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ベッカム、オーウェンと出会う(2004/香港)

先に感想をアップしたパン・ホーチョン監督は1973年生まれの31歳。そして、この映画『ベッカム、オーウェンと出会う』で長編デビューしたアダム・ウォン(黄修平)監督は1975年生まれでまだ29歳。…わ、若い!アタシより年下だ(爆)。監督の年齢なんて今まで気にしてはこなかったけど、思い出せる人々を上げてみると、ジョニー・トゥが1955年生まれの49歳、王家衛が確か46歳、かつての王家衛の盟友、アンドリュー・ラウも同世代かな?香港とタイで活躍する双子のパン兄弟が1965年生まれの39歳。それから下の年齢の映画監督が思い浮かばないから、香港映画って結構ベテランの監督が大半を占めているんだなぁ、と改めて思った次第。
まぁそれはどーでもいいとして、この映画を観た時はラッキーなことに監督とのティーチ・インつき。質問こそできなかった(というかありきたりのことしか考えられなかったのよ)けど、面白い話をいろいろしてくれた。長髪に眼鏡でピーター・チャンに似た(いや、似てなかったなー今思えば)いかにも香港の映画青年!といういでたちだった若手監督修平くん(笑)のデビュー作のネタは、ミーハー大好き、サッカーだ(from少林サッカー日本語版より。引用に深い意味はないけど)。

香港のフツーの中学1年生、マイケルこと志偉とデイビッドこと泰莱は大の仲良し。中学校のサッカーチームではもちろん名コンビ、夜な夜な衛星放送のプレミアリーグに熱中し、その興奮を互いに伝え合う。でも、二人の性格は全くの対照的。マイケルはオクテでおとなしく、やんちゃなデイビッドは社交的で男女問わず人気がある。
あるとき、二人はクラスメイトで足のリハビリをしている女子ウィニーと仲良くなる。車椅子で坂を駆け下りたりと、楽しい時間を過ごす3人。しかし実は、マイケルはウィニーの出現によって、どうも居心地の悪さを覚えるようになる。厳密に言えば、自分が相方のデイビッドに友情以上のものを感じているんじゃないかと疑うようになってきたのだ。穴の開いた運動靴でサッカーの練習をするマイケルに、デイビッドが自分のアディダスを使うように申し出た一件から、マイケルはデイビッドに対しても正常の気持ちを保てなくなる…。

アジアの風パンフによると、マイケルの中国名「志偉」はこの映画の製作総指揮エリック・ツァン(元サッカー選手というのはあまりにも有名な事実。冒頭にチョコっとゲスト出演)の中国名から…ではなく、マンガ『キャプテン翼』の主人公、大空翼につけられた中国名がもとになっているそうだ。ちなみにデイビッドの「泰莱」はやっぱりというかさすがというか、翼くんの相方岬太郎の中国名から。さらに主人公二人の英語名の由来は…まぁサッカー好きなら言わなくてもわかるよね。
普段からスター勢揃いの商業香港映画ばかり観ていることもあるせいか、香港人の市井の生活をのぞき見るような、ホウちゃんが作っているような雰囲気の香港の映画など今まで観たことがなかった。そんな理由もあったし、インディーズ映画自体観る機会もないので、この映画に出会えたのもこれまた嬉しかった。
第2次性徴期を迎える直前の男子はどこの国でもガキっぽい。そんなガキっぽさを描きながら、もうちょっとで思春期に入ろうとする少年少女の性の目覚めを描くこの映画は香港映画っぽくないけど、少年たちの感情の揺れに共感する。友達のデイビッドが大好きだけど、これってほんとに友情から?それともボクは彼を愛しているのか?そんなボクってもしかしてゲイなの?性に目覚めたばかりでデイビッドに対する自分の気持ちが愛なのか友情なのか混乱してしまうマイケル。こんな経験、自分も通ってきたと思い当たる人は少なくないと思う。この問題、オトナからすれば過ぎ去ったことで大したことなく感じるけど、渦中の少年たちにはまさしく大事なのだ。悩みを打ち明けたいけどそれができない。打ち明けても何も変わらない。だからマイケルは直接デイビッドに腕力で思いをぶつけた。さすがにナイフで刺すまではいかなくてホントによかった(おいおい物騒なこと考えるなよ)けど、殴りあうことで、二人はお互いの存在と思いを再確認できたのかもしれない。
ホモソーシャルというほど頑なではなく、ホモセクシュアルというほどエロティックではない。この映画にあるのはそれを超えた少年たちのすがすがしさ。サッカーの試合でゴールが決まったとき、無意識に抱き合う選手たちの姿を見るのと同じ感覚のすがすがしさだ。いろんな方面で深読みもできそうだけど、ワタシは「すっごく気持ちいい(劇中でデイビッドが引用する中国初の宇宙飛行成功時の言葉)」青春映画として素直に観たものだった。あと、時々はさまれるオトナたち(プロの俳優さんばかり)の姿も印象的。「(悪いことは)やっぱり董建華の政治がいけないのよ」が口癖のマイケルママ(彼の家はどうも母子家庭らしい)や、子供たちには厳しい先生たちが時折見せるふっとした表情の動きやしぐさがどこかいいと思ってしまうのも、すでに子供のイノセンスを置き去ってしまったからこそ感じてしまうことなのか。

あ、そうそう、以前の記事にも書いたけど、ヒロインのウィニーちゃん(本名失念。ごめん)、ホントにカリーナ・ラウに似てると思ったよ。一瞬、カリーナの娘なんじゃねーか?と思ったくらい…てーのは大嘘だけど、将来カリーナのようなゴージャス女優になってくれれば、おねーさんは嬉しいぞ(爆)。

原題:当碧威遇上奥雲
監督&脚本&編集:アダム・ウォン 製作総指揮:エリック・ツァン
出演:エリック・レオン ラウ・チンウー ヤウ・アーチン

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映画祭も本日で最終日ですね。続々といろいろな方の参観レポートがアップされていて、楽しく拝読させて頂きました。また、分かっている範囲ですが、日本での配給が決まっ... [続きを読む]

受信: 2004.10.31 10:16

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