ラストはホントに「おいおい香港人よぉ、いくら自分のところでアレがないからっていってもさぁ…(^_^;)」なんて思わされちゃったのであえてつっこませていただきました。二人の逢いたいと思う気持ちに自然現象が答えたと思えば、いやぁこれってすごい愛だねぇなんていえるかな(笑)。
ラストの玄関先に置いてあるあれは、抹茶アイスクリーム型のドアストッパー?なんて思ったりして(笑)。

映画としてはかわいい出来でいいですよね。孤独とか切なさを全面的に押し出すと辛いから、コメディパートや小道具でバランスをとっているのかと思いましたよ。そのへんに香港映画的長所を感じましたね。

「香港映画界の藤子不二雄」といえば、ジョニさんワイさんの他、無間道三部作に『頭文字D』でコンビを組んだアンドリューさん&アランさんのように、二人で演出して1本の映画を作るという例は少なくないですよね。『少林サッカー』以前の星仔はリー・リクチーと一緒に自作を作っていたし、ピーター・チャン&リー・チーガイというUFO作品の名コンビも忘れちゃいけない。例外は香港人のタイ映画監督パン兄弟か?

話をジョニ&ワイコンビに戻せば、ジョニーさんの単独作品は結構観ているのにワイさんの単独作品は記事文中に挙げた2本しか観ていないことに気づきました。もう少し各自の単独作品を観ていけば、「子供に夢を見せる藤子F、大人に現実を見せる藤子A」のような各自の個性がはっきり観えてくるようになるのかなー。

長くなり、失礼しました。

投稿: もとはし | 2005.04.22 23:02

>抹茶アイスクリーム型のドアストッパー
そう見えます(笑)。すいませんドリフ好きだもので。
二人の持ち味が違う藤子不二雄タイプと聞いてなるほど
と思ったのは、同じジョニ&ワイで撮った
(と記憶してるのですが)アンディ・ラウ主演の『マッスル
モンク』をターンレフト。。の後に観たらあまりに違ってて
愕然としたんです。同じ監督が作ったようには思えなくて、
影武者がいるのかと思っちゃいました。「子供に夢を見せる
藤子F、大人に現実を見せる藤子A」って表現はぴったりです。

投稿: こっぺ | 2005.04.23 00:18

こっぺさん、レス多謝です。

実は『マッスルモンク』未見です(^_^;)。ジョニ&ワイコンビはアクションからラブコメまでいろいろ作るし、なんといっても多作なので観るのが追いつかないんですよね。そういえば《痩身男女》も未見でした。とりあえず、日本公開作でレンタルDVDサービスに出ているジョニ&ワイ監督作品は今後集中的にチェックして、改めて記事を書く予定です。
「子供に夢を見せる藤子F、大人に現実を見せる藤子A」っていうのは元ネタがありまして、このお二人がコンビを解消されてから初めてアニメ化された藤子Aさんの『笑ウせえるすまん』を観た方が、あまりにもきついブラックユーモアなストーリー展開に驚いた時のコメントだそうです。

投稿: もとはし | 2005.04.23 13:30

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『向左走、向右走』 香港・シンガポール/2002 監督:ジョニー・トゥ ワイ・カーファイ 出演:金城武 ジジ・リョン エドマンド・チャン テリー・クワン 「時がくれば、また会える」 「マッスルモンク」のジョニー・トゥとワイ・カーファイによる、すれ違いを描いたラブストーリー。 原作は「Separate Ways 君のいる場所」という台湾の作家ジミー・リャオが描いた絵本。 出演は日本でも有名な「リターナー」の金城武、「拳神/KENSHIN」のジジ・リョン。 「君のいた永... [続きを読む]

受信: 2005.05.14 23:05

» みぎひだり [酔芙蓉に恋をして]
? ジミー, Jimmy Liao, 宝迫 典子 Separate Ways 君のいる場所 ? もう何年前になるだろうか。 どうしてこの絵本を知ったのかは未だに思い出せない。 だけど、一度この本を最後まで読んだら。 どうしても忘れられなくなった。 来る日も来る日も書店に通い。 ま... [続きを読む]

受信: 2006.02.06 17:03

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