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大丈夫(2003/香港)

今回の『アジアの風』で大フューチャーされているこの映画の監督、パン・ホーチョン(別名エドモンド・パン)。すぐ「どこどこの○○」という枕詞をかぶせて型にはめたがる日本人的感覚で彼を紹介するならば、彼は「香港の宮藤官九郎」になるんだろーなー。…異論あったらすみません。もっともこの共通点は歳が近いってこと(ちなみにクドカン34歳、ホーチョン31歳)だけか?このホーチョン、実はある作品に係わったことで、すでに日本では紹介済み。それは何かというと…、アンディ&反町共演の問題作『フルタイム・キラー』の原作を手がけたのが彼なのだ!
ま、それはどーでもいいとして、現在“ポスト王家衛”とも称されている(え?じゃあかつて同じように称された『ラベンダー』《花好月圓》のイップ・カムハン監督の立場は…?)ホーチョンが今年の香港電影金像奨で最優秀新人監督賞を受賞した作品がこの『大丈夫』なのである。うーん、このタイトル、ユンファの『大丈夫日記』を彷彿とさせるねぇ(^_^)。

ティン(エリック)、チョン(小春)、キウ(チャップマン)、そしてティンの甥ポーチャイ(スピリット)の4人は、それぞれの妻と恋人が日帰りタイ旅行に行く日、ある計画を練っていた。普段から妻の尻に敷かれているティンたちと未婚だけど童貞のポーチャイはこれをいい機会と見て心ゆくまで女遊びにふけよう!という恒例の大作戦を立てていたのだ。「女とヤリたい」という絆で結ばれたこの4人は、かつてこの計画に参加していたものの、妻に現場を押さえられて現在は自宅軟禁状態と化している親友ガウソ(カーファイ)の弔い(!)も兼ねつつ、早速街に繰り出す。パシフィックプレイスでナンパに失敗し、指導員つきネットカフェでの指導員お持ち帰りにもしくじったものの、4人はそれでもへこたれない。しかし、いつしか彼らはタイに行っていたはずの妻たちが自分たちを尾行していることに気づく…。そして、仲間の中には情報を妻たちに流した裏切り者がいるのではないかと疑い始め…。

のっけからいきなり、エリックによる『無間道』パロディで大爆笑。…たかが浮気なのに。
そう、ネタは非常にバカバカしい。浮気に命をかける男たちとその現場を押さえてなんとか離婚時に有利な方向に持っていこうと躍起になる妻たちの大攻防。こんなん香港でしか思いつかないよー、ったくー!!でもおもしれー!!オトコの欲望大爆発。ったくバカだねーこいつら、とかなんとか言いつつも微笑ましい奴らなのであった。
やっぱり『無間道』のサムを彷彿とさせるリーダー格のエリックさん、いかにも香港エリート!と言った感じのブリティッシュトラッドで決めた小春、レザージャケットにネクタイって確かキミの兄貴分のスタイルだったんじゃ(もちろん無間道)…のチャッピー、そして若者らしくボーっとした(笑)でっかい新人スピリット君と各自個性的な野郎ども。こいつらは時に一致団結し、時に裏切りながら目的成就のために邁進する。うーんまた繰り返すけどホントにバカバカしい。でもさ、女房の尻に敷かれながらも、なんのかの言いつつ愛してるんじゃないかな?自分の妻をね。こいつらを尻に強いているマダームな奥様たちもすごいっす。頭脳派のテレサさんと肉体派(注・グラマーってわけじゃなくて体育会系って意味)のキャンディが組めば怖いもんはないんじゃ…という気がするぜ。
阿鼻叫喚のドタバタの果て、夫たちと妻たちは帰途につく。「賢い妻は夫の浮気に目をつぶるってもんよ」との言葉を受けて、何があったのかはあえて言わない。その引き際もうまく処理されていて気分よく観終わることができた。

