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『蛋白質ガール』王文華

フィルメックスツアーのお伴として、台湾本を2冊読了。まずは先日記事を書いた『蛋白質ガール』から。

蛋白質ガール
王文華著・納村公子訳

現代の台北。銀行で働く「ぼく」は32歳。頭髪が薄くなっているのも悩みだけど、それ以上に困っているのがちゃんとした彼女がいないということ。そんな時、親友のジャンポーは女の子を紹介してくれ、時には自分でも突然恋に落ちちまったりする。台湾語なまりの女の子、元気をくれる蛋白質ガール、電話オペレーターのCSRなどなど…。同世代のジャンポーもまた、恋が長続きしない奴で、デパートの化粧品売り場で働く「アナ・スイ」のような自分よりかなり若い女の子に手を出したりしている。「ぼく」とジャンポーは毎週毎週、自分たちの恋と恋愛観についてあれこれとぐちりまくったり、自慢しあったりしている…。

アメリカの『アリーmyラブ』や『セックス・アンド・ザ・シティ』、イギリスの『ブリジット・ジョーンズの日記』、そして香港の『Needing You』のように、ここ数年はええ歳こいた女子が自分の恋愛観を本音で語ったドラマや映画や小説が人気を博している。そーいえば日本ではこの手のドラマや小説ってあまり聞いたことないなぁ。まぁ『負け犬の遠吠え』がベストセラーになって、その言葉が当事者以外にはマイナスイメージに受け取られるように一人歩きしてしまったり、若さを重要視する価値観がある国だから、多くの30代女性に好感を持ってもらえる作品が生まれにくいのかな?ま、それはともかく、アマアマな恋愛なんて興味ないといっても、やはり出会いを求めているのは老若男女、全世界的に共通だ。これらの作品の人気の根底にはそういう認識があるのだろうし、読んでも観ても共感を得られるものばかりだ。日本と「国交」がなくとも、高度経済成長期を終えて東アジアの大都市として成熟した台北でもそんな気持ちはあふれているのだろう。ただ、『蛋白質ガール』が他の作品と違うのは、語り手が男性であるという点だ。これは珍しいかな。
…でも待てよ。考えてみたら、90年代の香港映画では男性があれこれ恋に悩むといった《風塵三侠》や『君を見つけた25時』のような映画が多かったっけ。未見だけど《朝9晩5》もその類なんじゃないかな。そっか、珍しいというよりも久々にこういう形式の物語を小説で読んだから珍しいと思ってしまったんだ。
ま、男の恋の悩みなんて、恋よりも何よりもまずは女子とやれることが重要なんでしょー、大したことないじゃん(自分で言うとなんだが強気だなー)と昔は思っていたけど、自分自身ももう若くないので、やっぱし男子どもも年齢を重ねれば重ねるほど、将来の心配があるってことだなぁ(自分もだろ>もとはし)と思ってしまう。でも、日本の現在形の男子の恋愛となると、女子の恋愛よりもケースが少ないというかあまりストーリーがないと感じたのは気のせいかなぁ。あえて挙げれば今流行の電車から始まる青年の恋の話が20代~30代男子の現在形恋愛模様なのかもしれないけど(自信ないな)。

そうそう、先の記事にも書いたけど、この小説の大きな特徴である、台北&中華カルチャーを詳細に述べた注釈だけど、ちょっとそれはどうかなぁと思う感も。だって、以前graceさんから指摘があったジジ・リョンについての注釈について、本文には漢字が不統一で「梁咏琪」「梁詠琪」(どちらもルビはきちんと「ジジ・リョン」)の2種類の注釈が出ていたんだけど、後者のほうには確かに「日本で言えば小泉今日子」と述べられていた。…そーかなぁ、ジジって台湾のキョンキョンかなぁ?後者の記述では略奪愛云々の喩えとして彼女の名前が挙げられていたんだけど、キョンキョンは略奪愛してないし、モデル出身で長身ってところではむしろ松嶋菜々子に例えたほう(略奪愛してないけどね)が適切かと。ジジの現彼氏イーキンも菜々子のダンナよりカッコいいし(こらこら)。
でも、これらの注釈を眺めているのも結構面白かったな。現在の台湾カルチャーのキーワードもわかるし、この物語の主人公たちは多分エリートなんだろうけど、会話の端々や具体例として羅列している固有名詞を眺めていると、結構裕福な身分なのに心のどこかにちょっとばかりコンプレックスを感じているんじゃないかな、ということをなんとなく感じる。地名としては古い地域よりも東区や敦化路あたりのオサレーな地区の名が頻繁に出てきていたりするのでもわかるかな。未読なんだけど、現長野県知事が昔書いてベストセラーになった(固有名詞に注釈が丁寧についていたという)『なんクリ』もこんな感じの小説だったのだろうか?