ところでこの映画、『無間道』以外にも香港映画のホモソーシャル風味の映画をどんどんパロっていて、ネタがわかるとかなり嬉しくなることは確か。劇中にはなぜか《書剣恩仇録》(だったと思った…)の主題歌が唐突に流れたりしておかしすぎる。あ、こういう過去の作品の流用っつーかパクリっつーかオマージュの使い具合はドラマに自分の好きなネタをバンバン投入するクドカンに通じるところがあるのかも知れんな。
他にもいろいろ書きたいことはあるんだけど、これ以上書くととりとめがなくなりそうなのでこのへんで。ま、とにかく、パン・ホーチョンという名は今後覚えておくかのー(^_^)。

英題:Men suddenly in black
監督&脚本:パン・ホーチョン 製作:エリック・ツァン ナット・チャン
出演:エリック・ツァン チャン・シウチョン チャップマン・トゥ スピリット・ブルー テレサ・モウ キャンディ・ロー レオン・カーファイ ナット・チャン

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コメント

こんにちは。この週末ですっかり、パン・ホーチョン(彭浩翔)監督にまいりました!(六本木詣の甲斐もあったというものです) 私見としては、あるいは「香港のタランティーノ」なのかも(いい意味で)。
とは言え、彭監督はタランティーノや王家衛ほど気取っていないというかあざとくないというか、自己満足の落とし穴に陥らずに、もう、この人はきっと本当に映画が心底から大好きで、その面白さを追求しつつ、なおかつ人を楽しませずにはいられない性分なんだろうなぁと思います。
いやぁ、『フルタイム・キラー』も本人が監督したら、それはそれで珍妙な殺し屋コメディとしてまた別の面白味も出てたかもという気もします。
とにかく、ティーチ・インがやっぱりなかったというのが残念でしたね。

投稿: 林雪のほくろ毛 | 2004.10.26 01:27

最近マギー・チャンxレオンライ主演の「ラブ・ソング」を観てから西田敏行、もといエリック・ツァンが気になってたんで、観てみたいですー。面白そう!

投稿: こっぺ | 2004.10.26 05:05

>林雪のほくろ毛さま(ナイスHNですね!)
コメントありがとうございます。ホントに楽しい映画だったですねー。「香港のタランティーノ」というのはちょっとワタシも考えたんですが、こう呼んでしまうとやはりありきたりかなーと思いまして、彭監督を同じ70年代生まれのクドカンに例えてみたのですよん。彼は王家衛と違って脚本重視の映画を作るっていう点もあって。マニアックさはないけどトリッキーな作り方をするっていう面では堤幸彦監督っぽい感じもあるかなと今思いました。これも私見ですが(笑)。
ティーチインがなかったのは本当に残念でした。いろんな話を聞きたかったですよね。ところで『公主復仇記(ビヨンド・アワ・ケン)』はご覧になられますか?

>こっぺさん
西田敏行…(笑)。そーいえば『無間道』が日本公開された時に読んだレビューでやはりエリック・ツァンを西田氏に例えていた人がいたので、そーなのかー気づかんかったなーと思ったものです。
お笑いエリックさんだったらやっぱり『金枝玉葉』2部作でしょう。あのオネエっぷりはステキだった♪渋い系なら『無間道』3部作に『わすれな草』かな。

投稿: もとはし | 2004.10.26 23:16

どうもです。林雪のほくろ毛というのは、何センチくらいあるのか、気になって仕方ありません(それなりにチャームポイントだと思うのですが)。
パン・ホーチョン監督のティーチインは、25(月)にあったらしいですね。『公主復仇記(ビヨンド・アワ・ケン)』も非常に期待しておりますが、今度は一応はアイドル映画ということになるんでしょうかねぇ。
また、ちょっと思い立ちまして、東京国際映画祭レポートブログのリンク集を作ってみました。http://d.hatena.ne.jp/kan-ei/20041026

投稿: 林雪のほくろ毛 | 2004.10.27 07:40

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英題:Men Suddenly in Black (2003) エリック・ツアン主演 もとはしさんのレビューを読んですんごく面白そうだったので観てみました、『大... [続きを読む]

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