もともとは新聞に連載されていたコラム形式の小説で、どこから読んでもどこで終わってもいいような書き方をしている印象。ラストもハッピーエンドではなく「まだまだ続くよーん」って勢いだったので、どこから読んでもいつ読んでも気軽に読める。ま、人生そんなもんってことだな。姉妹編として、女子二人版の『蛋白質女孩2』もあるらしい。これも翻訳されるのか?ま、中国語で韻を踏みまくっているので面白いらしい原書とセットで買ってこようかねー、台湾で。

読中はあまりキャスティング等意識しなかったけど、一応、自分なりのイメージとしてキャスティングすれば「ぼく」がリッチー(あ、あまりサラリーマンっぽくないかな?)、ジャンポーがヴィンセント・コックかな。で、女の子たちは台湾若手女優さん総出演ってことでいかがかと。
でも、某所経由の情報によると、この小説の王家衛による映画化&来年旧正月あたりの公開ももう間に合わないから、ちょっと情報の真偽が問われているみたいだぞ。個人的には無理にトニーを主演にしなくても(まートニーだと確実に売れると思うんだけどさ)、澤東&春光映画が台湾の映画プロダクションと共同制作して、香港&台湾合作のオサレ系エンタメ映画として作れば楽しそうでいいんだけどねー。どーだろーか。

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コメント

もとはしさま、ご丁寧な解説、多謝でございます。
(わたしのBLOGの紹介まで・・・何から何まで申しわけございませぬ)

で、ジジ&kyon2の紹介ですが、そこで「クールなイメージ」て書いてあったのが更におかしくて。(私は2人ともクールには思わん)それに略奪愛は別にしても「モデル出身で長身でクールなイメージのキュートな日本のアイドル」て絶対、kyon2じゃないでしょう?(爆) 誰かしら? 今井美樹?(違)

でもおっしゃる通り、台湾&中華カルチャーな固有名詞がバンバン出てくるのは読んでいて大変に楽しいです。たとえ間違ってても「日本でいうと○○」て表現があるのも面白いし。
続きモンじゃないので、つい放り出して違う本を読んでしまうところが欠点かしら(と本のせいにする)。
イメージキャストは横へおいといて読んでたのですが、リッチーさんでも面白そうですね~。(と読み始めた動機すら脇へおく私であった)

読み終わりましたら、こちらへトラバさせていただく予定ですので宜しくどうぞ。(そのころには勝手にキャスティングも決まってると思います~)

投稿: grace | 2004.11.27 00:50

graceさん、どーもー。感想楽しみにしておりますよ。その時はこちらからもTBしますね。
本の構成は確かに途中でうっちゃることができる作りですよね(笑)。

ワタシは台湾に留学しても働いた経験がないので、台湾サラリーマンのライフスタイルがどないなもんかは知らないんですけど、地名を見ているとどういうところに行っているのか容易に想像がついてしまいますね。でも旅行ではあまり足を運ばないところだったりします。今度舞台めぐりと称して行ってみるか、なんて。

そういえば今井美樹も略奪愛してたなぁ…。んー、でも彼女もジジとはイメージが違うかなって感じがします。

投稿: もとはし | 2004.11.27 21:44

うわ! こっちにコメント入れ忘れている~(汗)

ご挨拶もなくTBさせていただいてました。失礼!
コメントとTBありがとうございました~。

ジジちゃんの件は、しつこくいろいろ考えてみましたが、結局(別に日本の誰って決めんでもえーやん?)て感じでひとまず終えようと思います(笑)

投稿: grace | 2004.12.06 23:15

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蛋白質ガール はい。やっと読めました〜。(感想書くほうが時間かかってるかも) 重たい話で進まないんではなく、単純で軽くてサラっと読めるだけに、1章ご... [続きを読む]

受信: 2004.12.05 15:29

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